「人と組織」という切り口で、経営と現場の課題解決についてカレンコンサルティングが分かりやすくお伝えしていきます。

コミュニケーションを考える(1):コミュニケーションとは何か?

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3年ほどブランクがありましたが、記事を再開しますのでよろしくお願いいたします。当社がコンサルティング支援をするクライアントの事例、セミナーや研修で挙げられる課題等から材料(ネタ)を3年間、じっくりと温めてきたと思っていただければ幸いです。
今回から複数回にわたり、エンジニアのコミュニケーションについて(エンジニアでなくてもOK!です)お話します。
第1回は「コミュニケーションとは何か?」です――総じてエンジニアがあまり得意ではないとされるコミュニケーションについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

頻発するコミュニケーションの問題

ここ数年、メーカーをはじめ企業の研究開発や設計部門等の現場で、エンジニアの皆さんとご一緒する機会が多い。そこで、問題として挙がる項目で目立つもはコミュニケーションに関する問題だ。本来、エンジニアが最優先して解決すべき問題は、開発期間の遅れを取り戻す(納期を守る)こと、不具合等を出さないこと、品質を落とすことなくコストを下げること等々は既にどの企業も同じだ。にもかかわらず、コミュニケーションに関する問題も後を絶たない。むしろ、様々な企業を見てきた我々からすればコミュニケーションの問題は以前より増え、かつ複雑になっていると感じる。
例えば、

  1. 相手がなかなか理解してくれない(理解してくれていると思っていたけど、出来上がった成果物はまったく違うものだった等)
  2. 何度言っても同じミスを繰り返す外注さんにイラッとする
  3. 上司と話が合わない
  4. 会議では誰も発言しないまま終了時間を迎える、結論が出ない(全員が理解納得したものだと思っていたら、後にトラブルになった)
  5. メールの返信が遅い、グループウェアの掲示板を誰も見ていない
  6. 他部門と意思疎通ができない(部門の壁、セクショナリズムを感じる)

等々、どこの企業からも聞こえてくる。

言いたいことはそうじゃない!

仕事を進める上でコミュニケーションは要らないという人はいないだろう。1人だけで全て自己完結する仕事ならコミュニケーションは要らないかもしれない。しかし、組織人として企業や団体等に属している人間は、たとえ1人だけで仕事をするにしても、一日一言も話をしなかったという日は滅多にないはずだ。

ある程度の規模の仕事を進めるということは、複数人が属するチームやグループであったり、部や課という組織体で行われる。組織をまとめる立場(○×リーダー、課長・部長等)であればなおさらで、部下の話も聞かなければいけないだろうし、組織の方針を伝えることも必要、トラブルが起きた場合は他部門との調整も要求される等々、いや応なしにコミュニケーションを取らざる得ない場面に遭遇する。「言いたいことはそうじゃない!」と"言いたい"時はないだろうか?

図1:言いたいことはそうじゃない!

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コミュニケーションとは何か?

「コミュニケーションなど成り立たなくても構わない」――このように考えている人もいるかもしれないが、いいオトナ(いい年齢)になってからもこう考えているようならば、その人には腹を割って話せる友達は少ないはずだ。
このタイプの人が課長だとしよう。自分の仕事に干渉してほしくない部下からすれば、願ってもない課長だ。開発において何も言わない、自分の好きなようにできる...うれしい!と部下は喜ぶ。しかし場面は変わって、この部下は人事評価で課長からは低評価を付けられた。面白くない部下は課長に「何でですか?」と食ってかかるが、課長はまともに聞いてくれないどころか聞く耳すら持たない。開発の場面では「放置プレイは◎」だったものが、評価の場面では「話ができない課長×」となるはずで、何とも部下にとっては都合のいい話だ。賢明な皆さんならば、「課長も部下も問題」と気づくはずだ。

では、そもそもコミュニケーションとはいったい何だろうか?
はじめに「例えば」の例として6つ示したが、これを今一度ご覧いただきたい。その際に、下記の切り口で見て欲しい。

  • コミュニケーションの相手:社内(同僚、上司・部下)と社外(外注等)、個人間と部門間
  • 役割:伝える側(伝達)と受け取る側(理解)
  • 能力:コミュニケーションスキル等
  • 場面:日常業務、会議
  • コミュニケーションの取り方:face to face、ITツール(メール、グループウェア等)
  • コミュニケーションが原因のように見えるがコミュニケーション以外の要因が潜んでいるか否か:関係性、セクショナリズム等

例の6つは、前述切り口が1対1で当てはまりそうなものもあれば、複数の切り口が関係してそうなものもありそうだ。

とかく、自分の伝えたいことが相手にうまく伝わらない時には、「コミュニケーションスキルが低い奴だ」と決め付けてしまう。口頭で説明すればたいして時間は必要としないにもかかわらず、メールに頼ってしまったり、仕様書等のドキュメントを相手に送るだけでコミュニケーションをとったつもりになっていないだろうか?

今や転職サイトでもエンジニアの職種によらず、求職者に求めるスキルとして上位にランクされるものがコミュニケーションだ。第2回以降で伝えていくことを身につけることで仕事も人間関係もグッと良くなると信じている。次回をお楽しみに!

記:株式会社カレンコンサルティング / 世古雅人

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