冷たい方程式(19) 指揮官不在のチーム

2012/05/21 8:00:00

 幸いムツミさんは、めまいと貧血を起こしただけで、たいしたことはなかった。ただし真面目で責任感も強い彼女のことなので、自分の病状について過少申告している可能性は十分にある。寝不足、ストレス、少ない食事、プレッシャーなどなど、体調を崩す要因を、特売セールが開けるほど抱えているのだから。

 「とにかく、今日は帰ってゆっくり休みなよ」

 そういうあたしの勧告に、ムツミさんは素直にうなずき、ホライゾンチームのメンバーたちに何とかいくつかの指示を出した後、申しわけなさそうに開発室を出た。

 あたしは受付に電話して、タクシーを呼んでもらった。すぐ近くに営業所があるので、数分で到着するはずだ。エントランスまでムツミさんを送っていき、タクシーが来るまで付き添っていた。

 「サオリさん、ご迷惑をおかけしてすみません」ムツミさんはかすれた声でつぶやくように謝った。

 「いいから。疲労が出たんだよ、きっと。こっちのことは心配しないでね。明日も無理しなくていいから」

 「はい」

 ムツミさんがタクシーで帰っていった後、あたしはITマネジメント課に戻って、渕上マネージャに顛末を報告した。渕上マネージャは無表情でうなずいた。

 「今日は、君がホライゾンの人たちをフォローしたまえ」渕上マネージャはそう言うと受話器を取った。「私はホライゾンに人員の補充が可能かどうか聞いてみる」

 ――心配してるフリぐらいすればいいのに

 あたしはむかっ腹をたてながら、臨時開発室へ向かった。ドアを開けると、3人のホライゾンメンバーが一カ所に固まって、何やらヒソヒソ話をしていたが、あたしの顔を見ると、慌てて各自の席に散っていった。

 中坊か、こいつらは、と思いつつ、あたしは笑顔を作って話しかけた。

 「皆さん、自分のタスクについては分かっていますか?」

 彼らは顔を見合わせたが、1人がおずおずとあたしを見た。

 「担当のタスクはありますが……」

 発言したのは、みたところ一番年長に見える男性だ。年長といっても、せいぜい25、6歳といったところだろう。臨時入館証の名前は近藤となっている。

 「じゃあ、今日はそれを続けてください。何か問題点がある場合は、私か、いなければ亀井に聞いてください」

 3人はそれぞれうなずくと、不安そうな視線を交わしながらも、それぞれの担当作業に戻っていった。あたしはそれを確認すると臨時開発室を出た。

 自席に戻ると、亀井くんが心配そうな顔で寄ってきた。

 「片寄さん、大丈夫ですか?」

 「まあ、自分で歩いてたし、熱もないようだったから、たいしたことはないと思うけど」

 「そうですか」亀井くんはそわそわしていた。「お見舞いに行った方がいいですかね」

 「あんたねえ」あたしは亀井くんを睨んだ。「1人暮らしの女性の家に何しにいくつもり?」

 「でも心配じゃないですか。1人で熱出して倒れてたらどうするんですか。先輩、心配じゃないんですか?」

 「心配だけど、私たちの出る幕じゃないでしょ。ホライゾンシステムの方でどうにかするだろうし」あたしは、あえて冷たく突き放した。「いいから、仕事しろ」

 渋々、亀井くんは仕事に戻った。

 あたしもやりかけのシフト管理機能の設計を続けたが、1分も経たないうちに、ホライゾンチームのメンバーが入ってきて中断させられた。さっき、ムツミさんが倒れたことを告げに来た男性だ。

 「あの、よろしいでしょうか」

 早速来たか。あたしは笑顔で応じた。

 「なんでしょう」

 「社員権限マスタメンテ画面をやってるんですが、上位職位の勤怠情報の参照権限がうまく出ないんですけど」

 あたしは意味がよく分からず相手の顔を見た。胸にぶらさげている臨時入館証には「鈴木」と印刷されている。

 「うまく出ないって、どういう意味ですか?」あたしは社員権限マスタのレイアウトを思い浮かべながら聞き返した。「選択肢が画面に表示されないということ?」

 「ラジオボタンが表示されなくて……」

 「ラジオボタンが?」ひょっとして選択肢データが、テーブルにないんだろうか。「選択肢データのレコードは?」

 返ってきたのは沈黙だけだった。

 「まあいいか。ちょっと見ましょうか」

 あたしは先に立って臨時開発室に入った。残りの2人に「おつかれさま」とあいさつしつつ、鈴木くんの席に座った。

 まず、teratermを起動して、DBサーバにpostgresユーザーでログインした。psql でデータベースを開き、選択肢データをselectしてみた。

Psql

 「うん。データはちゃんとありますね」あたしはつぶやいた。鈴木くんは、背後霊のようにあたしの後ろに立って、遠慮がちにモニタを覗き込んでいる。

 あたしは、DBサーバからログアウトしてから、Eclipseに切り替え、メンテナンス画面のHTMLソースを開いた。とたんにため息が出た。

Html191

 「ああ、これじゃ出ないですね」あたしはマウスで、該当行を反転表示させた。「ラジオボタンの場合は、radio に直接id を振るんじゃなくて、その外側のspanタグにidを振らないと」

 「あ、そうなんですか」相手は感心したように言った。「知らなかったです」

 「え?」あたしは愕然として椅子ごと振り向いた。「知らない? 今頃?」

 「はあ……」

 あたしは呆然と相手を見た。

 「本当に知らないの?」笑顔も丁寧語も忘れて、念のために確認してみたが、鈴木くんはこくこくとうなずくだけだった。あたしは言い様のない脱力感に襲われた。

 ――単なるケアレスミスじゃなかったのかよ

 「え、ちょっと待って。ラジオボタンがある画面は、これだけじゃないよね。これまで、どうやってたの?」

 「ええと……」鈴木くんはうろたえたように視線をキョロキョロとさまよわせた。「普通にタグに書いて……」

 「普通って……ちょっと、前に作った画面のHTMLを何でもいいから開いてみてくれる?」

 あたしは席を譲って、後ろに立った。

 鈴木くんは不安そうにあたしを一瞥すると、マウスでHTMLテンプレートの1つを選んで表示した。休憩時間設定マスタのメンテナンス画面だ。この画面にも複数の項目で、ラジオボタンを使用していて、その選択肢はテーブルから取得しているはず。

 HTMLテンプレートは正しく記述されていた。一応、対応するPageクラスに切り替えてみたが、正しく定義されている。

Page192

 「ちゃんとできてるじゃない」あたしはソースを指した。「これと同じようにやれば出るはずだけど」

 「あ、そうですか」鈴木くんは安心したような笑顔になった。「じゃあ、それでやってみます」

 あたしはうなずいて戻ろうとしたが、何かが引っかかった。

 「一応聞くけど」あたしはドアのところで、顔だけ振り向いて聞いた。「今のソースは、鈴木さんが書いたソースだよね?」

 「はい。半分ぐらいですけど」

 ――半分?

 あたしは戻るのを中断して、向き直った。

 「半分って、残りの半分は誰が書いたの?」

 「片寄先輩ですけど……」それがどうかしたか、という顔だ。

 「ちょっともう1回見せて」

 あたしは鈴木くんを押しのけるように座ると、バージョン管理システムからソースの変更履歴を呼び出した。1日に3回コミットすること、という、渕上マネージャが決めたルールは厳密に守られているようで、所定の時刻に更新されている。適当に2日前ぐらいのHTMLソースを開いてみた。

Html193

 これでは、HTML上の値を表示しているだけだ。idも振ってないので、Pageクラスとの関連付けがない。

 その数回後の変更履歴を開くと、

Html194

 と正しくコーディングされている。その最終更新者はムツミさんのユーザーになっていた。

 「そういうこと……」あたしは小声でつぶやいた。

 どういうことか、わかってきた気がする。

 この3名は、Teedaをほとんど理解できていない。idの意味も、Pageクラスの意味も分からないまま実装していたんだろう。

 おそらくムツミさんは、というか、ホライゾンシステムは、このプロジェクトにアサインした開発要員に、十分な事前教育を受けさせることができなかったんじゃないだろうか。それとも、他の開発案件に要員を取られてしまったのか、それはホライゾンシステムの内部事情なので分からないけど。それでも、対外的には、つまり、うちに対しては、ムツミさんをリーダーとする数名は、みなTeeda ができることにして開発を進めていた。

 最初は、それでもうまく進んでいたのだと思う。ムツミさんがうまく割り振って、他のメンバーにはpure javaの範囲で済むようなロジック部分を実装させる。ムツミさん自身は、それらを片っ端からTeeda仕様に適合させていく、という方法で。要するに、ムツミさんがフィルタリングすることによって、各メンバーがそれぞれの画面を実装しているように見せかけていたわけだ。

 ――そりゃ寝る時間なくなるわ

 あたしは思わずうなった。3人のホライゾンメンバーの顔に、一様に不安そうな表情が浮かぶのが見えたが、それを気にかけているどころではなかった。

 ――これはちょっとまずいなあ

 これが渕上マネージャにわかったら、どういう事態になるんだろうか。頭から湯気を出して怒り狂う、というのは、ちょっと想像できない。むしろ、冷酷にホライゾンシステムにペナルティを課す、という方がありそうだ。取りあえず、このことは黙っていることにした。

 「ちょっと聞きたいんだけど」あたしは鈴木くんに、というより3人全員に向かって聞いた。「今まで、ホライゾンシステムさんでは、どういう開発方法を取ってきたの?」

 「どんなと言われても……」鈴木くんは困惑した表情を浮かべていた。

 「えーと、SuperControllerというのがあるんです」近藤くんが答えた。「社長が昔作ったらしいんですけど。それを使って開発してました」

 「SuperController? なに、それ?」

 そのメンバーがたどたどしく説明してくれたところによると、1つのサーブレットに対して、パラメータによって画面を遷移させる仕組みがあるらしい。例えば、gamenKey=A01&action=C011 のように。これによって、プロパティファイルに定義したクラスがロードされ、実行され、結果が返される。結果によって遷移先が決まるようだ。

 最初に八木社長が独自のフレームワークを使わせてくれ、と言っていたのは、これのことだったのだろうか。

 「何しろ、ずっとそればかりでしたから、SeasarとかTeedaなんて初めてやりました」

 「なるほどね」

 ひょっとすると、このいかにも頼りなさそうな3人も、そのSuperControllerとやらを使って開発を行う分には、十分、優秀なのかもしれない。八木社長があれだけ安い見積もりを提示できたのも、SuperControllerを使う、というもくろみがあってのことだったということなのか。

 あたしは、途方に暮れて3人の顔を見たが、そこに見いだしたのは、同じように途方に暮れている顔だった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

冷たい方程式(18) 第2の協力会社

2012/05/14 8:00:00

 11月も最後の週になり、空気がすっかり冷たくなってきた。

 ホライゾンチームには、新たなメンバーが補充され、表面上は小川くんのドロップアウトをリカバリして、何事もなかったように開発を進めていた。新メンバーの若い男性は、そわそわと落ち着きがなく、やたらに視線をさまよわせ、初対面での挨拶の声はボソボソとしていて、内容の半分も聞き取れなかった。髪や服装もどことなく締まりがない。単なる偏見かもしれないが、プログラミングなどという俗世の雑事よりも、メイドさんの絶対領域を観察することが人生における最重要事項です、という顔をしている気がする。ムツミさんが後でこっそり耳打ちしてくれたところによると、数日前に採用したばかりの「フレッシュな」人材だそうだ。

 ランチの時、ムツミさんはため息をつくことが多くなってきていた。それは彼女の就寝時間とも無関係ではないだろう。最近では、午前3時を過ぎることがあたりまえになってきているようだ。しかも、6時には起床して、自分の会社に一度出社し、8時30分まで仕事をしてから、うちに来ている。あたしたちは土日は出社していないが、ホライゾンチームは、土日祝日関係なく、実装を行っているらしい。

 それだけ必死になっていても、ホライゾンレーンのタスクは減っていかなかった。メンバーが少しは慣れてきたのか、減少する速度が上がってはいるのだけど、それを上回るペースで渕上マネージャが新しいタスクを追加していて、収支はわずかだがプラスに傾きつつある。

 八木社長も、週に1度は顔を見せていた。正確には、渕上マネージャに呼びつけられて、スケジュール遅延の申し開きをさせられた後、開発室に差し入れなどをしているのだったけれど。

 ある日、八木社長が13時過ぎに来社してきたので、あたしたちは3人でランチに行った。あたしはシンプルにアサリのパスタとサラダを選んだ。八木社長は典型的なやせの大食いのようで、日替わり定食のライス大盛りと、ワカサギのマリネの小鉢、ちくわと厚揚げの煮物を取った。対照的に食欲がないらしいムツミさんは、ツナサラダとヨーグルトだけだ。

 「参りましたよ」八木社長は顔をしかめていた。「渕上さんに言われてしまいました。スケジュールが遅れているのは、うちの実装のレベルが低いためだそうです」

 そうこぼしながらも、旺盛な食欲を見せて次々に料理を口に運んでいる。口で言うほど参っているわけでもなさそうだ。参りましたよ、なんて言っているのも、一種の営業的なポーズにすぎないのだろう。こういう図太さがなければ、小さいとはいえ、会社を率いていくことなんかできないのかもしれない。

 対照的に根が真面目なムツミさんは、実装のレベルが低い、と言われたことに、ちょっとショックを受けた様子だった。食事の手が完全に止まってしまっている。

 「私はそんなことを思っていませんから」あたしがそう言ったのは、図太い八木社長にというより、真面目なムツミさんに向かってだった。

 「はい、分かってますよ。私もうちに技術力がないとは思いたくないですから。まあ、スケジュールが遅れているのは事実なんですから、渕上マネージャの言いたいことも分かります」

 「すいません」思わずあたしは謝った。

 「いえいえ、日比野さんのせいじゃありませんから」八木社長はすべての皿をきれいにすると箸を置いた。「お茶を持ってきますね」

 「あ、すみません」

 八木社長は気軽に立ち上がると、壁際のティーサーバに向かった。

 「私たち、全力を尽くしているつもりなんですけど」ムツミさんがポツリとつぶやいた。「そうは見てもらえてないんですかね」

 「ほら、あの人はああいう人だから」と、あたしはあいまいな言葉を返した。「あまり気にしない方がいいよ」

 「分かっているんですけど……」

 ムツミさんは、ようやくつましい食事を再開した。あたしは聞こえないように、心の中でため息をついた。

 口ではああ言ったものの、実のところ、渕上マネージャの指摘も部分的に的を射ている。ムツミさんはともかく、追加で投入されたホライゾンチームのスキルは、あまり高くない。というか、はっきり言って低い。

 ムツミさんは、まずまず平均以上のスキルを持つプログラマだと思うのだけど、チームメンバーのサポートに時間を取られすぎていて、せっかくの腕を生かし切れていない。以前は、ムツミさんがおおまかにユースケースを分類し、必要となるインターフェイスを定義した上で、指揮下のメンバーに指示をしていたらしい。渡されたプログラマは、自分の担当するメソッドのみ実装すればいいので、余計なことを考えずに実装に集中できたわけだ。

 今現在、渕上マネージャが無節操に増産しているタスクは、そのほとんどが1つの画面単位になっている。つまり、タスクを割り当てられた担当者は、1つの画面に対して、最初から最後まで考えなければならず、経験もスキルも少ないホライゾンチームのメンバーには、やや荷が重い作業といえた。ムツミさんの身を削るようなサポートがなければ、完了までに数日の遅れではきかないかもしれない。

 渕上マネージャが、ただのマネジメントの悪魔というだけだったら、ごまかしようはいくらでもあったかもしれないが、あいにくそれなりのプログラミングの経験は、確かに持っているようだった。それに加えて、PMとして横浜にやってくる前に、オブジェクト指向やデザインパターンの本を、相当数読んでいたらしい。おかげで、実装面でも細かい指摘が入る。やりにくいこと、この上ない。

 3つの湯飲みを器用に両手で抱えて、八木社長が戻ってきた。暖かい緑茶をあたしたちに配ると、座りながら言った。

 「ああ、そういえば、もう一社、協力会社に参加してもらうそうですね。どんな会社ですか?」

 「は?」そんな話は初耳だ。「なんのことですか?」

 「あれ、ご存じなかったですか」八木社長は首をかしげた。「さっき、渕上さんがおっしゃっていましたが」

 「新しい協力会社ですか。それは、つまり、ホライゾンさんと担当を分け合うということですか?」

 そう聞いたのは、ホライゾンシステムにしてみれば、パイの取り分が減るわけなのに、八木社長はさほど気にしていないように見えたからだ。

 「いえいえ、そうではないようですよ。日比野さんがやっているシフト管理機能を担当するんですって」

 「ああ、あれですか」

 そういえば、渕上マネージャが「何とかする」とか言っていたことを思い出した。「何とか」って何だろうと不思議に思っていたのだけど、第2の協力会社がその答えだったわけだ。

 それにしても、どこからそんな予算をひねり出したのだろう。コストカッターの異名を持つわりには、湯水のように金を使っている気がする。

 「そちらも大変みたいですね」八木社長はお茶をすすりながら、ちょっと悔しそうに苦笑した。「ほんとは、シフト管理もうちがやれたらよかったんですけどねえ。片寄から話は聞いてたんで、渕上マネージャにはアプローチしてたんですけど」

 疲労が蓄積しているらしいムツミさんは、ランチのときでさえ口数が少なくなりつつあったが、その言葉の端々から推測すると、実装を行っているのは、うちに常駐しているメンバー以外にもいるらしい。はっきり語らなかったが、どうやらホライゾンシステムの正社員ではなく、臨時のアルバイトくんのようだ。今回、補充されたメンバーもその中の1人だったのだろう。

 そこまでしても、なお完全にこなしきれずに、指の間からこぼれ落ちるほどのタスクを抱え込んでいるホライゾンシステムに、これ以上の負荷をかけるのは無理だろう、とあたしも思う。勤怠管理システム本体のクオリティを落とすことになりかねない。

 「まあ、2次開発とか、機能追加とかで、またお役に立てれば、と思います」八木社長はぺこりと頭を下げた。「そのときは、よろしくお願いします」

 「そうですね」次があればね、とは口にしなかった。

 

 次の日の朝、あたしは渕上マネージャから、新しい協力会社のことを聞かされた。八木社長から聞いていたので、もちろん驚くことはなかったが、どんな会社なのかには興味がある。

 「なんという会社ですか?」

 「サードアイシステムだ」

 聞いたことはなかった。大手、準大手ではないのだろう。

 「どこの会社ですか?」

 「横浜市内だ」渕上マネージャは時計を見た。「10時に営業と技術担当が打ち合わせに来る。君も同席したまえ」

 「分かりました」前もって言っておいてくれればいいのに、と思いながら答えた。「何か資料とかいりますか?」

 「必要なものは事前に渡してある。名刺だけでいい。必要だと思うものは、自分で考えて持参したまえ」

 10時まで、あと30分ほどある。あたしは、サードアイシステムをネットで検索してみた。

 Webサイトのデザインはしっかりしている。Chromeでも問題なく開くし、必要以上に華美に走らず、過不足なく事業内容などがまとまっていた。

 実績のあるOSや言語も一通り揃っている。TeedaやSAStruts、Springといった、各種フレームワークの実績があるのは安心感があった。所在地は横浜市内で、K自動車関連案件の受注実績も多い。

 少なくともホームページから判断する限りでは、まあまともな会社に見えた。選定、という段階ではないので、まともでなくてもどうしようもないのだけど。

 そうしているうちに、受付からサードアイシステム株式会社2名の来社が告げられた。あたしは、開発資料一式と名刺入れを持ち、渕上マネージャの後について応接室に向かった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 1時間足らずの打ち合わせを終えて席に戻ると、亀井くんが興味津々で聞いてきた。

 「どうでした?」

 「うん。なかなか優秀な会社だと思ったよ」

 あたしは正直に答えた。

 渕上マネージャが選定した、ということで、最初から色眼鏡で見てしまっていたのだけど、顔を合わせて話してみると、技術担当の東海林さんという人は、しっかりとした技術基盤と、豊富な経験を持ったエンジニアだと分かった。いい加減なエンジニアがありがちな知ったかぶりをすることもなければ、ユーザー企業の社内SEということであたしを見下すようなこともない。ムツミさんたちには悪いが、本来選定すべきは、こういう会社だった気がする。

 どういう経緯で今回の案件に参加することになったのか、詳しいことは分からなかったが、渕上マネージャとの会話の端々から判断するに、K自動車のシステム部経由で紹介されたようだった。

 あたしは簡単にシフト管理機能の説明を行ったが、東海林さんは工数がかかりそうな部分について、正直に「2月にはちょっと難しいと思いますが」と答えた。ホライゾンの八木社長なら、「大丈夫ですよ」と安請け合いするところだ。

 ただ、技術者としてのこだわりが強すぎるのか、あたしがサンプルとして渡したコードの一部を見て、「ちょっと例外の処理が雑ですね。全部、Exceptionで受けちゃうのはどうかと思いますね」とか、「このselect文、実行計画、ちゃんと読んでいますか? これだとたぶん、PositionMaster がSeq Scanになっちゃいますよ」などと、ずけずけと指摘してくるのには、ちょっと鼻白んでしまった。同行していた黒野さんという営業マンも、ハラハラしていた。この人をリーダーとして開発をするなら安心感があっていいのかもしれないけど、仕事をお願いする立場としては苦労しそうだなあ、と感じた。だから、常駐ではない、ということを聞いて、ちょっと安心した。

 すでに渕上マネージャと合意しているのか、費用面についての話は出なかった。ソースやテストデータの授受方法や、週に1回、進捗報告に出向いてもらう、というようなことを取り決め、打ち合わせは終わった。

 「そっか。常駐じゃないんですね」

 「それがどうかした?」

 「いや、可愛い女の子とか来ないかな、と思って」

 あたしはあきれて亀井くんを見た。ムツミさんは、例によってメンバーのサポートのため離席中だった。

 「あんた、ムツミさんのファンじゃなかったの?」

 「もちろんそうですよ。でも、華やかになるじゃないですか。女の子が増えると」

 「あーそー」あたしは冷たく言った。「悪かったわね。華がなくて」

 「誰も日比野さんに華がないとは……」

 そのとき、ITマネジメント課のドアが開き、誰かが慌ただしく駆け込んできた。何事かとそちらを見ると、顔中をパニックにした若い男性が駆け寄ってくる。名前は忘れてしまったが、ホライゾンチームの1人だ。

 「すすすすいません!」彼は焦って叫ぶように言った。「片寄さんが、片寄が急に倒れて……」

 最後まで聞かないうちに、あたしは立ち上がったが、亀井くんの方が一足早く、真っ青になって飛び出していった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

冷たい方程式(17) 最初の脱落者

2012/05/07 8:00:00

 11月第3週。

 タスクボードのタスクの減少度は、微々たるもので、スケジュールは次第に遅れが目立つようになっていた。それと比例するように悪くなっているのは、ムツミさんの顔色だった。

 ホライゾンシステムから送り込まれてきた追加の3名の開発要員たちが、八木社長が保証したような優秀なベテランなどではなく、新人に毛が生えたようなレベルであることは、日をおかずに明らかになった。言語レベルでのJavaの知識は問題ないといえるかもしれないけど、Teedaどころか、そもそもWebアプリケーションという仕組み自体が、よく理解できていないようだ。一度、たまたま彼らの1人がムツミさんに「結局、サーブレットってどういうものなんですか」と真剣な顔で質問しているのを耳にして、思わず笑ってしまった後、ぞっとした。

 そんな事情を一顧だにせず、渕上マネージャは、ムツミさんと、その他3名を公平に扱った。タスクボードのホライゾンシステムレーンに貼り付けられるタスクの量は、あたしや亀井くんのそれに対して、正確に4倍だった。ムツミさんは、ひっきりなしに臨時開発室に足を運び、懸命にフォローしていたのだが、そのおかげで自分のタスクを消化する時間が、ほとんど取れなかった。

 1日おきの進捗報告が、相変わらず実施されていたことも、ムツミさんの負荷増大に拍車をかけた。ムツミさんは自分の持ち分の他に、指揮下の3名の報告にも同席していたので、持ち時間はますます減った。日によっては、1行のコードさえ書くことなく、18時に空しく引き上げていくこともあった。

 見かねたあたしは、再び磯貝課長に訴えてみた。

 「いくらなんでも、あれでは気の毒すぎます。何とかしてあげてください」

 磯貝課長も、さすがにムツミさんの置かれている状況を憂慮していたらしく、いつものように「そう言われてもねえ……」とは言わなかった。

 「ぼくも気の毒だとは思うけどねえ。日比野くんは、どうしたらいいと思う?」

 「せめて進捗報告を週に一度にするとか、スキルに合わせてタスクを減らすとか、何かあるんじゃないですか?」

 「まあ、一応、言ってみようかね」

 気乗り薄げな顔で、磯貝課長は渕上マネージャに進言し、2分で玉砕してきた。

 「考えてみる、って一言で終わっちゃったよ」

 ほんとに頼りにならんな、この人は。

 そう思っていたら、次の日、渕上マネージャは全員を集めた。

 「本日より進捗報告のやり方を変える」

 おお。あたしは、磯貝課長を少し見直した。渕上マネージャは本当に考えてみたらしい。

 「これまで、月、水、金で行っていた進捗報告を、毎日に変更する」

 「は?」あたしは思わず聞き返した。「毎日ですか?」

 「毎日といっても、日比野くん、亀井くん、片寄さんの進捗報告は、これまで通り月、水、金だ。火曜日と木曜日は、ホライゾンチーム3人の進捗報告にあてることとする」

 これが考えてみた結果らしい。ムツミさんの負担は、月曜、水曜、金曜については減る――というか元に戻る――ことになるが、その分が火曜、木曜に分散するだけだ。あまり意味がある措置とは思えない。

 ムツミさんも釈然としない顔をしている。毎日、進捗報告があるというのは、それだけ渕上マネージャと会話する時間が増える。決してうれしいことではないだろう。

 「それから、タスクの消化率が良くない」渕上マネージャは、タスクボードをコツンと指で叩いた。「とても良くない。各自、ペースを上げること」

――だから、それはあなたの過剰なマネジメントのせいだよ

 「特にホライゾンチームがよくない。平均して、見込みの1.5倍から2倍の時間を費やしている。片寄さん、しっかり指導するようにお願いしたい」

 「はあ……」ムツミさんは小さく答えた。

 「以上だ」

 

 ホライゾンチームの3名とは、最初に顔を合わせただけで、ほとんど言葉を交わす機会がなかった。だから、顔と名前は何日経っても一致しなかったし、どういう性格なのか、どの程度のスキルを持っているのかも、よく分からなかった。もっとも、ムツミさんが、1日の相当の時間を費やしてサポートしていることから、おおよその想像はついていたのだけど。

 進捗報告が連日に変更になってから数日後、あたしはテーブルの変更を伝えるために臨時開発室に足を向けた。いつもなら、隣の席のムツミさんにテーブル設計書を渡すのだけど、今日は、後輩たちのサポートが難航しているらしく、もう2時間以上も自分の席に戻ってきていなかった。

 開発室の前に立ったとき、中から強い口調の声が響き、あたしは思わず足を止めた。

 『こんなのやってられませんよ!』

 どうやらホライゾンチームの1人が、かなり大きな声で話しているようだ。廊下に響き渡るほどではないけれど、ドア越しに辛うじて可聴域に入るぐらいの音量ではある。

 『なんなんですか、あの人。おれたちに開発させる気があるんですか。ネチネチ、下らないことばっかり報告させて、重箱の隅つつくような、あんな……』

 それに答えたムツミさんの言葉は、まだ冷静さを維持しているらしく、仕事、とか、プロ、とかの単語が聞き取れただけだった。

 『社長も社長ですよ』また大声が響く。『なんでこんなひどい仕事を取ってきたんですか』

 立ち聞きはよくない、と思いつつ、つい耳を澄ませてしまう。

 『仕事は仕事でしょう』集中したせいか、声のトーンが上がったせいか、ムツミさんの言葉も聞こえてきた。『まだ半人前のくせに、仕事に文句つけるなんて10年早いんじゃないの? そういうこと言うのは、やることやってから言いなさいよ』

 『だって、こんなのプロのエンジニアの仕事じゃないじゃないですよ。あれやれ、これやれって、面白くもない作業ばっかり、クソ細かく指定されて、やればやったでネチネチ細かく指摘されて。モチベーションも何もあったもんじゃないですよ』

 『あんたのモチベーションなんか知ったことじゃないわよ。とにかく言われたことをやるしかないのよ』

 『もっとやりがいのある作業がしたいんですよ』

 『やりがい? ナマ言うんじゃないわよ、このクソガキが』

 普段は、おとなしく口数が少ないムツミさんが、そんな単語を口にするとは驚きだった。亀井くんが聞いたら、さぞかしショックを受けることだろう。

 ――やっぱり、いろいろ溜まってるんだろうなあ

 ムツミさんとは、それなりの信頼関係を築けたつもりだったが、やはり客と業者という、壊しきれない壁が残っているのも確かだった。あたしや亀井くん、ましてや渕上マネージャに、面と向かって文句を言えないストレスが蓄積しているのは、想像に難くない。

 ドアの向こうでは、ムツミさんの後輩が叫んでいる。

 『つまらんものはつまらんじゃないですか。正直に言って何が悪いんですか。おれたちには、それぐらいの権利もないってわけですか』

 これはあくまでもホライゾンシステム社内の問題だから、と聞かなかったことにすることもできた。でも、ムツミさんが後輩と言い争わなければならないような開発方法を押しつけているのは、うちの会社だ。ホライゾンシステムを選定したのは、あたしと磯貝課長だから、あたしにも責任の一端がないとは言えない。

 とはいえ、あたしが顔を出すのもためらわれた。立場上、どちらの味方をすることもできない。

 ――ここは亀井くんにやってもらうか

 あたしは音を立てないように、そっとドアの前から後ずさると、ITマネジメント課に戻った。自分の席に座ると、何かを実装している亀井くんに、テーブル設計書を渡した。

 「ムツミさんに渡して、変更点を説明してきて」あたしは何気なさを装った。「あたしはちょっと用事を思い出したから」

 亀井くんは、ぱっと明るい表情になった。

 「はい。分かりましたあ」

 うれしそうに答えながら立ち上がった亀井くんは、転がるように臨時開発室へ向かった。

 「おい、ちゃんと説明するのよ」

 あたしは亀井くんの背中に呼びかけたが、たぶん耳に入っていないだろう、あれでは。

 「まあ、いいか」あたしはつぶやくと、自分の仕事に戻った。

 

 翌日、あたしが出社すると、廊下でムツミさんと出会った。

 「おはよう」

 「あ、おはようございます」ムツミさんはあいさつを返したが、何か切羽詰まったような顔だった。手に持ったスマホを必死で操作している。

 「どうかしたの?」

 「うちの小川が来てないんです」泣きそうな顔だった。「携帯もつながらないし」

 小川くんというのは、ホライゾンチームの1人だ。顔と名前が一致していないが、ひょっとすると昨日、ムツミさんと怒鳴り合っていた若者なのかもしれない。

 「あ、社長」ムツミさんは焦燥感に焼かれんばかりだ。「やっぱりつながりません。そっちに連絡はないですか?」

 どうやら否定的な答えが返ってきたらしく、ムツミさんはあきらめたように目を閉じて呻いた。

 「……分かりました。とりあえず、今日は病欠ということにします。引き続き、連絡、お願いします」

 電話を切ったムツミさんは、あたしに困惑した視線を向けた。

 「すみません。小川は今日、病欠ということにしておいてもらえないでしょうか。その、渕上さんには……」

 「分かった」あたしは声を潜めた。「無断欠勤?」

 「そうみたいです」ムツミさんは唇をかんだ。「こんなことなかったんですが」

 「とにかく、仕事を始めないと」

 気の毒に思いながらも、あたしはムツミさんをうながしてITマネジメント課に入った。ムツミさんは、申し訳なさそうに身体を縮めて、渕上マネージャにメンバーの病欠を連絡した。渕上マネージャはうなずいただけだった。

 亀井くんは先に来ていた。あたしはカバンを置くと、亀井くんに「ちょっといい?」と声をかけて、ミーティングスペースへ連れ出した。

 あたしは小川くんのことを簡単に説明した。亀井くんは、あたしと違って、誰のことだかすぐにわかったらしい。

 「ああ、あいつですか」納得顔でうなずいた。「昨日、片寄さんと派手に言い合いしてましたよ」

 ――やっぱり

 「どんなだった?」

 「片寄さんに生意気な口きいてましたね。ビシッと言ってやりましたけど」

 「ビシッて……」あたしは亀井くんを睨んだ。「何て?」

 「お前、片寄さんに文句言うなんて、1000年早いぞ、と」

 「それだけ?」

 「えーと、イヤなら辞めろよ、もう来なくていいよ、お前って言ったかも。そしたら黙っちゃいましたよ」

 あたしはこめかみをマッサージした。

 「……もっと他に言い方はなかったの?」

 「え、だって生意気なやつなんですよ」亀井くんは心外そうに答えた。「何かまずかったですか?」

 「……いえ、いいわ。仕事して」

 こいつを行かせたのは失敗だったかもしれない。いや、明らかに失敗だった。

 まあ、それぐらいで辞めるはずもない。ことによると、本当に病気で携帯に出る元気もないのかもしれない。ホライゾンチームの全員は、うちを出たあと、二子玉川まで戻って、深夜まで作業を続けているそうだから、体力も気力も免疫力も落ちているだろうし。

 半ば自分に言い聞かせるように楽観的に考え、ムツミさんにもそう言ったのだが、それが気休めだということは、お互いに分かっていた。小川くんは、次の日もその次の日も、週が変わっても、とうとう出社してこなかった。

 最初の脱落者だった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

冷たい方程式(16) ブルックスの法則

2012/05/01 8:00:00

 11月1日木曜日、雨の午後。

 雨って――とても平和な音がする、とか何とかほざいたのは、カポーティの短編の登場人物だったか。あたしは、応接室の窓からぼんやり外を眺めながら、そんなどうでもいいことを考えていた。午前中から降り出した雨は叩きつけるような激しさを増すばかりで、平和な音どころか暴力的なまでの騒音となっている。

 応接室にいるのは、渕上マネージャとあたし、それにムツミさんの3人。無言で、ホライゾンシステムの八木社長を待っているところだった。

 渕上マネージャは、いつものように無表情でシステム手帳を眺めている。あたしは窓の外の雨を観察している。不安そうなムツミさんは、渕上マネージャとあたしの顔を交互に見ていた。

 ムツミさんが不安そうなのは、自社の社長が遅れていることに対する肩身の狭さもあるだろうが、それ以上に、これから何があるのか知らされていないことが大きいのだろう。知っていたら教えてあげたのだが、あいにく渕上マネージャは、あたしに知らせる必要はないと判断したらしく、何も言ってくれなかった。

 さらに待つこと数分後、ようやく八木社長が現れた。雨の中を走ってきたらしく、スーツの肩口やズボンの裾がぐしょ濡れだ。正門から屋根のある場所を通ってくると時間がかかるので、濡れるのを承知で最短距離を突っ切ったのだろう。

 「どうもすみませんでした。雨で電車が遅れまして」

 八木社長はそう謝りながら、ハンカチで顔を拭いつつ、ムツミさんの隣に座った。

 「さて、本日は、どのようなご用件でしょうか」

 渕上マネージャは、無言で1枚のA3のプリントアウトをテーブルの上に広げた。10月から3カ月分のスケジュール表だった。

 「スケジュールの件です」

 「はい」

 「遅れています」

 「はい、そうですね」八木社長はひとまず肯定した。「でも、それは……」

 進捗報告や作業日報、その他もろもろ、実装作業以外で時間を費やしているせいだ、と続けたかったのだろうが、渕上マネージャは片手を上げて制した。

 「とにかく遅れています。この際、理由はどうでもいい。どうやってこの遅れを取り戻すのか、それだけが重要です」

 あたしとムツミさんは、顔を見合わせた。きっと思いは同じだったに違いない。遅れを取り戻すなんて実に簡単。賢者の知恵も必要としない。今現在やってる、下らないマイクロマネジメントを即時中止して、実装に集中させればいい。

 そんなあたしたちの心の叫びに気付くはずもなく、渕上マネージャは言葉を続けた。

 「今、御社では、何人をこのプロジェクトにアサインされていますか?」

 「現在は、片寄以外に3名です」八木社長は答えた。「状況に応じて、あと1名ぐらいはヘルプさせることもありますが……」

 「その3名の人たちは専任ですか」

 八木社長は、答える前に2秒ほどの沈黙を先行させた。

 「……もちろんです」

 ムツミさんが動揺したように、メガネの奥で目をキョロキョロさせて、八木社長を、次いであたしを見て、最後にスケジュール表に視線を固定させた。

 八木社長が真実を語っていないことを、あたしは知っている。以前のランチのときの世間話で、ホライゾンシステムで実装を行っている3人が、別の業務も掛け持ちしていることを、ムツミさんから聞いたことがあるからだ。

 「3名というのは少ないですな」渕上マネージャは厳しい口調で続けた。「もう少し増員していただきたい」

 八木社長は乾いた笑い声を上げた。

 「いやあ、それはちょっと無理ですわ。うちもそんなに人がいるわけではありませんので」

 「それは御社の都合であって、弊社は関係ありません」

 ――前にも聞いたぞ、そのフレーズ。

 「いや、しかし無理ですよ、実際」八木社長は困惑している。「今から増員というのは」

 「何とかなりませんか」

 「ええ」

 「そうですか。それではそれは諦めます」

 やけにもの分かりよく引き下がったな、と思っていたら、渕上マネージャは別の要求を突きつけた。

 「その代わり、先ほどおっしゃった3名を、弊社に常駐させていただきたい」

 八木社長の顔が青ざめた。

 おそらく、渕上マネージャは、くだんの3人が専任でないことぐらい、とっくに気付いていたのだと思う。そこでスケジュール遅延を口実に、自分が直接監視できるように常駐を求めたのだ。

 「いや、あの、それはちょっと……」

 「何か問題でも?」急に滑舌が悪くなった八木社長に、渕上マネージャは冷たい視線を向けた。「現在でも専任でやっているなら、場所が変わるだけ。むしろタイムラグやコミュニケーションラグがなくなり効率も上がると思われますが」

 八木社長は沈黙した。気の毒になったあたしは、時間稼ぎのつもりで質問した。

 「あの、場所はどうするんですか?」今のところ、ITマネジメント課に、空きデスクはない。

 「1月いっぱいまで、ミーティングルームBの占有使用許可を取った。インフラグループには連絡済みだ。現在、PCとLANの設置を行っている。本日中には完了するはずだ」

 インフラグループのGLさんと、長時間打ち合わせをしていたと思ったら、このためだったのか。そういう根回しは得意中の得意らしい。

 「でも、そうなると」あたしは驚いているムツミさんを見た。「ムツ……片寄さんの負荷が高くなりませんか?」

 ホライゾンシステムとの契約は、派遣契約ではないので、追加で常駐する3人のプログラマに、直接指示は――形式上は――できないはずだ。指示はホライゾン側の常駐者を通すことになる。つまりムツミさんは、自分の実装に加えて、指揮下にある3人の面倒も見なくてはいけなくなる。

 「やることは今と変わらない。今でも、片寄さんは同じことをやっている。むしろ、コミュニケーションロスがなくなり、時間の短縮になるはずだ」

 あたしは八木社長を見た。顔をしかめて、手帳を睨んでいる。渕上マネージャは辛抱強く待っていた。数秒後、八木社長は唸るような声で答えた。

 「……やはり、難しいですね」

 「難しい理由が分かりませんな。先ほど御社は……」

 しばらく渕上マネージャと八木社長の応酬が続いた。八木社長は必死でさまざまな理由を口にしたが、それらに対する渕上マネージャの返答は、「それは御社の都合」という一言に集約できた。

 あたしは無益な応酬に聴覚を無駄遣いするのをやめて、それとなくムツミさんを見ていた。気の毒に、やがて自分に降りかかってくる作業内容を考えて、絶望的な気分で話を聞いているのだろう。

 やがて、八木社長は俎上に載せるネタがなくなったのか、とうとうこう言った。

 「……すぐには決められないので、一度、持ち帰ってよろしいでしょうか」

 持ち帰る、というのは、交渉術上の最後のはかない抵抗に過ぎなかったのだろう。渕上マネージャの要請――実質的に要求――を飲まざるを得ないことは、ここにいる全員が承知していたようなものだ。

 「構いません」渕上マネージャはあっさり了承した「ただし、回答は今日中にいただきたい。御社にできないのなら、別の協力会社さんと追加契約し、御社にお願いしている機能の一部を肩代わりさせることも考えなければなりませんので」

 ただでさえ、安い単価で受注しているというのに、数を減らされては完全に足が出てしまうだろう。八木社長は胃痛の症状に苦しんでいるような表情を浮かべながらうなずいた。

 「早急にお返事します」

 急ぎ足で帰って行く八木社長を、ムツミさんは暗い顔で見送っていた。

 

 11月5日月曜日。

 ホライゾンシステムから、新たな開発要員3名が送り込まれてきた。全員が男性で、年齢はおおよそ20代前半。なかには、ほとんど高校生のような顔の人もいた。スーツに慣れていないらしく、しきりにネクタイの位置を直しているのがほほえましいというか、頼りないというか。ムツミさんが憂うつそうに語ったところによると、全員、自社以外の常駐は、これが初体験だとのこと。あたしは、彼らの若さと、初体験に関する卑猥なジョークを思いついたが、口に出すのはやめておいた。

 彼らが初めての常駐作業に、心躍らせていたとしても、渕上マネージャと対面した途端に、そんなものは霧散してしまったにちがいない。

 「私は君たちの人間性や学歴や経験などに興味はない」渕上マネージャは冷たく言い放った。「興味があるのは、いかにタスクを予定通りに消化できるのか、その一点だけだ。片寄さんの負担を減らせるように、給料分の仕事をしてもらいたい」

 彼らは毒気を抜かれたような顔で、臨時の開発部屋となったミーティングルームへ、ムツミさんの先導によって消えていった。それを見ながら、亀井くんが囁いた。

 「なんか、頼りない奴らですね」

 ――あんたが言うか?

 1時間ほど、バージョン管理システムや共有フォルダーなどの説明を受けた後、3名の新メンバーは無事に実装作業を開始したようだ。すでに自社で、実装を行っていたので、イニシャルの教育コストがかからないのは助かる。この点では、渕上マネージャは正しかったわけだ。

 戻ってきたムツミさんは、小さくため息をついた。

 「どう?」あたしは訊いた。「大丈夫そう?」

 「何事もなく続くといいんですけど」

 「なになに」あたしは笑った。「そんなに使えない人ばかり連れてきたわけじゃないんでしょう?」

 「スキルの問題というか、なんというか……」

 ムツミさんは、斜め前の席をちらりと見た。渕上マネージャはたまたま席を外している。それを確認した視線が、タスクボードに向けられた。

 「彼ら、こういうやり方で開発したことがないんですよ。まあ、私もそうなんですけど。いつもは、仕様書があればそれを渡して、やっといてね、で済んでしまいます。仕様書がなければ、概要を説明して、分からない部分は聞いてね、で」

 「まあ、確かに、この規模の開発で、ここまでのタスク管理は普通やらないよね」

 ムツミさんは、またため息をついて、メガネを外すと、クロスで丁寧に拭いた。相変わらず慢性的な睡眠不足らしく、目の下に隈を欠かしたことがないし、日中もカフェインを含む食べ物や飲み物を口にしていることが多い。

 「新人くんの場合や、スケジュールがすごくタイトな場合は、タスク管理することもありますけど、ここまで細かい管理は、さすがに……」

 ムツミさんは頭を振ってメガネをかけ直すと、モニタに向き直ってソースを開いた。

 そのとき、ホライゾンチームの1人で最年少のメンバーが現れると、おそるおそるムツミさんに声をかけた。

 「あの、すみません。ちょっといいですか?」

 「ああ、はい」

 ムツミさんは立ち上がり、臨時開発部屋に行ってしまった。

 「大変そうですねえ」亀井くんが同情あふれる声で言った。

 ムツミさんは5分ほどで戻ってきたが、入れ替わりに別のメンバーが呼びに来て、席を温める暇もなく立ち上がる羽目になった。

 「あれじゃあ、ムツミさん、自分の仕事をやってる時間がなくなっちゃうねえ」

 小声でつぶやいたつもりだったが、ちょうど席に戻ってきた渕上マネージャの耳は、その意見を鋭敏にキャッチしたようだ。

 「他に方法があるなら聞こう」平板な声だった。「スケジュールの遅延を取り戻すには、人的リソースを投入するしかないのだ」

 あたしは思わず首をすくめたが、心の中では舌打ちしていた。

 ――あれだけマネジメントの本を読んだくせに、人月の神話だけは読み忘れたのか

 とはいえ、信念の元に行われているマネジメントを、何十年も前に提唱された言葉1つで覆せるとは思えない。何より時間がもったいない。

 あたしは黙って頭を下げると、自分の設計作業に戻った。亀井君も憎々しげに渕上マネージャを睨むと、無言でキーボードに向かった。

 ムツミさんは、なかなか戻ってこなかった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

冷たい方程式(15) もしプロジェクトマネージャが手当たり次第にマネジメント本を読んだら

2012/04/23 8:00:00

 次の朝、出社したあたしは、自分の席の後ろに、昨日まではなかった物体を発見して少し驚いた。

 「なんじゃこりゃ?」

 それは新品のホワイトボードだった。幅120センチぐらいでキャスター付き。会議室などに置いてあるようなやつだ。なぜかマーカーやイレーザーは付いていない。

 「ねえ、これは何?」

 ムツミさんに聞いてみたが、首を傾げるだけだった。

 「昨日の夕方、サオリさんが研修に行っている間に、搬入されてきたんです」

 「ふーん、誰が注文したんだろ」

 「渕上さんですよ」亀井くんが答えた。「受領印を押していましたから」

 渕上マネージャは、いつもどおり8時59分に出社してきた。あたしが真新しいホワイトボードのことを聞こうと思ったとき、渕上マネージャに機先を制された。

 「今日から、タスク管理をより厳密に行うことにした」単なる決定事項を告げるように、渕上マネージャは淡々と話した。「それはタスクボードだ。亀井くん、そこの模造紙を1枚貼ってくれ」

 亀井君は不審そうな顔をしながらも、言われたとおりに、足元に丸めて置いてあった模造紙を広げると、ボードの上にメンディングテープで貼り付けた。

 模造紙には、すでに文字と線が印刷されていた。こんな大きな紙に印刷できるプリンタは、このフロアにはないから、設計部にある古いプロッタか、MAXARTでも使ったのだろう。

Photo_4

 「タスクボードでしょうか?」ムツミさんが、あたしにだけに聞こえるぐらいの小声で聞いた。

 あたしはうなずいて同意した。あたしたち3人分のレーンが、それぞれ用意されているということは、ここにタスクカードが貼られるのだろう。

 「よろしい」

 はたして渕上マネージャは、手に持っていたA4版8面のラベルシールから、長方形のシールをはがしては、ペタペタと貼り付け始めた。

 こちらも、すでに何かが印刷されている。あたしは日比野レーンに貼られている1枚に顔を近づけた。

Photo_2

 よく見ると、それはシールではなくポストイットだった。エーワンのポストイットラベルシールだ。

 「これから君たちには、このタスクに基づいて作業をしてもらうことになる」シールを貼り終えた渕上マネージャが説明した。「1枚が1つのタスクとなる。君たちが、これからやるべき作業、または現在、進行中の作業が印刷してある」

 あたしは、自分に割り当てられたタスクをざっと眺めた。渕上マネージャの言うとおり、あたしの担当の作業が、かなり細かく記入されている。

 他のレーンを見てみると、あたしと亀井くんに比べて、ムツミさんのタスクの数が圧倒的に多い。これはホライゾンシステム社内で実装しているプログラマさんたちを考慮に入れているのだろう。

 「君たちは、自分のレーンのタスクを上からこなしていく。その手順はこうだ」

 渕上マネージャは、手元に残してあったシールに何か書き込み、それを模造紙の隅の方に貼った。「テスト」と書いてある。

 「亀井くん、そのタスクをはがしてくれ」

 亀井くんは、あたしたちと顔を見合わせてから、言われるままにシールをはがした。指にくっつけて、ぶらぶらさせている。

 「開始に今日の日時を書く。時間は10分単位だ」

   開始日時 10/21 9:20

 「次に、完了予定に、そのタスクの完了見込みの日時を書く」

   完了予定日時 10/22 13:00

 「書いたら、私に渡す」

 亀井くんは渕上マネージャに、シールを渡した。渕上マネージャは、ちょっと眺めて、検印欄にデータ印をポンと押した。

 「私が承認したら検印を押す。このとき、完了予定が不適当だと判断したら、そこで修正する。検印をもらったら、タスクボードに戻したまえ」

 シールが、また模造紙に戻された。

 「戻したら作業を行う」渕上マネージャは説明を続けた。「タスクが完了したら、はがして、私に申告に来ること。私が内容をチェックし、完了と判断したら、完了日時と完了印を入れる。それでタスクが完了と見なす。完了したタスクはボードに戻し、次のタスクに移る。後はこの繰り返しだ」

 思わずうめきそうになった。

――めんどうだなあ

 「片寄さんは、自社のエンジニアに担当される分についても、同じ手順を踏むこと」

 「あの、他の人とタスクを交換したりしていいんでしょうか」あたしは聞いた。「あるいは、2人で1つのタスクをやるとか」

 渕上マネージャの首が横に振られた。

 「ダメだ。相談などは構わないが、タスクの完了責任は、担当者だけが負うものとする。タスクの交換も不可だ。この割り振りは私が決めたものだ。勝手に変更することは許さない」

 タスクボードで見える化するのはいいことだと思うけど、これじゃあ単にプロジェクト管理のために余計な手間が増えただけでしかない。

 「また、タスクにない作業を行うことも不可だ。もし、新しい作業が発生したら、私に申告したまえ。タスクとして登録する」

 「完了見込みに間に合わなかったらどうなるんですか」亀井くんが聞いた。

 「理由を聞いた後で、新たに遅延タスクとして追加する」渕上マネージャは告げた。「それもマネジメントの一環だ」

 それなら、7日とか10日とか、余裕たっぷりに完了予定を書けばいい、と思ったが、検印をもらうときに修正すると言っていたことを思い出した。どうせ渕上マネージャがギリギリまで絞り込むに決まっている。

 「あの、これ、何かの役に立つんでしょうか?」

 あたしは思わず聞いてしまった。渕上マネージャは、あたしの無知を哀れむような顔になった。

 「正確なマネジメントを行うためだ。君たちは、どうも、行き当たりばったりに、目先の作業をこなしているだけのように見える。タスク管理も何もあったものではない。そんなやり方では、このシステムの品質に影響が出る。必ず出る」

 ムツミさんも亀井くんも、あからさまな反感こそ表していないものの、ややムッとした表情で聞いていた。2人の視線が、時折、ちらちらとあたしに向けられている。あたしはテレパシー能力を持っていないけど、「何とかしてください」と言っているのは痛いほどわかった。

 もちろん、あたしの気分も爽快さとは対極にあった。

 渕上マネージャが無能だったり、単なる威張りたがりだったりしたら、あたしも自分の意見を主張したかもしれない。ところが、渕上マネージャから感じ取れるのは、このプロジェクトを完ぺきに成功させたい、という強い決意だけだ。その根底にある動機らしきものを、はからずも知ってしまった今は、なおさらそう思える。

 詳細は噂でしか聞いていないが、現行の勤怠管理システムの開発は、かなり無茶苦茶だったらしい。一括請負契約としてエースシステムに発注したのだが、設計や実装の質については、ほとんどノーチェックだったようだ。進捗報告会議は定期的に開いていたのに、報告書を受け取るだけで、内容を精査しようとしなかった。おそらく「大手SIerだから」という、根拠のない安心感もあったのだろう。結果的に、総合テストでおびただしい数の不具合が発生した上に、人事部門や拠点にいる事務スタッフの意図とはまったく異なる機能が納品されてしまった。修正を要求しても、報告書に承認印をもらっているから、という理由で拒否される。どうしても必要な機能は、追加費用を出さざるを得なくなる。最終的に「失敗」の烙印が押されたシステムの誕生だ。

 導入の責任者だった渕上マネージャが、具体的にどのような役割を担っていたのかは分からない。が、その経験から「きちんと管理しないと、プログラマどもは、とんでもないものを作り出す」とでも思い込んでしまったのだろう。だから、マネジメントの本を読みあさり、何カ月も考え抜いたあげく、片っ端から良さそうなマネジメント手法を適用している。

 つらいのは、あたし自身が「何が正解なのか」という答えを持ち合わせてないことだ。世の中に何人のエンジニアがいるのか知らないけど、そんな銀の弾丸を持っている人はいないだろう。持っている、と思い込んでいるだけの人は大勢いるかもしれないが。

 あたし:あなたのやり方は間違っています

 渕上マネージャ:では、正しいやり方は何なのか

 あたし:分かりません……

 これでは、信念の人、渕上マネージャを納得させることなどできはしない。

 だからあたしは何も言わなかった。言えなかった。

 「では、始めるように。私はインフラグループと打ち合わせがある」

 そう言おうと、渕上マネージャは、ITマネジメント課を出て行ってしまった。残されたあたしたちは、顔を見合わせた。亀井くんとムツミさんの顔には不満と不審が浮かんでいる。きっと、あたしの顔にも浮かんでいただろう。

 「本当にこんな面倒なことやるんですかね」亀井くんが納得できないように言った。「手間が増えるだけでしょう」

 あたしだって思いは同じだ。だけど、3人で愚痴を言い合っていたところで、コードが勝手に生成されるわけでもない。どうせ避けられないことなら、さっさと済ませてしまうに限る。

 「だったら、あんたが代案を出して、渕上さんを説得しなよ」

 「そんなこと……」亀井くんは口ごもった。「……無理です」

 「タスクボードで管理する方法だって、間違っているとは言えないでしょ」やり過ぎではあるけど。

 「でも、こんなやり方、どう考えても……」

 「おかしい?」あたしは亀井くんの言葉を先回りした。

 「というか……正しくないというか。そう思いませんか?」

 「思うよ。でもね」あたしはため息をついた。「社会とか会社とか業界というのはそういうものなの。誰が考えても不条理だとしか思えない方針やルールがほとんどなの。民主主義だからって、必ずしも多数意見で物事が決定するわけじゃないの。むしろトップの少数意見によって、流れが決まっちゃうことの方が多いの。そうじゃなきゃ、デビルマンだってドラゴンボールだって、もうちょっとまともに実写映画化されてるわよ」

 「?」

 「いいからやるよ」

 あたしは、自分のレーンから先頭のタスクをむしり取った。それを見て、ムツミさんが手を伸ばしてタスクを取り、黙って自分のPCに向かった。亀井くんも、渋々ながらそれにならった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

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ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

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