BUG021 - トランプ氏を支持したシリコンバレーの人々
4年に一度の大統領選が波乱の末に終わりました。結果はご存知の通り、州別の結果ではNYなどの東部、そしてカリフォルニア州を含む西部がクリントン氏の青に、そしてその間に挟まれた多くの内陸の州でトランプ氏の赤に色分けされ、トランプ氏の勝利となりました。
大統領選はそれぞれの州で勝った候補がその州の代議員を総取りするシステムです。カリフォルニア州の代議員は全米最大の55人です。11月8日火曜日の選挙当日の夜、私はネットをしながらTVの選挙速報を横目で見ていました。カリフォルニア州の開票が始まった西部時間午後8時の直後、予想通りクリントン候補に当確が出ました。クリントン候補はサンフランシスコ、LA、サンディエゴなどの大都市でこそ圧勝でしたが、実は車でほんの少しの郊外へ行くと逆にトランプ氏の方がより多い得票を得ている郡もあります。実際、シリコンバレー(黄色の丸あたり)を含むサンタクララ郡のような世界一意識高い人々が集う場所でさえ実にトランプ氏は2割も獲得しています。(画像はpolitico.comより)
さて、皆さんが子供のころ生まれ育った町や村を思い出してください。20年前?いやもっと前でしょうか。駅前の商店街は今と同じ風景だったでしょうか?小学校はどうなったでしょうか?シリコンバレーだといってもこの地域はたった25年ほど前までは果樹園とちらほらと住宅が広がるのどかな田園地帯でした。
それがこの25年ほどの間になんのことやら全米、いや全世界からITだのドットコムだのの企業が進出し、それと同時に世界中から移民が押し寄せる街になってしまいました。のどかな駅前は英語ではない読めない文字の看板だらけになり、昔ながらの商店街はアジア系のエスニックな香辛料の匂いが漂うレストランに占拠されてしまいました。幼なじみと共に育った住宅街は次々に高額の給与を得るアジア系の共稼ぎITエンジニアが目玉の飛び出るような価格で買い占めて、まるで終盤で大逆転されるオセロのように地域のコミュニティを維持するのが難しくなってしまいました。
子供を州立大学に行かせようにも理数系の得意なアジア系の二世や留学生に太刀打ちできず、IT企業のような高給職に就職できなければ親から独立しようにもワンルームの家賃すら払えず、泣く泣く生まれ育った地元を離れ、物価の安い他州へ就職先を求めるしかなくなってしまいました。
このような変化に納得がいかない人々は少なからずいます。本当のところは誰がどの候補にいれたかはわかりませんが、少なからず人々がこの現状に異常を感じているということは認識しておく必要がありそうです。