犯罪者とITに詳しいアニメ好きを結びつけるのはそろそろ止めてくれないか。

人間関係 | 業界動向

» 2016/04/04

■日本のマスコミにジャーナリズムは無い

　先日、女子中学生誘拐のニュースを見ていて色々と思うことがあった。女子中学生を誘拐した犯人が女子高生を主人公にしたアニメに熱中って・・・。アホか。そんな事を言ったら、名探偵コナン見てたら密室殺人事件を模倣するとかならないか？江戸川乱歩なんて出版禁止処分確定だ。

　ついでに、パソコン等の機械に強く・・・云々とあるが、ここら辺、おかしくないだろうか。パソコン関係ないだろ。料理が得意だったら「近所で評判の凄腕の料理好き」とか報道されるのだろうか。手芸で編み物をしていたら、「部屋に編みかけの手袋が見つかった」とか報道されるのだろうか。

　日本のマスコミは、ジャーナリズムと言うより現実を元にドラマを報道したいようだ。その割に脚本がショボい。被害者のプライバシーを好き放題踏みにじって、やたらと情動に訴えるような切り口ばかり探っているように思う。

■うちの親父の一言

　これは親父と会話していた時にふと言った一言だ。「コンピュータとかネットとか怪しいことやってる奴にマトモなやつはいないだろう」。ごめん。父さん。私はバリバリにコンピュータやってるし、ネットでコラム書いてます。私がマトモじゃないというのはあながち否定しないが、そうでない人もいっぱいいる。

　ちなみにうちの親父は現役時代には新聞の記事を書いていた。そういう、典型的なテンプレート的な人の発想がそうなのだ。現在の老人世代の人たちの本音って、実はそうなんじゃないかと思う。

　実体の分からないものがいつの間にか普及していて、若い人が熱心になって自分たちにはさっぱり訳が分からない。もし、私が逆の立場だったら、そういう風に思うだろう。アニメにしても同様だ。当時、アニメや漫画と言えば子供が観るものという感覚が強かったようだ。

　日本のニュースは、こういう老人の発想に合わせて構成されているように思う。発想が古いのだ。最近じゃ映画やドラマでも原作が漫画というのも珍しくはない。むしろ、ヘボいドラマより、よっぽどストーリーが練られていることもある。漫画やアニメも、時代を経てかなり変わってきている。アニメや漫画が子供の観るものというのも、過去の話ではなかろうか。

■嫌いなものと嫌いなものを結びつけているだけじゃないか

　結局のところ、自分が嫌だと思う人が嫌であって欲しい。そういう願望で、いちいちパソコンに詳しいとか、アニメが好きだというのが犯罪者に結びつくのだろう。気持ちは分かるが迷惑な発想だ。

　そんなことを言いつつも、自分たちも似たようなものだ。ITに疎い、頭が硬いというだけで、老人を老害なんて呼んだりする。ネットを見ると、一部、荒ぶる老人たちをそういう風に揶揄していたりする。

　良い悪いというより、人にはそういう考え方の習性があるようだ。自分が良いと思っていたものが悪いことをすると、異様にセンセーショナルに映る。乙武さんの不倫にしてもそうだ。たかだか不倫程度で騒ぐのもみっともない。

　日本のニュースはもう完全に娯楽だ。情動ばかり煽って考えるきっかけを与えない。嫌いなものを共有して盛り上がってるだけだ。これって、幼稚園生がやっていることと大差がない。感情だけで言葉が突っ走ってる。現代が末法の世なんて言われるのも納得がいく。

■で、なんでエンジニアライフでこれを書いたか

　見積もり等の業務で、「仕事とは、安くやって高い成果を出してこそだろ」と云う願望をダイレクトにぶつけられることがよくある。こういう仕事に対してのイメージをぶつけてくる行動が、ニュースで見る犯罪者とはこういうものなのだというイメージを視聴者に押し付けてくるのとダブった。

　確かに、IT好きな人はアニメ好きという傾向はあると思う。また、コンピュータが大好きなので、あまりコミュニケーションに関心を持たないという傾向もあるかもしれない。傾向として不器用な人は多いと思うが、だから犯罪に手を出しやすいというのは根拠に乏しい。

　仕事に関しても同じだ。安いお金で高い成果が得られれば嬉しい。しかし、理想を実現する手段もなく、希望だけを押し付けてしまう。実現できる根拠に乏しい。グダグダやった結果、「頑張った」とか「やるだけのことをやった」で誤魔化してしまう。

　つまり、現代人は現実と根拠をいい加減に結びつけてしまう癖が付いているのだ。おかげで滅茶苦茶な理屈がまかり通ってしまう。だが、悲観することは無い。理不尽の大元は、言ってる事と現実がうまく結びついていない。そういう単純な話だ。自分が現実と根拠を結びつけられるようになれば、イメージを押し付けられても流されなくなる。自分で考える習慣を大事にしよう。