組み込み系システムに3年、オープン系システムに7年。徹夜がこたえるお年頃。独身貴族から平民へと降格したホリは、墓場へまっしぐらなのだろうか……。

ITのない生活

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 前回のコラムにあるように、パセリ状態でありながらもなんとか結婚式を無事に終え、国外逃亡に成功したのだが……。国外逃亡するにあたって、僕はある1つの決意を胸に秘め、出発したのである。それは何かというと……。

 ITを捨てる

 ということだ。厳密に言うと、自分の身の回りからなくすということだ。

■ITを捨てる理由■

 ノートパソコンはもちろんのこと、携帯も持たず、滞在先のホテルにたとえネット環境があったとしても指一本触れるつもりはなかった。

 携帯を持っていかないことについては上司から大ブーイングだったが、滞在先の(ホテルの)連絡先だけを知らせ、聞こえないふりをしたのである。

 なぜ、ITを捨てようと思ったのか? 現在の生活には欠かせないIT。当然僕自身にも深い関わり合いがある。仕事以外にも最新情報のチェックや、定期的に巡回するサイト。なかば強制的と感じるようになったSNSへのコメント登録。

 日々の生活には欠かせないものとなってはいるが、プライベートな時間をずいぶん圧迫していると感じ始めたのである。

 普通に日々の生活をしていれば、絶対に捨てることのできないIT。国外逃亡するこの機会をチャンスと思い、ここらでITから離れた生活をしてみるのも良いのではないかと思ったのである。

■欲求と戦いながら、20年前にタイムスリップ■

 さて、日本を離れ、ITのない生活がスタートしたのだが……。正直言うと、最初の2日は禁断症状のようなものが出始めたのだ。ニュースが気になり、巡回サイトの更新内容を見たくなる。SNSのコメントに返事をしなくていいのか? 何か事件は起きていないのか? などなど、一度思うと洪水のように欲求が押し寄せたのである。

 ホテルにはPCが設置された部屋があった。出発前の決意がなければ使っていたかもしれない。僕は根性で誓いを守り、PCに指一本触れることはなかった。

 そこにはPCよりも、もっと興味を惹かれるものがあったからだ。突き抜けるような青い空、透き通るような広い海。ホテルの目の前にキラキラ輝く海があれば、ネットのことなどすべて忘れてしまうのである。

 そうやって旅を満喫していると、ネットのことなど気にならなくなった。何か気になることがあればテレビではニュースもやっているし、新聞もある。よく考えれば20年前はみんなこんな生活をしていたのだ。なんだか子供の頃に戻ったような気分になった。ITがなければないで何とかなる。便利ではないが、代替手段はあるのだ。

■ITのある生活■

 ITを捨てた現実逃避の旅から帰ってきて1日は、まったくネットを見ることがなかった。ITのない生活に慣れていたのかもしれない。1週間ぶりに巡回サイトをのぞいてみると、大量に更新されていたが、それらすべてを見る気にはなれなかった。

 今の生活ではITは欠かせないものというイメージがあるが、なければないで、その環境に順応できてしまうものだ。この業界にいてこんなことを言うのもなんだが、ITのない生活は思いのほか良い。ITの恩恵は数え切れないほどあるが弊害もある。そして、意外になくてもなんとかなる。

 もちろん、見えない部分でITが重要な役割をはたしていることはわかっている。しかし、たまには無人島にいった気分になって、ITの無い生活も良いのではないだろうか。エコにもなるし、気分的にもリフレッシュになるような気がするのである。

 僕のように国外逃亡するチャンスがない人は、目の前のPCと携帯を窓から投げ捨ててはどうだろうか。強制的にITのない生活にはなるが、その後の生活がどうなるかは保障できない。当然、僕は他人事なので好き勝手なことを言うのである。

 続く

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