スペシャリストかゼネラリストか
【スキルの粒度】
「多様性」という言葉で思い浮かぶのはダイバーシティよりポリモーフィズム、どうも溝渕です。皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。
■スペシャリストって?
IT技術者と言ってもその実態はさまざまです。初めはゼロでも(現実には学生時代で相当な差はありますが)、徐々に特定分野のスペシャリストとなっていくのか、複数の分野に対応できるゼネラリストとなるのか。
私は特化していることを格好良く思うので、スペシャリストという響きに憧れます。しかし何を持ってしてスペシャリスト、ゼネラリストと呼ぶか、さまざまです。
IT技術者としてスキルを高めようと考え、まずはコードを書けるようになろう。ネットワークを知ろう。データベースを知ろう。サーバを立てよう。サービスを構築しよう。仮想化しよう。
これらを1人で一通りこなすという意味ではゼネラリストの側面があり、テクノロジ・マネジメント・ストラテジといった分野で考えるとテクノロジに特化しているという意味でスペシャリストの方向となります。
ならば、テクノロジの中の小さな分野のスペシャリストが必要ないのかといえばもちろんそんなことはありません。案件が大規模になればネットワークやデータベースの細かな仕様を知り設計・構築できる人が必要となります。
しかし、案件によってはそうした突き抜けたスキルよりも、テクノロジ全般、またはマネジメントやストラテジーを横断したゼネラリストの側面が必要になる場合もあります。
スペシャリストかゼネラリストか、それは1か0かのようなフラグではなく、スキルの粒度とその適正でとらえるのが適切なのかもしれません。
その人の強みを「get強み()」というメソッドで引き出すならば、インスタンスによってさまざまなものが返って来ます。ああ、ポリモーフィズム(=多様性)だなと思ったのですが、多様性という言葉は一般にダイバーシティを意味することが多いそうですね。多様性と聞いてポリモーフィズムと返って来るようなら、その人はソフトウェア系の人なのかもしれません。
■FPに当てはめると
FPはどうなのだろうと考えてみます。FPは次の6分野に通じています。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業継承
そしてそれぞれの分野には専門家が居て、専門家と連携を取りながら顧客への最適なプランニングを提供します。
紛れもなく、ゼネラリストです。
タックスプランニングなどは、その先の専門家として税理士を簡単に想像できるかと思います。
では、この場合FPにタックスについて聞く価値とは何かというと、「多分野と比較した上で、最も効率的な選択をしてくれる」ということです。結果的に保険で解決するかもしれません。
「FT-1_リターン15%」で述べたような税金対策と、他の分野の商品・サービス・制度などを比較して、顧客にとって最適なプランニングを行います。現実にこのようなリターン15%を超えるほどお得なものはそうそうありませんが、これにも条件があるのでそうした事を考慮します。
■見えてくる必要なもの
ゼネラリストのような存在がいなければ、成り立たない側面があります。C言語しか知らなければ、システムの構築において不利なのは想像に難くありません。しかし、たくさんの言語の特徴を知っている人ばかりより、実際に使う言語を使いこなせる人がいなければ話になりません。
スペシャリストは、ゼネラリストと連携する必要がある。つまり多少は広い知識を持とう。ゼネラリストはスペシャリストと連携する必要がある、つまり多少は基本技術を身に付けよう。中間的な性質で、とにかく最適な方法を模索して形を作れる、そういったことも考えられます。
最近は、特に中間的な性質を持った人が増えてきたのではないでしょうか。西村賢さんがRails Hub情報局で書かれた「Rubyはイノベーション言語として選ばれている」などを読むと、「一通りできる」ことに格好良さを感じ、そのためには普段触らない言語も触ってみようという意識が生まれるのだと思います。
一通りできる人というのは、往々にして広く深いスキルを持っていたり、むしろスキルがあるからそうなる、という面もあります。
キャリア形成に当たって、意識してみるのもいいかもしれないということで、今回はスキルの粒度について考えました。