テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

テストエンジニアの理想像

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 エンジニアライフをご覧の皆さん、はじめまして。「第3バイオリン」と申します。

 これからテストエンジニアとしてのわたしの日常や、そこで考えたことを書き綴っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 わたしは、いろいろな立場のコラムニストの皆さんの意見を伺えるこのエンジニアライフが大好きです。しかし、テストや評価に携わるエンジニアのコラムが少ないことに物足りなさを感じていました。

 そんな折、ヨギさんのコラムを読んで、女性テストエンジニアとして自分でコラムを書きたいという気持ちが湧き上がり、コラムニストに応募しました。

 わたし自身、テストエンジニアとしてのキャリアがまだ浅いので、自分の意見を述べるだけでなく、時には読者の皆さんと一緒に考える場にしていければと思っています。

■自己紹介

 わたしは28歳女、独身のテストエンジニアです。4年前に情報工学系の大学院を修了して、いまの会社に就職しました。

 最初の3年ほどはアプリケーション開発に携わっていましたが、プログラマとして行き詰まりを感じ、精神的にも参ってしまいました。そこでコーディングから離れてドキュメント整備などの補佐的な作業をしていたのですが、8カ月ほど前に評価部門に異動していまに至ります。

 テストエンジニアに転身して日が浅いため、まだプログラマの血が残っています。そのためヨギさんのコラムにあったような派手な外見ではありません。あしからず(笑)。

■開発者(過去のわたし)にとってテストエンジニアのイメージとは?

 わたしだけかもしれませんが……、開発をしていた頃は評価というものを甘く考えていました。「仕様書見ながらチェックするだけでしょ? 誰だってできるじゃん!」と思っていました。

 1からモノ作りをしている開発と、出来上がったモノをこねくり回すだけの評価……両者のパワーバランスを音楽に例えると、開発が主旋律で評価は伴奏、という図式がわたしの中にありました(いま思うとあまりに視野が狭すぎて恥ずかしい! そもそも伴奏だって大事だぞ!)

 しかし、実際に評価作業をしてみて、その考えが大間違いだったことが分かりました。

 確かにテストで使用するチェックリストは、基本的に仕様書の内容に沿って作成されます。でも、テストでは仕様書には収まらない「使い心地」(例:パフォーマンス)や、「異常事態」(例:稼働中にケーブルを引っこ抜く)などもチェックする必要があります。

 それゆえ、テストエンジニアという仕事はテスト対象自体はもちろん、それを取り巻く環境、使用する状況や人などへの深い理解と造詣がなくては務まりません。

 テストエンジニアとして働くようになってから、開発部門にいたときよりも広い視野で物事を捉えることができるようになった気がします。今はこの仕事を誇りに思っています。

■わたしが理想とするテストエンジニア像

 先ほどの音楽の例えで言うと、開発が主旋律なら評価は対旋律(オブリガート)でありたいと願っています。つまり、主旋律をうまく引き立てながら、自分自身も確かな存在感を示す、欠くことのできない存在になりたいのです。だから開発者に「やっぱりここは第3バイオリンさんでなくちゃ」と言ってもらえるようなテストエンジニアになることがわたしの夢です。

 そこで、このコラムのタイトルをオブリガートとしました。

 ちなみにオブリガートという言葉は、ポルトガル語で「ありがとう」という意味も持っています。開発の仕事をうまくフォローして、感謝されるようなテストエンジニアになるために私は今日も働きます。

Comment(6)

コメント

組長

こんばんはー。お邪魔いたします。


>開発が主旋律なら評価は対旋律(オブリガート)
>ちなみにオブリガートという言葉は、ポルトガル語で「ありがとう

何だか、素敵な響きですねー★お互いに自分の仕事と、自分自身に誇りを持てるよう頑張りましょう!

第3バイオリン

組長さん

第3バイオリンです。

お客様第1号です!来てくださってありがとうございます。

>お互いに自分の仕事と、自分自身に誇りを持てるよう頑張りましょう!

はい!そうですね。
テストエンジニアというのはIT系エンジニアの中でも比較的新しいジャンルのエンジニアで
(特に日本では)キャリアパスとかもはっきりしていません。

キャリアを模索し、もがき続けて時にはドブに落ちる私の姿がテストエンジニア、あるいはそれを目指す人の参考になれたらいいかな、と思っています。
まあ、でもそんなに気負わずにやっていきますので、これからも気軽に遊びに来てくださいね。

ヨギ

第3バイオリンさん、コラムニストデビューおめでとうございます。

つい先日コメント下さった方が、早くもデビューされるとは。行動が早いですね。
しかも僕の名前が出ていて驚きました。

>情報工学系の大学院を修了
うわーまぶしい。まぶしすぎる。(学歴コンプレックス。私は日大卒)

第3バイオリンさんのように、開発の経験を経てテスト分野に来るというのは理想だと思う。
私も開発を十数年やって、徐々にテスト分野にシフトしてきましたが、
開発者の痛みがわかるので、開発を遣っていてよかったと思ってます。

逆に、テスト理論だけしか知らない人だと、
極端に言うと野球のルールブックだけ読んで監督やるようなもので、
選手(開発者やそれを取り巻く環境)の大変さがわかりません。

>実際に評価作業をしてみて、その考えが大間違い
すばらすい。 IT業界の皆がそういう認識を持つようになると、
ガゼン、テスト作業もやり易くなるのですがね。

テストエンジニア(というかテスト自体)は、日本ではまだまだ軽視されていて、
認知が低い状況です。少しでも日本に、テスト文化が根付くよう、お互い頑張りませう。

p.s.
 しかし格調のあるというか、知性を感じさせるコラムですね。
 私のとぜんぜん違う................._| ̄|○

第3バイオリン

ヨギさん

第3バイオリンです。

>つい先日コメント下さった方が、早くもデビューされるとは。行動が早いですね。
>しかも僕の名前が出ていて驚きました。
ええ、実はコメントを書いた直後にコラムニストに応募してしまいました。
以前から、私も何か書きたいという気持ちはあったんですよ。
でも、まだキャリアもほとんどないし、何より定期的にネタを提供し続けることができるかどうか不安でずっと迷っていました。
そんなときにヨギさんの例のコラムを読み、迷いは消え、私の心は決まりました。
決めてしまいました。

コラムニスト、第3バイオリンの生みの親といったら大げさですが、
背中を押してくださったのはヨギさんだと思っています。
勝手についていこうと思っていますが、迷惑かけませんのでよろしくお願いします。

>>情報工学系の大学院を修了
>うわーまぶしい。まぶしすぎる。(学歴コンプレックス。私は日大卒)
いや、これはこれでデメリットもありますよ(汗)
何せ学卒で就職する同期より2年遅れていますので、同年代の学卒者と比べるとスキルも貯蓄も少ないんです。
女性向け雑誌に書かれている同年代の女性の貯蓄平均額を見ると「みんなこんなに貯め込んでるの?」と驚いてしまいます。
それから、いずれコラムに書こうと思っていますが、男性に引かれてしまいます(寂)

>第3バイオリンさんのように、開発の経験を経てテスト分野に来るというのは理想だと思う。
>私も開発を十数年やって、徐々にテスト分野にシフトしてきましたが、
>開発者の痛みがわかるので、開発を遣っていてよかったと思ってます。
そうですね。
開発者の苦労もわかるので、ただ「ちゃんとやってよ!」と言うだけでなく
どうすればこちらの意図が伝わり、納得してもらえるかを考えています。
改善活動などを提案しても、開発者はたいてい「仕事が増える、面倒」と思っていますからね。
活動の意図と、それによって開発サイドにメリットがあることを伝えてうまく乗せることには苦労しています。

>しかし格調のあるというか、知性を感じさせるコラムですね。
大学の研究室の教授が文章や言葉遣いに死ぬほど厳しい人だったんですよ・・・。
以前研究室のOGの中国人女性と会ったことがあるのですが、日本人以上に日本語の上手な方でした。
「教授に鍛えてもらった」とおっしゃっていました。納得。

ちょいとお邪魔するよ。

>オブリガートという言葉は、ポルトガル語で「ありがとう」

いいねぇいいねぇ、ポルトガル語。あたしゃ幕張の帰りにブルーノート東京に行って、セルジオ・メンデスのライブを見たんだ。ポルトガル語のボサノヴァでね。疲れたときに心をほぐしてくてるよ。

>チェックリストは、基本的に仕様書の内容に沿って作成・・・「使い心地」(例:パフォーマンス)や、「異常事態」(例:稼働中にケーブルを引っこ抜く)などもチェックする必要があります。

あたしが現役の頃は、チェックリストは設計した人間が作ってたから、思い込みで漏れがあったりしたような気がするねぇ。パフォーマンスは測定したけど、異常事態まではやってなかったねぇ。今更ながら勉強になったよ。

第3バイオリン

>Xさん

いらっしゃいませ。
来てくださってありがとうございます。

>あたしが現役の頃は、チェックリストは設計した人間が作ってたから、思い込みで>漏れがあったりしたような気がするねぇ。
設計、実装している人間は「絶対正しく動くはず」っていう思い込みがありますからねぇ(経験者は語る)。
異常事態についても、評価に異動して初めてチェックリストを見たときに知りました。
「えっ、こんな使い方する人なんているの?」と思いましたよ。
しかし考えてみれば、停電したりブレーカーが落ちたり、ケーブルにつまずくうっかり者がオフィスに存在したりすることは十分ありえますよね。
仕様書の内容さえ確認すればいいというものでもないのね・・・テストって奥が深いなあと思ったものです。

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