AI時代のキャリア-自分の強みに、何を掛けるか②
第2回 AIという新しい楽器で、自分のキャリアを奏でていく
AIを使いこなすことは、新しい楽器を習うことに似ているのではないか。
娘の進路や、これからの私のキャリアを考えながら、ふと、そう思った。
使い方を読んだり、誰かが使っているのを見たりする。それも勉強になるけれど、自分で触ってみなければ、わからないことがある。
最初は、思うようにいかない。伝えたつもりなのに、違うものが返ってくる。聞き方を変えてみる。足りなかったことを伝える。もう一度、試してみる。
まずは、ちっちゃな実験から
何でもできるようになろうとすると、何から始めたらいいのかわからなくなる。
まずは、自分の身近なことで、一つ試してみればいいのだと思う。
例えば私なら、セキュリティについて繰り返し説明していることを、AIと一緒に一枚の資料にしてみる。
誰に、何を伝えたいのか。どこで迷いやすいのか。自分が知っていることを伝えて、返ってきたものを見てみる。
「ここは違う」
「この説明が足りない」
「こういう例があったほうが伝わりそう」
そうやって手を加える中で、自分が何を大切にして説明してきたのかにも気づく。
AIの使い方を覚えると同時に、自分の経験や判断を言葉にしているのかもしれない。
やってみて、わくわくしたら、もう少し続けてみる。苦しかったら、何が苦しかったのかを考えてみる。
難しすぎたのか。やり方が合わなかったのか。そもそも、自分がやりたいこととは違ったのか。
一度うまくいかなかっただけで、向いていないと決めなくてもいい。少し小さくしてみる。人に聞いてみる。やり方を変えてみる。
その立て直し方も、自分の経験になっていく。
出てきたものを、よく聴く
楽器なら、音が出たところで終わりにはならない。どんな音が出たのかを聴く。
AIも、答えが出たところで終わりにしないことが大切だと思う。
内容は正しいか。今の状況に合っているか。相手に伝わるか。そして、自分はその内容を理解し、説明できるか。
AIに作業を助けてもらいながら、その結果をどう使うかは、自分で考える。必要なら、人と話して確かめる。
作業を助けてもらえた分、考えることや、対話することに時間を使ってみる。足りない知識を学ぶ時間にしてもいい。
入力して、出力を受け取り、判断する。その結果から学び、また試す。
繰り返すたびに、自分の知識や専門性も、判断力も育てていきたい。
「間」をとることも忘れずに
AIからは、すぐに答えが返ってくる。
その速さにつられて、こちらもすぐに決め、すぐに送りたくなる。だからこそ、間をとることを忘れたくない。
これは本当に正しいかな。
何か見落としていないかな。
この言い方で、誰かを傷つけないかな。
使う前に根拠を確かめる。送る前に読み返す。AIに入力しようとしている情報も、ここに入れていいものか考える。
私は、こうした力も「サイバー判断力」だと思っている。
画面に出てきた情報をどう受け取り、何を確かめ、どう行動するか。わからなければ、誰かに聞く。判断がつかなければ、いったん止める。
焦っているときや、不安なときには、自分の気持ちにも気づいていたい。少し時間を置くことで、違って見えることもある。
試すことと、立ち止まること。その両方を持っていたい。
自分は、何を奏でたいのだろう
新しい楽器を習うように、AIに触れてみる。うまくいかないところを確かめ、少しずつ自分なりの使い方を育てていく。
何歳でも、今ある経験や関心から始められる。これまで培ってきたものを生かしながら、ここからまた学んでいけばいい。
娘には娘の、私には私の始め方がある。奏でたいものも、きっと違う。
私は、AIとどんな仕事をしていきたいのだろう。何に時間を使い、誰と関わり、どんなことを形にしていきたいのだろう。
AIという新しい楽器を習いながら、自分のキャリアを奏でていく。
まずは、ちっちゃな実験を一つ。
そして、途中で間をとることも忘れずに。
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