テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

「勉強会初心者のための勉強会」で講師デビューしました

»

 こんにちは、第3バイオリンです。

 先月、コラムニストの浅見 憲司さんが主催する「勉強会初心者のための勉強会」に講師として参加しました。わたし自身、勉強会に参加したことはあっても講師は初めてだったので、いつもと勝手が違う部分はありましたが、よい経験となりました。

 今回は、そんな「夫婦駆動勉強会」の模様をお届けします。

■日時と場所

 日時:7月14日(土)
 場所:アイティメディア様会議室

■講師を引き受けるにあたって

 最初に浅見さんから勉強会の講師の依頼について打診があったとき「さて、何を話そうか」と考えました。

 この勉強会の参加者は、これまでまったく勉強会に参加したことがない、だけど勉強会には興味があるという人が大半です。そのため、ソフトウェアテストについて専門的な話をするよりも、「勉強会の面白さ、大勢で勉強することの面白さ」を伝えたほうが参加者にとっても楽しい時間になるのではないかと思いました。それを考慮しつつ、今回の講義とワークショップのテーマを決めました。

■講義「勉強会コミュニティの地域性」

 わたしはこれまでに日本各地の勉強会やシンポジウムに参加してきました。また、新潟で暮らしていたころに、勉強会を立ち上げたこともありました。それらの経験から、「勉強会コミュニティには地域性がある」ということに気がつきました。

 そこで、参加者の皆さんに、「日本の各地域には地域色あふれる面白い勉強会やコミュニティがあるよ」ということを伝えたくて、このテーマを選びました。

 講義でわたしは、勉強会の地域性を決定づける要素は、その地域でさかんな産業、県民性、参加者の年齢層の3つであると説明しました。

 日本各地、地域によってさかんな産業は異なります(例:東海地域には組み込み系が多い)。当然、必要とされる知識やスキルが異なるので、勉強会の内容も異なります。

 また、地域によって県民性も異なります。東京など、大都市圏であればいろいろな地域から人がやって来ているので、県民性を意識することは少ないかも知れませんが、地方都市に行けば県民性は無視できません。積極的で新しいもの好きな県民性の地域もあれば、消極的で保守的な県民性の地域もあります。そのため、東京の勉強会と同じノリが地域では通用しないこともあります。

 さらに、勉強会の参加者の年齢層も重要な要素となります。年齢の若い人であれば、自分自身のスキルアップのために勉強するという人がほとんどだと思いますが、会社で役職を持つ年齢の人であれば、自分自身のためだけでなく、チームや部署にフィードバックすることも考えるようになる傾向があります。つまり、勉強会参加のスタンスが年齢によって異なるということです。

 講義の最後にわたしは「これからは『鹿駆動勉強会』のように、地域色豊かな勉強会が増えていくと思います。もし自分の地元や、転勤先で勉強会を開催したいと思ったときは、その土地の地域性を大事にしつつ、その土地でしかできない勉強会のあり方を考えてみてください」と伝えました。

 その後、質疑応答で「そういう地域の勉強会はどうやって探せばいいのですか」という質問が飛び出しました。今までわたしが参加した勉強会は、ほとんど知り合いからの紹介で知ったものばかりだったので、何と答えていいのか迷っていると、参加者のひとりが「AZusaar!」というサイトを紹介してくれました。

 このサイトは、複数のイベント告知サイトの情報をまとめて閲覧、検索できるサイトです。日時、場所、キーワード別に、気になる勉強会を探すことができます。もちろん、イベント告知サイトを使用しない勉強会は検索することができませんが、そのような勉強会については「とにかく勉強会に出て人脈を広げること。そこで興味のある勉強会の情報を教えてもらうのもいいし、なければその人脈を使って自分で立ち上げたほうが早い」と、その参加者の方はおっしゃってくれました。講師として参加してこのようなことを言うのもおかしな話かもしれませんが、わたし自身も知らなかったことで勉強になりました。

■ワークショップ「マイヤーズの三角形」

 講義のあとはワークショップです。

 わたしがこれまでに参加したことのある勉強会は、ワークショップがある勉強会が多くありました。そこでワークショップの楽しさを参加者の皆さんにも伝えたいと思い、勉強会の後半は「マイヤーズの三角形」を題材としたワークショップを実施することにしました。

 「マイヤーズの三角形」とは、 「ソフトウェア・テストの技法」(マイヤーズ著、近代科学社)という書籍に書かれている問題です。テストの問題としては基本的な問題で、テストの専門知識がなくても考えることができるものなので、わたしは今回の題材に取り上げることにしました。

 以下の条件を満たすプログラムをテストするためのテストケースをグループで考える、というワークショップを実施しました。

  • このプログラムは、3つの整数を読む。
  • この3つの値は、それぞれ三角形の3辺の長さを表すものとする。
  • プログラムは、三角形が不等辺三角形・二等辺三角形・正三角形のうちのどれであるかを決めるメッセージを出力する。

 まずは各個人でテストケースを考え、その後グループで各個人のアイデアを整理したあとでグループの成果を発表する、というスタイルを取りました。グループの発表がひととおり終わったあと、わたしは参加者の皆さんにこのような質問をしました。

 「このワークショップで、同じグループのメンバーの意見や、他のグループの発表を聞いて『その発想はなかった』と思った人は手を挙げてみてください」

 すると、参加者全員が手を挙げてくれました。わたしは、今回のワークショップのねらいについて話しました。

 「勉強はひとりでしようと思えばできます。しかし、ワークショップで他の人と学ぶことで、自分ひとりでは考えつかなかったアイデアや気づきを得ることができたと思います。ワークショップの楽しさは、ここにあるのです」

 このワークショップを通して、参加者の皆さんがワークショップ形式の勉強会に興味を持ってくれたなら幸いです。

■反省点

 今回の講義については、参加者の何名かから「どちらかというと、勉強会を主催したい人目線の内容だった。あまり参加者目線の発表ではなかったように思う」という指摘をいただきました。

 なるべく初心者の目線で……とは考えていたものの、やはり参加者の皆さんが考える以上に高いハードルを設定してしまったようでした。また、主催者の浅見さんから「内容についてはお任せします」と言われていたのですが、事前に内容について確認や相談をする機会をほとんど持てませんでした。このあたりについては、身内の甘えがあったのかもしれません。夫婦といえども、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」は大事です。

■勉強会のスタッフになりました

 今回、勉強会の講師を引き受けたわけですが、それ以外にも、浅見さんが勉強会の準備をするときに、わたしが秘書兼マネージャーとして今回会場を提供してくださったアイティメディア様の担当者と連絡を取ったり、懇親会の場所選びを手伝ったりしていました。

 今後も勉強会を継続していくにあたって、浅見さんが一人で準備をするのは大変だと思うので、わたしはそのまま運営スタッフに加わることに決めました。わたし自身、勉強会を立ち上げたことがあるので多少は運営のノウハウも持ち合わせていますし、運営スタッフに女性がいる方が、女性の参加者が参加しやすいという面もあると思ったからです。もちろん、先に挙げた「身内の甘え」というリスクがつきまとうことにもなるかもしれませんが、そこは「ほうれんそう」を怠らずに進めていきたいと思います。

 というわけで、次回以降もスタッフとして参加しますので、よろしくお願いします。

Comment(2)

コメント

第3バイオリン

Jittaさん

コメントありがとうございます。

そうだ、「IT勉強会カレンダー」もありましたね!
こちらもコラム本編でご紹介すればよかったです。

コメントを投稿する