自分という「ソフトウェア」をアップデートする
私はエンジニアなので、物事をエンジニアの視点から考える傾向があります。
それは、自分自身や、自分が社会に提供できる価値について考えるときも同じです。
自分をコンピューターにたとえると、私は「ハードウェアの上で動くソフトウェア」のようなものだと思うことがあります。
ハードウェアとは、生まれ育った環境や、年齢、性別、人種、身体的な特徴など、自分では簡単に変えられないものです。
一方、ソフトウェアは変えられます。
更新することも、新しい機能を加えることも、不要になった考え方を書き換えることもできます。
私は長い間、自分では変えられない「ハードウェア」の制約に悩んできたように思います。
でも、あるとき気づきました。
変えられないものにとらわれ続けるのではなく、自分で選び、改善できる「ソフトウェア」に取り組めばよいのではないか。
それから私は、自分のソフトウェアを更新し続けることで、自分なりの強みや価値をつくろうとしてきました。
価値を交換するということ
私たちは、さまざまな場所で自分の持つ価値を交換しています。
ここでいう価値は、金銭的な価値だけではありません。
知識や経験、労働、時間、考え、信頼、機会、異なるものの見方。私たちは、それぞれが持つものを誰かと交換しながら、仕事や社会を成り立たせています。
しかし、誰かに自分の価値を見つけてもらう前に、まず自分自身がその価値を認識する必要があります。
日本人の女性として、私にもインポスター症候群のような感覚があります。
自分にはまだ足りないのではないか。
自分の経験には、それほどの価値がないのではないか。
そう考えて、自分の持っているものを実際よりも安く見てしまうことがあります。
そこで、あらためて自分の「棚卸し」をしてみました。
今の私が持っているもの
今の私には、掛け合わせることのできる三つの強みがあります。
一つ目は、ITとサイバーセキュリティに関する経験、知識、スキル、そして戦略を考える力です。
二つ目は、単なる語学力にとどまらない、国際的な環境における「適切な距離感や塩梅」の感覚です。
文化や価値観の異なる人たちと仕事をするとき、言葉が通じるだけでは十分ではありません。何をどこまで伝えるのか。いつ主張し、いつ相手の話を聞くのか。その場に応じた距離感を考える必要があります。
三つ目は、セキュリティやITを構想だけで終わらせず、現場で実現する力です。
よい構想や戦略も、実際に動く仕組みとして届けられなければ価値を生みません。私はこれまで、考えるだけでなく、それを現場でデリバリーすることに取り組んできました。
そして、もう一つ。
多様な人々の強みを引き出し、互いの弱みを補いながら、チームをつくる力です。
振り返ってみると、これらの強みは一つずつ独立しているのではありません。
ITとサイバーセキュリティの知見がある。
国際的な環境で培った感覚がある。
構想を現場で実現できる。
そして、異なる人たちをつなぎ、チームとして動かすことができる。
この組み合わせが、私の価値なのだと思います。
自分の価値を安く見ない
これらは、最初から自分の中にあったものではありません。
仕事、失敗、学び、そして多くの人との出会いを通じて、少しずつインストールし、更新してきた「ソフトウェア」です。
もちろん、まだ完成していません。
これからも更新は続きます。おそらく、完成することはないのだと思います。
それでも、すでに自分が持っているものまで安く見る必要はありません。
自分の価値を認めることは、傲慢になることではないと思います。
自分が何を持ち、誰に何を提供できるのかを理解すること。そして、それを必要としている人との間で、価値を交換していくことです。
変えられないハードウェアに悩むことは、今もあります。
でも、私には更新できるソフトウェアがあります。
これまで自分が何をインストールし、何を更新し、何をつくってきたのか。
ときには立ち止まって、自分自身の棚卸しをしてみることも必要なのだと思います。
あなたの「ソフトウェア」には、何が入っていますか。
最後に自分の価値を棚卸ししたのは、いつでしょうか。
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