現場の理不尽を新人にどう説明するのか?
■世も末だ
ぶっちゃけ言うと、IT業界に限らず理不尽な現場は多い。仕事やってると人間腐っていくんじゃないかと思うくらいだ。しかも、でかい会社に限って激しい腐敗臭を放つ。政治問題やら社会問題が絶えないのもよく分かる。
慣れてしまえばそれが普通と思うかもしれないが、たまに新人君がドン引きしているのをご存知だろうか?話は合わせてくれるし、無茶な指示にも応えてくれる。しかし、ふとした瞬間にすごく寂しそうな顔をしていたり、呆れた顔をしている。
生活がかかっているので、会社でそういう顔は見せない。彼らも必死だから。だが、先輩方が目を逸らしたふとした瞬間に、本音がチラチラと見える。そんな瞬間、鬼塚ちひろの月光を流したら泣きそうなくらいに追い詰められている。
新人君からすれば、私たちの日常は「How do I live on such a field? こんなもののために生まれたんじゃない」な世界だと思う。さっさと狂った者が勝つ。正常な神経を持った奴から理不尽に押しつぶされていく。それが現実だ。
■新人君の目線
今働いている人に問いたい。命令はされるが意見は聞いてもらえない。無茶な業務を強いられる。これって、定義上は奴隷に近い。新人君にもそうだが、常駐のエンジニアさんもそういう扱いをよく受ける。気付かずにそんな扱いをしていないだろうか?
ついでに言うなら、食い扶持確保する代わりに精神的な支配を受ける。ただ命令に従うことばかり求められる。これって、家畜と似たようなものだ。社畜とはよくいったものだ。地獄よりはマシとは言うが、畜生といったとこだろうか。人としての尊厳は無視されているように思う。
とまぁ、多少の誇張はしているが、会社が理不尽と感じた新人君にはそう見えてしまうようだ。実際、尊敬できないような上司でも立てなければいけないし、仕事の難易度はアホみたいに高い。しかもロクに説明もしてくれない。先輩方は気付かずにそういう扱いをしてしまっている。ひどい人になると、それが正義と勘違いしている。
悪意の有無は別問題にしても、そうしないと仕事が回らないところが多い。仕事にあぶれる人がいるのに、働けば過労で倒れるヤツがいる。弱いものたちが夕暮れ、さらに弱いものを叩く。その音が響き渡れば、残業が加速していく。先輩方はしっかり無能を自覚すべきだ。
■この惨状に気付いた新人君にどう説明するか
まぁ、大学時代は「お客様」なので最大限の自由を満喫できた。しかし、就職したら途端にそんなものを取り上げられてしまう。優遇された人ほどギャップはでかい。そんな新人君の心の痛みを、社会というぬるま湯でふやけ切った先輩方が理解できるだろうか?
客観的に見て、漫才レベルの対応しかできていない。落ち込んでる人に自分たちの正当性を説いたり、根拠もない「大丈夫」を連呼する程度だ。あとは、酒で酔わせて誤魔化すくらいだろうか。いろいろな対応を見てきたが、どれも根拠が抜けている。
ちなみに、世の中の理不尽をどれだけ感じても、直接言葉で表現する人はごくわずかだ。正直に口にしたら先輩方の顰蹙を買うのを分かってるからだ。核心は絶対口にしない。それに気付かずに持論を熱く語る先輩方というのは、端から見ていて非常に痛いものだ。
こういう新人君にどう対応すればいいか。答えは簡単だ。「ようこそ理不尽な社会へ!」そう言ってあげよう。まず、新人君の一番訴えたいのは理不尽さだ。形はどうあれ、それを認めないと話は進まない。
■打ちのめされた新人君に必要なもの
理不尽な現実に打ちのめされた新人君は肯定に飢えている。考えてもみよう。上司や会社から考え方を押し付けられて、自分の意見は聞いてもらえない。否定され続けて不安になっている。浅はかな解決策なんて求めてはいない。
たかが自分一人のアドバイスが新人君の悩みを解決できると思うのは奢りだ。新人君から見れば、社長だろうとどっかのおっさん程度の認識しかない。問題を解決できるなんてこれっぽちも思ってないだろう。逆算すると、話をきいてあげるくらいしかできることがない。まずはそこからだ。
大半の人はそんな厄介な理不尽を背負いこもうとしない。組織に溶け込むために、そんな理不尽なんて無かった事にして、完全忘却してしまう。人によっては、理不尽に気付くにさえ至らない。気づく事で浮いてしまう事を直感で知っているからだ。なので考えない。
■言いたい放題言わさせて頂きました!
このコラムは理不尽に気付いてしまった新人君の立場で書いている。大きな意見の偏りを感じる人もいるだろう。実際に偏っているのだからだ。なぜそんなに偏った意見を書いたのか。それは、理不尽に気付く新人君の方が、現実を直視していたからだ。
理不尽を超えた人は、理不尽に流された人や理不尽に折れた人、理不尽に迎合した人より強い。理不尽を超えるには、まず理不尽に気付く必要がある。その一段階目をクリアした人だ。思考力や資質において期待できる。つまり、優秀な人なので、理解する必要があるということだ。
このコラムには二つ目的がある。一つ目は、こういう隠れた優秀な人材を見逃さず、資質を見出して欲しい。二つ目は、周りに理解されずに現場を去っていった新人君の代弁だ。一緒に歩むことは無かったが、力強く奮闘していることを願う。理不尽に向き合えるくらいに強くなっていることを願う。
コメント
夢夢
おおっ!このコラム面白い。実に人間を観察している。
俺は新人時代、自分の主張を聞いて理論的に意見してくれる先輩を欲して居た。
今でも新人と変わらん俺の場合、経営学などを学んで理不尽を理論的にいう事にした。
そして「それでも売り上げを下げる不合理な手段をとりたいならどうぞ」とはっきりいう事にした。
当然初めは難色を示されるが、常にその姿勢を崩さない俺に周りが折れて、今ではそんなキャラだと認識されている。実に快適だ。
会社は仲良しクラブではない、プロとして自分の意見をはっきりという姿勢を示し続けるべきだ。
自分の新人時代を思い出し、新人に相談されたときは常に理論的に対応している。
感情を一切まじえず、新人が正しいときは正しい、間違っているものは間違っていると理論的に示す。
最後は他者に対して理不尽を証明するのもまた技術力だといっている。
さか
鬼塚→鬼束
です。
oh
2015年9月 5日 (土) 09:58 の、
返信という形で書くと長くなるので、
いつかコラムのテーマに盛り込んでみたいと思います。
を首を長くして待っています。楽しみにしています。
ksiroi
「新人」の定義もなかなかに難しいところっすね。
創立ン十年の会社だったら3年居ても新人扱いだし、新卒でも重用されてしまえば新人とは言いがたい。
人ヒトの適性にも依存しそうだ。
結局のところ「信用のあるなし」が新人か否かの境目なのだろうという自己完結。
折れない人を育てるよりも、折れた人を救済する社会の仕組みを作ることの方が急務じゃないかなぁ
うちらの業界で折れた人でも、短くなった尺度で働けばいいと気付かせてやって欲しい。
身の丈に合わない仕事を抱える人は迷惑なだけだから、僕はダメな人は遠慮なくポキポキ折るよ。
折るべき人を折らずに抱え込む会社がブラック化するんじゃないか、という鶏卵論もありそうだな…
Anubis
> 夢夢 さん
コメントありがとうございます。
議論でもそうだが、単に正当性を訴えるだけでは収束はしない。
相手を認めるというプロセスが無いと、反論が否定にしか聞こえなくなる。
こういうやり取りができるエンジニアはまだ少ないと感じています。
> さか さん
てへぺろ☆
> oh さん
頂いたコメントを起点に考えた内容はコラムに盛り込んでいます。
明示的な返答はしていません。汲み取るかどうかは本人次第だと考えています。
明示的な返答をするとしたら、
コメントを引用して ohさん の名前をタイトルに入れることになります。
そうしないと、他の人にはなんだか分からない話になります。
あと、一本コラムを書いたところで ohさん は納得するでしょうか?
多分、話は収束しないと思います。それが明示的に書かない理由です。
一番納得のいく形は、ohさん 自身でコラムを書いて頂くことかと思います。
コメントを拝見する限り、コラムを書けるだけの能力はお持ちです。
納得のいく返答は、対等の立場でなければ得られにくいと思います。
いかがでしょうか?
> ksiroi さん
> 「新人」の定義もなかなかに難しいところっすね。
これに関しては、それぞれで考えてくれればいいと思う。
細かく定義したとして、当てはまるかどうかで話が本題から大きく逸れる。
>折れない人を育てるよりも、折れた人を救済する社会の仕組みを作ることの方が急務じゃないかなぁ
この意見には納得します。ただ、折れた人を救済する仕組みと、
折れた人を育てる仕組みは並行でやるべきかなと思う。救済して育てなければ、
だらけていくだけだから。
ちなみに、私は人を折ろうとは思わない。
そもそも、人の適正を勝手に判断するほど私は偉くない。
現実は、身の丈に合わない人が、保身のために能力のある人を折っている。
なので、こんなコラムを書いてみた。
oh
私のコメントは全て削除しておいてください。
狭量なところのコメントを残しておくのは、さすがに恥ずかしいです。
Anubis
>oh
だが、自分の納得のいく返答が得られないからといって、
他のコラムで掘り返すのは止して頂きたい。さすがにくどい。
このコラムはお金貰って書いてる訳でも無いし、返信の義務もありません。
そもそも、スパムに登録されてまでコメントに投稿しないでください。
私の「投稿しないでくれ」という要求を聞き入れなかったので、
あなたの要求を実行する理由はありません。恥ずかしさに悶絶していてください。
ただ、コメントで頂いた考え方自体は否定しません。
コラムなりブログなり、きちんとした形に仕上げれば
一定数の支持は得られると思います。
私のコメント欄でしか意見できないなら確かに恥ずかしい人だ。
ただ、不特定多数に意見できるのなら立派な人だ。
よく考えて頂きたい。