組み込み系システムに3年、オープン系システムに7年。徹夜がこたえるお年頃。独身貴族から平民へと降格したホリは、墓場へまっしぐらなのだろうか……。

人生において、仕事はちょっとしたスパイスにすぎない

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 2週間ほど日本を離れ、意図的に情報を遮断すると、あまりの急激な変化にとまどうのである。日本を出発する前は、新型インフルエンザの国内発症第1号がでるかでないかという状態だった。そのため空港での検疫はものすごいものがあった。

 帰ってくると、いつの間にか新型インフルエンザ発症数がカナダについで第4位。空港の検疫も簡単なアンケートを書くだけに変わっていた。出発前は新型インフルエンザに気をつけろと言われたのだが、日本にいるよりも海外にいたほうが安全だったのでは? なんて思うほどだ。

 帰りの機内で久しぶりに日本の新聞を読むと目新しいニュースばかりだ。下部の週刊誌の広告に書かれていた「ダウンタウン松ちゃんデキ婚」というのを見て、「まぁーた、週刊誌が適当なこと書いて」と思っていると、すべて事実であったり。今回は日本にいない間に、ずいぶんといろんなことがあったなぁという感じだ。

■日本人はマジメだ■

 2週間ほど日本をはなれると、通常の仕事モードに戻すのがずいぶんと大変なのだ。若干、現実逃避の気分がぬけきれておらず、仕事に行きたくなくなるのだ。さらに今回は、旅先の人々の人間性というか、仕事に対するスタンスを目の当たりにしているだけに、よりそのように思ってしまうのだ。

 あらためて思うのは、日本人がマジメだということだ。約束の時間はきっちり守るし、必要以上に相手に気を使う。仕事をしていないことに負い目を感じるほど、マジメに仕事をすることが美徳となっている。しかし、ぼくが行った某国は違っていた。

 国民性もあるのだろうが、すべてに楽観的だった。いきなり空港でロストバゲージしても「まぁ、そのうち出てくるから、とりあえずホテルの連絡先を教えてくれ」という感じだ。荷物が無事届いたのは2日後……。

 待ち合わせの時間に余裕で遅れてくるわ、頼んだ食事と違うメニューがでてきても。「ああ、悪い。じゃあ、それはサービスで今から作るから10分待ってくれ」という感じだ。最初は違和感をおぼえていたことも、だんだん慣れてくると、そのゆるさが心地よくなってくるのだ。

 仕事よりも人生を楽しむ生き方。土曜日に打ち合わせがあるなんていうと激怒するのだ。

 「土曜日は家族と過ごし、日曜日は教会へ行く日だ」

 仕事は人生に刺激を与えるスパイスにすぎない。スパイスのかけすぎは禁物、メインの味を壊してしまう。人生で大事なのは家族であり、趣味だという考え方だった。正直、かなりのカルチャーショックを受けた。これが成立するのもこの国だからだろう。なんだかうらやましくなってしまったのだ。

■帰りにひと波乱■

 この国のしきたりにも慣れたころ、帰りの空港でまた波乱が起きた。国際線ならば出発の2時間前には空港にいる日本人にとって、搭乗予定時間の40分前に搭乗ゲートが変わるのは勘弁してほしかった。

 搭乗予定時間の10分前になっても、ほとんど周りに人がおらず、不安になり、もう1度確認したからよかったものを。危うく飛行機に乗り遅れるところだったのだ。

 出社すると、時差ぼけ状態の男に、いきなり2週間前と同じフル稼働を要求された。ボケた頭の片すみには「移住したい」という思いが、当分こびりついてはなれなかったのである。

Comment(1)

コメント

uematsukun

その国教えて下さい!
国籍取ります。
私は毎日の仕事、人生に閉塞感、違和感を感じてます。
そんな国で生活してみたいです。

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