テクニカルエンジニアを目指すエンジニアの理想と現実
みなさん、はじめまして。
自称テクニカルエンジニアの砧かぼすです。
某大手SIerのグループ会社で、主に金融関係のSEをやっています。この業界に足を踏み入れたのが30歳前と遅かったため、現在経験10年ちょっとというキャリアです。
ここでは中小企業の中でテクニカルエンジニア(技術系のエンジニア?)を志向する自分の理想や、現実とのジレンマなどについて書いていきたいと考えています。
●テクニカルエンジニアを目指したきっかけ
わたしがこの業界に入ったころは、ちょうどWindows95が普及しだしてきて、インターネットがだんだんと身近な生活に入り込みはじめた時期でした。
入社後、たいした研修もないままにあるプロジェクトに配属され、そこで先輩の社員に指導を受けながら、訳もわからないままにホストシステムのチェック仕様書を作成していました。
業務知識も知らない新人が作成したチェック仕様書なので、今から思うと先輩社員のレビューの苦労はさぞかし大変だったろうと思います。
結局、その業務からは半年ちょっとで外され、社内ネットワークの管理を命ぜられました。
当時ネットワーク管理を担当していた先輩から仕事を引継ぎ、社内ネットワークとして敷設されていた10BBASE-2(今は見ることの無くなった、黒い同軸ケーブルのネットワークです)のネットワークを10BASE-Tに張り替えたり、プロジェクト拡張に伴い別のビルに新設したオフィスのネットワーク構築などを担当したりしました。
中小企業でネットワーク管理者を担当している方はみんなそうかと思いますが、この仕事、はっきり言って雑用が多いです。
サーバに不具合があれば調べてすぐに直さないといけないですし、他の社員から設定がわからないと聞かれたり、誰かがネットワークケーブルを勝手につないでループさせてしまい、社内ネットワークが麻痺してしまったりします。
このようなヘルプデスク的な対応をするために、ネットワークやOS、サーバ管理などの技術を必死になって勉強することになりました。
なにしろ、教えてくれる人は身近に誰もいませんでしたし、当時はインターネットで検索しても今ほど情報が豊富ではなかったので、頼りはもっぱら雑誌と書店の技術書でした。
当時の会社は今から比べるとずいぶんと牧歌的で、何をするにしてもじっくりと検討して試行錯誤を繰り返す時間的なゆとりがありました。おかげで、会社の命令でLinuxのサーバを構築することになったときも、ディストリビューションの選定から実際のインストールまで、今じゃ考えられないようなのんびりとしたペースで作業を行い、納得いくまでインストールしては壊し、設定を変更しては再インストールを繰り返すことができました。
この時、ああ、自分はプログラミングをしてアプリケーションを作るより、こうやってインフラ周りを触っているのが好きなんだ、とわかったような気がします。
●セキュリティ技術の目覚め
これも今では考えられないことですが、ネットワーク管理を行っていた当時、お試しで構築したLinuxのWebサーバがクラックされるという事件がありました。
そのころ、インターネットで利用するアプリケーションを構築するというプロジェクトが社内であり、そのためのサーバ公開用のインターネット回線開設やサーバ構築をわたしが担当していました。
この作業も見よう見まねで実践をしたため、インターネット公開用の専用線のルータ設定はフィルタリングも何もしておらず、サーバもデフォルトの状態でインターネットにさらしていました。
今考えると恐ろしいですね。
ある日、そのテスト用サーバの挙動がおかしいため調べてみると、憶えのないユーザが登録されており、そのユーザ用ディレクトリ配下には怪しげなツールが大量に置かれていました。
慌ててIPAに報告を行い、ルータの設定変更やサーバの再インストールを行ったのですが、それまではまさか自分たちのサーバが攻撃を受けるなどと思ってもいませんでした。
それからです。
インターネットのセキュリティ情報をまめにチェックするようになり、日進月歩で進歩する攻撃手法の勉強をするようになりました。
続く