AI時代のキャリア-自分の強みに、何を掛けるか
第1回 AI時代のキャリアは「掛け算」?

娘の進路や、これからの私のキャリアを考えあぐねて、いろいろと調べてみた。
AIによって、どんな仕事が生まれているのだろう。娘は何を学んだらいいのか。そして私は、これまでやってきたことを、これからどう生かしていけばいいのか。
調べ始めたときは、新しい職業に目が向いていた。
AIを開発する人。AIを使ったサービスを企画する人。AIの出力を評価したり、使うためのルールを整えたりする人。人とAIが一緒に働く仕組みを考える人。
技術をつくる仕事もあれば、技術と現場をつなぐ仕事もある。そして、今ある仕事の中身も変わっていく。
情報を集める。整理する。文章を作る。分析する。説明する。意見を調整する。判断する。
一つの仕事に含まれる、こうした作業の一部をAIが支えるようになったら、仕事の進め方も変わる。そこで、しっくりきたのが「掛け算」という考え方だった。
培ってきたものと、AIを掛け合わせる
例えば、セキュリティとAI。
情報の整理や分析をAIに手伝ってもらいながら、何を見逃してはいけないか、どのリスクを優先するかを考える。
グローバルな経験とAIなら、翻訳にAIを使いながら、相手との前提の違いを捉え、何を確認し、どう合意をつくるかを考える。
そこで生きるのは、知識だけではない。
何を経験し、そこから何を学び、どう成長し、成熟してきたのか。そして、どんな判断力を培ってきたのか。
迷ったり、失敗したりしながら身につけてきたものが、AIに何を問い、その答えをどう使うかにつながっていく。
専門性、知識・経験 × AI活用 × 培ってきた判断力。
これまで培ってきたものを生かしながら、仕事の組み合わせ方を更新していく。自分の得意なことを、AIによって増幅させる。
私にとって、キャリアの「掛け算」は、そんなイメージだ。
今あるものから始めて、また積み重ねていく
これは、長く仕事をしてきた人だけの話ではない。
若い人にも、まだ専門性がない人にも、経験はある。勉強でつまずいたこと。友達との関係で悩んだこと。部活動で工夫したこと。
どんな人にも経験はある。その経験に何かを掛け合わせることで、誰かの困りごとの解決につながることがある。AIも、その一つなのだと思う。
例えば、自分に合う勉強法を見つけた経験を、AIと一緒に整理し、同じところで困っている人に伝えてみる。相手の反応から、伝わったことや、説明が足りなかったことを知る。それが、また新しい学びになる。
AIとの掛け算は、今あるものを生かして終わりではない。
自分の知識や経験をもとに、AIに問いを投げかける。返ってきたものを確かめ、手を加え、使えるかどうかを判断する。実際に使ってみた結果から、また学ぶ。
入力と出力、そして判断。その結果が、次の入力になる。
うまくいったことも、いかなかったことも、新しい経験になる。知識が増え、専門性が育ち、判断力も磨かれる。その自分が、またAIに問いを投げかける。
問いも変わる。答えを見る目も変わる。できる仕事も変わっていく。
同じところを回っているようで、経験も、知識も、判断力も積み重なっていく。
娘には娘の、私には私の出発点がある。
今ある経験や関心、培ってきたものから始めて、ここからまた、AIと一緒に経験を重ね、知識を増やし、専門性や判断力を育てていけばいい。
そう考えると、娘と話してみたいことも、自分で試してみたいことも出てくる。
次回は、この一歩をどう踏み出すか。年代を問わず、キャリアを育てるためにできることを考えてみたい。
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