テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

【書評】「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」もっと早く読んでいたら人生変わっていたかもしれない

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 こんにちは、第3バイオリンです。

 エンジニアライフのコラムニストであるキャリアコンサルタント高橋さんの書籍「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」。わたしはすでにエンジニアを引退しているし、読んでもいいんだろうか......と思っていました。しかし、夫がこの本を読んでいるのを見たり、他のコラムニストさんの書評を読んだりしているうちに、わたしも読んでみたくなりました。

 そこで、夫が読んでいた本を借りて読みました。最後まで読んでみて「もっと早く、学生時代か新人のころに読みたかった!」と思えるほど面白い本だったので、ちょっと出遅れてしまいましたが、わたしもこの本の書評を書いてみたいと思います。

■「この章、あとどれだけ読めばいい?」がわかると進みやすい

 この本は各章の前半部分がマンガ、後半部分が文章による解説、というスタイルを取っています。マンガの内容は、プログラミング未経験の主人公、野々原マイミが社運をかけたプロジェクトにプログラミング担当としてアサインされたことをきっかけに、謎の生き物エニアの助けを借りながらプログラミングを学び、成長していくというストーリーになっています。

 章の内容を先にマンガでさっと読むことで、各章のボリューム、重要なトピックスがだいたいわかります。文章のみの本を読んでいると「この章、あとどれだけ読めば終わるんだろう。そろそろ読むのがしんどくなってきたけど、章の途中で止めるのも中途半端だし......」と悩むことがあるかと思います。しかし、この本はマンガパートで章の内容を予習して文章パートを読むことができるので、「この章はあと○○の解説だけか、だったらもう少しがんばって読もう」と思って読み進めることができました。

 わたしはこの本を家事の合間や、生後8ヶ月の娘を寝かしつけたあとに読んでいました。自分のために取れる時間は決して多くはありませんが(それでもエンジニア時代よりは落ち着きましたが)、忙しくても読みやすい本だと思いました。

■学校課題のプログラミング≠開発現場のプログラミング

 この本は、単なるプログラミングのマニュアルではなく「ソフトウェア開発の現場でプログラミングをするということ」を学ぶことができます。わたしが「もっと早く、学生時代か新人のころに読みたかった!」と思ったのはここです。

 わたしがはじめてプログラミングを経験したのは、大学の実習でした。毎回、講義のあとに課題が出て、時間内に課題のプログラムを作成して担当教官に動作を確認してもらったり、終わらなかったときは後日ソースコードを提出したりしていました。そのころのわたしは、とにかく動くこと、担当教官にマルをもらうことを最優先に考えていました。だから課題を提出してマルをもらえばそれでおしまい、そのとき作ったプログラムは二度と実行されることはありませんでした。

 しかし、就職していざ現場でプログラミングを始めるとそうはいきません。まずは設計書を書いて、設計書のレビューをしてOKが出るまで設計書を書き直し、その後でやっと実装に移ったら今度はコードレビュー......大学の課題でしかプログラミングを経験したことがなかった新人時代のわたしは、この流れに戸惑った覚えがあります。さらに、無事に実装、テストが終わってリリースしたあとは、プログラムのメンテナンスをしたり、新しい機能を追加したりする仕事が待っていました。「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」には、プログラムは作って動けばそれでいいのではないこと、設計の大切さ、デバッグやメンテナンスについても解説されています。

 また、各章の終わりには著者の高橋さんの経験談がコラムとして掲載されています。プログラミングの楽しさ、工夫していること、苦労や失敗談といった生の声を聞く機会というのはあるようで意外とないものです。学生時代は「課題かったるいよねー(笑)」と言う友人には聞けないし、担当教官に聞くのもなんだか違う感じがするし、社会人になって上司や先輩に「プログラミングの楽しさって何ですか?」と面と向かって聞くことは照れもあったりしてなかなか難しいものです。だから、コラムで語られる高橋さんの経験談もわたしにとっては「もっと早く、学生時代か新人のころに読みたかった!」と思うポイントでした。

■もうひとつの人生

 この本を読んでわたしの印象に残った言葉、それは第3章の解説パートにあった「楽しみながらプログラミングを体験しましょう」という言葉です。

 この言葉を読んで、ふと「そういえば、わたしはプログラミングを楽しんだことがあっただろうか」と考えてみました。思えば、学生時代の課題でも、社会人になってからも、担当教官にマルをもらうこと、早くレビューを通して早くリリースすることばかり考えていて楽しいと思ったことはあまりなかったかもしれません。

 わたしは新卒でプログラマとなり、その後挫折を経験してテストエンジニアに転向し、そこでも限界を感じて引退してしまいました。今ではただの主婦です。この人生に後悔はありませんが、それでも「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」を読んで、学生時代か新人にこの本に出会っていれば、この本を読んでもっとプログラミングを楽しむ余裕を持つことができたならもう少し違う人生があったのではないか、そんなことを考えてみました。

Comment(2)

コメント

キャリアコンサルタント高橋

お邪魔します、高橋です。


書評をいただきありがとうございました!


IT本の一番の問題は読了率なのだそうです。IT本でよくある説明が細かくなりすぎたり、ページ数が増えてしまうと、途端に読了率は下がるのだそうです。
この本は文章が約180ページ、マンガが約100ページほどあります。マンガは全体の1/3程度ですが、それでもマンガだけを読んでいただいても概要レベルが理解していただけることを狙ってシナリオを書いています。


また、章ごとにマンガと文章をリンクさせていますので、第3バイオリンさんのように章の内容をマンガで予習していただき、文章で実際に学んでいただくような読み方もできるようにさせていただきました。ですので、


> 忙しくても読みやすい本だと思いました。


このように評価していただいたことは大変嬉しく思っております。
ありがとうございます!


第3バイオリンさんはプログラミングを楽しまれたご経験は少なかったみたいですね。でも、ひょっとしたらいつの日か、第3バイオリンさん自身がプログラミングに関わられる日がまたやってくるかもしれません。


もし、その日が来たときには、今度はぜひプログラミングを楽しんでみてくださいね♪

第3バイオリン

高橋さん


コメントありがとうございます。


>書評をいただきありがとうございました!


いえいえ。
今回書評を書くことができたのは高橋さんの本の力と、他のコラムニストさんの書評の力のおかげです。


>IT本の一番の問題は読了率なのだそうです。


確かに、私にも最後まで読めなかった技術書がいくつかあります。


>ひょっとしたらいつの日か、第3バイオリンさん自身がプログラミングに関わられる日がまたやってくるかもしれません。


そうですね。私には娘がいますが、娘が小学生になる頃にはプログラミングの授業が必須になっているはずです。
もしかしたら、娘にプログラミングを教える日が来るかもしれません。
そのときは、また「マンガでやさしくわかるプログラミングの基本」を参考にしたいと思います。娘にも読ませたいです。

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