歌って踊れるエンジニア~エンジニアの誤解 6~
わたしは4月で社会人10年目になりました。
エンジニアを10年もやっていると、それなりに経験が蓄積され、若いころであれば調べないと判断できないようなことも、培った経験で判断ができてしまうことが増えてきます。
しかし、そのような経験を過信してしまい、物事に対して先入観を持つことにより、間違った判断をしてしまうことがあります。
- 古いOracleの知識で「Oracleではそれはできない」
- 古いWindowsやLinuxの知識で「Windowsだからできない」「Linuxだからむずかしい」
と判断していませんか?
「前にやったことがあるけどダメだった」
「アプリケーション側でエラーが起きるわけない、データベース側の問題だ!」
こんなセリフを吐いて思考停止していませんか?
【思考停止エンジニア】
わたしは経験だけで話をするエンジニアの言うことは信用ができません。
エンジニアの技術力はITのアンテナを張って体系的に学んだり、好奇心で学ぶ技術(勉強することによって得る技術力)と仕事で経験を積んで学ぶ技術(経験することによって得る技術力)という2つの側面によって成り立っているとわたしは考えています。
どちらかが大事ということではなく、両者をバランスよく保つことで、エンジニアはうまくスキルアップしていかなければならないのですが、後者の「経験による技術力」がたびたび、エンジニアを思考停止に陥らせます。
例えば、プログラミング言語はバージョンアップします。バージョンアップされれば、便利なAPIの追加や機能追加があります。
前のバージョンでは10行書かなければいけなかったものが1行ですんだり、自前で実装しないといけなかったものが標準化されることもあるでしょう。
極端な話、バージョンアップという事実を知らなければ、経験による技術力だけで判断することになり、「工数がかかる」「技術的に不可能だ」という判断に陥ってしまう可能性があります。
また、わたしはトラブル時にその道のエキスパートと呼ばれている人から、結果的には思い込みによる見当違いなアドバイスを受け、疑問を感じていながらも、エキスパートが言うんだから問題ないと思い込み、確認せずに業務を遂行したために痛い目に遭ってしまったこともあります。
このように、思考停止は伝染していくのです。
【エンジニアが心がけてみて欲しいこと】
エンジニアにとって経験は非常に大事ですし、技術の根本的な部分は、よほどの技術革新がない限り今後のキャリアを支えるスキルになります。
ただし、過去の経験を過信しすぎたり、自分のスキルに対して謙虚な気持ちがないと、それが先入観になり、冷静に考えれば解決できるような単純な間違えを起こす可能性があります。経験にかかわらず、先入観を持っていないか? と問い続けましょう。
また、経験を積めば会議の場で発言したり、スタッフにアドバイスをする機会は多くなります。経験年数や実績は、自分が思っているよりもその「発言」に重みを持たせます。
若いころ、先輩やベテランエンジニアからのアドバイスは何も考えずに「そういうものなんだ」と受け入れていませんでしたか?
それを考えると、間違った発言やあやふやな発言はできなくなるのではないでしょうか?
「あの人がそう言っていた」からそうしたんだ、って言われないようにしましょう。
【こんなエンジニアと接するには?】
わたしは、非エンジニアの意見はエンジニアの先入観が入っていないため、エンジニアにとって貴重な意見であると考えています(中にはメチャクチャな意見を言う人もいますが……)。
若いエンジニアならともかく、ある程度経験を積んだエンジニアに対して意見を言うことは、しんどいと思うことがあるかもしれません(理屈っぽいし、意見を言われて条件反射的に怒るエンジニアもいますし……)。
エンジニアの発言に対して理解できない、先入観にとらわれていないかなど、疑問を感じた場合は、トヨタの改善活動のように「なぜなぜ5回」の精神で、なぜそういった考えや結論に至ったのかを聞いてみましょう。