エンジニア、経営陣、顧客。さまざま壁にぶち当たる日々、出来事

「この人の下で働くのはムリです」

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 いろいろプロジェクトをこなしているとAチームだと思えるメンバーや最強メンバー。

 終わってから思うと、「なんだかんだ言って最高だったね」ということもあるが、仕事をしているとどうしても虫の好かない奴はいる。

 相手も人間だし、自分も人間だから、当然、お互い好き嫌いはある。でもこの人は、無理。ついていけないひどいと思った上司がいる。

■わたしには合わない

 この上司は、IT経験がゼロで営業ベースな上司だった。

 ITを知らない人が自分の上司。この配属がされた時から、この会社は終わったなとうっすら思っていた。

 プロジェクトは、あらゆる手段を使っても必ず期限通りにやる。よく言えばプロフェッショナル。

 ちょっとしたワーカホリックぶりで、休みはない。土日出てくるのは当たり前。

 朝早く出社し、夜はどうやって帰っているのか分からないぐらいまでいる。

 よく家族は何も言わないものだなと感心したことさえある。

 ただし、自分のものさしで判断するので、少しでも(彼の求めるレベルに)満たないと給料泥棒と罵り、少しでも使えそう(できそう)な人は、すりよりながら仕事を投げていた。

 評価は、自分以外みんなマイナス前提。これを知ったとき評価制度の意味のなさを嘆いたものだ。

 今だに忘れられない彼の名言がある。

 これは酔ってとか深夜とかの発言ではないことをあらかじめ断っておく。今回、その一部を紹介する。

  • 業務委託や派遣はコマ
  • 使えなければ、さっさと切ればいい
  • 壊れる奴は負け犬
  • 時間は24時間ある。朝の10時から夜0時まではキミAがやって、夜の0時から10時まではキミBがやればいい
  • 組織は新陳代謝
  • 働いている時間が多い=がんばっている(定時で帰ったりする人は努力していない人)

 こんなポリシーを持っているので、プロジェクト終了後は、ココロが壊れて撤退する人が必ず出るし、辞めていく人が多かった。

■デスマーチな暮らし

 そんな中、もともとエンジニアのコミットがなく、経営者マターで引かれたプロジェクトを持って帰ってきた。見たスケジュールは、無謀に無謀が重なっていた……。

 費用をなるべくかけずにスピード重視。よくありがちなプロジェクトでありはしたが、プロジェクトを達成するためには、初めてのことが多かった。

 今までに経験したことがない大規模開発、タイトすぎるスケジュール、参加者達の不協和音。

 無謀を絵に描いたようなプロジェクトの一員だった。

 当然、残業時間はうなぎのぼり、家に帰ることは、休憩時間みたいなものだった。

 ホテルに泊まって寝ることができればまた違うのだろうが、そんな予算は当然あるわけもなく、会社の固い床か机で寝ることになる。

 増えていくペットボトル。滋養強壮剤の空瓶。枕代わりの週刊誌。毛布代わりの新聞紙。なんとなくスポーツ新聞の方が温かみを感じた。

 テレビ番組の存在などすっかり忘れだし、薄れていく土日の感覚、曜日が分かるのは雑誌の発売日でなんとなく。すさんだ生活は1年以上続いた。周りが辞めても頑張った。

 そんなある日、進捗報告時に、上司に上から目線で吐き捨てる言葉を言われた。

 その言葉は今も忘れられない。仕事内容と自分のキャリアが描けず辞めたことはあったけど、この人の元で働くことはムリだ、と思ったのは、はじめてのことだった。ココロが折れ、働く気が失せた。

 通常であれば、次の会社を見つけて辞めるべきなのだろうが、1分1秒たりとも同じ空気を吸う我慢ができなかった。反論する気も起きなかったし、怒る気持ちにもなれなかった。

 ここにいる時間がすごくもったいなく思えたのだ。

 誤解がないように言っておくが、彼を恨んでいるわけではない。人にはそれなりの生き方、価値観があると思っている。

 彼から学んだこともそれなりにあったが、自分の暮らしを捨ててまで、仕事が楽しかったわけではなかったし、人の心を捨てて、自分の命を削ってまで、仕事を遂行したいとは思わなかった。

■退職

 正直、引き留められるかな? なんて難儀すると予測していた退職交渉はあっさり承諾された。

 再三、人事に上司との確執について質問されたが、質問をかわし続けた。もう未練も愛もないし、何人もその人の元で辞めているのに何も問題と思っていない会社は終わっていると思ったからだ(退職時に不満を言う人は、その会社にまだ愛が残っているからだと思う)。

 人事との話を終え、席につくと上司に会議室に呼ばれ、上司の例の上から目線でこう言われた。

 「ボクはキミを認めていたんだけどね。これからビジネスを教えてあげようと思ったんだよ。ボクの元で働けばもっと伸びたのに」

 これを聞いた時、内心かなり怒っていた。

 あなたのものさしで評価されても全然うれしくないし、利用してくれるユーザーから認めてもらいたい。さらに伸びるのはスキルじゃなくて髭だろ? というのをぐっと堪えて、営業スマイルでお礼だけ言った。

■風の便り

 退職して新しい職場に慣れだした頃、こんな話を聞いた。

  • その後、プロジェクト自体は2度リリースを延期し、その後もバグに悩まされたらしいが、きちんとリリースできた。しかし、順調に人が辞め続けた
  • プロジェクトはその上司をクビにするためのものだった(実は)。会社はそのために彼を異動させ、成績が悪かったら、クビをはねようと計画していた

 どちらにせよ、もうわたしには関係ないことだが、辞めた人達の影響は、後でじわりじわりとやってくるだろう。エンジニアを育てるのは時間がかかるし、業務を理解するとなるとさらに時間がかかるだろう。

 これから、どう切り返して発展させていくのかを今度は利用者側からの視点で、結末を見させてもらおうと思った。

Comment(5)

コメント

ナナシ

なんかどんどんとネガティブな内容になってきていますね。
「プロジェクト炎上に恋愛のもつれあり?」ネタはとても面白く、
今後のコラムも大変期待していたのですが残念です。

ちふ

ううむ。
私は、自分の過去の上司、プロジェクトを思い出して楽しく(!?)読ませてもらいました。
もし自分がコラムを書く立場であったとしたら、通過儀礼のように一回は書いておきたい話であると思います。

こういう内容が連発されるようだと食傷ぎみになってしまうと思いますが、別に良いのですはないでしょうか。。。

ちふ

すみません。

誤)別に良いのですはないでしょうか。
正)別に良いのではないでしょうか。

恥ずかしい。。。

demitasu

>>ナナシさん
山あり谷ありっていう事で多めに見て下さい。

>>ちふさん
ちょいと違う角度で頑張ります。

demitasu

書き方を変えて試していたのですが、ネガティブ度が目立つみたいなので
素直に元に戻します。すいません。

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