プログラマ、テスター、SE、PMなど、いろいろやってるオヤジです。

エンジニアの言い分 -第4話

»

 「六代目優花、じゃなかった。六代目百合をくださ~い」

 今日は息子の純に乾杯だ。今日の試合では最終回にツーベースをよく打ったよ。あのあとサヨナラ勝ちできたんだから。純は6年生になってから大活躍だ。これでホッピーズは市のベスト4。いやぁ、よくやった。

 で、明日は私は朝一で審判をしなきゃいけない。八海山グラウンドに7時集合だから5時起きしないと間に合わないぞ。飲むのは少しにしておくか。

 でも審判に行くのっていつも私と佐藤さんと沢鶴さんだ。ほかの親はなんで来ないんだ。試合の観戦には来るくせに審判の日となると都合が悪いってどういうことだ。いつも私と佐藤さんと沢鶴さんだ。

 そういえば沢鶴さんが、「霧島、部活やめたってよ」 って言ってたなあ。霧島君はホッピーズにいたころは打ちまくってたのに。野球部をやめちゃうなんてもったいない。体格がいいから井筒部屋にでも行ったのかな?

 そうだ、PTA規約の改定案の文章の確認をするように大関副会長に言われてたんだった。やっとかなきゃ。PTAにしても協力してくれる人はいつも決まっている。三岳さんにたのんだら、役員はヒマな人がやればいいでしょ、ってなにそれ。暇な人なんていない。子どもたちのためにがんばって時間を割いてるんだ。自分の子どもが通っている学校なんだから、少しは協力しろっての。

 母親にしても、PTAに協力してくれるのは専業主婦かパート勤めの人ばかり。フルタイムで働いている人は、「仕事があるのでできません」 ですまされてしまう。でもその人が働いて稼いでいる時間にPTAの主婦はただで働いている。子どもがPTAから受ける恩恵は同じなのに。不公平だよなあ。

 私だって土日に出勤すれば残業代を稼げるのに、PTAや野球で子どもたちのためにボランティアしてるんだから立派なもんさ。

 あ、そういえば本業の仕事では来週は納品だった。まあ、竹鶴さんが私の分までがんばってくれてるからいいか。でも竹鶴さんは仕事が好きだよなあ。陰で社畜って言われてるの知ってるのかな?

 竹鶴さんみたいに責任感を持って仕事をするのはいいことだよ。だけど仕事って何のためにしてるの? 幸せに暮らすためでしょ。子どもと一緒に過ごせるのは今の時期しかない。そんな時期に休日も仕事ばかりしてたら。気付いたころにはじじいになってるよ。仕事人間より、私の方が素敵なエンジニアライフさ。

 ええい、もっと飲んじゃえ。

 「麦冠情け嶋の水割りをくださ~い」

■働きマンの言い分

 納期直前でこんなに忙しいのに、宝さんは土日は絶対出勤しないんだよなあ。その分俺が毎週出社するハメになっているんだから。おかしいよな。

 休日に休む権利があるのは当然だよ。だけどエンジニアの仕事は単純作業のアルバイトじゃないんだ。決められた時間だけ働くという意識ではいい仕事はできない。品質の高いモノをアウトプットしようという意識で働くべきだろう。プロのエンジニアなら品質を第一に考えるのが基本だ。ゆかいに休日を過ごすことばかりを優先すべきではない。

 もちろん、短時間で効率よく成果を出したい。でもなかなかそうもいかないのが現実だ。忙しいのは仕方ない。残業代の代わりに、「やりがいを現物支給します」なんて会社よりはまだマシだよ。

 だいたいみんなが宝さんみたいだったら会社なんてすぐに潰れてしまう。仕事に手を抜かない俺のような人が会社を支えているんだから。感謝しろよな。

 少年野球や少年サッカーなどでは親の仕事がたくさんあるらしい。試合場への車出しとかお茶当番とか審判とか。でもそんなに手がかかるっておかしくないか。審判なんて子どもたちでやればいいんだよ。誤審があって揉めるだろうけどそれも勉強。その方が自立する。

 そう言うと、正確に勝敗を決められない、とか言う人がいる。でも正確に勝敗を決めなくたっていいじゃないか。市で何位とか決める必要がどこにある。勝つことが目的ではない。子どもにスポーツをさせる目的は体力増進やチームプレーを学ぶことだ。チームで仕事をしてるのに、超忙しくても平気で休むような誰かさんのような人に育たないためにね。

 それにしても宝さんは少年野球だのPTAだの子どもにつきっきりだ。息子は純くんだったかな。子ども子どもって、子どもと仕事とどっちが大事なんだ!

 って、やっぱり子どもかなあ? 俺は子どものことは妻に任せっぱなしでなにもやってない。少しは息子の相手もしないといけないなあ。

 そういえばエンジニアライフでSE向けの子どもの教育本が紹介されていたぞ。

 「忙しいSEも育児ナシを卒業!」か。250円だしちょっと読んでみるか。Kindleの電子書籍をパソコンで読むソフト Kindle for PC 日本語版 が無料で手に入るようになったし。

 おっと、仕事を進めなきゃ。10時までには終わらせてロックウォールに「銀の水」を飲みに行こうっと。

■あとがき

 この話はフィクションです。実在する人物とは関係ありません。が、実在する書籍やソフトは本物です。最後は宣伝になってしまいましたが(^_^;)。

 書いていて、この2人はお互いのことが分かってないいなあ。一度話をすればいいのに、と思いました。こうならないように気をつけましょうね。

 次回で最終話になります。

 

Mini 
 「忙しいSEも『育児ナシ』を卒業!」  250円で発売中!

 「執筆裏話(2) サザエさん方式で遊び心を」

 「エンジニアの言い分 -最終話」

Comment(2)

コメント

ゆか

おぉ・・・本当に出てきた!
ニヤニヤしながら読んじゃいました(笑)

またまた難しい問題ですね~。
バリバリ仕事をする人も大切だとは思いますけど
宝さんのような旦那様をもった女性は幸せだろうなぁ、と思いました!

abekkan

> ゆか さん

コメントありがとうございます(^^)

旦那はバリバリ仕事をしすぎて「亭主元気で留守がいい」って言われないようにしないといけませんね!
極端じゃなくってほどほどがいいんでしょうね。

コメントを投稿する