新しいパラダイムシフトについて肩ひじはらずにマジメに語ります。

クラウドコンピューティングは売り物ではありません(その1)

»

 こんにちは。野村と申します。前回のコラムからずいぶんと時間があいてしまいました。すみません。

 さて、クラウドコンピューティング日記の最初のコラムは、前回のお約束どおり、「クラウドコンピューティングは売り物ではありません」です。

 売り物ではない、というのはどういうことでしょうか。まず、このへんから説明していきましょう。

■ 売り物ではないもの、の例

 「日経平均という株を売ってくれ」

 これは、バブル期の証券業界のギャグとして、証券業界の方からおしえてもらったギャグです。簡単に解説させてください。

バブル期に株価が連日上昇している状況で、株取引の初心者が証券会社の店頭に多くやって来たそうです。

 初心者ゆえ、何の株を買ってよいかわからず、日経平均という会社の株があるものと思い込み、「テレビのニュースによると、連日、日経平均が上昇しているよな! 日経平均という株を売ってくれ!」との注文(!?)になったということです。

 もちろん、日経平均という株が売っているわけではありません。

 ここで説明をするまでもないですが、日経平均とは、基本的には225銘柄の株価の平均値を、いわゆるダウ式といわれるやり方で日本経済新聞社が算出している株価水準を示す指標です。

 ご存知のように、日経平均に連動した投資信託とか日経225オプションとかの商品は「売り物」として買うことができます。

 しかし、日経平均という個別株というか、会社の株はありません。ですので、「日経平均という株を売ってくれ」といわれても、売ることはできません。

 これが、売り物ではないものの例です。似たような例としては、米国では、「ダウ・ジョーンズを売ってくれ」となるでしょう。これも日経平均と同様に、ダウ・ジョーンズ社が発表している平均株価の名前を個別株というか会社の名前と間違えて、ダウ・ジョーンズを売ってくれ、となるわけです。

■ IT業界で売り物でないもの

 「日経平均という株を売ってくれ」というギャグの解説はこれくらいにしましょう。

 ここでわたしがいいたいことは、売り物ではないものを「売ってくれ」といわれても困ってしまいます、ということです。

 似たようなことが、IT業界でもいえます。たとえば、以下のようにいわれたら、あなたはどうしますか?

 「クライアント・サーバを売ってくれ」

 クライアント・サーバという売り物はないわけです。

クライアント・サーバという言葉は、概念というかアーキテクチャというか、ホスト一極集中ではなくて、サーバとクライアント(PC)で協調分散処理させましょう、という設計思想のようなものです。にもかかわらず、「クライアント・サーバを売ってくれ」といわれても困ってしまいますよね。

■ クラウドコンピューティングを売ってくれ!?

 では、以下のようにいわれたら、あなたはどうしますか?

 「IT関連の雑誌を読んだが、クラウドコンピューティングがよいらしい。ぜひ、クラウドコンピューティングなるものを売ってくれないか?」

 どうでしょうか。

 こんな風にいわれたときに、あなたならどう回答しますか?わたしなら……。

 わたしなりの回答は、次回のコラムにてご説明しますね。

それでは、また。

Comment(0)