東北の片田舎にある製造業の社内SEによる奮闘記

中小企業社内SEについて

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 はじめまして、中小企業社内SEの三浦です。今回よりコラムを書かせていただくことになりました。まずは、自己紹介を兼ねて、簡単に経歴と今後の予定を記載します。

■プロフィールについて

 東北地方の工場に勤めている社内SE。肩書きは、統括部長付き係長。係員は不在……。職歴としては、大学では機械工学を専攻し、一部上場企業の社内SE、ベンチャーのコンサルティング会社のコンサルタント、教育系IT子会社のSE、現在の製造中小企業の社内SEと転々としている。メーカーとIT企業やIT子会社を経験しており、それぞれの風土や業務内容の違いなどを肌で感じてきている。

 また、資格取得も趣味といえるくらい熱心で、持っている資格は20以上。代表的なもので「プロジェクトマネージャ」「ITサービスマネージャ」「TOEIC 605点」など。中小企業診断士も過去に1次試験は合格しており、近い将来リベンジ予定。

 プライベートでは、妻と娘が1人。娘はまだ8カ月で、よく今が一番可愛いときと言われるが、言われ続けて半年くらい経つので、ずっと可愛いのかよと思っている。

 慢性的なうつ病と十二指腸潰瘍を患っており、2社目・3社目はそれが原因となり退職となっている。また、現在の会社においても、入社早々に出社できなくなり2カ月ほどの休職をしている。

 病気により職がない時期には、アルバイトとして塾講師を経験していたこともあり、今でも教育業界へ思うところはいろいろとある。

 そんな、精神も身体もひ弱な状態で、何とか生きるために仕事をしているという状況……。

■社内SEについて

 私の所属するような中小企業において、SE専属の人間がいるということはまれであり、総務や生産管理業務と並行してシステム業務を行っている場合が多いだろう。私の場合も、原則1人でSE業務を行っているが、データ入力/分析などデータに強いことを生かして、他部署の応援に回ることも多々ある。

 そんな中でSEとしての業務自体も多岐にわたり、PC・ネットワークなどのインフラの整備をはじめ、業務システム開発においても、要件定義から実装までをこなすという具合である。周りにシステムに詳しい人がいないということで、技術的なバックグラウンドは少ないのだが、メーカーにいるということで、製造現場と直接やり取りをするようなことも多く、要件定義というより話を聞くという機会に恵まれている。

 そのような環境の中、社内SEで良かったと思えることは以下のようなことが挙げられる。

  • 早いうちから上流工程を経験できる
  • 幅広い技術を学ぶことができる
  • 自ら作ったシステムが動く職場で働ける

 特に最後の項目については、責任もあるがモチベーションを保つのには良いことだろう。会社によっては、○○(作成者の名前)システムなどと後世まで名前が残ることもあり、自分の足跡を残せるという数少ない職種かもしれない。

 逆にSIerなどと比べて劣るところは、

  • 専門的な技術力を学ぶ環境が少ない
  • 他に頼れる人がおらず、自分の技術だけが頼り
  • 予算が限られており、システムに掛けられる金額は過少に見られる
  • 他に専門的な人員がいないため、仕事を振れない

 技術的な面については、社外コミュニティや自己学習でも多少は埋められるが、お金に関する面では大分厳しく、開発ツールやテスト用サーバはもちろんなく、AccessやPowerPointも標準装備されていないこともある。

■仕事の実態について

 面接の際に、「生産管理システムがないので、イチから作ることになる」と言われ、面白そうで入ったのだが、実際に入ってみると、仕事は口伝で行われ、最終的な結果だけをExcelに入れるという管理方法であった。ほとんどの中小企業はこのような実態なのだろうと思うが、イチからなんてもんじゃない、ゼロからやらなきゃいけないじゃないかと腹を括ったのを覚えている。

 試しにシステムを作ってみろといわれて、在庫管理を担当し、現状の業務の把握から始まり、業務改善を含めて業務とシステムをすり合わせて開発することとなった。上流工程は慣れたものだが、実装で悩む。さて何で実装をするんだ、というか開発環境がないこの会社でどういった実装が可能なのか。と考えた結果、Excelマクロという選択肢となった。

 一般的なシステム開発においてVBAでの開発って……と思う方もいらっしゃると思うが、実装経験が浅い自分が、開発環境(??)がすでにあるVBAというのがマッチした。

 開発期間が2週間という短期間で、試行までこぎつけられた。

 このシステムを導入し、業務として定着させるまでが社内SEの仕事である。システムが出来たから完了というわけではない。担当者へ説明し使い方を覚えてもらって、しっかりと使ってもらえるようにした。

 このシステム、現在も稼動しており、ときどき要望も上がってくる。修正費用がどうのとか気にせず、空いた時間でさっと直して納品。VBAなので、エクセルだけ入れ替えるだけでOK。出来ましたよとユーザに連絡すれば終わり。

 大企業のような、修正RFP、見積もり、修正、納品、検収、支払いなんて面倒な手続きなく、ユーザの希望に早く応えられる体制は実際に体験してみると、非常に気持ちいい。

 先述の病気の治療として、少しずつの成功体験が大事とあるが、まさにこういった体験が続くことが中小企業社内SEの魅力だろう。

■近況について

 社内にシステムがないと書いたが、一部請負先のシステムが導入されている部分がある。このシステムがグローバル対応で、IBM Zからオープン系の(多分)Windows版SAPに切り替えたところ、大炎上。リリースを延期して万全を期したはずが、リリース後1カ月経ってもまだ正常稼動には程遠い状態。

 私自身は請負先のシステムに手を出せないため、そこからデータを取得して社内用のシステムを作れないかと模索中。まずは、必要なデータがどのようなものかをGUI上で検証しているが、すべてのデータが公開されているわけではないのでデータ間の関連を想像しながらの作業。

 データ間連携はどうやら難しそうなので、手動でのデータ移動から社内システムへ移行という流れになるだろう。このあたりの近況については、かける範囲で後日談として披露しよう。

■今後の連載予定(仮)

  • 社内SEのスキル向上方法
  • 中小企業の生きる道
  • メンタル不調からの脱出
  • 生産管理システムとは

 上記のようなテーマを軸に、さまざまな話題を取り扱っていきたいと思います。読んでいただいた人に、少しでも良い影響を与えられたらと思って書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。

Comment(7)

コメント

ardbeg32

初めまして。私も中小企業で社内SEをやってる元SIerです。
一人SEなら、「誰も俺の仕事をわかってくれないんだ」と落ち込むこともあるでしょうけど、逆にワケの分からない宇宙人みたいな部下をあてがわれなくてよかったじゃないですかと良かった探し・・・いやまあそれは半分冗談として。

生産管理システムですか。ものすごく高精度なシステム触ったことがありますが、システムを手懐けるよりも、現場を納得させるほうがより難しかった記憶が。

エンドユーザーと近い所で仕事を出来ますから、(あなたが頑張っていることは)割りと見ている人は見ていますよ(口に出さないだけで)。
くれぐれもお体ご自愛ください。

としろう

SIerの端くれだと思う者です。

SIerなどと比べて劣るところの箇条書きの4番目以外は大多数の所で変わらないと思います。

・OJTで場当たり的に戦力投入され、注文前には環境の予習が出来ない。
・一貫した教育が無いため、投入案件で育ち、個人差が大きくなり、自分が頼り。
・大きい案件は大手が分割管理するだけ、開発者は細切れ案件を担う。

SIerに幻想を見すぎていると思う。
隣の芝生は青く見えるんでしょう。

社内雑用()

うーん只の落ち武者だね
TOEIC 605なんて普通恥ずかしくで書かないよ。

おとつ

はじめまして。東北、被災地の社員100人規模の製造業で15年前から1人社内SEやってます。
私の場合は今の会社に転職してから業務システムを独学で始めたので、他の方々のような情報システムの専門家ではないと自負(?)しております。PCが趣味で30年前からマシン語とかいじってたので、まるっきりの素人ではないんでけどね。

私ももれなくよろず屋の扱いで、PCメンテとか工場内のラックに乗ってLAN配線なんていい方で、営業やったり生産指示出したり、資材調達、在庫管理、新卒採用、原価計算して、ISOではマニュアルと規定類を制定したり、出荷検査に納品配達、構内草刈りまで。社内の残り99人は一体何やってんでしょうか(^_^;)

前置きが長くなりました。本コラムで下記の話題を少しでも入れて頂ければと思います。
・地方なので相談できる人が近くにいないけど、自身の技術向上とか最新技術の情報入手はどのようにするの?
・1人SEが長期不在の時にシステム障害が発生したらどうするか対策してる?

お互いに、あまり無理しない程度にがんばりましょうね。
さてと、企業パンフレットの原稿書きしなきゃ・・・。

very good submit, i definitely love this web site, carry on it

目的なら、他にも方法はある。例えばファイアのように、マジソン・ンでもを買った本人でないと入れないシステムを導入するとか。

S たねや

元は、中堅生協で社内SEをしてから、零細小売業に転進し、自社のシステムを管理しながら、他社のシステム管理も請け負っています。今は代表になったため、他社システム請負金額は年200万円程度に減りました。しかし、社内SEのようにエンドユーザーにぴったり貼りついて高効率でシステム開発をする業種に非常に興味を感じました。

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