組み込み系システムに3年、オープン系システムに7年。徹夜がこたえるお年頃。独身貴族から平民へと降格したホリは、墓場へまっしぐらなのだろうか……。

理系 vs 文系

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 去年、定年退職した上司はこう言ったのだ。

 「アセンブラの時代は良かった。プログラマという職業が誰でもなれるわけではなく、選ばれた者だけがなれる、ちょっとした職人だったからなぁ」

 プログラマが特別な職種だったのは、はるか昔。今は誰でも簡単にプログラマとなれる時代なのだ。プログラミング言語の発展。誰もが直感的にアプリケーションを作れる高機能な開発ツール。まさに、いたれりつくせりだ。

 今の時代、ITエンジニアが理系の特権であるはずもない。しかし、そうは言っても、職場は理系にあふれているのだ。僕自身も理系であり、周りも理系である。バブル期に入社した先輩の一部には文系も存在するが、すでにどっぷりと理系に毒されているのだ。

 ということで、僕の周りには文系がほとんど存在しないのである。

■理系夫と文系妻■

 うちの奥さんは文系だ。国語や英語が得意だから文系というわけではなく、数学や理科が嫌いだから文系になったという、生粋の理系嫌いである。理系アレルギーと言ってもよい。

 そんな理系アレルギーな文系と、理系にどっぷりつかった理系が一緒に生活するとどうなるのか。当然、さまざまな問題が発生するのである。結婚して約半年。一緒に生活して感じた理系と文系の違いを暴露したいのである。

1. 理系的 定義を決めたがる

 何かある話題で会話をしていたとき、意見が分かれることがあった。そのとき、お互いが話題としていることの基準がズレていたのだ。そのため、まず、根本的な定義をそろえようとすると……。

 「また理系はすぐそうやって……」

と言われてしまうのだ。

2. 理系的 しゃべり

 理系的しゃべりの典型? としてオタク的な印象があるのだろう。早口だったり、相手の意見を聞かずにまくし立てたり。我が道をいくしゃべりだ。しかし、それが喧嘩となると、文系的(?)もしくは女性的しゃべりに負けてしまう。理系的なしゃべりで相手を言い負かしても、その何倍ものすさまじさで、圧倒的な攻撃が待っているのである。

3. 理系的 分析

 ある日、2人で府中競馬場へ行った。お互い競馬は素人。何も分からず競馬新聞とにらめっこしながら根拠のない予想を繰り返していた。何レースか経験するうちに、理系は確率と統計を重視し、文系は直感(主に馬の名前など)を重視するのだ。そして、なぜか勝つのは文系である。

4. 理系的 本や映画の好み

 夫婦ともどもミステリー小説が好きだったりする。そこで、好みの作家が明らかに分かれるのだ。僕は理系作家と言われる人が好みだが、奥さんはその作家を毛嫌いする。

 そして、映画の好みも違うのだ。DVDをレンタルするとき選んだのを見て一言。

 「理系が好きそうな作品だね」

と言われるのだ。

5. 理系的 端的な返信

 ある日の奥さんのメール

 「今日の帰りに駅前のスーパーで○○か△△買ってきて。タイムサービスが10時半から始まるから。○○と△△は好きな方でいいよ。あと、何か食べたいものがあったら買ってきて良いよ」

 それに対するホリの返事。

 「了解」

 シンプルイズベスト! しかし、それが理系的だと言う。これは理系に限らず、男全般としてこうなのではないだろうか……。

 ここまで書いて、理系だからではなく、単純にホリの性格や好みだろうという意見もあるかもしれない。そう、まさに、そのとおりだ。

 理系だから、文系だからというのはない。タイトルに書いといてなんだが、結局はお互いの性格なのだ。理系でありながら、適当なところは超適当だし、奥さんは文系でありながら、ある面ではめちゃくちゃ数字に強かったりする(家計簿をつけるのが楽しいという)。

 結局は、理系文系関係ないという、詐欺のようなコラムなのである。

Comment(13)

コメント

としろう

最後の「詐欺のような」に笑った

理系文系とかいってるけど、馬の件は中途半端な理系の例だね

当日の体調ほか過去に比べ成長・劣化した部分など山ほどある
他のパラメータを無視しているから、
確率や統計とってもどこまで意味が有るかの判断を誤る

まあ、期待値で言えば基本マイナスと考えて
予想に余程の根拠・確信が無ければ賭けないのが真の理系なのだろうか?

自分は理系だと思っているのだが俺もあまり重要視しないものは超適当
でも、もやもやした疑問はやはりハッキリさせたいとして動く事も有る
文系科目が良くなかった意味でも理系だと思うんだがw

インドリ

そもそも理系/文系の分類なんて幻想、もしくは思い込みだと思います。

第3バイオリン

ホリさん

私は中学生のときに、理系と文系どちらに向いているか判断する適正テストを学校で受けたことがあります。得意なこと、興味があることについて回答し、関心があることと実際に向いていることが理系と文系どちらなのかを判定するテストでした。
5段階のうち、1に近い方が理系寄り、5に近い方が文系寄りというランク付で、私の結果は以下のとおりでした。

興味、関心:1
実際の適正:5

つまり、興味、関心は思いっきり理系だが、実際に向いているのは思いっきり文系ということです。なんて極端。当時は子供心になんじゃこりゃ?と思いました。
同時に、文系とか理系の区別っていったい何だろうとも考えてしまいました。

そんな私は大学ではバリバリの工学系に在籍しながら学生オーケストラで「のだめ」的青春を送りました。また修論では画像工学を専攻し、画集をスキャナで取り込んでは色見本と見比べていました。
今思えば適正テストの結果は妙に納得です。

父親が工業高校卒の文学青年という、やはり理系なのか文系なのかよくわからない人なので、その血を受け継いでいるのだと思います。

ホリ

皆様 コメントありがとうございます。

>としろうさん

>文系科目が良くなかった意味でも理系だと思うんだがw

消去法ですね。私も実は理系にも関わらず国語が得意だったという
エセ理系かもしれません。
理系的分析と言っても所詮素人。ただ、ガチガチの文系からしたら
確率で馬券を買うというのが理系に見えたみたいですね(笑)


>インドリさん

>そもそも理系/文系の分類なんて幻想、もしくは思い込みだと思います。

そうなんですよね。実はすべて思い込み。
血液型占いがそうであるように、思い込みによって成り立つべきことですね。
理系と思い込むことで、理系が好きになったりも…。


>第3バイオリンさん


>文系とか理系の区別っていったい何だろうとも考えてしまいました。

客観的指標はあるようで、ないですよね。

それにしても、第3バイオリンさんのようにはっきりと興味と適正が分かれる人も
珍しいですね。

私の場合、学校で、科目の成績からほぼ強制的に理系(数学と物理が得意)にされたような気が…。

今考えれば、別に文系でもよかったかな、なんて思います。

組長

こんにちはー。

ちょっと、自分の将来の結婚生活を妄想してしまいました・・・。笑
相手=理系タイプ
自分=文系タイプ

>数学や理科が嫌いだから文系になったという、生粋の理系嫌いである。理系アレルギーと言ってもよい。

はい。私もこのパターンです。なぜ自分がIT系の仕事をしているのか未だにサッパリ理解できません。笑

でも、『筋道を立てて物事を考える』とう思考パターンが仕事を始めてから身に付きました。

yuna

こんにちは。

いつも楽しく拝見させて頂いております。

コラムを読みながら、結局お互いの性格だよな~と
強く同感してしまいました。

というのも、うちは私はSE、彼はコンサル(元SE)という
一見どちらも理系っぽい組み合わせですが
出身は以下の通り。

私 ⇒ 理系 (理系の中の文系と呼ばれる生物系、特別数学や化学ができる必要なし)
彼 ⇒ 文系 (商学部でめちゃくちゃ数字に強い、職業柄とても論理的)

ホリさんと同じテーマで分類すると・・・

1.定義を決めたがる

  物事の白黒をはっきりさせたい ⇒ 私(理系)
  話し合い時のずれがゆるせない ⇒ 彼(文系)

2.理系的喋り

  論理的にわが道をゆく     ⇒ 彼(文系)
  感情的にまくしたてる     ⇒ 私(理系)
  (でもうちの場合ケンカは彼が勝つ)

3.分析

  二人して直観

4.本や映画の好み

  ジャンル問わず読みあさる   ⇒ 私(活字中毒)(理系)
  もっぱら実用書ばかり     ⇒ 彼(文系)

5.端的な返信

  内容をニュアンスまで含めて細かく書きたがる ⇒ 私(理系)
  必要事項だけ(基本的にメール=めんどくさい) ⇒ 彼(文系)
  (男女差??)


とまぁ、どちらともいえない結果に。。。
そこで、結局お互いの性格だよな~としみじみしてしまうのです。

でも、彼や男友達と一緒にいて感じるのは
理系、文系より男女の差。

女性なら「あるある~」と、簡単に分かってもらえるだろうことが、
どうしても理解してもらえないときがある。

そんなときには「男女の差は思うより大きい!!」と
びっくりしてしまう。

ホリさんもそんなことありませんか?

ホリ

>組長さん

コメントありがとうございます。

>ちょっと、自分の将来の結婚生活を妄想してしまいました・・・。笑

もともとあかの他人どうし、ただでさえ一緒に生活すると驚くことがある上に
理系と文系という違いによって、それも倍増しますよ(笑)

ただ、組長さんは理系を見慣れていると思うので
大丈夫ですかねw

ホリ

>yunaさん

コメントありがとうございます。

私のテーマで分析していただき、ありがとうございます。

うちとは逆パターンのようですが、yunaさんのおっしゃるとおり
理系文系より男女の違いの方が大きいですね。

私も男女の差を日々感じていますが、エンジニアライフということで
理系と文系で書いて見ました(笑)

男女で分析した場合、よりいろいろなパターンがでてきそうですね。
そのうち書こうかと思いますが、生々しくならない程度に
抑えて書くつもりですW

ほつたて

おつかれさまです。ほつたてと申します。
ちょうど「理系バカと文系バカ」という本を読んでいたところです。

高校の時に数学で(しかも初っ端の数Ⅰ)挫折してしまったので消去法的に文系にすすみました(*1)。学部は法です。

しかし、かつて幼少の砌は学研まんがひみつシリーズに始まり、公文出版の出していた科学雑誌、大学時代は食費を切り詰めて買いあさった(*2)中公新書や岩波新書、就職して10年になる今でも、目に付いたニュートンや何とかサイエンスや何とか新書を買いあさり(*3)、物理は分からないけど南部先生すげーと感心したり、陽子も崩壊しきっちゃう第200宇宙年に思いを馳せたり、鳥取大学と日立の技術者が走査電顕で80万倍を達成するに至った軌跡に泣いたり、ピロリ菌が胃の中で生存できる戦略とそれを進化させた根性に感嘆したりする、科学と技術に対する感動は今も忘れてはいません。(*4)

で、先述の本を読んで、理系・文系でカテゴライズして自分はどっちだーと妄想するより、両方の性質をバランスよく持てればいいじゃないかと思いましたが、

・計算 -> できない
・プログラム -> 読めるけどロジックが組めない
・文章(説明文とか) -> 分かりやすく説明しようとすると、ダラダラと長くなって分かりにくくなる
・会話 -> 続かない

振り返ってみると結局どっちのバカにもなりきれていない単なる中途半端なバカだと気づいてしまいました。

それを踏まえて皆さんのように自分と嫁の場合どうなるかと妄想してみましたが、

自分 -> バカ
嫁 -> 来ない

ところで、今度の連休は東尋坊にでも行こうと思います。

(*1) でも挫折したのが数学どころか古文・日本史・世界史・英文法その他全般だったことも思い出しました。
(*2) 考え無しに買いあさったらお金が無くなっただけです。
(*3) 経済観念は進歩していません。だから未だによm(*5)
(*4) 文学・芸術・思想だって人文科学、政治・経済だって社会科学といえば何だって科学(*6)と言っていいかと。文系も理系も分けること自体ナンセンスということかも。
(*5) 地方の本屋で背表紙が日に焼けたような本を見ると悲しい気持ちになりませんか? 陳腐化した製品(OSとかOfficeとか諸々)の解説書とか。紹介している学説が廃れて久しい科学書とか。奥付を見ると初版本なのに発行年が平成一桁とか昭和とか。
(*6) そもそも言い出しっぺの西周がもっと素敵な訳語を考えていれば、カセット効果というかうじゃうじゃ。

喰九郎

こんにちは,皆さん.

ちなみにわたしは自分の子供たちにこう教えています.
・世の中に文系などない
・理系であるか,理系おちこぼれであるか,だけである
・ゲージュツ系とか,タイイク・野獣系とかはあるかも?

やっぱり顰蹙ですかね?

なお教育のかいあって? 長男は先日理2に合格しました.
理1でないのが不満ですが…

ほつたて

>喰九郎さん
説明責任を果たした上であればいいんじゃないですか?
ところで、理1と2の違いってなんなんでしょうか...?

ホリ

>ほつたてさん

コメントありがとうございます。

読んでいて、思わず笑ってしまいました。

>(*5) 地方の本屋で背表紙が日に焼けたような本を見ると悲しい気持ちになりませんか?

確かに一瞬だけ思いますね(笑)

ただ、結局
「売れないモノをいつまでも置いとくのは合理的ではないね」
と考えてしまう理系です。

ホリ

>喰九郎さん

コメントありがとうございます。

>・理系であるか,理系おちこぼれであるか,だけである

いやぁ、極論ですねぇW
でも、こんな感じのコメントすきです。

コラムを書く上でも、批判覚悟で極論に走りたいんですけどね。
そうじゃないと、インパクトが…。

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