採用担当の立場から、エンジニアのキャリアをつぶやきます。

第2回:人事はあなたのここを見ている(1)

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 読者の皆様、こんにちは。

 某外資系ITベンダの人事部で働く久利隆太です。

 第1回はおかげさまで本当に多くの方に読んでいただきました。まさか、最初の投稿で週間アクセスランキング1位を取れるとは思っておらず、人事からの情報ってやはり気になるものなのだなぁ、と思いました。

 人は何かを達成すると、次の目標を設定したくなるもので、これを励みに次は連続1位を目指して頑張りたいと思います。コメントをいただければ、前回のようになるべく早く返したいと思いますので、今回もぜひともよろしくお願いいたします。

 さて、早速ですが今回の内容は「人事はあなたのここを見ている(1)」です。

 前回の記事を読まれた方の多くは、ふと疑問を感じたのではないかと思います。

 わたしをはじめ、エンジニアを採用している人事には、エンジニア経験のない方が多くいます。中には新卒から人事に配属され、現場経験がまったくないまま、採用を行っている人もいるくらいです(ビジネスを知る意味で、営業なり技術なりをやった方がいいと個人的には思いますが……)。

 なのに、そんな人が書類選考や面接などで、どうやってエンジニアの合否を判断するのか、と気になった人は多いのではないでしょうか。

 人事が見るポイントは書類や面接などを含めて非常に多くあるのですが、今回は特に気になる「書類」にポイントを絞ってお話をしたいと思います。

 いったい人事は書類のどこを見ているのでしょうか?

■人事だって(だから?)分からない

 書類選考に関する前提からお話ししたいと思います。

 「人事では書類を見ても細かな技術力、スキルに関しては判断できない」

 これはエンジニア出身ではないわたしに限った話ではありません。

 仮に人事が元エンジニアであっても、専門がインフラであれば、アプリケーションのことは概要しか分からないでしょうし、数年前にはエンジニアであっても、今の最先端の技術をまったく知らなかった場合においては、細かな技術力、スキルに関して判断ができないでしょう。専門が違えば、いずれにしても判断できないのです。

 ですから、実際に技術力やスキルの判断をするのは、現場のマネージャ、もしくはリーダーになります。それも採用するかどうかは、書類だけでは判断できないので、面談をして判断をする形になります。言われなくとも当たり前の話ですね。

 「餅は餅屋」ですから、その分野に関して一番よく知っている現場が判断をするのが、一番正確で、かつ迅速にできると思います。

 とはいえ、皆様の中には、人事からこのようなメールをもらったことがある方もいるかと思います。

 「慎重に審査いたしましたが、弊社の求める要件にはスキル、ご経験不足と判断し、今回はお見送りとさせていただきたいと思います」

 こういった内容の連絡です(現場に回る前に、人事で落とされたと思われるもの)。

 「何だよ、人事だって書類で技術やスキルを見ているだろ!」

と思う方がいても当然だと思います。しかし、細かな部分については分からずとも、技術やスキルは人事でもチェックをしており、全部を現場任せにしているわけではないのです。

■人事が見るポイント

 では、人事はいったいどこを見ているのでしょう。

 答えは至ってシンプルで、皆様も唖然としてしまうような内容です。

 募集要項に掲載されている内容と照らし合わせて、合否を判断しています。

 その中でも、特に[技術領域][業務知識][マネジメント経験]の3つに関して、じっくりと書類を見るようにしています。

 具体的な例を挙げてご説明します。

 例えば、某大手都銀向けの勘定系プロジェクトを担当するSEを募集していていたとします。そして、今回求める要件として、下記の3つがあったとします。

 [募集要件]

  • オープン系言語の開発経験3年以上[技術領域]
  • 銀行、証券等の金融系プロジェクトの業務経験[業務知識]
  • 2~3名程度のリーダー経験[マネジメント経験]

 もちろんこの求人には、募集背景や求める人材像などもあると思いますが、まずは3つのポイントで書類を見ていく形になります。

 [技術領域]においては、オープン系言語の経験があるかどうかを見ていきます。JavaやC++などの技術力がどのくらいあるのかではなく、ポイントは求める技術領域の経験があるかどうかです。今回はたまたま言語ですが、これがDB、OS、ツール、製品名などもキーワードになることがあります。

 [業務知識]においては、金融系プロジェクトといっても幅広いので、まず銀行をやっているかどうか、その中でも勘定系をやっているのか、情報系などをやっているのか、そして金融といっても、証券なのか、それとも生保、損保なのかを見ていきます。実際に金融のプロジェクトにアサインされていても、金融業務と関係ないプロジェクトに関わっている場合もあるので注意深く見ていきます。

 [マネジメント経験]においては、実際にどのくらいの人数をマネジメントしているのか、そのプロジェクトではどこの業務を担当しているのかを見ていきます。また、リーダーとしての経験年数はどのくらいかも見ていきます。

 ですから例えば、下記のようなご経験をお持ちである優秀な方が応募をされてきたとしても、募集要件に合わず人事から書類選考でお見送りにするケースが出てきます。

  • COBOL、PL/1の開発経験のみ5年以上ある方
  • 金融機関ではなく、官公庁系のプロジェクトの経験が豊富にある方
  • SE、リーダーとしての経験はなく、PGとして素晴らしい実績をあげていた方 

 この例は極端かもしれませんが、現実的な問題として、要件を満たしていない応募が非常に多いです。開発経験が不足している、もしくはサブリーダーとしての経験しかない、といった方の応募であれば、ポテンシャルを加味して選考をすることもありますが、要件に合っておらず、「やったことありませんが、すぐにできる自信があります」と言われる方には、人事としても申し訳なくお見送りにするケースが多いのです。

■まとめ

 人事が書類を見ているポイントについてご理解いただけたでしょうか。

 人事が技術の分かる人であっても、分からない人であっても、細かな技術力やスキルは判断できないのです。手元にある募集要項と照らし合わせて、送られてきた書類を並べて、書類選考を行っていきます(会社によっては、ツールを使って機械的にキーワードを拾って選考しているようですが……)。

 ですから、応募をする際には、開発言語、環境、プロジェクト規模、顧客名、プロジェクト内容を記載することを忘れず、募集要項に即した書類にすることを大前提としてもらえればと思います。

 そして、つい使いがちですが、エンジニア同士だけで通じる会話もNGです。「○○の技術があるから、△△の技術はすぐに習得できる」と思っていても、その○○の技術の偉大さが書類を見る人が分からなければ、「△△の知らない技術者」として見送りになってしまうかもしれないのです。

 次回は、面接についてのポイントをお伝えしたいと思います。

 いかがだったでしょうか。

Comment(29)

コメント

インドリ

非常に興味深い内容の記事ですね。
久利さんの方法は合理的ですが、この方法よりも先に一歩進めないといけないと思います。
というのもこの方法では限定的なスキルを見すぎて、つぶしが利かない技術者ばかりを雇うことになり、会社の負債が増える事になるからです。
例えば、VBのプロジェクトがあって、この方法で採用したとして、雇った人がVBしか使えず、他の言語の適正がなかった場合はどうするのでしょうか?
情報処理技術というものは、その様な限定的なスキルだけで見たら、変化が早くて対応できません。
もっと根源的にスキルを見定める必要があると思います。
ではどうすればいいのかと申しますと、採用側も情報処理技術を学び続ける事です。
元をただせば、プロたるもの常に鍛えて当たり前であって、採用側が学んでいないではしゃれにならないと思います。
あと、会社で教育を一切しない事を前提にしていますので、この様な方法では会社の準固定費を増やすだけの結果になります。
これは余談ですが、技術空洞化の理由の一つを見たと感じました。

Show

私はそうは思いません。
この興味深い投稿の内容は非常に的を得ています。
これ以上つっこんだ技術的な内容の面接は現場に任せ、このスキルを持つ人が本当に現場に即したものであるかを会社としての観点から検証するのが人事の仕事ではないでしょうか。
自分を鍛える前に、何を鍛えたら良いのか見極めることも大切でしょう。

インドリ

本当にそうですか?
私は会計課出身なので、給与がどれだけ会社を圧迫するのか知っています。
この記事を読む限り、現場の人も技術の流れについて行っていないようなので、無駄な人件費が会社を圧迫しているように見えます。
もし仮に情報部がしっかりしていれば、人事部をサポートする事が出来るはずであり、もっと適切に技術力を評価できているはずです。
なお無駄な人件費というのは、売上に直結しない金額です。
分かりやすい例がCOBOLerです。
彼らは固定費を増やし粗利を減らし続ける厄介な存在です。

三年寝太郎

新卒で人事をずっと続けていたら、どんな分野でも仕事の詳細は知らなくて当然なんでしょうけど、その「新卒で人事に配属」ってのが、実は混乱の元なんでしょうね。
技術的な知識を身に付けるには、本を読んだ程度では殆ど役に多々ないでしょう。
単語ぐらいはわかっても、何が重要なのかはわからない。
実際には現場でやってない限りかなり難しい。
でも、技術職の経験者でも、ある程度やってみて自分が向いてないと思ったり、生活パターンを変えたいと行った理由から、他の職種を探す人も少なくないはずです。そういう、技術の現場での経験がありながら、違う職種をある人を採用担当として雇うのも一つの手だと思います。
とはいっても、新卒で人事でも、長くやってれば、書類や面接だけでも、人を見抜く技術がそれなりに身に付くものでしょう。

今、企業が抱えてる最大の問題は、人を育てる力が無いに等しい事でしょう。
育てられないから仕事を任せられる人がいない。だから人事に負担がかかる。というのが真相ではないでしょうか。

話は変わりますが、海外に行くと、治安の良い国、悪い国が凄くよくわかりますが、その差は教育の行き届いてるいてるかが大きいことがわかります。
教育が行き届いてない国は生産効率も悪く、貧困も激しく、犯罪も多い。
つまり、安全で快適に生活するためのコストが非常に高くなります。
それは会社も同じだと思います。
会社で一切教育しないことが前提の企業は、まずもって人材確保、そして最も重要な定着が難しいでしょうね。
そして、それだけで高コスト体質(それも特に長期的な視点で見た場合に)ということです。
また、技術空洞化の根源は、まったく言葉の通りで、社内に技術を残さず、他のとこから借りてきて仕事をしているからです。
つまり、技術は周辺、借りてきた人のところにあって、借りていた側には無いのですから。技術とは、仕事を進める上では活字や装置ではなく、実際は間違いなく「人」です。
実務的、つまりもっとも技術的な部分は協力会社や派遣に依存して、社員にはその借りてきた人を「美味く(上手くでななくて)」使うことばかり経験させている会社が多い様に感じます。
そんな会社に技術が残るはずも無いし、技術の空洞化が進んでいるなら、少なからずそういう面があるはずです。

人事は、近年短期的な利益を追及する傾向の強い企業の中にあって、殆ど唯一、長期的な視点で会社の成長を考えなければ成らない部署ですが、人が育たず、また定着しないから採用を繰り返さなければ成らないし、そのために時間を裂かれて居るから、教育や社内の状況を観察する余裕も持てない。
そのために実質的に長期の展望ももてなくなる。。。。

考えるとキリが無いのでこの辺にしておきますが、

最後に一言、大変でしょうが、がんばってください。
(なんて、おこがましいですね。失礼しました。)

どうもこんばんは。20年近く、IT関連の仕事をしてきたのですが、そのような判断基準で人を選んでいたとするならば、キャリアチェンジをしたい人間は、経験がないとされて、落とされ、祈られ続けるわけでして、応募者の将来性、可能性に賭けてみる、といった採用がなされず、スキルを持つ人はますます富み、スキルに恵まれなかった人は永遠に採用されないことになりますね。

そのような採用は、誰のためにもなりません。格差社会の現実は、こんなくだらない原因だったとは……。

うちのコラムを覗きに来てください。いかに採用されることで苦労させられているか。少なくとも、あなた方よりは、勉強しているつもりです。

久利隆太

>インドリさん

採用担当者が学び続けることは強く同意します。
そして、もっと採用手法は先へ進むべきとも考えてます。

ただ、今回はあくまでも書類選考です。
適性やコンピテンシー等は面接で判断します。

そして、例えばVBのプロジェクトですが、Java,C++だったら
だめなのかというと、もちろんそんなこともありません。

特定のスキルだけをみて、将来使えないエンジニアを増やさないため、
人事、特に採用担当が存在しているのです。

久利隆太

>showさん

厳しいコメントが多い中、ありがとうございます。

現場では現場にしか見れないところ、
人事には人事でしか見れないところを見ていきます。

次回は面接なので、そちらも楽しみにして下さい。

久利隆太

>三年寝太郎さん

元エンジニアの方が、採用担当になることがよくありますが、
周りの人事人脈を見ても、大抵は続かない傾向があります。

次回以降のコラムでも書こうと思いますが、元エンジニアがいきるのは
最初の数年で、それ以降は人事としての役割と仕事を意識しないと
いつまでも現場の感覚で見てしまいます。
技術が進めば難しくなってしまうのは、コラムのとおりです。

最近のアジアは特に教育に熱心ですね。
今の日本企業の多くは、人材教育に真摯に取り組んでいるとは言い難い
現実があると私も思います。

久利隆太

>田所耕三さん

おっしゃっていることは確かにその通りだと思います。
ただ、1つのポジションに複数の応募者が来た場合にはいかがでしょうか?

企業が成長していく源泉は、人材です。
優秀な人材がJoinしてくれることは、会社の成長の加速度はぐんぐん上がります。

キャリアチェンジをしたいと思うのには理由があると思いますが、
それでも採用してもらえるように、社内外において市場トレンドや技術動向を
つかみながら、誰よりも早く動いていけば十分に可能性があります。

今から6年以上も前ですが、元々ITとは縁がなかった人が、Javaの将来性を
信じてキャリアチェンジをはかり、今や一流のプロジェクトマネージャーに
なっているケースは実際に見てきました。

ビガー

はじめまして、ビガーと申します。

非常に興味深く拝読いたしました。

「書類選考」の位置付けが最低限のフルイと割り切るのはありだとは思います。
なぜならば文章で自身のスキルをアピールできないスキルはその程度のスキル
でしかないと考えるためです。
しかしながら、技術に関するアピール力があっても今回のコラムのような基準では
採用側にもリスクがありますよね。
なので、ココは人事が見ます、ココは現場が見ます的なフォーマットの書類を
提示するとか、やっぱり技術に関する理解を深めることは必要だと思います。

採用担当の方ってアピール力のない人のフルイが主な仕事なのでしょうけど、
フルイの方法は日々考えていかないと現場のマネージャだけで事足りることに
なりませんかね?

久利隆太

>ビガーさん

実際に表に出ている募集要項のほかに、
社内のみで使う募集要項、つまり採用基準を持っています。

例えば、
オープン言語と書いておいて、JavaはOkだが、C++はNGだとか、
WindowsはOKでも、UNIXかLINUXの経験がないとダメとか。

日々現場のマネージャーと打ち合わせをして基準を決めています。

トレンドをつかまえて、先に動く……なるほど、わかりました。

ただ、名前を間違えるのは、社会人としてどうよ、という気がします。

田所耕三じゃなくて、田所稲造(HN)です。非常にベーシックな部分で、人間を軽く見ている気がしましたよ。

久利隆太

>田所稲造さん

申し訳ありません。
お名前を間違ってしまいました。
以後ないように気を付けます。

朝早くからコメントありがとうございます。

ビガー

ビガーです。

>社内のみで使う募集要項、つまり採用基準を持っています。
これって実際役に立ってるんですか?役に立っていないのでは?
日々現場のマネージャと打合せしなければならないような状態ではね。

このあたりを標準化することには相当意味がありますが、結局現場のニーズ
マターでしょうから人事ができるとは到底思えません。
あなた方(人事)の価値って何なんですかね?
※名前すら覚えられないでどこに価値があるのか??
ないとすれば淘汰されるだけですよ。

久利隆太

>ビガーさん

今回はあくまでも書類選考です。

人事は書類選考と面接だけが仕事ではありません。
まずはその募集からしなければならないのですが、
どうすれば、優秀なキャリアを持った方に見てもらえるか、
そして、どれだけ少ない応募者で採用するかもポイントです。

書類選考においては、事前の打ち合わせをすることでレベル感をはかり、
合否を決めていきますが、昨今のような経済情勢だと現場のニーズも
日々変わるため、それにあわせた基準策定が必要になります。

ビガー

ビガーです。

>人事は書類選考と面接だけが仕事ではありません。
それは当然でしょう。人事の主たる業務はどのようにしてダメな人材を
フルイにかけ、よい人材を残すかでしょうけど、このコラムやコメントを
拝見する限り、それらが高いレベルでできているとは思えません。

しかも人事はココを見ているなんてエンジニアを見下したようなタイトルが
鼻につくんですよね。あなた方自身の価値は何だとお考えですか?

そもそも人事とか総務の方々の仕事は標準化してしまえばアルバイトでも
十分こなせる代物ではないかと推測しています。雑用以外に何かあるんですか?

煽ってしまって申し訳ありませんが、参考に教えて下さい。

三年寝太郎

こんばんは。

>元エンジニアの方が、採用担当になることがよくありますが、
>周りの人事人脈を見ても、大抵は続かない傾向があります。

>次回以降のコラムでも書こうと思いますが、元エンジニアがいきるのは
>最初の数年で、それ以降は人事としての役割と仕事を意識しないと
>いつまでも現場の感覚で見てしまいます。
>技術が進めば難しくなってしまうのは、コラムのとおりです。

これ、結局は、教育(成長)や仕事を教える(覚える)という部分で、個人を突き放していることが、要因ではないですかね。
チームや組織の一員ニナル条件は、会社に利益をもたらす機能の力があるかどうか。それのみに注目してる。という事のように思います。

まあ、それもありなんでしょうが、願望としては多様性や可能性、将来性を求めながら、実質的にはさまざまな保守(保身)的な要因も重なって、自分達が知ってる実績、つまり、画一的で安定的な過去の成果を元に人を選んでる。
ということに成らないでしょうか。
となると、会社の中で将来を考える部署というのは、殆どの会社には残念ながら存在しない。。。予想通りではあるんですが、そういうことになるのかな?。。。
ちょっと辛いですがそう思います。

現実として、人事が見ている点はここですよ。というのは判りましたが、それが本当に良いのか?
組織にとって、またその組織を内包してる社会にとって。そこは非常に疑問に感じます。
まあ、経験してみなければその辛さも判らないので、責めるつもりではないのですし、大方の間接部門がそうであるように、業務内容が部門の成果としても個人の成果しても、上手く評価できない部分でもあるので、いつも厳しい立場に立たされてることが多い様ですね。

間接部門の大半は、人間の体で言えば自律神経や免疫システムのような、恒常性を保つための機能に加えて、成長を促す機能も持ち合わせている、社内にあるコンサルという役回りではないかと個人的には思っています。問題が起こらないようにするのが役割なのだから、評価が難しいのは無理も無いかもしれませんが。
それにしても、上手く機能してるところは余りなさそうです。

しかしまあ、ちょっと例えは悪いですが、偏食は肉体にとってはリスクだし、偏った情報は知性にとってのリスクになりますから、それと同じく、似たような価値観、似たようなスキルの人ばかりで固めてしまうのは、組織にとって、成長を阻害するリスクになってるのでは?
こんなこと私にいわれなくても判ってらっしゃるのでしょうけど。

それにしても、恐ろしくリスクの高い金融商品だとか、不適切に価格の上がった商品にはありったけの金をつぎ込めるのに、将来を見据えた人への投資はできないばかりか、搾取に走ったり、都合が悪くなると殆ど身一つで寒空の元に放り出す。
それって、人より金が大事ってことですよね。
人事より金事ですかね。それが今の常識なのかもしれませんが。なんだか悲しい話ですわ。

久利隆太

>ビガーさん

まず、エンジニアを見下したようなタイトルが鼻についてしまった
ことに対して、お詫びをさせて下さい。
今回は(1)ということでコラムを書きましたが、次回以降は変更させて
頂きたいと思います。

ちなみに、人事、総務の仕事はアルバイトでもこなせるとのことですが、
確かにその点は一部においてあると思います。

※人事や総務の仕事を雑用とお考えのようですが、ここには人事や総務の方も
 見に来ていると思いますので、私に対しては構いませんが、スペシャリティ
 の高い方もおりますので、その辺は御理解いただけると幸いです。


そして、人事、特に採用担当の仕事ですが、応募してくる方の中から
必ず内定を出せる方が来るかというとそんなことはないですし、内定を出せば
来てくれるわけではありません。

経営層と現場のニーズを把握し、それに基づいた採用計画を練り、
その採用計画を成功させるために、様々なマーケティングプランを練ります。
その上で、選考に入るので、一番重要なのはその前の段階です。

久利隆太

>三年寝太郎さん

人材教育については、正直なところ、この経済情勢において
またなおざりになりつつなっています。
金融、不動産には莫大な投資をするのに、人材に対しては投資が
できていないのは仰るとおりです。

人事は、経営層と現場をつなぐ潤滑油ですから、どちらにも味方ですが、
お互いのために敵対することも、そして、お互いから人事は敵とみなされる
こともあります。

それでも、経営層の長期的、マクロな視点と、現場の思いをうまく結び
つけることが大切ですから、間に立つ苦しみも味わいます。

日本猫

書類選考における人事(人材のプロフェッショナル)の仕事は、
書かれている経歴から、書かれていない(数値で表しにくい)、
でも現場には必要な能力をいかに読み取るかではないでしょうか?
書かれている経歴が条件とマッチするか判断するだけなら、
いまどきの小学生にだってできますよね(苦笑)

たとえば上記例でいうと、現場がマネジメントを重視しているなら
業界知識さえあればぶっちゃけ言語経験なんて他の分野を経験してれば
ある程度は応用が効きます。マネージャーがプログラミングすることなんて
ほとんどないですし。

またマネジメントの経験は長くても問題解決能力のない人より、
マネジメントの経験はなくても、SEやPGとしていろんな問題に
対処してきた経験のある方のほうが現場としては有益だったりもします。

ギスギスしている現場なら、多少経験は浅くとも潤滑油となり得る
コミュニケーション能力を持った方の方がいい場合もあります。

そういう絶妙なところを判断するのがプロの仕事では?

仮に条件にぴったりの方がおられたとして、逆に会社はその方に
何をリターンしてあげられるのでしょうか? 報酬? 経験?(笑)
下手すると応募者にとっては、単に同じ仕事を
環境変えてやるだけになってしまいますよね。
同じことを繰り返すだけでは人間は成長しませんし、
せっかく転職であがっているモチベーションも長く続かないと思います。

ブログ主さんのやり方で、現場の人材獲得満足度って
実際どれくらいなのでしょうか?
(もしかして検証してなかったり・・・はしませんよね、さすがに)

日本はどうしても経験を重視したがる傾向にあるようですが、
経験=能力ではありません。
経験を最重視するということは、言い換えれば人事に
能力を読み取る能力がないということでは。。。

suzuki

はじめまして。
人事の意見はあまり見聞きする機会がないので、大変参考になります。

書類選考時には、やはり実務経験がとくに重要な要素になるのだと受け取りました。
組み込み系の技術者がWEB系に転職したくても、チャンスがなかなか得られないのはこれが大きな理由だと考えてます。
将来を見越して独学で技術を磨いても、実務で扱う機会が得られなかったためにふるい落とされてしまうのは、割り切れないものです。

ここで思ったのですが、久利さんのおっしゃた「Javaの将来性を信じてキャリアチェンジをはかった、元々ITと縁のない人」は、なぜ書類選考を通ったのでしょうか。
未経験者可の募集でも、他に経験者が応募していればそちらを優先しますよね?
人柄も技術力も判断し難い書類選考を、実務経験の足りない人間が通るのはどのような場合なのでしょう。
他に応募者が居なかったとか採用担当者の勘とか、最終的には運が大事となるかもしれませんが、それ以外にあるならば採用担当者としての意見をお聞かせ願いたいです。

三年寝太郎

私の会社も、経営会議後の通知で、来年度は教育費を殆どすべて削減するとのことでした。あー、やっちゃったね~という感じです。
「この危機を乗り越えるために、しっかり足元を見つめて確実に進んでいきましょう。」と言いたいのも判りますし、中小企業では常識で考えればそれしか出来ないのかもしれませんけど。。。

でも、誰もが嵐を避けてうつむいたり座り込んだりしてる時は、意識するまでもなく足元は見えるでしょう。
本来足元を見なきゃいけないのは自分の立っているところがわからなくなるぐらい浮かれてる様な状態、つまりバブルに踊ってるときなんだと思いますがね。
(大体、そのツケがまわってきたのが、今の極悪な状況なわけだし)

調子の良いときは将来の展望を語る人が多いですけど、遠くの話なんかわざわざしなくたって皆遠くが見えるのにね。
なにしろ地に足が着かないて言うぐらいですから、宙に浮いてるんだろうし。

で、今は残念ながら教育に対しては殆どエネルギーを注がれてませんね。
それも、メタボな体が普通の健康体に戻るまでは、贅沢をせずカロリーを抑え、、、までは良いのですが、筋トレもウォーキングもせず、ただ摂取量を減らすだけ。
そのうえ本も読まず、勉強もせず、新しいことは何もせず・・・となったら、不況を脱した時に競争に勝ち残る体力や知力は十分なのか???
まあ、条件はどこも同じ様な物だから、余り変わらないのかもしれませんけどね。

私は、人事の仕事はしたことがありませんが、個人的にはもっといろんな種をまいて欲しいと思ってますし、どんな種をまくかも、ちゃんと考えて欲しいですね。
結局、会社の将来を作るのは人なんですよ。それを考えて何かが出来るのは、実は人事しかいないんじゃないかと思ってます。経営者なんて何かあるたびにコロコロ変わるものだし、大方が短期的な成果を求められているわけだから、自分がやってる間のことだけ考えててもおかしくないんですから。

久利隆太

>日本猫さん

おっしゃる通りだと思います。
書かれていない経歴から読み取ることは非常に大事ですし、
それに関してはもちろん私も見ています。

今回はあくまでもオーソドックスなところで、それを基準としながら
例として挙げて頂いたようなことを現場とつめていきます。

ですから、採用が本格的に進んでいるときには現場のマネージャーの
常にそばにいることが多いです。

久利隆太

>suzukiさん

未経験者が通るポイントはいくつかあるのですが、
キャリアチェンジを希望するときに、現給与と同程度を希望したり、
いきなり大手、人気企業を狙う方が多くいます。
そうなると、経験者を優先してしまうのは仕方ないと思います。

例にあげた方ですが、今の会社に入る前は典型的なブラックな会社でしたが、
未経験でも経験させてくれる点にひかれ、2年と期限を決めて、そこで1社
間をはさんで努力した結果、転職してそこからプロマネまでなっています。

久利隆太

>三年寝太郎さん

今回も長いコメントありがとうございます。

人事が種まくことは必要だと思います。
人事にも会社規模が大きくなればなるほど
採用やら労務やら教育などに細かく分かれていることもあって、
一貫体制でできない苦しさがありますが、会社の将来を作る
人を伸ばす仕組みは必ず作らないといけないですね。

ビガー

ビガーです。

2度も同じ質問をしたのですが、答えて頂けず残念です。
こんなレベルの方にコミュニケーションスキルがないだの云われて落とされる
方がいると思うと本当に悲しくなります。
まぁ、日本猫さんくらいまで具体的に話せば理解はできるようなので私も勉強になりました。

7年もやっているならいい加減一人立ち(現場マネージャがいなくてもできる子)
できそうなもんですが。
煽ることが本当に目的ではないのですが、せめて意味がわからないときは
逆質問するくらいのスキルは身につけてほしいものです。

これでも煽らないように心掛けているつもりですが、皆さんの迷惑になりそうなので
これで最後にしておきます。

日本猫

僭越ながら一言だけ。

> ですから、採用が本格的に進んでいるときには現場のマネージャーの
> 常にそばにいることが多いです。

現場の方は「現場の」プロなのであって、人材活用のプロではありません。
書類選考は誰でもできるフィルタリング形式、判断は現場任せ、では
いったいなんのために人事部があるのでしょう。

としろう

こんな所で簡単に語り尽くせるなら、
「ここで議論意見がぶつかり合うほど問題が残り続ける事が無い」
のは道理ではありますが、

私も他の方が言われているように、
如何に書類選考という名目での話であれ、
他人の評価、能力の判定の難しさ、
同時にその能力判定能力の低さ(評価能力への評価が低いのが遠因?)
※これが日本で余計に能力給与など上手く使えずに
 只の「上だけ従来の年功序列、下の買い叩き(同じ枠の食い合い)」
 にも繋がってる悪弊なんでしょうな
による、上流の空洞化(技術&評価能力)が根本問題だと思います。

そして、教育又は発展的挑戦(NOT無謀)無しで
既存能力の発揮(成熟期なら殆どルーチンワークになる)ばかりを求め
下りのエスカレータを上り続ける必要のあるこの業界では社員価値相対低下を起こす
その意味での使いつぶしを考える企業側に対し
盲目的に従うのも得策ではない

だが、そんな企業が居るからもあって、
教育なりで勉強だけさせて貰って逃げるように居なくなる者も居る。
高いコストを払うのは将来の能力発揮を見込んでの事を反故にする
ここで囚人のジレンマ的葛藤があるので教育をしない企業だけを責められない。
かといって個人では意志が弱く先の給与の為に個人で勉強するのは
極一部の人間にしか出来ないようで、又、個人で出来る勉強・経験にも限度有り。
※受身の勉強ばかりしてきたしね

結局例に出されたチャレンジな人も、ブラックな会社で経験とスキルを積んだだけなので、コラム著者のスタンスでは救えない人でしかない。
しかし、この業界だけではないが、向上心と熱意という原動力は非常に重要な技術者にあって欲しい燃料であると思う。
これが無い者は、経験等によるルーチンワーク以外を任せにくい意味でリスクにもなる事を忘れてはならないだろう。
そうすると、このような人間こそ派遣や外注で有ることが企業にとっては望ましい(その業務と心中するつもりを除く)

・・・・

ここまで書いて気付いたのは、コラム著者は
一時的な意味でのプロジェクト(終われば大半が解散)
のような物を想定していると思えてきた。
これなら経験実績重視の傭兵部隊はありだ。
継続的雇用での人事とは別物だ

皆さま

コメント投稿、ありがとうございます。
久利氏の方でいただいたコメントは全て目を通しておりますが、
すべてに回答するのが難しくなってきましたため、一旦コメント欄を閉じさせていただきます。

以下、久利氏のコメントです。

====
色々とコメントありがとうございます。
全てに即レスができず申し訳ありません。

今回は採用における一部のプロセスを、いわゆる人事の
裏側から書かせて頂いたのですが、一旦採用における
コラムに関しては終了とさせて頂きたいと思います。

順次コラムで説明させて頂こうと思っておりましたが、
内容を快く思っていない方がいることも事実で、
それぞれ個別の事情まで対応できないことから
今後の情報提供は難しいと判断させて頂きました。

今後は、コラムニストとして違った立場から書かせて
頂ければと思います。

ご理解の程、何卒お願い致します。
====

何卒、よろしくお願いいたします。

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