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人とAIの関係を考える① 私たちは、AIとどんな関係を築いているのか

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AIに話しかけるとき、私たちは何を求めているのでしょうか。

答えがほしい。
仕事を早く終わらせたい。
考えを整理したい。

でも、話しているうちに、求めているものが変わることもあるのではないでしょうか。

自分の考えが間違っていないか、確かめたい。
言葉にならないものを、一緒に言葉にしてほしい。
そして、ときには、ただ「そう感じているのですね」と受け止めてほしい。

私は今、何を求めて、この画面を開いたのだろう。

最近、人とAIの関係を考えながら、そんな問いが浮かびます。

機械だと知っている。それでも、気持ちは動く。

AIに「ありがとう」と言う。
的外れな返事に、いらっとする。
自分の事情を踏まえた言葉が返ってきて、ほっとする。

相手がAIだということは、わかっています。

それでも、返ってくる言葉によって、気持ちが変わる。
考えが進むこともあれば、自分の考えが正しいと、強く思うこともある。

Media Equationという研究があります。人はコンピュータに対しても、礼儀や互恵性など、人との関わりで身につけた反応を示すことがある。相手に感情があると思っていなくても、社会的な反応は生まれ得るというものです。

「機械だと知っている」というだけでは、自分の反応までは説明しきれません。

では、私は何に安心したのでしょうか。

返事の内容でしょうか。
丁寧な言葉でしょうか。
自分の話を遮らず、何度でも応じてくれることでしょうか。

「わかってくれた」と感じたとき、何が起きているのか。

うまく言えなかったことを、AIが言葉にしてくれる。

それを読んで、「そう。私が言いたかったのは、それ」と感じる。
自分の中にあったものが見えるようになり、少し楽になる。

その体験には、意味があると思います。

同時に、私はそこで何を受け取っているのか、立ち止まって考えたいのです。

理解されたという感覚。
受け入れられたという安心。
自分の考えを肯定してもらえたという手応え。

それらは、似ているようで違います。

自分にとって心地よい言葉だから、納得しているのかもしれない。
自分が伝えた範囲に沿った応答だから、「よくわかっている」と感じているのかもしれない。

私が話していないことは何だろう。
反対の見方は、十分に出ているだろうか。

対話の中で、自分の考えが開かれているのか。
それとも、いつの間にか、確かめたい答えに近づいているのか。

そこにも、気づいていたいと思います。

関係には、履歴がある。

最初は、文章を一つ直してもらうだけだった。

役に立ったので、次は仕事の相談をする。
少しずつ、自分の事情を話す。
また役に立つ応答が返ってくる。

その繰り返しの中で、「このAIなら」という期待が育つことがあります。

チャットボットとの関係を追った研究でも、自己開示や関係の育ち方には、大きな違いが見られています。

同じ言葉でも、誰から、どんなやり取りの後に言われるかで、受け止め方は変わるかもしれません。

だから、一つの応答だけを見ても、私とAIの関係はわからない。

これまで何を頼み、何を助けてもらい、何に失望したのか。
その積み重ねが、今の私の期待につながっています。

そして、その期待を持って、次の言葉を読んでいるのです。

私は、どんな関係を築いているのだろう。

このシリーズでは、人とAIの関係を、六つの側面から考えてみたいと思います。

・役割-何をしてもらう存在なのか
・広さ-生活や仕事の、どんな領域で関わっているのか
・深さ-どこまで個人的で重要なことを話しているのか
・信頼-何を根拠に、どの部分を頼っているのか
・委任-どこまで判断や実行を任せているのか
・過程-その関係は、どう始まり、変わってきたのか

これは、このシリーズで考えるための整理です。

よく使うこと。
親しく感じること。
信頼すること。
判断を任せること。

これらは連動することもありますが、同じものではありません。

話しやすいからこそ、相談できる。
でも、話しやすさだけでは、その助言が適切かどうかはわからない。

何度も役に立った経験がある。
でも、今、目の前にある判断については、何を確かめる必要があるだろう。

その違いを、自分は意識できているでしょうか。

AIとの対話は、自分の判断に気づく時間にもなる。

人間中心のサイバーセキュリティを考える中で、私は、判断するときの「自分の状態」を大切にしています。

急いでいる。
疲れている。
誰かに背中を押してほしい。
もう、これ以上考えたくない。

その状態でAIに話しかけるとき、私はどんな返事を待っているのでしょうか。

考えるために、問いかけているのか。
決めてもらいたいのか。
すでに決めたことに、賛成してほしいのか。

自分でも、はっきりしていないことがあると思います。

だからこそ、対話の途中に、小さな「間」をつくりたい。

今、少し安心した。
では、何に安心したのだろう。

今、この提案に従いたいと思った。
では、何を根拠に、そう思ったのだろう。

その問いが、自分の判断を見つめる入口になるかもしれません。

AIとどう関わるかを考えることは、自分が何を求め、何を信じ、どう決めているのかを見つめることでもあります。

私は今、何を期待して、AIに話しかけているのだろう。

次に画面を開いたとき、少しだけ、自分に聞いてみたいと思います。

次回は、人とAIの関係を捉える六つの側面について、もう少し詳しく考えます。

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