テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

ソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'15 Niigata」開催レポート(その3)――さっきのセッションのご質問なあに?

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 こんにちは、第3バイオリンです。

 ソフトウェアテストシンポジウム「JaSST’15 Niigata」開催レポートもいよいよ最終回です。今回は、QAタイムと情報交換会の様子をお届けします。

■QAタイム「教えて! 秋山さん」

 今回は、ワークショップのあとでQAタイムを設けました。基調講演、ワークショップでもそれぞれ最後の数分間で質疑応答の時間を準備しましたが、そういう場面で意外と手が挙がらない、という光景を見かける方は多いと思います。こういう場合、決して質問がないわけではなく、なんとなく大勢の前で手を挙げづらい、気になることはあるもののどのように質問していいかわからない、という場合があります。また、そのときは気づかなくても後になって疑問が湧いてくる、ということもありえます。

 そのため、プログラムの最後に振り返りも兼ねてQAタイムを設けることにしました。もちろん、基調講演やワークショップに関する疑問のほかにも秋山さんに聞いてみたいこと、相談したいことがある方はどんどん質問してください、と声をかけたところ、多くの質問が寄せられました。それらを回答とあわせてご紹介します。

Q. 「禁則(仕様の上で、同時に選択できない部分。たとえばWordのフォントの文字飾りの「上付き」「下付き」など)の扱い方がわからない」
A. 「禁則は基本的に有則(仕様書に記載されている組合わせ)。禁則関係にある因子をまとめて一つの因子として他の因子に対して無則(仕様書にない組合わせ)の関係としてもよい。たとえば『上付き・下付き』を一つの因子として『ON・OFF』、『OFF・ON』、『OFF・OFF』の3つの水準とすれば禁則はなくなる」

Q. 「因子や水準の定義をどうやって決めたらいいのか。たとえば、仕様書に『ここが変わるとどうなる』など明確な記載がないときはどうやって判断すればいいのか」
A. 「仕様書に記載がないものは無則として扱う。だから仕様書を作る段階から有則、無則を明らかにして作りこまなくてはならない」

Q. 「最大値のテストについて。たとえば、『プリンタで100部の資料を印刷する』といったテストを実際にやるとなると時間と用紙をかなり消費する。最大値をなるべく減らしたい」
A. 「そもそも、最大値のテストが必要なのか。まずはそこから考える。たとえば、印刷のテストであれば印刷データのバッファの大きさの境目が怪しい。その境目でバグが出やすい組合わせテストには、異常値を含まないテストを実施する」

Q. 「エラー系の組合わせについて詳しく知りたい」
A. 「まずはエラー系の組合わせのみの表を作る。このとき正常系とは組合わせない。そして、エラーを回避するためのテストを実施する。例を挙げると、ロケットや人工衛星は宇宙線の影響でビット反転を起こすことがある。精密機器なので計算ミスはできないが、それでも限度がある。だから、2ヶ所同時にビット反転が起こったときは何とかするが3ヶ所以上同時に、となったときはもうどうにもならない、などの事情をステークホルダーに説明し、納得してもらう」

Q. 「アジャイル開発での妥当性確認はどのようにすればいいのか」
A. 「そもそも、要求がわかっている人でないと確認できない。もし開発者、テスト担当者が要求を理解していないということであれば、顧客をうまく巻き込むこと。もしそこがうまくいかない場合は、サイクルの長さが不適切である可能性がある」

 20分という短い時間でしたが、各セッションにちなんだ質問、現場のお悩みによる質問、さまざまな内容の質問が集まりました。プログラムの最後にあらためて参加者の皆様のご質問に回答できる時間を設けてよかったと思います。

■情報交換会

 本会の閉幕後は情報交換会です。場所を移して、お茶とお菓子をつまみながら遠く関西や東北からいらっしゃった方、他地域のJaSST実行委員の方ともたくさんお話できました。わたしにとって、普段なかなかお会いできない方々とお話できるのが情報交換会の楽しみのひとつです。

◇◇◇

 3回にわたってお送りした「JaSST’15 Niigata」開催レポートは以上でおしまいです。参加者の皆様、実行委員会の皆様、そして講演とワークショップをお引き受けくださった秋山さんに感謝いたします。また、最後までこの開催レポートを読んでくださった読者の皆様にもお礼申し上げます。


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