健康について第18回 24時間働けません
お世話になります。龍澤と申します。
以前より、「健康とはバリバリ働けること」と書いておりますが…
とはいえ、「24時間働けますか」といったら、ITエンジニアは24時間は働けません。今回はそのあたりのことについて書いてみたいと思います。
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バリバリ働く、のと24時間働く(あるいは、仕事のことを考え続ける)ことは同義ではありません。なぜならば、この連載でもずっと書いておりますとおり、私たちは頭脳労働者だからです。
頭脳労働者は、アタマを休めるのも立派な仕事です。脳みそは、適度に休ませること、そして、深い睡眠をとることにより(必ずしも「長い」睡眠ではない)最高のパフォーマンスを発揮します。
脳を適度に休ませる手段については「健康について第9回【実践編】」で書いたとおり、一仕事終わったら[画面]から離れる必要があります。その日の仕事(「頭脳労働」)が終わったら、眠りに入るまで脳を[画面]から解放してあげなければなりません。
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メジャーリーグのイチロー選手の美談として、スーパースターになっても日々のグローブの手入れを欠かさない、そして手入れを人任せにしない、という話をたびたび聞きました。そのことをイチロー選手に尋ねると、「プロとしてアタリマエでしょ?」と。
でも、プロ野球選手でも、スターになればなるほど道具の手入れを他人に任せてしまう人のほうが多いのではないか? と私は推測しています。そもそも、身の回りの世話を(カネを出して)他人に「させる」のがスターである、そのためにカネを稼いでいるのだ、と勘違いしている選手は多そうですね。
そして、私たちにとって道具にあたるのはもちろん、脳です。それと、(「第9回【実践編】で書いたとおり)目です。プロフェッショナルであることを意識し、他人にゆだねず、自分で「道具」を手入れして、ピカピカに磨いておく習慣をつけましょう。
まず私たちは、頭脳労働者であることに誇りをもちたいものですね。
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よくいわれることですが、アイデアに煮詰まってしまったらいっぺん放り出してしまって、寝てしまったほうが結果がよいようです。寝ている間に脳が勝手に考えを整理し、思考の再構築を行って、進むべき方向性を導いてくれる。
脳科学について私は素人ですが、睡眠をとっている間、脳はブラックアウトしているわけではありません。つまり、私たちが「寝る」という行為がイコール、脳に休息を与えているというわけではなく、寝ている間も脳は活発に動いています。
「寝る」という行為は、脳のコントロールを無意識下に「まかせる」ということです。
寝ている間に「無意識下」は勝手に、脳を活発に活動させたり、休ませたり、というサイクルをつくっています。それと同様に、私たちは、起きている間も、脳を活発に動かす時間と休ませる時間とのメリハリをつける必要があります。寝ている間は勝手にやってくれますが、起きている間は私たちの主体的意志によりコントロールする必要があるのです。
なぜそんなことをしなければならないのか? といえばそれは、繰り返しになりますが、頭脳労働者として脳を常に最高のパフォーマンスで稼働させるためです。言い方を変えれば、頭脳労働者でなければ脳のケアについてそれほど繊細に考える必要はないのでしょう。
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寝る前の話ですが…
仕事が終わってから眠りに入るまでは、実は無意識下に対する「引き継ぎ期間」にあたるわけです。実は、この期間の過ごし方が大変重要なのだということは、最近知りました。
以前は、仕事が終わってすぐ、脳が興奮していて少し混乱しているときにそのまま睡眠に突入させたほうが、無意識下においても継続して同じことを考え続けることができて、効率がよいような気がしていました。が、それはまったく間違っていたようです。
混乱しているまま睡眠に突入すると、無意識下はまず、それを「平定」することに追われてしまいます。思考の再構築作業はその後になってしまうので、結局時間が足りずに、うまく整理されないまま次の日の朝を迎えてしまうわけです。
毎日毎日一定時間の(そして、ある程度長めの)睡眠を確保できるのであれば、余裕のある睡眠時間のうちに無意識下でリカバリすることもできるのでしょうが、特に私たちは長く眠ることは許されない職種といってよいと思います。ですので、睡眠への「入り方」が特に大事になってくるのです。
はっきりいいますが、睡眠に入った後の「無意識下」のほうが頭脳労働者としてはいい仕事します。だから、無意識下には「思考の再構築作業」に専念させるべきで、Confuseの平定作業は私たち(つまり、起きている間の自分)が引き受けなければなりません。それを引き受けられるのであれば、睡眠時間は短くともよいのです。
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最後に…
脳に良質な栄養を与えてあげるのも私たちの使命であります。脳そのものが必要とする栄養素というのが、脳が「欲する」食べ物とほとんど重ならないというのが難しいところでして…
例えば、脳が「なんか甘いもん食いて-!」と叫んだとしてもそれは、身体のどこかの欲求を代弁しているにすぎず、脳は脳自身が摂取したいものについては沈黙しています。
人間は甘いものを欲することがよくありますが、糖分を摂取することによりあたかも、まず脳に糖分がいきわたってリフレッシュされ、頭の回転がよくなるかのようなイメージや刷り込みを、私たちはされてきました。
それを100%全否定するわけではありませんが、ほとんど間違っています。糖分を人間は必要としますし、摂取量が足りない場合欲しますが、他の栄養素と同様に、身体に与えてあげるべきは「良質な」ものであって、例えばスナック菓子は身体にとっては不要なものです。(たとえ脳がスナック菓子を欲したとしても)。そして、すべての栄養素にいえることですが、過剰摂取は厳禁であり、たとえ良質であっても急激に糖分をとると身体に相当な負担がかかるのでやめたほうがよいでしょう。
脳そのものが欲しているものというのは別に特別なものではなく、良質でバランスのとれた食事と(完全なる)休憩、そして睡眠です。つまりは、ごくごく一般的な健康法となんら変わりはないということになります。
読んでいただきありがとうございました。
コメント
プログラムをやっていてて、よく経験することは、バグとりをしていて、夜遅くまで頑るが、どうしてもわからず、結局あきらめて家に帰る。そして、次の日、通勤の途中で閃くと言う奴です。睡眠中に、脳が整理整頓した後、通勤中に考えたのでて、閃くのでしょうか?
そういう経験を何度もすると、バグとりは夜遅くまでしても無駄だと思うようになり、早く切り上げるようになります。すると、次の日になっても閃きません。どうしたら最良なのか、考えてしまいます。
龍澤
山本さま 拙文にコメントいただきありがとうございます。大変線僭越ながら申し上げると、(山本さまのケースでは)仕事を夜遅くまでやるのと早く切り上げるのとでどちらが後日「閃く」可能性が上がるか、という比較で考えるよりも、どれだけ日中に脳をフル回転させるかどうかだと思います。前者「夜遅くまで頑る」は後者「無駄だと思うようになり、早く切り上げる」よりも間違いなく一生懸命考えていらっしゃいますし実はほとんど解は出ている(最後の詰めのところで「無意識下」に渡してあげているだけ)ということだと思います。