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エンジニアのコミュニケーション(第1回)

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前回まで3回にわたりコミュニケーションについてお話しましたが、今回よりエンジニアのコミュニケーションについてお伝えしていきます。

エンジニアはコミュニケーションが苦手?

総じて、「エンジニアはコミュニケーションが苦手」と言われる。
コミュニケーションとひとくくりにしてしまうと、あまりに広義である。「コミュニケーションが苦手」ということも、何をもってコミュニケーションが得意か、得意でないかという単純な議論にはしたくないので、ここではコミュニケーションの「相手」「内容」「その場の雰囲気」の3つを例に見てみよう。

ちなみにまだこの段階では、"コミュニケーションスキル"はさほど考えないものとする。なぜなら、「どんな雰囲気において、相手があれであれ、言いたいことを言う」がコミュニケーションが得意とはならず、ただ「物怖じせず言いたいことを言う人」に過ぎないからだ。スキルの詳しい側面は次回以降に述べることとし、まずはコミュニケーションそのものを考えてみよう。

図1:エンジニアはコミュニケーションが苦手?

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「相手」によって話しやすい人、話しにくい人の中には「上司!」と言う人もいるでしょう。気の合う友達同士なら気楽に話せるのに、課長を目の前にすると口ごもってしまう人もいるかもしれない。家族や恋人とはフランクに話せるのに、会社の人とはあまり話をしないという人もいるのでは?
話の「内容」については、技術的な内容は専門用語もバシバシ使って、得意気に話せる。しかし、技術以外のことを話そうとするとうまく言葉が出てこない。相手からは「何が言いたいのかさっぱりわからない」と言われ、一生懸命に説明しようとするが、話がもっと長くなって相手のイラ立ちを加速してしまうこともあるかもしれない。
「その場の雰囲気」も大事だ。会議のようなかしこまった場で、他部門の管理職もいる場で若手が発言するには勇気がいるだろうし、気にせず言いたいことを言う人もいる。会議では一言も話さない人が、会議終了後に職場に戻ってきて、「あの場で言っておけば良かった」と思っても後の祭りだ。

「企業が求める能力」と「理系学生がアピールしたい能力」のギャップ

図2は経団連による『2018年度新卒採用に関するアンケート結果』からの抜粋であるが、「企業が新卒採用時に重視する要素や資質」のランキングが示されている。
「コミュニケーション能力」がダントツ1位で、それも16年連続との結果が出ている。

図2:企業が新卒採用時に重視する要素・資質

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その一方で、図3はHR総研の『2017年新卒採用調査』から「学生がアピールしたい能力」を文系と理系に分けた調査結果である。

図3:就活で学生が企業にアピールしたい能力

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図2と図3から言えることは、企業はコミュニケーション能力を最上位で求めているにもかかわらず、学生(特に理系学生)はコミュニケーション能力は5位に甘んじている。これから一概に理系学生はコミュニケーションが苦手とは言い切れないが、コミュニケーションに苦手意識を持っているということは言えそうだ。また、学生の中には大学進学時に、「話すことが苦手、嫌いだから理系に進んだ」という人もいるようだ。

コミュニケーションスキルが高いと思われる人

一般にコミュニケーションスキルが高いと思われるタイプの特徴を図4に示す。

図4:一般にコミュニケーションスキルが高いと思われるタイプの特徴

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「この人と話せて良かった!」となるには、相手と話すことによって、自分が抱えている問題が解決できたとか、解決の糸口を見いだすことができたなどのように、何かしら話すことによって、自分自身にプラスのメリットを得たことによるものだ。真逆なものとして、「こいつと話したのは時間の無駄だった」と思うこと、思われることは悲しいものだ。

「話がわかりやすい」ということも今さら、説明の必要はないと思う。...がしかし...である。一般に、エンジニアは理屈っぽいし、専門分野になるとついあれもこれもと話が長くなりがち、その場の空気も読まずに一方的に話す人が多い。特に年齢が高くなってくると、この傾向は強くなる。なぜなら、「俺の今までの経験を言わせてもらうと...」と、こちらが聞いてもいないのに、自慢げに過去の栄光話を延々と話すので聞いているほうはたまったものではない。もちろん、エンジニアの中には簡潔明瞭に、かつ、論理的に話ができる人もいるが、それは相手がエンジニアであったり、技術を分かっている人間に限るという前提条件がつくことが多い。

「また、話がしたい」と異性から言われたら、ヘンな勘違いをする人もいるかもしれないが、悪い気はしないものだ。この真意は「あなたとあなたの話に関心がある」ということだ。仕事の場面で、お客さんからこう言われたら、少なからず脈ありということだ。

これら3つのタイプは1つだけ当てはまるケースもあれば、複合的に全部当てはまるケースもある。「この人と話して時間の無駄だった。言っていることはさっぱりわからないし、二度と話をしたくない」となってしまっては目も当てられない。

意図を反映できないエンジニアの表現は非エンジニアには伝わらない

2019年6月に「のーみん丁(@noumin_T)」氏の「技術者の表現」のツイートが話題になった。図5に示すが、「あるある...」とうなずけることが多いのではないだろうか?

図5:技術者の表現(引用:のーみん丁 @noumin_Tさん)

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技術者(エンジニアと置き換える)と非エンジニアのコミュニケーションの場面を思い浮かべてもらえばいい。要はエンジニアには伝えたい意図や真意があったにもかかわらず、言葉として表現すると、非エンジニアはエンジニアが意図したものと異なる解釈をするということだ。
筆者も技術者のはしくれだった時を思い出すと、確かにこういう表現はよく使っていた。それも無意識に。皆さんはどうだろうか?

さて、今回から『エンジニアのコミュニケーション』を数回に分けてお伝えしていくが、自戒から具体的な例を挙げながら、コミュニケーションスキルについて考えていこう。
「コミュニケーションが苦手と思うエンジニア」はもちろん、自称「コミュニケーションが得意だというエンジニア」「コミュニケーションスキルが高いと自負しているエンジニア」の皆さんにとっても参考になると考えています。次回、またお会いしましょう。

参考⇒コミュニケーションを考える(バックナンバー)

(1)コミュニケーションとは何か?
(2)変わりつつあるコミュニケーションスタイル
(3)場と質の関係

記:株式会社カレンコンサルティング / 世古雅人

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