Rationalの開発プロセスやツールの有用性を本音で語ります。

オフショア開発の行き着く先

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 あまり自社を非難すると僕までリストラ対象になってしまうのですが、見逃せないニュースが出ていたので、今回はまた、Rationalとは関係ありませんが、このニュースをネタにお話ししたいと思います。

 IBM、北米でレイオフの従業員にインドなどで雇用提供か

 このニュースの注目すべき点は、以下の部分です。

現地での待遇で働ける人

 同じスキルを持った従業員を世界中から調達できるなら、最低価格で調達するというのは経済的には理にかなったことだと思います。そして、グローバルの単位で一物一価の法則が成り立つのでしたら、他の国の従業員も同等の価格でなければなりません。しかし、物価の異なる先進国と発展途上国では、先進国側の同じスキルを持つ従業員はその給与では生活していけません。従って、行き着く先はそのスキルで適切な給与となる国で働くということになります。

 先進国と発展途上国ではそもそも生活水準が異なるのだから、そんな比較をされても困るというのが僕を始めとする発展途上国の技術者とスキルが競合している技術者でしょう。日本では言語と文化の壁があるので、まだこれほどドラスティックな変化は起こっていませんが、今後中国やASEAN諸国が言語と文化の壁を乗り越えてきたときに同様の変化が起こる可能性は否定できません。

 しかし、この人材の流出を進めていくと短期的には利益の拡大化を図れると思いますが、同業他社が同様の方法を進めていくにつれ、価格低下の圧力がかかり、結果として売り上げは下がります。

 さらに、この論理を進めていくと、より上流やお客様に近い場所、経営層も発展途上国の人材でよいということにもつながっていきます。つまり、全従業員がBRICsやASEANであればもっとも安くサービスや製品を提供できるわけです。

 まあ、現状はそこまでではできないだろうと安全圏にいる人たちがこの政策を進めているのでしょうが、この政策の行き着く先は彼らをも巻き込むことになるのかもしれません。そのときアメリカを始めとする先進国はどうなるのでしょうね。

 最後に有名な「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」を引用しておきます。この政策の行き着く先かもしれません。

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。

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