各種技術や、FPでもあるSEから見たIT業界のコラムです。

32歳、IT業界への挑戦_6-応用情報技術者

»

【情報処理技術者試験】

 30代未経験で、IT業界への就職に挑戦する友人に関する記事の6回目となります。

 さて、先月12月に情報処理技術者試験の応用情報技術者試験(以下、AP)と高度試験の結果発表がありました。昨今の雇用情勢と30代で未経験ということを考えると、APはぜひとも取得したいところです。

 結果発表当日は、発表時間の12時からしばらくは情報処理推進機構(以下、IPA)のサイトは接続しづらくなります。

■発表当日

 まずはIPAの情報処理技術者試験のページで自分の結果を確認するとともに、統計情報などを見ていました。私はありがたいことにITサービスマネージャに合格していました。これで1つ目標をクリアです。

 ソフト開発が専門なので、ハードやインフラ寄りなことを知っておきたいと思い、NW、DB、ES、SMと取得しました。DBスペシャリストはDBAではなくDAの試験なので思い切りソフト寄りでしたが……。

 次に、気になるAPの統計情報を見てみると、合格率が20.5%と、前回の22.7%より下がっていました。もちろん一概に判断できませんが、難しかったのかな? と友人の結果が不安に。友人の結果を気にしつつも、同僚に話を聞くとAPに合格!次はDBが候補だそうで、あの試験の無茶振りについて語れるのが楽しみです。(注*1)

 果たして友人は合格できただろうか……。

 そう思っていたら、なんと合格したそうです! 点数も午前が80点で午後70点と十分! 未経験ながらも、ITパスポート(IP)、基本情報技術者(FE)、応用情報技術者(AP)とストレートに合格。この才気を生かせたらいいなと思います。

■こんな制度もあります

 APを取得したことで、あとは企業への応募のみ!

 と、その前に。

 雇用保険に入ることで失業時に期限付きで給付を受けられます。しかしその給付の期限が切れたら困ります。そこで、困らないように、努力している人には補助があります。期限が切れる前にハローワーク経由で2件応募することで少し期限の延長が可能なのです。

 早く決まればそれでいいですが、そうならなかったときのためにこういう制度があることも知っておきたいところです。

■意外と使える

 上記の制度もあるので、ハローワークの求人に魅力的なものがあればそれに応募するに越したことはありません。ハローワーク経由だと企業にも援助があるケースもあり、経験者の転職でもなければハローワークの求人が他のルートで探すよりも魅力的なこともままあります。

 ただ如何せん、以前にも書いたように未経験となると求人がありません。それでも月に何度かのペースでハローワークに顔を出すと、「未経験でも応募可能なソフトウェア開発の求人」もときどき出てきます。(この話は大阪です)

 その中で、未経験としてはいいと思われるところにまず2件応募するのです。うまくいけば良し、悪くともそれで失業給付の延長を得られるわけです。

 友人もその方法を取りました。

■生かすも殺すも自分次第

 応募の際は、ハローワークの職員が電話で会社に話してくれます。ここは良さそうだと思った企業への応募の際、先方から電話口で変わってほしいという話が?!(通常ありません)

 「未経験で応募ということですが、趣味でプログラムを組んだりしているのでしょうか?」

 そういった質問をされたそうです。未経験可として募集しているところには「趣味でソフトウェアを開発して個人でリリースしているような人材」を掘り出したいのかもしれません。当然今の友人はそこまでできず、趣味での開発はしていないと答えるしかありません。

 そうなると企業の担当者は「そうですか……」となり、これは残念ながらお断りされるパターンです。

 ところがここで持ち直します!

 友人「趣味で開発はしていませんが、資格持ってます。先日応用情報技術者を取得しました!」

 なんとか切り返しを狙います!

 「はぁ、そうですか……」

 そんなパターンも十分考えられます。しかし

 「え? 未経験で応用ですか?! 相当勉強したんじゃないですか? 講座とか通っていたんですか?」

 というような反応! 逆転のタイムリーヒットです。

 どうも応募(書類の送付)が適わないこともあるそうですが、今回は応募することになり、晴れて選考の土俵に上がりました。

 もちろんここからが本番ですし、こうした事の数をこなさねばなりません。しかし早速にAP取得の成果があり、まずは受かって本当に良かったです。

■自分次第な業界

 資格に絶対的な価値はありません。しかし、良いと思う人もいれば気にしない人もいます。学歴も同じでしょう。

 そのようなことを気にする人は、なぜ資格や学歴を見るか。

  • 自身がその内容を知っていて、持っていることに価値を見出す
  • 経験則から持っている人が求める要素(即戦力・潜在能力)を兼ね備えている確率が高い

 そうしたところだと思います、もちろん他にもさまざまあるかと思いますが。

 絶対はありませんが、空振りを恐れないこと、確率を上げること、そしてそれを生かすための意識、これらを持って突き進めば道は開けます。

 IT業界の資格、特に情報処理技術者試験は、個人的にとても良い試験だと思います。ですが、名称独占すらなく不遇であると感じていたことがありました。

 しかし他業種、私は介護・福祉系の友人が多いのですが、そうした業界では「持っているか持っていないか」といった基準となる資格はありますが、情報処理技術者試験のようなアピールできる試験がありません。その点自分次第でチャンスをつかめるところは恵まれているのかもしれません。

■注

 *1: DBスペシャリスト試験の午後1と午後2は時間が足りないことで有名です。最近は緩和されているようですが、私が受験した頃は午後1も午後2も、開始から即答に近いペースで解答を書き続けても、分量で7割~8割分しか解答できない人が大半でした。あまりに時間が足りず、自らの出来と相まって試験後には思わず笑ってしまいます。とはいえ、本職のDAであれば最後まで解答できるのだろうと考えると、良い試験といえるかもしれません。

Comment(4)

コメント

yako

未経験からAPまでストレート合格とはすごいです!
個人差があるのはもちろん承知しておりますが、参考書は何を使われたとか、ちょっとした勉強法などを是非ご教授頂きたいです!

> yakoさん
コメントありがとうございます。
始めた頃は、拡張子って何?ダウンロードしたファイルはどこにあるの?
と言う状態だったのでITパスポートから8ヶ月でのAP合格は私も凄いと思います。

参考書は技術評論者の「応用情報技術者合格教本」です。

勉強法は大枠としては次の2つです。
「参考書は1冊に絞り常に持ち歩く。そして5周ぐらい読む。」
「過去問数回分を解説の内容が浮かぶまで繰り返し、わからないところは調べたり、納得できる説明ができる人にしてもらう。」

参考書を1冊に絞るのは私のやり方で、そのまま友人にも実施してもらいました。
私自身、基本情報技術者、ソフトウェア開発技術者、高度4つ、全て1冊ずつです。
1冊のみなのでその人にあった本の選択が重要になります。

ほとんどの人は、自分が思うほど基礎が染み付いていないまま背伸びをして非効率なことをしています。
情報処理技術者試験は、応用力があるに越した事はありませんが、本当の基礎力を持った人は合格する試験だと思います。

正しく基礎が伝わることを重視し、基本情報技術者なら現状では迷わず「キタミ式イラストIT塾」をお勧めます。
友人も参考書はそれ1冊のみで、何周も読んで勉強しました。
応用情報技術者の参考書では、同レベルのわかりやすさの本を知らないので選択が難しいです。

勉強法については、私自身が教育に携わってきた経験もあり、
また自身のスキルアップのため色々な人を参考に勉強方法そのものを研究しています。
友人には溝渕式と言ってもらっていますが、
機会があればコラムを書こうと思いますのでその時はご覧ください。

yako

お忙しい中の返信ありがとうございます。
参考書名を教えていただいただけでも助かります。
#当方APでつまずいている段階です。。。
勉強方法についての記事楽しみにしております。

> yakoさん
いえいえ、こちらこそコメントありがとうございます。
長々と書いてしまってすみません。
APを狙っているのですね、それに絞って書けたら良かった。
記事楽しみにしていただいて嬉しいです。
機会を見つけて書かせてもらいますね。

コメントを投稿する