自分の「日本語力」を客観的に診断できる「日本語検定」
こんにちは。前回のコラム執筆から再び間が空いてしまいました。地方では「いつ車を冬用タイヤに履き替えようか? 」という寒い時期になってきましたが、皆さまお元気でしょうか。
今回は、先日受験した「日本語検定」というものを、簡単なご紹介を兼ねてコメントしたいと思います。
■言葉の意味が正しく伝わらない
「自分/相手が話している意図がきちんと伝わらない!」「事実と事実でないことが正しく自分/相手に伝わらない!」こういった経験はありませんか?
書店に行くと文章の書き方や「分かりやすい表現の仕方」について書かれた本がたくさん並んでいます。この光景はわたしが社会人になったころから今に至るまで変わらないので、依然として何らかのコミュニケーションストレスが起きているのだと思います。
文章の書き方について解説した本がターゲットとしている「文章」とは、主に設計書や議事録などであり、これら文書の書き方をきちんと学んで現場で活用するのも必要と思います。
それ以前に、職場やプロジェクトで関わる人々との普段の会話の中で「話が通じてない!」と思うことがあります。日常やりとりしているコミュニケーションの中で、自分が意図したように周りに話が伝わっていない、もしくは人から聞いていた話の本当の意味が、自分が考えていた意味と異なっていたというケースです。
「なぜそういったことが起きているのだろう?」とそのときの経緯を振り返ってみると、分かりやすい/分かりにくいという以前に、日常的な言葉遣いについて正しく意味を理解して使っているか? という疑問がわきました。
■「日本語検定」試験
「日本語力を客観的に判断できる何か指標があればいいのに」と思っていたころ、社内の方から「日本語検定」というものがあることを教わりました。
日本語検定は、小学生から社会人までをターゲットにした日本語力を総合的に判断する検定試験です。日本語検定では、漢字といった特定分野だけでなく、敬語の正しい使い方や言葉の意味、正しい送り仮名の使い方など「日本語」の使い方について幅広く出題されます。
試験は年に2回、全国各地で開催。学生から社会人まで幅広く受験しやすい環境が用意されています。その他、試験制度の詳細やサンプル問題が、日本語検定のホームページに掲載されていますので、そちらをご確認ください。受験すると個人別に「カルテ」というものができ、試験結果だけでなく、自分の得手・不得手の領域をWeb上で確認できるようです。
■日本語検定を受けてみて、準備を(少しだけ)やってみて
先日、日本語検定試験があり、実際にわたしも受験してきました。地方で試験の認知度が低いためか、検定会場は10名程度が入るぐらいの小さな会議室でした。また、各級の受験者は数名ずつしかいませんでした。合否はまだ発表されていませんが、受験した感触からの結果は……ここではお答えできません(笑)。
日本語検定の試験準備をたくさんしたわけでもなく、受験経験もまだ1回しかありませんが、「発見」があった(個人的)エピソードを1つご紹介します。
市販されている日本語検定対策本などを読んでいて、言葉の意味として正しい使い方をしているのはどれか? という問題がありました。取り上げられていた言葉は「こだわる」でした。
CM・広告などでよく見かける文章として「原材料にこだわった○○○」「○○(店長や職人など権威のある方の)こだわりの○○○」というフレーズがあります。
しかし、「こだわり」のもともとの意味には、その人の個人的な都合であって周りの人間にとっては迷惑な行為であるといった意味も含まれているようなのです。つまり、「原材料にこだわった○○○」はその○○○を作った方の独りよがりであり、「○○こだわりの○○○」はその権威のある方が周りの話を聞かずに自分勝手に作ったものという意味を持っているのです。
自分が考えていた意味と(本来は)違う意味を持っていた言葉であるということを知り、解説を読んでいて目から鱗が落ちるような思いでした。
■日本人として受けて、合格しておきたいと感じた「日本語検定」
「ITの世界ではこんなのなくたって食っていける」という考えを持たれる方もいるかもしれません。実際に友人や職場の方々との間柄であれば、言葉遣いについてまったく意識しなくとも円滑に意思疎通できると思います。
しかし、初めて出会う方とコミュニケーションするときや、「1人の社会人」として周りの人と接するとき、たとえば挨拶から始まる日常会話においても、この検定試験で勉強したことが役立つのではないか、とわたしは考えています。
相手に不快な思いをさせないように、正しい日本語を知ったうえで会話をする。普段使っている言葉の持っている意味をきちんと理解して周りと話をする。日本語検定を受験したことで、まずそこから円満なコミュニケーションが始まるのだと強く感じました。
わたしも引き続き「正しい日本語」と「分かりやすい日本語」を使えるように勉強していきたいと思います。