組み込み系システムに3年、オープン系システムに7年。徹夜がこたえるお年頃。独身貴族から平民へと降格したホリは、墓場へまっしぐらなのだろうか……。

想像力を鍛えろ!

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 もし、こうすれば、その結果としてどうなるのか。何か行動を起こすときは、多かれ少なかれ、誰もが何か想像することだろう。何かを発言するときや、コラムを書く場合も、どんな反応が返ってくるか、多少は想像するのである。

 奥さんと険悪な雰囲気になったとき、僕は想像力をフルに働かせるのである。

 “ここでこう言うと、さらに機嫌が悪くなって、明日は弁当なしかもしれない”

 “こう言えば、なんとか機嫌も直り、家庭も円満に……”

 想像力を働かせるということは、その後の出来事を良い方向へ導くために行うことだ。

 想像力の欠如は、現実であってもプロジェクトであっても好ましいことではない。

■プロジェクトでの想像力■

 プロジェクトをマネジメントする上で最も重要なことの1つに、この想像力がある。それはさまざまな形で関わってくることだ。

 プロジェクトの開始前に、どのようなリスクがあるか有識者を含めてレビューをする。これは、いわばどのような問題が起こりうるかを事前に想像することだ。未経験な領域では、経験者を交え、想像力を補完する。予想されうるリスクは事前に対策をうち、プロジェクトを成功へ導く架け橋とするのだ。

 プロジェクトのレベルまでいかなくても、個人のレベルでも想像力は重要だ。この処理をこうやって実装すると、その後、どんな弊害が起きるか。拡張性を考えるべきか、それとも影響度を少なくすべきか。想像力を働かせ、選択しなければならない。

■想像力の欠如から■

 ここ最近も想像力の欠如で危うく大失敗しそうになったことがある。それは、大阪のあるユーザーのシステム更新時のこと。

 FDでパッチをあてにいくという簡単な作業であったため、気楽なものだった。半分は観光気分もあったかもしれない。僕はFD1枚持って、現地へ赴いたのだ。

 実作業は実質5分。事前確認の打ち合わせを簡単に済ませ、いざマシン室へ。しかし、客先担当者に連れられて行った先には……。

 なんとサーバにはFDドライブがなかったのだ。客先には事前に伝えておいたのだが、FDドライブがない可能性は想像できなかった。代替手段もあることはあるが、システムとしてよろしくないということで、急遽、近所の電気店にUSBのFDドライブを買いに走った。

 FDドライブがないというのは、客先も認識していなかった。僕もそうだが、PCにはFDドライブ付きが当たり前と思っていた。最近のサーバはFDドライブがないということを失念していた。想定外だが、想像すれば、その可能性にも行き着いたはずだったのだ。

■ポーカーフェースは想像力の産物■

 どんなに想像力を働かせても、想定外の出来事というのは起きるものだ。そのとき、その人の本質的力が試されるのだ。あらゆるパターンを想像していれば、類似問題から解決のヒントを得ることができるかもしれない。

 予想外のことが起きると、内心ものすごくあたふたする。しかし、立場上、それは決して表に出さず、平然な顔をすることにしている。ポーカーフェイスだが、頭の中では打開策を類似問題から必死に模索しているのである。

 予想外な出来事を解決したときの爽快感はものすごいものがある。もちろん、緊張とプレッシャーでぐったり疲れきってしまうが、それは心地良い疲れだ。

■想定外■

 想像力を鍛え、神経を研ぎ澄まし、奥さんの逆鱗に触れない言葉を選ぶ。しかし、昨日までは安全地帯だったはずの場所(言葉)に、今日は突然地雷が埋め込まれているのだ。

 地雷を踏んだホリは、激しい爆発に巻き込まれ、部屋の隅に避難するしかない。夫婦の間では、時に想像力を超える出来事が起こるので注意が必要なのである。

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