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これからの生産性向上の考え方

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 ビガーです。おはようございます。

 今回は、1月のお題「生産性向上の仕方」について、エンジニアの視点で生産性を向上させる方法というか考え方について、考察してみたいと思います。

■そもそも生産性とは?

 現在、生産性に関するWikipediaでの定義で「生産性」とは、

「経済学で、生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度のこと。あるいは資源から付加価値を生み出す際の効率の程度のこと」

となっているようです。

 続いて、生産性の測定法について、

一定の資源からどれだけ多くの付加価値を生み出せるかという測定法と、一定の付加価値をどれだけ少ない資源で生み出せるかという測定法がある。

と書かれています。

 ここで言われている資源とは、あるタスクのインプット(前提など)、付加価値とは、あるタスクのアウトプット(成果物など)であると定義できます。

 要するに

 エンジニアに求められる生産性とは、アウトプットをいかに効率的に、それ自体の価値を高められるか

にあるといえます。

■今までの生産性向上の考え方

Wikipediaでの生産性の測定法について、興味深いと感じた方もいらっしゃるのではないかと思います。

 わたしは、そう感じました。それは、1点目の

 一定の資源(インプット)からどれだけ多くの付加価値(アウトプット)を生み出せるか

という考え方です。

 エンジニアとして仕事をしていると、アウトプットを提供するためのインプットを可能な限り収集し、いかに効率良くアウトプットを作成するかを考え、実践していると思います。最近、林浩一さんのコラムでお話されている演繹と帰納の話でいうところの帰納的(ボトムアップと同義)な考え方です。

 わたしの体験ベースですが、今までのエンジニアの仕事は、帰納的な考え方の方が実際のプロジェクトでは、質の高い仕事を提供できる確率が高く、「余計なコトはするな」という空気感もあり、ある意味最適であったと思います。お客様のある要求(ここではタスクと同義)を満足させる方法への最短経路でもあったため、余計そう感じるかもしれません。

 しかし、同じインプットを収集したときに、どれだけ多くのアウトプットを生み出せるかという、ある意味演繹的(トップダウンが適切でしょうか)な観点がこれからの時代、エンジニアにも必要となるし、重要なファクターになると思っています。

■これからの生産性向上の考え方

 前回のコラムでお話しましたが、同じインプットがあるにも関わらず、アウトプットの質も量もエンジニアごとに異なるということが、現実のプロジェクトで起きています。

 結局は、エンジニア自身の考え方や行動次第といってしまうとそれに尽きるのですが、どれだけ多くのアウトプットを生み出せるかを考え、実際の行動に結びつけることが最も重要であると考えています。

 当然、その場の空気を感じて、押し引きをする必要もありますが、付加価値のあるアプトプットをいかに創出するかというコトを強く意識し、行動すること。

 わたしも意識・行動の改善を続けており、少しずつですが、アウトプットの質・量を上げられるよう工夫しています。

■景気回復を望むエンジニアの方へ

 仮に景気が回復しても、今までの生産性向上の考え方では、仕事が舞い込んでくる可能性は高くないと思っています。

 わたしのような若造が云えることではないと思っていますが、僭越ながら、今ある仕事を見つめ直し、積極的な行動に結び付くキッカケとなれば幸いと考えています。ライバルが増えるのは、ある意味脅威ですが、より高いレベルで仕事をできる方が楽しいので。

Comment(9)

コメント

しっぱ

こんにちは。しっぱと申します。

興味深いお話ですね。

> しかし、同じインプットを収集したときに、どれだけ多くのアウトプットを生み出せるかという、ある意味演繹的(トップダウンが適切でしょうか)な観点がこれからの時代、エンジニアにも必要となるし、重要なファクターになると思っています。

こちらですが、数と質を適度にバランスを取った形で生み出していきたいですね。
現在広告業界にいる関係もあり新しい分析方法がどんどん出てきて、そのアウトプットを毎回作りだすことが使命だったりするのですが、アウトプットが多すぎると使用者の混乱を招いたりします。

技術者として生み出したものを効率よく運用して頂くためには、作りだすだけでなく「効率的な破棄」も必要かもしれませんね。

長く運用していくとどうしても誰も使っていないレポーティングデータや、同等のデータを備えたデータが別に存在していたり。。。。

そこを「演繹的(トップダウンが適切でしょうか)な観点」で見直していきシンプルかつ必要十分なアウトプットを提供出来ればと考えています。

あまりクライアント様や運用者の方から「破棄」というお話は出てこないですからね・・・
そこをしっかり無駄をなくす方向に提案できるようになっていきたいと考えています。

なんかネガティブですね・・・・破棄ってw

wona

こんばんわ。wonaと申します。

「一定の付加価値をどれだけ少ない資源で生み出せるか」はよく考えないと、安易な単価引き下げ合戦になる危険性もあると思います。そのためにも「一定の資源からどれだけ多くの付加価値を生み出せるか」という価値観を大切にしていきたいと思います。

ビガー

しっぱさん、wonaさん、コメントありがとうございます。

>しっぱさん

アウトプットの量や質を適正に保つには、仰る通り、破棄は重要な概念だと思います。
多分、しっぱさんの云われていることは、整理することに近いのではないでしょうか。
生産性を向上させるには、インプット(大概過去のアウトプットが該当する)を整理し、適正なアプトプットを提供することが肝要ですね。

>wonaさん

なるほど、資源をヒトに置き換えられているのですね。コの業界の屈折した部分でしょうか。
ただ、最近、その少ない資源(ヒト)に相当な価値が出てきていることを現場で実感しています。

wonaさんは、マネージャなのでしょうか。

私もリーディングするときは、ヒトの特性を見極めて、付加価値を高められるよう精進していきたいと思っています。

wona

ビガーさん>
> wonaさんは、マネージャなのでしょうか。

いえ、現在はプロジェクトの現場リーダーです。
でも、現場から付加価値を高めていく意識を持っていることが大切だと思います。

> コの業界の屈折した部分でしょうか。

個人的には屈折した部分という認識もなく、知識労働の最大の資源は昔から変わらず人だと思っています。その人という資源をいかに有効活用するかが知識労働の要点ではないかと思っています。このあたりはドラッカーの影響を受けています。

ビガー

wonaさん、再度コメントありがとうございます。

私は、かなり我流でやってきているので、最近自分の知識体系を纏め始めているところです。
wonaさんがドラッカーの言葉で最も印象深いと感じた言葉、聞いてみたいです。
http://twitter.com/yutavigour
とかに暇があれば。

余談ですが、生産性について資源=ヒトという発想の方が一般的ですよね。
今回はエンジニア視点での生産性ということでインプットとしています。

wona

ツイッターの限られた文字列で書くのは難しいので、こちらに記載します。
つい最近、ひさしぶりに「プロフェッショナルの条件」を読み直しました。
普遍的なことが書かれているのですが、読み直すたびに理解度が高まっていく感があります。
これが経験かな、と。

「最も印象深い」となると、「これ」と一つを選ぶのは難しいのですが、生産性に関して言えばこれですね。

--
知識労働の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは、「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」である。手っ取り早く、しかも、おそらくもっとも効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである。
--

深く考えもせずに受け入れている常識や習慣って結構あるんじゃないかと最近思うところです。

ビガー

wonaさん、コメントありがとうございます。

ドラッカーの件、ご教示いただきありがとうございます。

>知識労働の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは、「何が目的か。
>何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか」である。手っ取り早く、
>しかも、おそらくもっとも効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、
>仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである。

なるほど。基本というか、大前提ですね。
いろいろな現場を見る機会のあるエンジニアであれば、当たり前に意識することだと思うのですが、長く同じ現場でやっている人は、優秀な人でも結構慣習的になってしまっている場合もあるようで、私の意見にハッとさせられたこともあったみたいです。
私もその人には、いつもハッとさせられていたのですが、そういうお互いが高まっていける風土こそ、最も生産性が向上するのかもしれません。

wona

そうなんです。ドラッカーの著書は目新しいことが書いてあるわけではなく、基本的なことばかりなんですけど、だからこそ読んでて気付かされることが多いんです。
目新しいこと書いてないのにこれだけ多くの人に読まれているってのはすごいことですよね。

wona

連投すみません。

> 私もその人には、いつもハッとさせられていたのですが、そういうお互いが高まっていける風土こそ、最も生産性が向上するのかもしれません。

まさしく同感です。チームを組むからにはこのような関係を構築していきたいです。
小手先の技術とか知識とかツールじゃない。

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