エンジニア歴20年のおっさんが語る、いろいろな経験やこれからのソフトウェア業界についてです。

第13話 駆け出しエンジニアは必ず教育しろ!

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 わたしは年齢的にもキャリア的(単純に年数だけですが)にもちょっと何かあるとすぐ「最近の若いもんは!」と、つい言いたくなります。もっともわたしが若い時だってよく上司から同じ事言われたのでそんなものは昔からあって、これからも続くものだと思います。それだけジェネレーションギャップって大きいのかな、と、この年になると思います。はぁ。

 さて、今回は新入社員や若く業界経験がない(もしくは浅い)転職エンジニアに対しての話です。

 わたしのエンジニア人生はたたき上げで来たので、知識よりは実用的な事を教えられました。だいたい、入って3カ月で先輩が全員辞めたり、やった事がない仕事も見栄を張って引き受けたりどちらかと言えばアホなことをしてきたので、気がつけば大体のことはできるようになっていました。

 電気の知識があるので、壊れたサーバーの電源を応急で修理した事もあります。昔と違い、さすがに今は何でも出来るとは思いませんがそれでも基本が出来ている(と思っている)ので仕事的には何を言われてもあまり怖くありません。

 ただ、自分と同じ道をたどる人もほぼいないでしょうし、雑誌やWebサイトに載るようなスーパーエンジニアは独立するか大企業の研究所とか行ってしまうので、必然的に身近にいるエンジニアをどうするか、という話になります。

■最近の教育事情

 わたしが子供の頃(若かったころ)と今では、教育の考え方が随分違うような気がします。小中高校生の時には親にも、学校の先生にも「鉄拳制裁」された記憶がありますが、今の親は子供が公共の場でやりたい放題でも叱らず、まわりの大人が注意したら逆ギレします。学校の先生が叩こうものならすぐに「体罰!」と叫んで逆に先生を追い詰めます。子供もバカじゃないのでそう言う状況を逆手にとってやりたい放題です。下手にこっちが注意しようなら冗談ではなく殴られたり、刺されたりしそうです(一度、蹴られた事があり、ムカついたのでそのまま親につきだして謝罪させました)

 あ、かといって鉄拳制裁賛成派ではないですよ。

 我々のころは、先輩に「技術は盗め」とかいわれ、先輩の背中を見ながらエンジニアとしてあるべき姿を追いかけました。当然、分からない事は質問し、質問内容によっては怒鳴られもしました。さすがに殴られる事はあまりなかったですが、それでも褒められるよりは怒られる方が多かったのをデスマーチと共に記憶しています。

 わたしより上の人(40代以上)とは根本的に育ってきた環境が違うので、若いエンジニアを見ていると少しイラっとくることが多いと思います。

■なぜ、教育は必要か

 理由は簡単です。仕事で使えないからです。以上。

 ……そりゃ、当たり前か。

 冗談はさておいて、わたしはどんなレベルでも職業としてエンジニアを選んだなら、必ず教育は必要だと考えています。教えるのではありません。基本的に叩き込みます。昔みたいに見て盗んで覚えろとか、俺の背中を見てついてこいとか言いません。だって、絶対について来ないし。

 今も昔も共通することや、最近特に多い傾向と両方あるのですが、わたしが教育する理由は以下の事が出来ないからです。(エンジニア限定)これは悪いことではなく、できなくて(分からなくて)至極当たり前だと思います。

  • 仕様書から適切なコードが書けない
  • 仕様書がうまく読めない
  • ドキュメントが書けない
  • コミュニケーションがうまくいかない
  • 調査がうまくできない

 以前のコラムにも書きましたが、わたしは自分が楽する方法を常に考えて仕事をします。サボるんじゃなくて、今は責任も後輩(部下)もいるので、効率よく考えて仕事をしないとすぐにいっぱいいっぱいになってしまい、プロジェクトがうまく回らないからです。集団で仕事を行う場合、ネックになるのがスキルの差とコミュニケーションの難しさです。つまりわたしが「このぐらいなら大丈夫だろう」「これなら行けるだろう」と勝手に思いこむと実は出来なかったり、上手に伝わらなかったりしてデスマーチに突入して結局、わたしもコーディングする事になります(これはこれで楽しいけど)

 とにかく、職業エンジニアとして最低限のスキルを身につけさせるのは先輩(上司)としての責務だと考えています。

■教えるには訳がある

 学生から社会人になるとエンジニアの場合、研修でビジネスマナーと情報処理の基礎を学ぶのが普通だと思います。会社の規模によって日数やカリキュラムに差はありますが。それはそれで必要ですが、配属されると今度は先輩が面倒を見ます。わたしはここからが本当の「教育」だと考えています。

 通常、配属されてくると先輩は今の仕事の手伝いや本を渡して「ちょっと勉強がてらに読んで試してみて」なんて言う事が多いと思います(経験上)でも、わたしは「取りあえず ~からやってもらおうかな」なんて消極的な教え方は否定します。ちょこちょこ手伝いさせても仕方ないと考えているからです(少しぐらいは手伝わせる事もありますが、それをメインにはしません)

 わたしは大きく分けて3つの要素に分けて教えます。それはプログラム、ドキュメント、コミュニケーションです。

 プログラムは好きな人なら、入社してすぐコードが書けると思います。でも、そういう人ほど仕事では「自由にコードを書く事は許されない」事を教えます。初心者にはとにかくアルゴリズムの考え方をまず教えます。

 ドキュメントに関しては、まず書くことを徹底します。最近は日本語が乱れているとか言いますが、そういう事はさておいて、日本語の文章を読む機会が減っているのでまず正しくドキュメントを書けません。一番の理由は文章を読み書きする必要性(必然性)が無くなってきているからです。音楽、映像、漫画、ゲーム、ライトノベル(最近は携帯ノベルかな)など、文章を読んで理解して想像するという事をほとんどしなくていいので「書き言葉」と「話し言葉」の区別がつかない人が多いです。

 コミュニケーションは自分の考えを相手に伝えられるように考えます。これだけは人によってバラつきが出てくるのですが、挨拶から初めてとにかく人と対面で自信をもって会話出来るようにします。

 IT業界に限りませんが、仕事を遂行する点だけに絞ってしまえば「知識よりも知恵を使う」事が重要だと思います。知識は経験と一緒に積み重ねて行けますが、知恵は知識が少ない時の方が何とか知識不足を補おうとして身につきます。「三つ子の魂百まで」と同じで、エンジニアも最初の教育の仕方が肝心だとわたしは思っています。

■わたしはこうやって教育します

 わたしの場合、最初はうるさいぐらい1つ1つチェックして指導(ダメ出し)し、時には褒めてなだめておだてながら少しずつ仕事の範囲を広げてやるようにします。範囲を広げるのと同時にチェックも減らしていくようにします。

 あと、表情で怒らない(怒鳴らない)ことです。とにかく腹が立ってもそこはぐっとこらえ、ダメな時はダメな理由を必ず系統立てて教えます。褒める事は必要ですが、怒られても何度でも繰り返して行う癖を付けさせる方が大事です。怒鳴ったり威嚇するのはNGですが、必ずダメな理由を言って修正させます。理由もなくダメと言うと理不尽に思えて反発し、逆効果です。

 教育とはまず我慢と忍耐です。

 最初は「書く」事から始めます。最近は聞いてもメモひとつ取らないエンジニアがたくさんいます。それで同じ事を何度も聞いてくるのでいい加減キレたくなります。ですから「書く」癖をまずつけさせる意味で、フローチャート(かそれに準ずるもの)を書かせます。適当なものではなく、必ず実際の仕様書から起こさせます。とにかく「アルゴリズム」を意識させるようにします。

 そればかりさせると集中力も続かないので、書いたら簡単にレビューして修正させた上でコーディング、デバッグさせます。デバッグが終わったところでまた簡単なコードレビューをして、マズい点を指摘、修正させます。とにかく、この繰り替えしを出来る限りさせて内容を徐々に実務にシフトさせます。

 次にある程度書いてプログラミングをさせたら今度はドキュメントを書かせます。最近の若いエンジニアはドキュメントまで話し言葉にする人が多いです。私はコーディングさせたプログラムの仕様と、ツールなどを作らせた場合はそのマニュアルを作成させます。これらのドキュメントも必ず良くなるまでダメ出しして書かせます。私の新人時代も結構やらされましたが、個人的にこれは後々効いてくると思います。

 コミュニケーションはまず挨拶です。私は声が小さかったりしなかった人を見つけると目の前まで言って挨拶します(やり過ぎるとイヤミですが)発表会とかレビューとかもやりますが、一番手っ取り早いのが何かあると呼んで「○○さんにこれがどうなっているのか聞いてきて」など、他の人の所にお使いに出す事です。後はしばらくインターネットを止めてやります。全部止めるとマズイので外部に出られないようにします。そうすると何か不明点があってもググれませんので、調べるか聞くかになります。どちらに転がっても良いのですが、同じ事を2度聞いたら怒ります。意図的に人と接する機会を増やしてやると仕事なので大抵の人はそのうち苦じゃなくなります(慣れもある)

 これらの事を適当なバランスで行っていき、反復する事で少しづつ身につけさせます。業務が忙しい場合は半分か1/3ぐらい時間を割きます。間違っても全部業務にしてしまうと分からない事だらけでモチベーションも上がりません。新人を戦力に見立てるのは難しいので、戦力としてはいないものだと認識してやるべきです。

■仕事以外も大事です

 最近のIT絡みの事件(例えば個人情報の漏洩やWinnyによる機密情報の流出など)は元をたどれば「人」としてのモラルの問題です。

 「性善説」に基づいて、相手を信用することに関して異論はないのですが、セキュリティも所詮は人の運用ですから、会社でもなぜやってはいけないのか、やってしまったらどうなるかを繰り返し教育する事も必要です。勉強会もそうですが、エンジニアは漫然と仕事をこなせてしまうようになった時が一番コワイです。そのために詰め込むのではなく考えて行動させるように初めのうちから意識してやることが大事です。

 あと、新人には必ず1つだけ気構えとして教える事があります。それは

 新人は1年間は「仕事が分からなくて当然!」と胸を張って分からない事は聞きに来い!

 です。ようするにそれぐらい気を使わずに何でも聞きにきなさい、ってことです。内向的だと聞くのも大仕事なので、そこは先輩が気を使ってやるべきです。もっとも、首をかしげる後輩を見ると聞くのはこっちなんですけどね(苦笑)。

 次は9月のお題をもらったのでそれについて書きたいと思います。転職に関しては5回以上(正確には覚えていない)、それも社員・フリー・経営者と採用する方もされる方も経験していますので、多少は参考になるかも?

 その次からは、新シリーズでソフトウェアについて書こうと思います。技術的な事ではなく、ビジネスや社会情勢も絡めての問題点やどうしたらよいかを考えたいと思います。3回の予定です。

 人月単価はしばらくお休みします(笑)。

Comment(17)

コメント

組長

こんばんは。組長です。お邪魔いたします。

いやはや。感動したり、なるほどと思ったり、そうそう!と思ったり、何度ものけ反りながら読ませていただきました。笑

>ダメな時はダメな理由を必ず系統立てて教えます。
>教育とはまず我慢と忍耐です。

その通りですね。まさに私がそうやってかつての上司に育てていただいたので。私への教育には本当に我慢と忍耐が必要だっただろうと、今更思います。そして、「系統だてて」というところが萌えポイントです。私、系統立てて説明されるのに弱いんです。すぐ、コロっと感動するんです。笑

コミュニケーションと文章を書く方は、たぶん大丈夫なので、とりあえずアルゴリズムから教えていただいて良いでしょうか?笑

最近、1年ほど一緒に仕事をしてきた25歳の坊やと、久々に一緒に仕事をしたのですが、ある一面においては、ぜーんぜん進歩していないことを目の当たりにしてガッカリしました。まだまだ精進が足りませぬ・・・・。はぁ。

インドリ

おはようございます。
今回もいいお話しでした。
何度も頷きました。
そして、にゃん太郎さんを上司に持つ人が羨ましくなりました。
私の場合は、職人を目指してこの業界に入ったものの、運悪くよい上司に一度もめぐり合えずに、何かを教えてもらった事がありません。
何時も当てにされる状態でした。
そして、「分からない」なんて甘い事言える状態ではありませんでした。
分からないことは私にとって死活問題であり、兎に角やるしか生き延びる術がありませんでしたので、新人の様子を見聞きすると「恵まれている」とほほえましく思います。
その恵まれた環境を生かす「最近の若いもの」は残念ながら少ないようです。
私は31歳ですが、20代の若い人の考え方が分かりません(笑)
何故か「分からない事を聞いてこない」
うーん。私ならば教えてくれる人が居れば嬉々として聞くけど・・・
なんだか今の若い者はクールというか、無関心なんですよね。
無関心ならばこの業界に来るなといいたくなりますが、そんな事を言ってはこの業界に人が居なくなります。
教育はやはり忍耐ですね。
私も教える機械があるときはもう期待せずに気長に教える事にしています。
下手に期待すると腹が立ちますから・・・

にゃん太郎

組長さん、ありがとうございます。

> 「系統だてて」というところが萌えポイントです。

 意外なご意見かも(笑)個人的には冷たい感じもしてどうかな、と考える事があります。なんか体育会系のノリで「頑張るんだ!」みたいな方が…とも時々悩みますが、暑苦しいのは性に合わないんで、結局こうなりました。

 教えた子が伸びるとうれしいのですが、そういう子は実はまれなんだなと思ってます。自分を基準にすると「何でこんな事も分からないんだ?」とかなりがちですが、性格もあるのでそこはしょうがないかなと考えて割り切るようにします。でも、10教えたうち1でも理解してくれるとそれはそれで嬉しいです。

> コミュニケーションと文章を書く方は、たぶん大丈夫なので、とりあえずアルゴリズ
> ムから教えていただいて良いでしょうか?笑

 了解しました。優しく叩き込みますからいつでも来て下さい(笑)

にゃん太郎

インドリさん、ありがとうございます。

 そう、上司だけは運だと私も思います。私は若いうちはどちらかと言えば上司にも先輩にも恵まれた方だと思い、今はその恩返しも少しあると思ってます。本当はインドリさんみたいにやらないと死活問題ぐらい追いつめてやる事がふるいにかかって良いと思いますが、そうするとこの業界も持たないとおもうのでそれはしょうがないですね。

 最近の若い子(私から見たらインドリさんも充分若いのですが)はもう違う人種だと考えています。たとえ会社でも自分の領域に入って来られるのを嫌うのでとにかく仕事中は余計な事(世間話ぐらいはしますが)を言わずに叱る事も感情的にならないように心がけています。

 本当は、例えばプログラミング技術とか、仕事の進め方とか活発に議論出来るような関係で仕事ができれば理想なんですけどねぇ。ちょっとそこが淋しいかな。

forseti

はじめまして。

>「最近の若いもんは!」
に該当するであろう25歳SEです(笑)

私はにゃん太郎様程時間も手間もかけて下さる方にはめぐり合えておりませんが、
比較的良い上司、悪い上司両方に巡り合う事ができました。

大分歪んだ意見になるかもしれませんが、何か参考になれば幸いです。

>とにかく、職業エンジニアとして最低限のスキルを身につけさせるのは先輩(上司)としての責務だと考えています。
>新人は1年間は「仕事が分からなくて当然!」と胸を張って分からない事は聞きに来い!

仰るとおりだと思います。しかし、現実としては
・どう見ても質問できる状況に無い(あまりにも忙しすぎる)
・何とか質問してみたが答えが「分からない」「忘れた」
・新人は戦力としてカウントされてしまっている
(プログラム経験者は配属後OJT2週間で実務でした)

教える側の方が「入社3年目」というルールがあり、
基礎的なことがまだ身に付いていない方もいらっしゃるようで・・・。
OJTが終わる前に、「教える側<教わる側」と言う事も起こっていたようです。


その後一時的に主任にお世話になり、
多忙な方で1週間で15分教えていただける事があれば御の字のような状況でしたが、1教えて頂くだけでOJT時の30教えていただいたような充実感がありました。

>優しく叩き込みますからいつでも来て下さい(笑)
是非私も(笑)

にゃん太郎

forsetiさん、ありがとうございます。

> 該当するであろう25歳SEです(笑)

 ああ、うらやましいです(笑)エンジニアとしてはこれからが円熟期なのでガンガン進んで欲しいと思います。

 おっしゃる通り、現実はなかなか教育は難しくてどちらかと言えばforsetiさんの書いてくれたような事の方が多いと思います。会社の考えや方針もあるのですが、先々まで息の長いエンジニアに育てるには最初の半年から1年が肝心だと思ってます。ですから私の場合は少し無理しても頑張ろうとやってます。

> OJTが終わる前に、「教える側<教わる側」と言う事も起こっていたようです。

 こうなるとどっちにも不幸なんですよね。スキルという意味では先輩の方が上とは限らないので仕方ないと思いますが、教育はやはりそれなりの経験とスキルが必要だと思います。後輩から見て少なくとも「こんな人(エンジニア)になりたい」と思われないとね。

> 是非私も(笑)

 まとめて叩き込むので、かかってきなさい(笑)

Mishia

はじめまして。

私OAインストラクターから、SEに転職し経験が3~4年。
今年30歳で、現在転職活動中です。
次回の転職活動に関する記事はぜひ読ませていただきたいと思います。

転職後の会社では研修なし、
現場で覚えなさいと!!
現場は覚えるのではなく、コピーの嵐です。
コーディングスキルが明かかに低いです。
書くことはできても、その後のリスク・影響を多角的に考えての
コーディングができないのです。
もちろん、設計書も書けず、書く機会がなく
今転職する時期になってこの4年間何していたのか・・・反省してます(笑)

業界違うところからきたせいか、リーダーのコミュニケーション能力に
すごく悩まされました。
挨拶なし、質問しにいって声をかけても、無言。
あと答え方で多かったのは
「この部分をコピーして利用してみて」と
「ぐぐって」でしょうか。
このような状態が続き、精神的に苦労しました。
私の知識が低い間は、キャッチボールができないため、
必死で別の話題を考え会話のチャンス作りを心がけていました。
この業界では普通のことだと思っていましたが、
この記事を読んで考えを改めました。
最初の教育が肝心なんですね。

次の新しい職場では
教育の仕方を意識し、後輩の成長する姿を楽しんで見ていきたいと思います。
まずは「忍耐」ですね。

>優しく叩き込みますからいつでも来て下さい(笑)
同じく、ぜひ私もお願いします(笑)

ビガー

ビガーです。

いつもながら、ちょっと批判的な内容なので、申し訳ないですと先に謝ります。

>昔みたいに見て盗んで覚えろとか、俺の背中を見てついてこいとか言いません。
>だって、絶対について来ないし。

私に教育云々を語る資格は、まったくもってないですが、本人が腑に落ちるか落ちないかだけの問題だと思いますね。当然、言って聞かせるだけで理解できるような新人君(新人君に限らず)は超レアケースでしょう。腫れ物に触るような感覚ではなく、戦力としてみるべきだと思います。
実装や設計スキルなんてものは、自分は戦力となっているというビジネスマインドの上に築かれてこそ、相乗的によくなっていくものだと思います。

文章を拝読していて、そういう意味でちょっと気になったのは、にゃん太郎さんは、もう少し教えられる側の人をリスペクトする(自分と対等の関係(立ち位置ではない)にあると考える)必要があるのではないかと思います。
本人は、どのような考えをもっていて(もっていないかもしれないけど)、持っている人にはもっている人なりの役割、もっていない人にはそれなりの役割を与える。
そして、期限内に成果が出せなかった場合は、再チャレンジの機会を与える代わりに自分が仕出かした責任を認識させる、チャレンジすら放棄する人は淘汰されるべきだと思います。

正直、そんなに潤沢に育成するコストってあるのか、とても疑問です。

にゃん太郎

Mishiaさん、ありがとうございます。

> 挨拶なし、質問しにいって声をかけても、無言。
> あと答え方で多かったのは
> 「この部分をコピーして利用してみて」と
> 「ぐぐって」でしょうか。

 ここまで揃うと逆にすげーと感じますが、大なり小なりこういう人は多いと思います。リーダーに限りませんが、挨拶すら出来ないのはもはやエンジニアの前に社会人としてどうかなというレベルなんですが、こういう事が問題にならない事がこの業界の問題点の1つだと私は考えています。

 確かに仕事って現場で覚えるものですし、それ自体は正解なので特に異論はありません。でも、外から入って来た人に対してスキルを考慮してどうするかを考えるのは上司の責任だと思います。何のベースも持たない人を現場で1人前にするには実は非常に難しく、仕事が出来るようになってもそれは促成栽培に近いので、その現場でしか通用しないエンジニアだけが出来上がります。そのツケはいつか出てきます。

 上司に恵まれなかったら、上司以外の人から攻略するのもお勧めです。年下でも。

 転職活動、大変だと思いますが頑張ってください。

にゃん太郎

ビガーさん、ありがとうございます。

> いつもながら、ちょっと批判的な内容なので、申し訳ないですと先に謝ります。

 いや、個人的には関係ないテーマでの批判や中傷以外は良いと思っていますし、謝る必要もないと思ってます。前にも書きましたが、それがイヤ(俺の言う事を聞け!と考えていれば)コメント欄を開放しませんし。私もみんなが自分の意見に同意するとも思っていません。

 教育というのはどこからどのように攻めるか、と私は考えています。そういう意味では私のコラムの事柄を100%全員に行って全員戦力になるかと言えばそういう事もないでしょう。ビガーさんのおっしゃる事も私(のコラム)とやや違っても正論だと思います。逆に状況によっては早めに戦力にした方がいいでしょうね。ただ、最初からそれありき、では考えていません。あまり期待をかけても潰れてしまうので(そういう子を何人も見てきました)そこは気配りするようにしています。

 私のコラムのように考えるきっかけになったのは、中堅エンジニアだったときに上司からも後輩からも新人教育についての悩みを相談された事です。新人の多くは自分の考えていた事とのギャップに悩んでいます。私やビガーさんからすればそれは当然かも知れませんが、少なくともそのギャップを埋めてやる努力はしないとダメだと実感しました。

> 正直、そんなに潤沢に育成するコストってあるのか、とても疑問です。

 今を見ればそうでしょう。ただ、会社から見ると未経験者を正社員として雇うにはそれだけでコストなので、潤沢ではないにしろ育成のコストは必要です。そこは経営戦略と同じで今後数年間を見据えて行う必要があります。私は(出来るか出来ないかは別にして)採算分岐点を1年後に見据えます。辞めるリスクもあるのですが、育てるメリットもあると思います。

 会社として新人を育成するコストが取れないから、今の就職難になっている気がしますが、私はこれに関しては違うと思っています。少しずつでも新しい血を入れていかないと会社の未来が危ういでしょう。急に厳しくなったので慌てていますが、こういう時ほど人材育成にはチャンスなので経営者は考えるべきだと思ってます。まぁ、求人出したからと言って人が来るかは別問題ですが。

ビガー

にゃん太郎さん、レスありがとうございます。

なるほど、私の考えでは淘汰される人が多すぎるのかもしれませんね。
私が社員時代に新人や2年目合わせて5名くらい(私も2年目だったような)のチームをリーディングしたとき、少なくとも仕事の進捗や成果の面では、過度な負荷はかけなかった「つもり」でしたが、たぶんかけていたのかもしれません。
ヒトより、プロジェクトを成功させることにやっぱり目がいっていたのかと。

>新人の多くは自分の考えていた事とのギャップに悩んでいます。
ギャップの面でいくと、私自身も、上司の情報処理についての知識やスキルがあまりにも乏しく、こんなテキトウな仕事してて大丈夫なの?と感じる場面は数多くあり、反面教師だらけというのも、ある意味勉強になりました。
とはいっても、諸先輩方も実務面以外は素晴らしい個性(ナンパテクやらギャンブルの立ち回りのうまさなど)をお持ちで、僕ちゃんな私は、刺激的で楽しい面も多くありました。

一般論では、どういうギャップに苦しむのか、想像力が乏しく。。わからない。。。

mikeneko

はじめまして。

23歳PGの新人まっしぐらです。

>新人の多くは自分の考えていた事とのギャップに悩んでいます。

>一般論では、どういうギャップに苦しむのか、想像力が乏しく。。わからない。。。

私のギャップでよろしければ^^;
評価対象のギャップでしょうか。コミュニケーション>ドキュメント>コーディングスキル(私の上司の場合ですが)の順に評価されているところですね。当然、入社したてはコーディングが一番だと思ってました。ドキュメント綺麗に書けても動かないと意味ないんじゃ・・?とか。当然、動けるものを作れる人が一番だと。コミュニケーションは社内の空気に流される程度で十分かな~ぐらいに(笑
最近は調教されつつあります。

上司や客先との意思疎通、確認がやはり一番大事ですね。それを確認、確定できるドキュメントが2番手、それがあってこそのコーディングだと。
1年目じゃ気づかなかったです。2年目入ってからわかりました。

>優しく叩き込みますからいつでも来て下さい(笑)
いや、本当によろしくお願いします^^

にゃん太郎

ビガーさん、ありがとうございます。

 コメントだけでの推測ですが(間違っていたらごめんなさい)ビガーさんは優秀な新人エンジニアだったようですから、あまり(一般的な)ギャップでは苦労しなかったのかも知れません。嫌味じゃなくて、私も時々そういうエンジニアを見かけるのでそういう人は逆に実務に組み入れても問題ないと思います。

 私自身もどちらかと言えばビガーさんと同じような悩みの方が多く、上司の情報処理スキルや管理能力について疑問を持ち、かなり攻撃した記憶があります(第1話に少し書きました)この業界はITスキルが必要なのですが、ITスキルだけではどうにもなりません。新人で特にプログラム好きな子がプログラマで入ってくるとまず、仕事はプログラミングばかりではない事に違和感を覚えるそうです。逆にあまりコンピューターを触った事がない人はプログラマはコンピューターに向かってひたすらプログラムするイメージがあり、最初にドキュメント書いたり仕事の手伝いをしていると段々プログラマとしてやって行けるのか不安になるそうです。

 出来ない人を「出来ない」と決めつけてバッサリする事は非常に簡単です(本当にするかどうかは別として)教育とは出来る人をより伸ばし、出来ない人を出来るように引き上げる事だと考えています。やり方に関しては人や職場でそれぞれでしょう。私の方法もその1つだと考えています。ただ、自分の新人時代やエンジニアとして乗ってきた頃(30代前半)と比較して考える事だけはしないようにしています。自分は自分であり、決して他人は自分と同じ事は出来ないと思います。最初の教育に格差をあまり付けると出来る人は伸びて行くでしょうが、そうでない人は取り残されてしまいます。さすがに経験が数年あって取り残されるのは自己責任だと思いますが、最初ぐらいは出来ない人に合わせてよーいドンの方がのちのちのプロジェクト運営を考えるとうまく行くと(私は)考えています。

 心配しなくても能力のある人は自分で伸びていきます。ダメなら自分からドロップアウトしてしまいます。そう考えると技術的なスキルよりは全体的なスキルをバランス良く最初に教えておけば職業エンジニアとしてのレベルは割合平均化されて行くのではと思います(ただ、統計は取った事ありませんが)

 自分が新人時代に出来た事が他の人も出来るとは限らない事だけはいつも注意しています。

にゃん太郎

mikenekoさん、ありがとうございます。

> 23歳PGの新人まっしぐらです。

 良くも悪くも無茶出来るのは新人時代だけなので今のうちにいろいろな失敗を経験して下さい(笑)私もいろいろやって成長しました(たぶん)

 だいたいmikenekoさんのような悩みというかギャップがあるように思います。プログラマという職業のイメージがそう感じさせるのだと思いますが、私の後輩(部下)でも「自分の考えていた仕事とは違う」と言って辞めていった子がたくさんいます。

> 1年目じゃ気づかなかったです。2年目入ってからわかりました。

 仕事なんて得てしてそういうものだと思います。最初に言われてピンと来なくても反復していくうちに「ああ、そういう事か」とわかるでしょう、普通は。2年目で分かれば優秀だと思います。教える側としてはいつか分かってくれるだろうと期待?しながら教えますが、残念ながら分かってくれない人もいます。長年やっていると「そういうもんだな」と変に達観してしまいます。

 そうは言っても、若いエンジニアと仕事して悩んでいるのを見ると何とかしてあげたいと思いますよ。おっさんばっかりだとそういう刺激も少なくて老け込みそうです。

ビガー

ビガーです。

たびたび、すみません。mikenekoさん、にゃん太郎さんありがとうございます。

自分が新人や2年目のとき、まったくもってダメダメでした。やっぱり設計・実装スキルへのフォーカス度合いが強かったです。当時は、そもそもその機能についての必要性や位置づけを合意したり、ネゴするほど力がなかったので、要求の変更に対するベストな設計・実装を追及していました。オブジェクト指向とかウンヌンカンヌン。

即戦力なヒトばかり相手にしていると、そういう人間らしい?(若手がどのように自分の中で思考を巡らせているのかを汲み取る)感情が薄れてくるのは、如何なものかと考えさせられました。

お邪魔しました。

oumi

今回も「うんうん、そうだそうだ」とほほ笑みながら読ませていただきました。

「教育」と「躾」との差異がもう少しはっきりしていると、読み手が勘違いする
する事も少なくなるのかな、なんて思いました。

kuma

にゃん太郎さん

読みごたえありました。
思考錯誤の後が読みとれ、にゃん太郎さんが、教育を大切しているのがわかりました。日本語の乱れと最近の若者は、いつの時代も変わらず言われている事ですから
仕方ないと思っています。今、与えられた環境でせいいっぱいやる(教育する)しかないと。


私は、山本五十六の言葉にはつくづく感心させられ、信条にしたいと思っています。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず

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