現場エンジニア主観で"経営"と"技術"との乖離をあれこれと。

ITエンジニア技術組織の人材

»

 ベンチャー時代から日本有数の規模のサイトに携わってきた経験から、ITエンジニア技術組織について現場サイド主観であれこれと書いていこうと思います。

 事業戦略やエンジニアの人数規模/人材戦略によって、「良い技術組織」は千差万別と考えているので、本コラムでは、普遍的な内容を述べたいと思います。

 よく、「組織は人事」と言います。多かれ少なかれ、組織はトップの色に染まっていくものです。 ここで言う「トップ」とは、エンジニア組織の舵取りの決裁責任者を指します。

 「現場で活躍したエンジニア」をそのポジションに置いていないでしょうか? それ自体を「間違っている」と言っているわけではありません。ただ、その人に組織マネジメント能力があるかどうかをしっかり判断する必要があると私は考えています。

 経験上、 「現場で活躍する能力がある=組織マネジメント能力がある」を前提として組織体制を組んでいれば、大抵の場合は問題になりません。しかし、その背景は2種類に大別されます。

  1. その人物に組織マネジメント能力がある
  2. その人物がどうあれ、現場がしっかりしている 

 「現場で活躍する能力」と「組織マネジメント能力」が異なることは理解していても、  実際にそれに配慮した人事にならないのはなぜなんでしょうね。私は、あくまで組織体制も事業成功の1つの要素に過ぎないと考えているので、事業が成功するのであればどのような体制でもいいと思います。

 エンジニアは、モノを作ってなんぼです。 組織のトップはその業務の責務上、直接手を動かす時間なんてありません。 つまり、いいモノを作るのに、組織のトップは関与しなくていいんです。

 では、現場エンジニアは組織のトップに何を期待しているのでしょうか? それは、経営とベクトルを合わせて、「勝てるシステム戦略を落とす」「その戦略をより早く実現できる人材戦略が見えるようにする」「戦略によって“泣く人”を切る決断」などです。 現場一人一人が事業に貢献するために、何を基準に良し悪しを決めればいいのか、 その材料を提供することを期待しています。

※「切る決断」はリストラではありません。

 あえて補足すると、 システム戦略を考え、詰めていくことは、トップの仕事ではありません。現場を知らないトップが、ディテールを考えられるはずはなく、中長期的に勝てるシステム戦略を打ち出すこと、 その任務を得意なエンジニアに与えることが仕事です。また、目指す技術組織を実現するために必要な人材を 最適なポジションに任命することが、トップの仕事です。

 ピラミッド型の体制の場合、 肩書きに地位・名誉・金銭が連動しているケースが多いと思います。 エンジニアも人間なので多かれ少なかれ欲はありますが、「現場でスキルを磨く>トップのポジション(地位・名誉・金銭欲)」です。

 優秀なエンジニアは、一企業内でのポジションには興味がないものです。 いわゆる出世をしたいと思っているエンジニアは、その先業界を変えたいなど使命感がない限りは、トップの人材としては不適切な場合が多いように思えます。

 組織をマネジメントする人とモノをつくる人は、対等でなければいけません。地位・名誉・金銭についても、同様な体制が取られることが自然な気がします。

 よくあるケースですが、中間管理職がリードエンジニアより評価されていることには、違和感を覚えます。また、先に述べましたが、エンジニア組織のトップが「モノを作る役割の人がよりパフォーマンスを出せる組織にできているか」という観点で評価される仕組みがあればまだいいのですが、役職が付いただけで、 その責務の成果について議論されることがない場合もあります。

 今回は、組織体制もあくまで事業成功への方法論のひとつとして捉え 、その組織を作る人材について言及しました。 賛否あろうかと思いますがご意見いただければ幸いです。 その中で自分自身が学び成長して、良いエンジニア組織作りに貢献できればと思います。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する