結婚しました

2012/04/11 7:00:00

 こんにちは、第3バイオリンです。

 突然ですが、わたしはこの春に結婚しました。お相手は、同じエンジニアライフのコラムニストであるあずKさんです。このコラムが公開されるころ、わたしたちは沖縄で結婚式を挙げます。

 実は今年3月5日に入籍は済ませていたのですが、わたしが実行委員長をつとめる「JaSST’12 Niigata」が終わって落ち着くまで、公表を控えておりました。結果的に1ヶ月近く隠してしまったことは申し訳ないと思います。あと一応念のために言っておきますが、妊娠はしておりません(最近、有名人の結婚ニュースって必ず妊娠の有無まで報道しますよね、あれって何でしょうか)。

■なれそめ

 わたしとあずKさんが初めて会ったのは2年半ほど前でした。それ以前にもお互いのコラムのコメント欄やTwitterでメッセージのやりとりはありましたが、ちょうど他のコラムニストの方とお会いする機会がありまして、そのとき近くに住んでいたあずKさんにも「よろしかったらご一緒しませんか」と声をかけたのがきっかけでした。

 そのとき連絡先を交換して、電話やメールのやりとりからお付き合いへと発展していきました。わたしは新潟、あずKさんは関東に住んでいたので、遠距離恋愛ということになります。1年ほどお付き合いして、これから先も一緒にいたいと思ったので結婚を決めました。

 結婚するにあたって、お互いの仕事や家庭の事情などを考慮して、わたしが関東に移ることになりました。それは新潟での仕事、JaSST新潟の実行委員長、勉強会でのお世話人、すべてを一旦手放すということを意味していました。

 もちろん、まったく悩みや迷いがなかったといえば嘘になります。JaSST新潟も勉強会もようやく軌道に乗ってきたところで離れなくてはならない、というのは寂しいことでした。しかし、JaSST新潟の実行委員長や勉強会のお世話人の役割は他の人に引き継ぐことができても、あずKさんのお嫁さんという役割は誰にも譲りたくなかったので、わたしは新潟から離れる決意をしました。

■退職に関するあれこれ

 結婚が決まった時点で、すぐに直属の上司に報告をしました。同時に、退職の意思も伝えました。

 通常であれば、退職を決めた時点で転職活動をするものだと思いますが、わたしの場合は「JaSST’12 Niigata」の準備と結婚式の準備があったこと、新潟と関東で距離が離れていることを考慮して、結婚式が終わって落ち着いてから転職活動をすることに決めました。

 というわけで、現在は無職です。ただいま転職先を募集しております。テストや品質管理に携わるエンジニアを募集している会社をご存知の方は、よろしければご一報ください。

■わたし、今度の「JaSST’12 Niigata」が終わったら結婚するんだ

 「JaSST’12 Niigata」開催に向けてのキックオフのとき、わたしは実行委員のメンバーに結婚のこと、新潟から離れることを伝えました。わたしが担当している役割も引き継ぐつもりで準備、運営にあたりました。

 ちょうど「JaSST’12 Niigata」開催の時期と、結婚式の準備が大詰めを迎える時期が重なってしまい、正直しんどいときもありましたが、実行委員のメンバーがフォローしてくださったので、なんとか両立することができました。実行委員のメンバーには、この場を借りてお礼を述べたいと思います。

 さて、来年以降のJaSST新潟の実行委員会の体制については未定です。というのも、当初わたしは新潟を離れるのだからJaSST新潟の実行委員会からも抜けなくてはならない、と考えていました。しかし、アドバイザの方から「他の地域の実行委員には、その地域以外の場所に在住している人もいる。だから新潟を離れても、新潟の実行委員を続けることができる」という助言をいただきました。

 実際に、転勤などで他の地域に移ったあとも実行委員を続けている人をわたしも知っています。だからわたしも、JaSST新潟の実行委員をそのまま続けることを決めました。他のメンバーにその意思を伝えたところ、賛成してくれました。

 来年以降の実行委員長については、まったく未定なのでコラムでの言及は控えることにします。

■勉強会のこれから

 「JaSST’12 Niigata」のキックオフからしばらく後で、わたしがお世話人をつとめる勉強会のメンバーにも結婚のご報告と、新潟を離れる旨を伝えました。

 少々傲慢な言い方ですが、ようやく勉強会としての活動が軌道に乗ってきたところで、わたしが抜けた後どうなってしまうのか……と思ったこともありました。

 しかし、「この会を続けたい。せっかく第3バイオリンさんが点けた火を消してしまいたくない」と言ってくれるメンバーが大勢いて、わたしがいなくなった後も大丈夫、という確信が持てました。むしろ、わたしがいなくなってからますます盛り上がればもっと面白いと思っています。

 わたしが最後に出席した勉強会では、新しい目標を決めて新年度から取り組みたい、という意見が出ました。その新しい目標が非常に面白そうな内容なので、ちょっともったいないことをしたなと思いました(笑)。

■新生活のはじまり

 入籍後、わたしは仕事や社外活動の区切りをつけるためにすぐ新潟に戻り、あずKさんとは3週間ほど別居していました。3月末に新居に引っ越してようやく一緒の生活が始まりました。これからあずKさんとふたり、幸せになります。コラムもこれから続けていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

日本海側で唯一のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'12 Niigata」開催レポート(その3)――賢いツールの使いどころ

2012/04/05 21:03:12

 こんにちは、第3バイオリンです。

 「JaSST’12 Niigata」レポートもいよいよ最終回です。今回は、事例発表1件とクロージングセッション、情報交換会の様子をお届けします。

■事例発表「システム自動生成ツールを用いたユーザー視点開発」

 ウイングの山内 啓悦さんのセッションです。

 山内さんは、ご自身の会社の商品であるシステム自動生成ツール「GeneXus」の説明から始めました。

 「GeneXus」の前身は、南米の国ウルグアイで作成されたデータモデルを自動化するツールでした。データモデルだけでなくシステム作成から自動化してしまおう、ということで、開発されたの「GeneXus」が開発されました。

 「GeneXus」は、雑誌「日経コンピュータ 9/29号」でも「アプリケーションの自動生成に挑む南米のツールを基幹系に活用」という記事で取り上げられたそうです。また、書籍「はじめてのGeneXus」でも詳細を知ることができるので、興味のある方はこれらもご覧ください。

 「GeneXus」のすごいところは、プログラム言語を知らなくても使える、というところです。「GeneXus」は現在よく使われているプログラム言語、データベースのほとんどに対応しているそうです。また、最新バージョンではスマホ対応もしています。

 山内さんは、「GeneXus」の最大のメリットは「資産継承」である、と説明しました。よく「システムは動いているけどハードウェアだけリプレイスしたい」ということがあると思います。「GeneXus」はシステムのUI画面やデータ構造などの「ビジネス部分」と、物理DBやソースコードといった「テクノロジ部分」を分離して作成することができるのだそうです。そのため、先のようにハードウェアだけリプレースしたときには、UIが多少崩れることがあっても、システムの根幹は変わっていないので、UIの微調整さえすればまた動くようになります。

 山内さんは、「GeneXus」と併せて使う開発基盤「GeneXus SYSTEM-Template(GST)」、開発メソドロジ「ST-REAM」についても説明しました(これらがウイングさんの「三種の神器」だそうです)。

 自動生成ツールの導入によってどれだけ生産性がアップするのか気になるところですが、あるプロトタイププロジェクトで試した結果、生産性が2.5倍もアップしたそうです。ただし、これはツールに向いているプロジェクトだからここまでの成果が上げられた、と山内さんは説明しました。ツールに向かないプロジェクトの場合、そこまで成果が上がらない場合もあるそうです。

 他にも、ツール導入のメリットとしては自動化されている部分はテストする必要がないこと、データモデル(DBMS)とサーバサイドアプリケーション、クライアント(HTMLが面)が密につながっているのでそれぞれのI/Fテストも必要がないこと、などが挙げられます。

 しかし、当然メリットだけでなくデメリットもあります。例えば、作成元がウルグアイなので、「GeneXus」そのものの不具合対応は時間がかかります。また、導入後も、スケジュール管理が煩雑になってプロマネの力量が問われること、プロジェクトにスペシャリストを1名は立てる必要がある、と、複雑な事情を解決する必要が出てきます。

 それでも山内さんは「苦しいこともあるけれど導入事例を少しずつ増やしているところです。今回の講演で、少しでもシステム自動生成ツールに興味を持ってくださると嬉しいです」と講演を締めくくりました。

 わたしは、講演を聞くまではシステム自動生成ツールがどういったものなのかよくわからなかったのですが、山内さんの講演で少しだけわかるようになりました。新潟にこのような取り組みを行っている企業があるということをご紹介することができて良かったと思います。また、便利なツールもプロジェクトに合っているかどうかで効果が異なるというお話を聞いて、やはりツールの使いどころは大事だと思いました。

■クロージングセッション

 「JaSST’12 Niigata」プログラムの最後は実行委員長であるわたしの締めの挨拶です。

 わたしはプログラムを振り返りつつ「新潟の底力を感じるプログラムだった。参加者の皆さんにご紹介することができてよかった」と感想を伝えました。

 新潟でのJaSST開催は今回で2回目ですが、参加者の皆さんの顔を見て、このシンポジウムが新潟のイベントとして定着できたことを確信しました。

 わたしはそれを話して「単なるイベントで終わらせるのではなく、今日この場で得たことを現場にフィードバックしてほしい。そして、今は客席にいる皆さんがいつか登壇者としてJaSST新潟に参加する日が来てほしい」と伝えました。

 去年は最後の挨拶で泣いてしまったので、今年は泣くまいと思っていたのですが、やっぱり今年も泣いてしまいました。挨拶の前に、実行委員の三浦さんに「泣くなよ」と言われていたのですが……いろいろとこみ上げてくるものがあり、我慢することができませんでした。いつになったら泣かずに挨拶できることやら。

■情報交換会

 クロージングセッション終了後は、場所を新潟市中央公民館に移し、情報交換会を開催しました。飲み物やお菓子をつまみつつ、参加者同士が和やかに交流できる場となりました。

 今回の情報交換会では、(おそらく)新潟初となるLT(ライトニングトークス)大会を開催しました。実行委員も含めた5名の登壇者が、LTでテストに関する取り組みや考察、コミュニティ活動の紹介を真面目に、楽しく語りました。

 わたしも登壇しましたが、そのときにバイオリンの弾き語り形式のLTをやってみました。以前からアイデアはあったのですが、なかなか実行できる場がなく、ずっと機会をうかがっていたのです。また、ちょうど1月の「JaSST’12 Tokyo」の情報交換会でバイオリン演奏を披露したこともあり、自分のホームで演奏しない手はないとも思っていたのです。

 本来の実行委員の業務が忙しく、バイオリンの練習が満足にできなかったというのはありましたが、参加者の皆さんの反応はまずまずでした。こちらも、やってよかったなと思いました。

◇ ◇ ◇

 「JaSST'12 Niigata」開催レポートはこれで最後です。ここまで読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。

日本海側で唯一のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'12 Niigata」開催レポート(その2)――ジェットエンジンが運ぶ未来

2012/03/27 8:51:29

 こんにちは、第3バイオリンです。

 「JaSST’12 Niigata」開催レポートの第2弾です。今回は、事例発表2件の様子をお届けします。新潟で進められたジェットエンジン開発プロジェクトのマネージャーと開発担当者による講演です。マネジメントと品質管理、それぞれの立場から見たプロジェクトの様子を聞き比べてみてください。

■事例発表「『NIIGATA SKY PROJECT』でのプロジェクト推進-短納期・分散開発での確実なジェットエンジン開発-」

 産業技術総合研究所の岩田 拡也さんのセッションです。

 「NIIGATA SKY PROJECT」とは、新潟市が経済産業省から研究委託を受けて、市内の企業と連携して進めている、無人飛行機用の小型ジェットエンジンの開発プロジェクトです。

 岩田さんは、「なぜ新潟市でジェットエンジンを開発するのか」から説明を始めました。

 これまでの航空産業は「大型化、高速化」がよしとされてきました。しかし、地上に目を向けると自動車のような、航空機よりもずっと遅い乗り物が市場を占めています。自動車は航空機と比較するとスピードは遅いものの、家からすぐに乗れるというメリットがあります。しかし、現在の航空機はそれができません。乗るためには空港まで、長距離の移動が必要になります。

 それもあって、これからは従来の航空産業とは一線を画す「別の航空産業」の需要が世界全体で高まっているそうです。そのうちの1つが無人飛行機です。

 岩田さんは、全国にさきかげて新潟で無人飛行機の開発を始めることで、新潟が「別の航空産業」市場に全国で一番乗りを果たす、という目標を語りました。日本で一番乗りを果たす、ということは、世界でもトップを取れる可能性がある、ということです。岩田さんは「黒船が来て驚く前に、自分たちが黒船を作る」と熱く語りました。

 さらに岩田さんは、新潟における無人飛行機の需要についても語りました。新潟には佐渡島があります。佐渡島は大きな島なので、島内に製造業があります。製造したものを島外に運び出す手段は現在のところ船だけですが、精密機器部品のような小さくて軽くて高価なものを運ぶには無人航空機がもってこいなのだそうです。

 さて、そうして新潟で始まったジェットエンジン開発プロジェクトですが、与えられた期間はわずか7ヶ月でした。仕様書もない状態からジェットエンジンを造るまでの期間としてはあまりに短い期間です。

 岩田さんは仕様書を書けない部分は実際に試作機を造り、それで実験をして悪いところをチェックしながら改善を進める、というやり方で開発を進めていきました。完成した試作機を筑波に持ち込んだその日の午後に東日本大震災に遭い、筑波での作業も進められず通常の流通手段もすべてストップしたなかで、産業技術総合研究所が調査用に所持していたトラックでエンジンを新潟まで運び出したということもあったそうです。

 ここで岩田さんは、開発したエンジンを搭載した試作飛行機のデモ映像を見せてくれました。試作飛行機の第1号はバランス制御に失敗して飛ぶことができなかったのですが、2号機はわずかですが空を飛びました。そのときに子供のように飛び上がって喜ぶプロジェクトメンバーの姿が印象的でした。

 最後に岩田さんは「新潟にこのプロジェクトを持ってくることができてうれしい。もっと開発力を上げて、ゆくゆくはエンジンだけでなく無人飛行機も新潟で造りたい」と締めくくりました。

 短期間でプロジェクトを成功させるためのご苦労や、突然の災害に遭遇したときに機転でそれを乗り越えたときのエピソードに胸が熱くなりました。また、ジェットエンジンの開発で新潟が一番になる! という熱い想いを感じることができました。

■事例発表「『NIIGATA SKY PROJECT』プロジェクトでのファームウェア開発の取り組み」

 NECソフト新潟支社の吉田 誠さんのセッションです。

 吉田さんがプロジェクトで担当されたのは、ジェットエンジンの基板上で動く制御ソフトウェアと、PCからジェットエンジンの状態をモニタリング/調整するソフトウェアの開発でした。先の岩田さんの講演にもあったとおり、短期間でソフトウェアもハードウェアも0から開発する必要がありました。

 おまけに、吉田さんにはジェットエンジンの開発経験はおろか、研究開発プロジェクトの経験もありませんでした。会社で携わる業務なら顧客の要求に応えることが最大の目的となりますが、研究開発は明確な要求仕様がないので、何が正解となるのかを事前に把握することが難しいのです。これまでの業務とは勝手が違う状態で、設計とテストをどうやって実施するのか、品質指標をどうやって決めるのか、すべて手探りの状態でした。

 吉田さんは、まずプロジェクトの基本方針を決めるところから始めました。まずはエンジンを動作させること、製品レベルまでは考慮しないもののとにかく安全性を重視する、という基本方針を開発計画書に盛り込み、関係者に承認をいただくことで方針がぶれないようにしました。

 基本方針が固まったところで、吉田さんはチーム作りに取り掛かりました。パートナー会社から有識者を招いて専門知識の社内教育を設けました。また、変更や修正に強い設計を心がけ、テスト用にシミュレータを独自開発しました。品質指標は安全性と経験不足を考慮し、高めに設定しました。そして岩田さんと打ち合わせを繰り返して仕様を固めていきました。

 そしていざ試作機を作成したものの、本番環境では思ったように動作しない、ということがありました。経験不足により、開発環境との差分を考慮しきれなかったことが原因でした。吉田さんは、早めに本番環境で試験を行うべきだったと振り返りました。

 また、燃焼実験中にエンジンが火を噴いてしまう、というトラブルにも見舞われました。燃料供給量が多すぎて炎が上がったところで、燃料の吐き出しに失敗してさらに炎上してしまい、部品の一部が溶けてしまったそうです。

 そのときの様子を録画していた映像を見せていただきましたが、大きな炎を上げて燃えるエンジン、周りで「危ない!」と叫ぶ声、なかなかの臨場感でした。大事故に至らなくて何よりでした。

 試行錯誤の末、ついにエンジンは完成しました。吉田さんは事情があり、エンジンの完成間近でこのプロジェクトを離れることになったのですが、「東京国際航空宇宙産業展2011」で完成したエンジンが動作するのを見て、このうえなく感動されたそうです。

 吉田さんは「このプロジェクトを通してジェットエンジンの技術や人脈など、多くのものを得ることができました。何より、『ものづくり』の原点と感動を体感することができました」と締めくくりました。

 わたし自身も研究開発プロジェクトの経験はありませんが(興味はあります)、吉田さんの講演を聞いて研究開発プロジェクトならではの特徴や、難しさを知ることができました。また、未経験のプロジェクトに立ち向かう姿、失敗を乗り越えて新しいものを作り出す喜びと楽しさに心打たれました。

 実はわたし、お恥ずかしながら岩田さんと吉田さんに講演を依頼するまでは「NIIGATA SKY PROJECT」のことをほとんど知りませんでした。しかし講演を聞いて、新潟でこのような高いスキルが求められるプロジェクトが進められていることを知り、思わず胸が熱くなりました。「JaSST’12 Niigata」で、この活動をご紹介することができて良かったと思います。

◇ ◇ ◇

 「JaSST'12 Niigata」第2回目のレポートはここまでです。次回は最終回、最後の事例発表1件と情報交換会の様子をお届けする予定です。

日本海側で唯一のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'12 Niigata」開催レポート(その1)――品質と生産性を上げる方法

2012/03/23 8:19:57

 こんにちは、第3バイオリンです。

 先日、日本海側で唯一のソフトウェアテストのシンポジウム「JaSST’12 Niigata」を開催いたしました。今年で2回目、今回もわたしが実行委員長を務めさせていただきました。

 おかげさまで今回も参加申し込みは満員御礼となり、当日は大盛況でした。それでは、実行委員長が見た「JaSST’12 Niigata」当日のご様子をお伝えします。

■日時と場所

日時:2012年3月16日(金)
場所:万代島ビル11階 NICO会議室

■今回のテーマ

 今回のテーマは「新潟発! の品質を考えよう」です。

 去年の「JaSST’11 Niigata」の基調講演で、電気通信大学の西さんが「新潟がレベルアップして、他の地域が新潟を目指すようになってほしい」というお話をされました。今年はそれを踏まえて、他の地域にはない、新潟ならではの品質のあり方とは何かを、参加者の皆さんと一緒に考える場にしたいと思い、このテーマを決めました。

■オープニングセッション

 さっそくオープニングセッションで実行委員長の挨拶です。去年の私は挨拶の内容を事前に考えずに舞台に上がる、という、無謀すぎることをやらかしてしまいました。それで叱られているのでさすがに今年は同じことはしない、と、事前に挨拶を考えてきました。

今回のテーマと、プログラムの概要紹介、それらについてのわたしの考えをまとめて挨拶としました。結局、普通の挨拶となりましたが、それでいいのです。

■基調講演「XDDPによる品質と生産性の同時達成」

 システムクリエイツの清水 吉男さんのセッションです。

 清水さんは「派生開発推進協議会(AFFORDD)」という団体の代表も務めています。その関係で「JaSST’12 Niigata」の前日にも新潟で派生開発のセミナーを開催してくださりました。

 JaSSTの基調講演のほうでは、清水さんは「生産性」をキーワードとして取り上げました。

 さて、今の開発案件は一から作り上げる「新規開発」はかなり少数派だと思います。開発案件の大部分を占めているのは、既存の製品の一部を改良したり、新機能を追加したりする「派生開発」です。

 派生開発は部分理解の世界です。ところが、プロジェクトの反省会ではよく「全体を理解できていなかった。だからうまくいかなかった」という言葉を聞くことがあるのではないでしょうか。

 清水さんは「この『全体』とはどこまででしょうか? 何がわかれば『理解』できたといえるのでしょうか? 『全体』『理解』どちらも定義できない言葉です。定義できないことは実現できません。だから結局、同じ失敗を繰り返してしまいます」と語りました。なかなか耳の痛いお話です。

 さらに、清水さんは「拙速なコード変更は人格を壊す」とも語りました。ずいぶん穏やかではないお話ですが、ひとつ例を挙げます。ソースコードを修正したあとで「もっといい修正方法があった」と気付くことがあると思います。しかし、それに気付いたとして、一度修正を加えたコードを再度修正することは、おそらくめったにないと思います。しかし安直なコード修正を繰り返していると、そのうち「動いているし別にいいや」という気持ちになってしまいます。こうして正しいことをできなくなる、顧客に対して後ろめたいことをしていることが、やがて人格をも蝕んでしまう、ということなのです(このあたりは、以前WACATEでお話してくださった「莫作の力(まくさのちから)」にもつながる気がします)。

 さて、ソフトウェア開発で利益を上げたいとき、まっさきに思いつくのがコストを下げることだと思います。とはいえ、人件費が安い国はたくさんあります。単純にコスト競争をしてもそのような国に勝てるわけはありません。かといって、そのような国にオフショアしてしまえばいいというわけでもありません。準備もなくいきなりオフショアしても、現場の混乱を招くだけで、コスト削減どころか品質の低下につながるからです。

 そこで重要になるのが「生産性」です。いくら品質が良くても生産性が悪いと利益は出ません。しかし、品質のデータを収集していても生産性のデータは収集していない、という現場がほとんどです。

 清水さんは、品質と生産性を両立する手段として、自らが提唱している派生開発プロセス「XDDP」を取り上げました。

 XDDPは、もとは海外の顧客の「3ヶ月で40数項目の機能追加と変更をお願いしたい」という要求に応えるために誕生しました。このとき対象となる製品の仕様を知る人は日本国内にはいませんでした。その状態では、今までの保守のやり方は通用しません。

 そこで清水さんは、機能追加と変更を分けて考えることにしました。変更依頼については変更前と変更後のシミュレーションを行い、その結果を顧客に送ってレビューしました。ようはレビューに顧客を巻き込んだわけです。

 ここで「追加要求と変更要求、2つも仕様書を書くの? 手間じゃない?」と思われる方もいらっしゃると思います。確かに、仕様書を書くことは楽ではないし、工数もかかります。しかし、書き出すことでプロセス全体のどの部分の工数が減るか、わかるようになります。なにより、きちんと書くことで意味がわかるようになり、また、あいまいな点がどこなのか明確になります。プロジェクトの関係者が実現したいものについて認識を特定できているか、関係者全員が同じものをイメージできる状態にあるか、これが大事なのです。

 その後は設計書まで作成してレビューも終わり、必要な工数も確認されたところではじめて、ソースコードを一気に変更します。変更するべきところを一気に変更することが、ソースコードを劣化させずに長持ちさせる秘訣なのです。

 ただし「もとから作りこまれた品質は変わらない」と清水さんは語りました。テストで品質が上がるわけではないのです。

 例を挙げると、品質とは川の水質で、テストは川に流れたゴミを拾うようなものです。ゴミを拾うネットの網目を小さくしたり、ネットを張る位置を工夫したりすればゴミはたくさん取れます。しかし川の水が濁っていたり、有害物質が溶け込んでいたりという水質の問題はネットではどうしようもありません(もちろん、テストだって手当たり次第にネットを張ればいいというものでもありません)。

 ただ、製品の保守性というものは外から見えません。製品の機能は、製品を分解すればわかりますが、保守性は部品を見るだけではわかりません。それだけに保守性は真似をされにくく、製品の競争力に貢献できるのです。

 最後に清水さんは、「今日、製品を差別化するのはソフトウェアです。製造拠点を海外に移転することになっても、ソフトウェアは国内で作ることができて、国内で利益を上げられます。XDDPを使うと一時的に工数は増えるけど、後で劇的に減らせます。日本のエンジニアの皆さんには、国内のソフトウェア産業を盛り返してほしい」と締めくくりました。

 清水さんの講演から、新潟のエンジニア、ひいては日本のエンジニアに生産性を意識した賢い開発と、顧客にまっすぐ向き合う気持ちを心がけてほしい、そうして日本のソフトウェア産業をもっといいものにしてほしい、という熱い想いが伝わってきました。

◇ ◇ ◇

 「JaSST'12 Niigata」第1回目のレポートはここまでです。次回は、事例発表3件のうちの2件の内容をお届けする予定です。

ソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'12 Tokyo」に参加しました

2012/02/20 8:15:54

 こんにちは、第3バイオリンです。

 先月末、日本最大のソフトウェアテストのシンポジウム「JaSST’12 Tokyo」に参加してきました。東京で開催されるJaSST(ジャスト、と呼びます)は去年、運営のお手伝いに行ってきたのですが(そのときの様子はこちらのコラムをどうぞ)、今年は一般の参加者として参加してきました。

 セッションの内容については、すでにいろいろなメディアで多くの記事が出ていますので、わたしはセッションとは違った部分に触れてみたいと思います。

■日時と場所

日時:1月25日~26日
場所:目黒雅叙園

■JaSSTは今年で10周年です

 今年(2012年)は、東京で初めてJaSSTが開催されてから、ちょうど10周年になります。そこで、全国の実行委員が中心となり、JaSST10周年記念誌を作成しました。

 この記念誌は、JaSSTを含めた日本のソフトウェアテスト10年の歴史を振り返る、というコンセプトに基づいています。内容は、これまでのJaSSTの基調講演・招待講演の登壇者からのメッセージ、各地域のJaSST実行委員長からのメッセージとJaSST開催の裏話、ソフトウェアテスト10年の歴史をさまざまな角度から振り返るコラム、全国の実行委員の座談会と、内容は盛りだくさんです。

 もちろん、わたしもJaSST新潟の実行委員長として寄稿しています。

 記念誌は冊子のほか、DVD版も頒布します。こちらのほうは、PDF形式の記念誌と、おまけのビデオメッセージが収録されています。

 10周年記念誌とDVDは、今年開催される各地域のJaSSTで頒布されます(もちろん、新潟でも)。詳細について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

■注目すべきはセッションのサブタイトル

 JaSST東京の特徴のひとつが、各セッションのサブタイトルです。毎年、時事ネタを盛り込みつつ、いろいろな意味でこだわり満載のサブタイトルはリピーターにとってひそかな楽しみとなっています。今年のサブタイトルの一部をご紹介します。

  • 僕と契約して、テスト少女になってよ
  • テストは最後にやればいい?だが断るっ!
  • こちらのTPPはTools for Purpose and People
  • バグバグモリモリ分析しましょ♪
  • ぽいぽいぽいぽえっくすぴーでアジャぽよぉ!

 ……いやあ。これ会社の出張で行く人は上司になんて説明するのか、思わず余計な心配をしてしまうほどのはじけっぷりです。

 シンポジウム、というと何だか堅苦しいイメージですが、そういったものを少しでも払拭して気軽に参加してもらいたい、という気持ちの表れなのだと思います。たぶん。

■情報交換会でバイオリンを演奏しました

 1日目の終わりには、情報交換会がありました。情報交換会は、参加者が食事をしながら交流をはかる場ですが、実はここでバイオリンを演奏させていただいたのです! 久々に「旅芸人コラムニスト」の本領発揮といったところでしょうか。

 きっかけは月に一度、東京で実施されるJaSST実行委員の会議でした。わたしは新潟からオンラインで参加していたのですが、そのときに「東京の実行委員にもバイオリンを弾く人がいる。よかったら情報交換会のときにふたりで合奏をしてみないか」というお話が出たのです。

 わたしは面白そうだと思い「いいですよ」と軽い気持ちでお返事しました。それから、その東京の実行委員の方と曲目とお互いの担当パートを決めて、それぞれ個人練習しました。言うまでもないことですが、合わせ練習ができたのは本番当日のみでした。セッションの合間をぬって、ふたりで練習しました。

 そして本番。多少のミスはありましたが、会場はおおいに盛り上がりました。演奏中は、わたしもとても楽しかったですし、終わってから大勢の方に「良かった」と言ってもらえて嬉しかったです。実はレポートサイトに演奏の写真が掲載されています。

 練習時間も少なくて大変でしたが、シンポジウムの情報交換会でバイオリン演奏、という、なかなか貴重な経験ができました。今回、基調講演をされたBj Rollisonさんにもお褒めの言葉をいただきました。音楽は国境を越えるって本当ですね。

■2日間を振り返って

 今回、10周年記念誌の原稿を執筆したときから思っていたことですが、実行委員の皆さんが準備から本番まで、本当に楽しんでいる様子が伝わりました。

 実行委員の方は、お仕事の合間をぬって委員の活動をしている方がほとんどです。本番前日に夜中まで小道具を手作りしたり、本番中も予期せぬ事態が発生したりすることもありますが、それをちっとも苦に思わず、むしろ楽しんでいる様子が伺えました。

 まず自分達が楽しんで、参加者にも一緒に楽しんでもらう。そういう意味では、まるで学園祭のようなノリですが、その中でも参加者のためにクオリティの高い知見を提供したいという強い想いを感じました。

 そんな東京からバトンを受け取り、わたしは新潟への帰路につきました。

■というわけで告知

 3月16日に、新潟で「JaSST’12 Niigata」を開催します。基調講演はシステムクリエイツ代表の清水吉男氏をお招きします。開催場所やプログラムなど、詳細は「JaSST'12 Niigata」のサイトをご覧ください。

@IT Special 注目企業
@IT Special ラーニング

エンジニアライフ 最新の投稿コラム

@IT自分戦略研究所 新着記事

エンジニアライフ スポンサー

コラムニスト プロフィール

第3バイオリン
開発と評価それぞれの立場を経験したエンジニア。
両者の架け橋になれるテストエンジニアを目指しています。

2012年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

バックナンバー

月間バックナンバー

検索

Powered by TypePad
- PR -
@IT Special 注目企業
インデックス

@IT Special ラーニング