エンジニアからの転職~私が弁護士になるまで
みなさん初めまして! 弁護士の佐藤未央です。
このコラムでは、日々の業務を通じて感じたことや、エンジニアの皆さんにぜひ知っておいてもらいたい法律知識の解説などをお送りしていきたいと思っています。
今回は第1回目ですので、自己紹介として、わたしのプロフィールや現在担当している業務について簡単にご紹介します。
わたしが弁護士登録をしたのは2007年9月、今からちょうど1年ほど前です。この1年間は、1人で法廷に立つなど、初めて経験することばかりで、緊張したり悩んだりと、長いようであっという間の1年でした。
[弁護士になるまで]
そもそもわたしは、高校時代までを東北で過ごし、大学進学を機に東京に移り住み、大学では、政治経済学部で経済と政治を専攻しました。
大学を卒業後は、縁あってITエンジニアになりました。それまで特にコンピュータになじみがあったわけではなく、どちらかというとコンピュータはよく分からない…というタイプだったので、コンピュータについては当初はまったくちんぷんかんぷんで、社会人になってから少しずつ勉強しました。
弁護士になるまでに2つのIT関連会社で働いたのですが、最初はシステムインテグレーションサービスの提供やアプリケーションソフトの開発を主な事業内容とする会社に就職し、Visual Basicなどによるプログラミングを担当しました。
その会社でエンジニアとして2~3年ほど働いた頃でしょうか、ふとこれからの自分のキャリアについて考えました。
実は、子どもの頃、弁護士にほのかな憧れを抱いた時期があり、心のどこかにその思いが残っていました。また、司法試験にチャレンジするならやる気が沸いてきている今だとも思いました。そんないろいろな思いから、司法試験合格を目指す決心をしました。
そして、これと同時にIT系のベンチャー企業に転職し、仕事と受験勉強を両立する生活をスタートさせました。この会社ではWeb系のシステム開発に携わり、FLASHの制作や、ColdFusionを使った開発、データベース管理などを担当しました。
とはいえ、司法試験はやはり難しい試験で、一生懸命勉強したからといって、絶対に合格できる保証があるわけではありません。「もう10年以上も試験勉強をしている人を知ってる」などという話を聞き、自分がそんな生活に耐えられるのかと気が重くなる思いもしました。仕事をして、勉強をして、また仕事をして…。ひたすらその繰り返しの生活がどのくらい続くのか見当もつかず、先の不安を考えて眠れなくなる夜も何度もありました。そんなわたしがなんとか合格まで辿り着けたのは、信じて応援してくれた周囲の支えがあったからこそだと思います。
そして、2005年、ついに司法試験に合格し、司法修習生を経て昨年から弁護士としての生活をスタートさせました。
[今の仕事]
わたしの現在の業務は、株主総会や取締役会のアレンジ、新株発行のための法的手続といった会社法関連の業務と、契約書などの各種書類のドラフトやレビューが中心です。
現在所属している事務所がベンチャー企業の支援に力を注いでいることもあり、最近は、インド人や日本人の起業活動の支援などを目的とする「TiE Tokyo」の設立・運営のお手伝いなどもさせてもらっています。
ベンチャー企業で働いていたエンジニアの頃も、時々、労働関係の契約書やシステム開発業務請負契約書などの作成に携わってきましたが、今、弁護士になって、法律家の立場から契約書を見てみると、エンジニアの頃とは気になる部分も違ってきます。そういった視点も交え、次回からは、業務を通じてエンジニアの方から質問を受けた法律問題についての解説など、エンジニアの皆さんの業務に役立てていただける法律知識の情報発信をしていく予定です。よろしくお願いします。