エンジニア目線でインストラクターの仕事についてご紹介します

IT研修インストラクターの「やりがい」とは

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 前回の投稿から、かなりの間が空いてしまいました。すみません。

 前回の内容は、IT研修インストラクターの大変さ、というテーマでしたが、「次回はやりがいについてご紹介します」と書いてから2カ月もたってしまいました。だいぶ空いてしまいましたが、今回は予告どおり「やりがい」の面についてお話ししたいと思います。

■利用者の顔が見えないプログラマ時代

 わたしのコラム全体のテーマとして「ITエンジニアの目から見た」というのがあるのですが、わたしのIT研修インストラクターとしてのやりがいは、実はわたしのエンジニア時代の経験からくるところが大きいのです。

 わたしが大学を卒業して社会人となり、プログラマとして日々業務をしていたころ、よく思っていたことがありました。それは「自分たちが作ったシステムを使っている人たちの顔が見えない」というものです。

 わたくしはWebアプリケーションの受託開発をする部署にいたのですが、イントラネット向けの業務システムなどの場合、いちプログラマが実際の利用者の様子を知ることはほとんどなかったように思います(公開系サイトの構築だと、自分自身もユーザーになりえるので、ちょっと違うところもありましたが)。少なくともわたしが最初に入社した会社では(わたしが入社直後の新入社員だったからというのも、もちろんあると思いますが)そうでした。

 ですから、結構な苦労をして自分が(その一部であっても)作ったシステムが、本当にちゃんと使われているのか、ユーザーはそのできばえに満足しているのか、などを、直接的に知る手段がありませんでした。気の利いた上司がマネージャの場合は、顧客に訪問した際にそのあたりの感想などを聞いてきて、「今回のシステムは評判が良いらしいよ」とか教えてくれたりもするのですが、それもなんとなく人づてなので、実感がいまひとつな時もあります。

 その一方で、顧客側からは連絡を受けることがよくありました。しかし、ほとんどの内容が「○○の機能がうまく動きません」「○○の動作がこちらの想定していたものと違います」「○○の反応が遅くてユーザーから不満が出ています」といった類のものばかりでした。

 開発側(わたし)からは利用者側の様子が見えず、利用者側から来る連絡事項は不具合の指摘ばかり……となると、どうしても、無意識のうちに「利用者はこのシステムに満足していないのではないか」と思えてしまうのです。

■インストラクターは受講者の反応がじかに見える

 第1回のコラムでご紹介したように、わたしは入社してほどなく、プログラマの傍らでインストラクターの業務も担当することになりました。プログラマとインストラクターの両方をするようになってみると、インストラクターの仕事はプログラマのときのそれと明らかに異なっているところがあることがすぐに分かりました。

 これも前回のコラムで少し触れましたが、インストラクターは開始から終了まで常に顧客の前に立ち、顧客の視線や評価にさらされる仕事です。それは緊張を強いられる辛い部分でもあるのですが、逆にいえば、良い評価を得られれば、それが直接受講者の反応として分かるということでもあります。

 笑顔で「ありがとうございました」と言って満足げに帰っていく受講者の姿や、わからなかったものが理解できて動くようになったときの受講者の喜びなどを見ることで、自分が良い仕事をできているのだと強い「やりがい」を感じることができます。

 また、最後にアンケートをとって内容を確認することで、受講者満足度を定量的な形で確認することもできますし、感想などで「また、機会があればこの講師の研修を受講したい」と書かれていたりすると、やはりうれしくなってしまうものです。

 もしそこに、厳しい評価や指摘が書かれていたとしても、それが納得できる合理的な指摘であれば、次回には改善し、そして改善した結果は受講者の反応によってじかに感じ取ることができる、と考えただけで、自分を動かす強いモチベーションになります。ですから、これもひとつの大きな「やりがい」となるのです。

■自分はどちらを選んだか

 なんだか、すごく偏った対比をしてしまいましたが、もちろん、ITエンジニアの仕事にも大きなやりがいはあると思いますし、わたしももっと精進してエンジニアとしての幅を広げていけば、もっと多くのやりがいに出会えたのだろうとも思います。しかし、わたしはそうなる前にIT研修インストラクターという仕事に出会ってしまった。そしてその「やりがい」にすっかり魅せられてしまったのです。あと何年か出会いが遅ければ、別の人生だったかもしれない。でも、このタイミングでこの仕事に出会ってしまったのも、それも運命というものなのでしょう。

 みなさんも、もし機会があれば(社内研修の講師とか、勉強会での発表などでもいいと思いますので)、この「やりがい」をぜひ感じ取ってみてください。

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