テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

新潟初のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'11 Niigata」開催レポート(その0)――わたし、実行委員長になりました

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 こんにちは、第3バイオリンです。

 これまでのコラムで何度も宣伝しましたが、明日2月18日に新潟初、日本海側初のソフトウェアテストシンポジウム「JaSST’11 Niigata」を開催します。

 今回は参加レポートではなく、運営レポートになるわけですが、本編の前、それも開催前日に「JaSST’11 Niigata」開催のきっかけは何か、なぜわたしが実行委員長になったのか、そこからお話したいと思います。

■「JaSST’11 Niigata」開催のきっかけ

 きっかけは「JaSST’10 Hokkaido」で、電気通信大学の西康晴さんとお会いしたことでした。西さんはJaSSTを主催する「NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER)」の理事長であり、他にも主要なソフトウェアテストのコミュニティや関連団体でご活躍されている方です。わたしがよく参加しているソフトウェアテストワークショップ「WACATE」の実行委員の方々とも親しく、ありがたいことにわたしのこともご存知でした。

 「JaSST’10 Hokkaido」でお会いしたとき、西さんはわたしに「新潟に三浦元さんという知り合いがいて、一緒にソフトウェアテストのセミナーを企画している。もしよかったらお手伝いをしてくれませんか」とおっしゃいました。三浦さんは、「財団法人にいがた産業創造機構」「NPO法人 組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)」に所属しており、新潟県内でエンジニア向けのセミナーを開催している方です。

 セミナーと聞いてわたしは、小さな会議室に10~20人くらいの受講者を集めて講義や演習を行うスタイルを想像しました。しかもお手伝いなら、それほど難しいことをするわけでもないと思ったので、「いいですよ」と気軽にお返事しました。

 それからしばらく後、西さんはわたしに「新潟でJaSSTをやりましょう」とおっしゃいました。

 ……え? 最初に聞いた話と違うんですけど?

 そこで西さんは、なぜ新潟でJaSSTを開催するか、ご自身の考えを説明してくれました。

 JaSSTの開催地は年々増加し、日本各地に広がりを見せています。しかし、まだ開催していない地域はたくさんあります。特に新潟のように近隣の県にアクセスしにくい地域に暮らすエンジニアにとって、JaSSTに参加するということは大変なことなのです。そこで、西さんはそのような地域で、運営側にとっても参加者側にとっても負担が少ない、小規模の「プチJaSST」を開催するというアイデアを温めていたのです。

 その「プチJaSST」最初の試みということで、新潟に白羽の矢が立ったわけです。ともあれ、西さんをはじめとする、東京の実行委員3名がアドバイザとしてついてくださり、新潟のJaSST実行委員会が発足しました。

■わたしが実行委員長!?

 こうして「新潟でJaSSTを開催しよう」計画はスタートしました。まずは実行委員長を決める必要があります。新潟のメンバーはわたしと三浦さんの2名です。普通に考えれば、年長者の三浦さんのほうがよさそうです。

 しかし、西さんは「実行委員長は第3バイオリンさん」と言いだしたのです。

 ……え? ご冗談でしょう?

 もちろん冗談ではありませんでした。とはいえ、わたしは年齢も若いほうだし、コネや力があるわけでもないし……と思っていましたが、西さんと三浦さんの「そういうのは後からついてくるし、何かあればフォローしますから」という一言で引き受ける決意をしてしまいました。

 実行委員長を引き受けようと思ったのには、他にも理由があります。JaSSTの実行委員長という、責任のある立場につけるチャンスはもしかすると一生に一度のチャンスかもしれない、だったらここで飛び込まなくてどうすると思ったこと、JaSSTで初めての女性実行委員長になれるということ、そして何より、コラムのネタとしてこんなにおいしい話はないと思ったことです。

 でも、そうだとしても、「どうしてこうなった」という気持ちもなくはないです(笑)。

■実行委員長のお仕事

 さて、こうして実行委員長になったわけですが、実行委員長は具体的に何をするのでしょうか。

 主な仕事は、当日までのタスクとスケジュールを把握し、実行委員やアドバイザにうまくタスクを振ることです。これはプロジェクトリーダーと同じようなものですね。

 しかし、何より大切なことは「新潟のJaSSTで何をしたいか、どういう場にしたいか」を考えることだ、と西さんはおっしゃいました。

 そこでわたしは、以下の2点を目標に掲げました。

  • 新潟で開催するのだから、新潟のエンジニアに大勢参加してもらいたい(もちろん、新潟県外からの参加者も大歓迎です)
  • 新潟県内外のエンジニアの交流の場にしたい

 実行委員長になったとはいえ、周りのメンバーはわたしより年上で、しかもテスト業界でご活躍されている方ばかりです。はじめのうちは遠慮もあってなかなか自分の意見が言えず、気がついたら時間ばかりが経過して何も決まっていない……という事態に陥ってしまいました。これではいけません。

 「ここでわたしが決定しないと、誰も動いてくれない、何も進まない」

 わたしは覚悟を決めました。

 それまでは、何かアクションを起こす際「~でいいでしょうか」という、お伺い口調でしたが、覚悟を決めてからは「~でいきます」と、断言する口調に変えました。もちろん、ただ自分の意見をゴリ押しするだけでは独裁者になってしまいますから、自分の意見を伝えたうえで、他の方が別の意見を出してきた場合は、それも受け入れるようにしました。

 会社の業務ではリーダーではなくなってしまいましたが、JaSST実行委員会でリーダー経験を積むことができたのは、自分にとってとてもプラスになったと思います。ときには普通の会社員であればぶつからなかったかもしれない状況にぶつかり、悩みながら決断することもありましたが、それも今となってはよい経験です(あまり何度も経験したくはないですが)。

■おかげさまで満員御礼!

 今回、一番心配だったことは集客です。参加者の定員は40名と設定しましたが、本当に人が集まるだろうか、また集まったとしても、新潟のエンジニアがほとんど参加してくれなかったらどうしようか……と不安でした。

 しかし申込み受付を開始したとたんに参加者がどんどん集まり、予定よりも早く定員が埋まってしまいました。また、参加者の8割くらいが新潟の方で、こちらもいい意味で予想を裏切ってくれました。大勢の方が「JaSST’11 Niigata」に興味を持ってくださったことを、本当にうれしく思います。

 実行委員会の発足からここまで、振り返ってみればあっという間でした。当日は、参加者の皆さんに、楽しく学び、気付きを得られる場にしたいと思います。明日はよろしくお願いします。

 なお、当日券はありません。このコラムを読んで「面白そう、ちょっとのぞいてみようかな」と思われても、当日の飛び入り参加はできませんので、あらかじめご了承ください。

◇ ◇ ◇

 次回は、「JaSST’11 Niigata」当日の内容をお届けします。はたして無事に終わっているでしょうか……。

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