ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

罪と罰(2) 粗にして野だが卑ではない

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 翌週の月曜日、出社した私は課長席の隣にデスクが増えていることに気付いた。たぶん、土日のどちらかで搬入されたのだろう。デスクの上には21インチワイドモニタとミニタワーPCが設置されていた。村瀬さんがワイヤーロックを取り付けている。

 「あれ」私は自席に座りながら言った。「貸出用のノートPCじゃないですね。金曜日に村瀬さんとマサルが準備していたんじゃ......」

 「ああ、あれ」先に出社していたカスミさんは、少し感心したような顔で新しいデスクを見た。「五十嵐さんの私物というか、持ち込んだPCなんだって」

 「なんかスペック良さそうなマシンですね」

 「いいよ」答えたのは村瀬さんだった。「メモリ8GでディスクはRAID1で2TB、全部SSD。CPUはi7だし、グラボはGTX680――メモリ2G積んでるやつだ。これならフォトショとイラレとEclipseを同時に実行しても、軽快に動くんじゃないかな」

 「Eclipse?」私は思わず訊き返した。「ということは、五十嵐さんは、実装もやる人なんですか?」

 「さあ、どうかな」村瀬さんは肩をすくめた。「まあ、メールとブラウザとOffice使うだけなら、こんな高スペックPCはいらんのは確かだけど」

 ドアが開き、五十嵐さん本人が颯爽と入ってきた。その後に中村課長が続いている。金曜日は私が退社するまで、五十嵐さんが姿を見せることはなかったから、実質的には今日が仕事始めのようなものだ。五十嵐さんは新しい席に持っていたカバンを置くと、私たちに向き直った。

 最初の挨拶のとき、五十嵐さんが宣言した言葉の1つが、冗談などではなかったことが判明した。

 「おはよう。すでに挨拶は先週済ませているが、いなかった者もいるので改めて自己紹介しよう。私が今日からWebシステム開発部の副部長となった五十嵐だ。よろしく」

 「うわ」カスミさんが私にしか聞こえない声でつぶやいた。「ホントにいきなり敬語なし」

 「私に与えられた至上命題は、この部というか課に売り上げという果実をもたらすことだ。すでに中村課長にお願いして、Webシステム開発部のP/Lを見せてもらった。見たことがない者がほとんどだろうから、ここで簡単に発表しておくと、1月末までのコスト見込みは 6,300万円だが、売上見込みは 5,700万円しかない。つまり、およそ 600万円の赤字ということだ」

 薄々と感じていながら目を背けていた事実を、五十嵐さんに容赦なく突きつけられ、私たちは無言で視線を床に落とした。

 「3月末までの見込みを入れても、この数字は大して変わりがないと思われる。昨年度の数字も似たようなものだ。言うなれば、この部は、この会社のお荷物なんだ」

 五十嵐さんは言葉を切ると、私たちの顔を睨み付けるように見回した。

 「このことについて、どう思うか訊かせてもらおう」そう言うと、五十嵐さんは一人を名指しした。「武田副課長」

 指名された武田さんは、面白くなさそうに床に向けていた視線を上げると、やや自嘲気味に答えた。

 「要するに俺たち......私たちが無能だってことでしょう」

 「君たちが有能なのか無能なのかは、これから私が判断する。私が今知りたいのは、君たちが現状を理解しているのかどうかということだ」

 「そりゃ、現状はわかっていますよ」武田さんはふてくされたように言った。「だけどWebシステム開発部は、これまでのうちの会社の業務とかけ離れたことやってるんですから、営業もあんまり積極的に動いてくれないんですよ。売り上げが上がらないのは、どうしようもないんじゃないでしょうかね」

 「なぜ、営業が動いてくれないんだ?」

 「さあ。ホストやワークステーション以外のシステムの売り方をよく知らないんじゃないですか?」

 五十嵐さんは肉食獣のように歯をむき出して笑うと、一歩前に進み出た。

 「なるほどな。つまり全ては営業のせいだと言いたいんだな、武田君は」

 「別に営業のせいばかりと言うわけじゃないですが......」

 「わかっていないな、君は。いや、君ばかりじゃない。この部の全員がわかってない。売り上げが上がらないのは、君たちが上がるような仕事をしていないからに決まっているじゃないか。それがどうしてわからんのかな」

 「......」

 「私は週末を使って、過去2年間のWebシステム開発部の業務を分析させてもらった。その結果、何が分かったかというと、君たちのシステム開発には甘えが見られるということだ」

――甘え?

 私は首を傾げた。武田さんも同じ思いだったと見えて、同じ疑問を口に出してくれた。

 「甘えって何ですか?」

 「自分たちは会社にとって新しいことをやってるから、少しぐらいロスが出ても仕方がない、という甘えだ」五十嵐さんはピシリと答えた。「営業が協力してくれないから、売り上げが上がらなくても仕方がない、という甘えだ」

 五十嵐さんは肩をすくめると、少し声のトーンを下げた。

 「私の最初に取り組むべき仕事は、その甘えを取り除くことになるんだろうな。では、当面の予定を伝える」

 元の位置に戻った五十嵐さんは、自分のカバンからタブレットを取り出した。レザーケースで覆われていたが、iPadのようだった。カバーを開き、何かを見ながら続ける。

 「これからの数週間、私は全てのメンバーの能力を把握することに務めるが、それに先立ってやってもらいたいことがある。この会社に入ってから、または入る前に自分が担当した業務、要するに作ったシステムの内容、規模、言語についてまとめた職務経歴書を作成してもらいたい。フォーマットは問わない。WordでもExcelでもテキストでも構わない」

 私たちは顔を見合わせた。

 「あの、五十嵐さん」中村課長が遠慮がちに発言した。「スキルシートなら、すでにお渡ししてあると思いますが」

 「ありがとう、中村さん。しかしスキルシートは去年の4月に更新されたもので、最新の状態を反映しているとは言い難いのでね。私は最新の情報が欲しいんですわ」

 五十嵐さんはそう言うと、私たちに向かって付け加えた。

 「言っておくが、書くのは君たちが、"今"、"使える"言語だけにしてくれよ。たとえば入社時にCOBOLとRPG IVの研修を全員が受けたと思うが、この部で実際に使っている人はいないだろう。そういう言語まで含める必要はない。これは就職面接じゃないんだからな。趣味で何行かRubyのソースを書いたとか、10年前にC言語をやってたがこの5年は全く触っていない、というような事まで知りたいわけじゃないからな」

 ということは、少なくともこの部の方針を変えることはない、というわけだ。何といってもうちの会社の主業務は、今でもAS/400が最も多いのだから、手っ取り早く利益を出そうと思ったら、そちらに乗っかるのが一番近道である。もっともそうなったら、この部の名称も変えなければならないし、私は転職を考えなければならないところだった。

 「それからだな、いわゆるSEとして仕様書だけ書いて実装はプログラマに丸投げした、というような業務も不要だ。そんな能力はこの部では何の役にも立たないからな」

 「エスイー」と発音したとき、ほんの一瞬だが不快そうな表情が五十嵐さんの顔に走った。態度が偉そうなので忘れていたが、この人はベンチャー企業の社長だった。ひょっとすると、大手SIerのSEにいい印象を持っていないのかもしれない。イニシアティブの説明をしたときに言っていた、打破すべきIT業界の現状の中には、そういった要素も含まれているのだろうか。

 「仕様書作成も重要なスキルだと思いますが」

 武田さんがそう言ったのは、他の誰にも増して仕様書をきっちり書くのが好きな人だからだろう。3バカトリオなどは、こっそり「仕様書星人」と呼んでいるぐらいだ。

 「重要ではないとは言わないが、まずはプログラミング能力を重視させてもらう。実装が満足にできない奴に、まともな要件定義や設計などできるわけがないからな」

 武田さんは不満そうに唇を歪めたが、とりあえず口をつぐんだ。

 「並行してメンバーの面談も行うことになるだろう。少なくとも、一人一回は面談を行う予定だ。面談の内容については、ここでは言わない。個人によって異なるからな」

 五十嵐さんはiPadを机の上に置いた。

 「当面の間、新たな方針を決定するまでは、現在の業務を継続してもらいたい。指揮系統もしばらくは変えない。ただし、先ほど言った職務経歴書は、今日中に作成しておいてもらいたい。何か質問があれば個別に訊きに来てくれ。いいか?では、各自、仕事を開始してくれ」

 その言葉を最後に五十嵐さんは席に着き、私たちも三々五々、自分の席に戻っていった。いつもなら朝のこんな時間は、しばらく私語で満ちあふれるのだが、今朝はみな毒気を抜かれたようにおとなしかった。

 「厳しそうな人ですね」私はカスミさんに身を寄せて囁いた。

 「ね。びっくり」カスミさんも囁き返した。「あ、今日は16時上がりなんだけど、少し早めに出るから、片付けお願いしていい?」

 「いいですよ」

 「悪いわね。さて、じゃあ、職務経歴書を作るとしますかね」

 「ですね」

 どのような形で書けばいいのか迷ったものの、面倒なので単なるテキストファイルにした。10年来愛用の秀丸を立ち上げると、デスクトップに新規のテキストファイルを作成し、自分の担当してきた業務を思い出すままに打ち込んでいった。

 K社 勤怠管理システム Java
 K社 部品検索システム PHP
 J社 配送計画ソフト Excel VBA
 M社 工期管理システム Java、Flex3
 A社 通販コールセンターの座席表システム Java、Flex3
 M社 工数入力支援システム PHP JavaApplet
 P社 生産日報集計システム Java、Excel VBA
 A社 源泉徴収票印刷システム Java
 K社 車両情報共有システム Java、Flex3
 K社 海外出張者報告書管理システム Java

 「あーあ、書くこと少ないなあ」隣でカスミさんがぼやいた。

 「そうですか?カスミさんは、大きいのが1つあるじゃないですか。あたしなんか小さいのばっかりですよ」

 カスミさんはCS開発部時代のクライアントを、Webシステム開発部に移ってきてからも引き続きいくつか担当している。そのほとんどは、年に1度保守が必要になるかならないか、という程度の小システムだったが、1つだけ比較的大規模で恒常的にメンテナンスが発生しているのが、大手部品メーカーの東雲工業のシステムだった。AS/400で動いていた生産管理システムと調達システムを、VB6+OracleのC/S型システムにダウンサイジングするプロジェクトに関わって以来、ずっと保守を担当している。Webシステム開発部のほとんどの案件がWebアプリケーションだというのに、このシステムだけは依然として、VB6のC/S型で変化していない。ハードの方はメモリを増設したり、HDDをRAIDにしたりと、何度か生まれ変わっているが、ソフトウェアはとっくにサポート終了した言語で更新され続けている。

 「そうなんだけどね」カスミさんはちょっと暗い顔になった。「こうしてみると、いまどき、VBしかできないってのもなあ、って思っちゃうわけよ」

 そうですね、と答えるのも失礼なので、私は曖昧に笑うと自分の職務経歴書の入力に戻った。

 

 職務経歴書をメールで提出した翌週、五十嵐さんはメンバーの面談を開始した。その順番は年齢順でも勤続年数順でもあいうえお順でもなかった。1人あたりに費やす時間数もバラバラで、長い人は2時間以上に及んだし、短い人は15分で終わった。中には2度、3度と日を置いて呼び出される人もいた。

 私にはなかなかお呼びがかからなかったので、メンバーが入れ替わり立ち替わりミーティングルームに出入りしているのを、不安を抱えながら見守ることになった。面談が開始されてから、何日か経過した後、我慢しきれなくなった私は、3時のおやつの時間に給湯室に入ったとき、カスミさんに面談の様子を訊いてみた。カスミさんは最初の日に1度、30分ほど呼ばれただけだ。

 「そうねえ」カスミさんは小首を傾げた。「私のときは、東雲工業さんのシステムについて訊かれたけど、それだけだったわね」

 「どんなことを訊かれたんですか?」

 「システムの内容かな、と思ったんだけどね、それはもう知ってたみたいね。むしろ、東雲工業さんのシステム部門の組織とか、そういう話が多かったわ」

 「へ-、そうなんですか」

 「まあ、正直なところ、何がしたいのかよくわからなかったよ」

 全く参考にならなかったが、とりあえず私は礼を言っておいた。

 結局、私が五十嵐さんに呼ばれたのは、メンバーのほとんどが一通り面談を終えた後だった。

 「箕輪さん、忙しいところすまんね」ミーティングルームで待っていた五十嵐さんは、ニコニコしながら私を迎えた。

 「いえ」私も何とか笑みを見せた。

 「じゃあ、早速、いくつか聞かせてもらおうか」五十嵐さんは手元のiPadを見ながら言った。「箕輪さんの一番得意な言語は何?」

 「言語ですか?」

 「そう。日本語以外でね」

 思わず短い笑い声を上げてしまった。何と、五十嵐さんは冗談を言ったらしい。

 「フランス語ってのもなしですか」

 そう返すと、五十嵐さんはガハハと声を上げて豪快に笑った。決して英国紳士のような品があるわけではないが、下品ではなく、人に媚びるようでもない。粗にして野だが卑ではない、という感じだった。

 「うん。いわゆるプログラミング言語で」

 「そうですね」少し気分がほぐれた私は、落ち着いて答えることができた。「まあ、Javaですね」

 「職務経歴を見るとそんな感じだよね」五十嵐さんは頷いた。「Flexも結構やってるんだね」

 「はい。RIAが流行った頃に勉強したので」

 「今、やってるのもFlexだったね」五十嵐さんはiPadをタップして何かを開いた。「播元工業さんのドキュメント管理」

 確かによく把握している。

 「はい」

 「Flexを選んだのは、箕輪さん?それとも、お客さん?」

 「私というか、武田さんです。武田さんが要件とか決めてきた案件だったので。私の手元に来たときには、FlashでRIAというように決まってました」

 「Flexはオワコン、みたいな風潮もあるけど、箕輪さんはどう思う?」

 「そうですね。単にFlashというだけだったら、まあ、HTML5でもいいかとは思いますね」私は考えながら答えた。「ただ、たとえば動的に明細行が増えていくような面倒な画面の場合は、Flexで作るとやっぱり楽ですね。サーバとの通信も、Ajaxに比べて、blazeDSの方がかなり高速ですし。だから、RIAで業務アプリという用途に限定するのであれば、作りやすいのは確かです。クロスブラウザ問題もないし。まだまだイケると思います」

 「なるほどね」五十嵐さんは手帳に何か書き込んだ。「MS系の言語はどうなの?書いてなかったけど」

 「前の会社で、VB6の時代にはやっていましたけど、ここに来てからはJavaばかりで。.Netは憶える機会がなくて」

 「他の人のを見ても、Javaが多いみたいだけど、そういう風土なのかな」

 「そうですね。この部の発足時はホントに手探り状態だったので、各自がやれることをやってた、って感じで。たまたま私がJavaで1つシステムを構築して、そのヘルプが必要になったので、Javaができる人材を募集したんです」

 「その人材というのは、守屋、木下、足立の3名だね」

 「そうです」3バカトリオと呼んでいることは伏せておいた。「他の人も、MS系のはほとんどできないんじゃないですかね」

 「武田くんもMS系はできるんじゃなかったか?」

 「ああ、そうでした。前に、Officeのマクロと、ASPをやってたと聞いたことがあります。あ、カスミさんはMS系ですね。ずっとVB6のシステムをメンテしてますから」

 「進藤さんか。彼女は大きなクライアントの仕事をずっとやってるんだね。箕輪さんもたまにヘルプしてるって聞いたけど」

 「ほんとにたまにですよ。あのシステムは、もうカスミさん......進藤さん以外は手が出せない聖域ですから」

 「そうみたいだね。ところでFlexだけど、他の人はどんな感じかな?それなりにみんなできる?」

 「他の人の職務経歴書には書いてなかったですか?」

 「うん、あったんだけど、それだけだとどの程度のスキルなのかわからなかったからね。それに自己申告よりも、同僚の評価の方が得てして正確だったりするんだな」

 「そうですね......守屋、木下、足立の3人はある程度できますね。同じ業務でやってましたから。後は、クミ......藤崎さんは、FlexというよりFlash ができるので、その関連でActionScript は独学でやったみたいです。業務での出番はないですけど」

 「ツールは何を使ってる?」

 「Flash Builder4です。少し前は、Flex Builder の3だったんですけど、最近、4.6にバージョンアップしました」

 「Flex SDKのバージョンは3?4かな?」

 「最近はあまりFlexの案件がなくて。昔のは全部SDK3なので、そっちでメンテしてますね」

 「ああ、4になってから、コンポーネントの名前とかスキンの使い方とか、ガラッと変わったんだったね」

 「そうなんですよ。ちょっととっつきにくくて......」

 五十嵐さんとの面談はそんな感じで進んだ。面談前はてっきりスキルについて尋問でも受けるのかと、少し身構えてしまっていた私だったが、その予想は覆された。五十嵐さんは時に冗談やおやじギャグを混ぜながら、てきぱきと会話を進め、面談が終わる頃にはすっかり打ち解けさせられてしまっていた。

 「よし、だいたいわかった」五十嵐さんはiPadのケースをパタンと閉じると、私に笑顔を見せた。「ありがとう。忙しいところ、時間を取らせてすまなかったね」

 「いえ、ありがとうございました」私も笑顔でお辞儀をして、ミーティングルームを出た。

 自席に戻っても笑顔の残滓が残っていたらしい。腰を下ろすなり、カスミさんが身を寄せてきた。

 「なになに、楽しそうだね」

 「あ、そうですか?」私は頬に手を当てた。

 「会話が弾んでいたみたいだね」

 私の面談時間は90分以上だった。いつの間にそんなに時間が経過していたのかと、ちょっと驚いた。

 「どんなこと訊かれたの?」

 「主に言語の話でしたね。あたしが得意な言語は何か、とか」

 「へえ、私も訊かれたけど、VB6だけって言ったら、そうですか、って言ったきりだったよ」

 「オレはJavaの話でしたよ」守屋が前の席から割り込んだ。「ソース見ながら、結構、あちこち指摘というか、質問されました」

 「よっぽどひどいソースだったんだな」と木下。「五十嵐副部長も気の毒に」

 私は思わず頷いた。独特のこだわりがあるせいか、守屋のソースは読みにくいことこの上ない。わざと難読化しているのではないかと思うほどだ。こいつの書いたソースを解析するのは、ヴォイニッチ手稿を解読するより困難だ。

 「あー箕輪さん、なに納得してんですか」

 「いや確かに気の毒だな、と思って」

 「ひどい」守屋は憤慨した。「でも五十嵐さんは、褒めてくれたんですよ」

 「へー、なんて?」

 「よくこんなに複雑なソースを書けるなあ、って」

 木下が爆笑した。

 「なんだよ」守屋がかみついた。

 「守屋」足立が冷静に指摘した。「それは褒めてないと思う」

 今度は私とカスミさんも笑いの輪に加わった。

 「何がしたいのかしらね」笑いが収まった後、カスミさんが首を傾げた。「全員の得意言語を詳しく調べてるみたいだけど」

 それが明らかになったのは、次の週の月曜日だった。

(続く)

 この物語はフィクションです。実在する団体名、個人とは一切関係ありません。また、特定の技術・製品の優位性などを主張するものではありません。

Comment(12)

コメント

a

今までは技術がダメな人が引き起こす問題が多かったけど、
今回の人は割とできそうな感じで、この先どんな問題が起きるのやら・・・

産業スパイ的なのを一瞬思いついたけど、五十嵐を誘ったのは部長だし、さすがに高村ミスズ女史の事件簿とは世界観が違うかw

wwJww

五十嵐さんが産業スパイみたいに思えてくる。

elseorand

三バカなんて言われてますが、
前回のようなプログラミング議論を導いてあげてもらいたいものです。

b

今のところは好感がもてる方ですね。
技術に詳しい人が管理層にいるといないとでは違いますからね。

おにいちゃん

>>1月末までの売上高 見込みは 6,300万円だが、営業利益は 5,700 万円しかない。つまり、およそ 600万円の 赤字

どういうことなの…
「1月末までの販管費見込みは 6,300万円だが、売上総利益は 5,700 万円しかない。つまり、およそ 600万円の 赤字」

ってことかな
意外と大所帯だなぁ

少エス

おにいちゃんさん>
大所帯かな?
社員数10人くらいのソフト会社でも年商1億ぐらいはいくでしょ。
利益がでるかどうかは別やけど。

fan

同じく五十嵐さんがスパイのような印象を受けました。罪と罰がタイトルなだけに。

名無し

>「守屋」足立が冷製に指摘した。
冷静にの間違いかと

おにいちゃんさん、名無しさん、ご指摘ありがとうございました。
修正しました。

ふっちーLove

ふっちーの技術力が低いというのですか…何もわかっていない…

西山森

>ふっちーLoveさん
たぶん、ホライゾンとか亀とか主人公のことを言ってるんじゃないかと。

名無し

あと、考えられる可能性としては、五十嵐=地獄のリストラ執行人って線もありそう。
面談は、リストラ対象の選定なんだろう。

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