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@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第3話:狙われた和久原!

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2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第3話]狙われた和久原!

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。直接話を聞こうにも電話には出ない。部長命令で、あいつの家に行ったら、辞めちまった。

 「和久原課長、総務の久実本部長がきてほしいそうだ」

 朝、会社に到着した途端、鋼野部長からいわれた。

 総務の久実本部長。本名は久実チヨ。「クミチョ(組長)」なんてカゲでは呼ばれている。威厳もあり、それでいて面倒見がいい。しかも、美人というから、就活では彼女にあこがれて来る人が多い。最近は、“ワーク・ライフ・バカンス”とかいうのを推進しており、まぁ、残業はダメだとかいうもんだから、残業課長和久原としては、かなり苦手だ。

 「和久原さん、朝田くんのことは大変だったわね」

 「まぁ、仕方ないですね」

 「仕方ない? それだけ?」

 「……」

 「まぁ、いいわ。実はね、こんなものが会社に届いたの」

 「!」

 それは脅迫状だった。

 うちの課で作っているソフトの欠陥がびっしり書かれており、公開しない代わりに、名指しで指名したオレを辞めさせろっていうガビーンな内容だ。

 「率直にどう感じた?」

 「ガビーンって感じです」

 「ふ、ふざけないで!」

 「……(ふざけてないのにな)」

 「会社としてはまずこれらのバグ対応を早急にすること。そして、その指揮は堀くんにしてもらうことにしたわ」

 「あの、オレは?」

 「しばらくは開発から運用に回って欲しいの」

 「……わかりました」

 「そんなにがっかりしないで。これは、あなたの身の安全を守る意味でもあるのよ」

 「?」

 席に戻ると、同期の堀ちゃんがいた。

 「堀ちゃん、あとよろしく頼むわ」

 オレは堀ちゃんの肩をたたいて、運用本部に挨拶いこうとしたところ、廊下で、敏腕プログラマの紅サラに呼び止められた。

 「課長! 大体の話は堀課長から聞きました。それにしても、ここまで詳しい内容の指摘は、明らかに内部犯行ですよ。これって、もしかしたら……」

 「うるせえ、ぺちゃくちゃ話している暇があったら、バグフィックスしろよ」

 「でも、もし、もしですよ。辞めた朝田くんが指摘したのだとしたら……」

 「だとしたら?」

 「我々にも問題があったのではないでしょうか?」

 「……」

 「か、課長?」

 「辞めるべきはオレだったのかもしれない、な……」

 「そ、そんなことありません!」

 「あいつが残業もしないで、ここまでこのシステムのことが分かっていたのだとしたら、課長のオレはあいつの何を見ていたんだろうな。いや、きちんと見ていなかったんじゃなく、あえて見ようとしなかったんだ。オレの責任は……重いよな」

 「課長……」

 「ま、お前は堀課長の下で、ばっりばり頑張ってこい。じゃ、オレはもういくぞ」

 運用本部のあるデータセンターは、セキュリティの厳しい場所にある。誰かが殴り込みにきたとしても大丈夫、なるほど、それで「身を守る」場所なわけだ。どうせ、運用本部にきてもしばらく仕事はないだろう。

 オレは、あいつにもう一度だけ会いにいくことを決めた……。

■次回予告「対決!和久原アトムVS朝田ススム」■

 「そうですよ! ぼくが指摘したんですよ!!」

 「なんだと、おまえ、なんでそんなことしたんだ!」

 「う、うるさい! うわぁーーーー!」

 「や、やめろ!」

 8月13日夜21時放送!

 ※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

Comment(8)

コメント

久実チヨ

こんばんはー。

わー!自分が出てるー!笑
素敵な役にしていただいて、本当にありがとうございます★


 「まぁ、仕方ないですね」

 「仕方ない? それだけ?」


 「ガビーンって感じです」

 「ふ、ふざけないで!」

ああ、なんか、そういうこと言いそうなタイプです、私(爆笑)。

この朝田ススム君はちょっと私の後輩、R25坊やと同年代ぐらいの設定っぽいですね。何となく、似たようなムードを感じます。更新、楽しみにしてます!

逆転仕事術

え、久実チヨさん!?
わわ、勝手に登場させてしまってごめんなさい。
登場にあたってはコラムを全て読み返して、こういう感じの方かなって想像しました。その読みがあたっていたようで、とってもうれしいです。
次回もコラムニストの方が登場します。
そして、最後はすごいゲストが登場するんですよ。
あの役で、あのひとが!っていう感じです。
あーもう言いたい!
でも、ぐっとガマンしなくちゃ。

インドリ

>次回もコラムニストの方が登場します。

おおー。このコラム(ドラマ)コラムニストまで登場するんですね。
続きが非常に楽しみです。

インドリ

もしかして、組長さん以外にも既に登場しているコラムリストいるのかな?

久実チヨ

こんにちはー。久実チヨ(組長)でございます。

>逆転仕事術さん
いえいえ、お気になさらず★「うお!自分だ!!」って、ちょっとテンション上がっちゃいました。笑


>インドリさま
出てらっしゃいますよー。初回から。この回だけでも、私ともうお一人登場されてますし。

逆転仕事術

インドリさん、コメントありがとうございます。
今回のドラマを楽しみにしていただけたようで、コメント読まさせていただき、とてもうれしかったです。
コメントにそれぞれの話のネタバレ、解説をつけているので、よかったら見てくださいね。

逆転仕事術

久実部長、コメントありがとうございます、フォローもありがとうございます。
テンションを上げてもらえることが出来たのであれば、これほどうれしいことはありません。
すこしヒントをいただいていたので、みなさんには分かってしまったかもしれませんが、ネタバレはこのあとコメントしますね。

逆転仕事術

■第三話のネタバレ■

「総務の久実本部長」はコラムニストの「組長」さん、
「鋼野部長」は同じくコラムニストの「はがねのつるぎ」さん、
「同期の堀ちゃん」はさらに同じくコラムニストの「ホリススム」さん

に登場していただきました。
いずれも、事前許可なしで、登場させてしまったので、みなさん、ごめんなさい。

さて、このあたりから佳境にするべく、全体の構成をかなり考えていました。

ワークライフバランスはWLBと略すのですが、人事総務系以外には全く浸透していない気がしています。
昨年、その話をしたら、同期は、
アメフト?野球?
と困惑していましたし。
ただし、管理職は別のようで、少しは知識があったようです。
でも、「ワークライフバカンス」といい間違い続けている人がいました。
それが今回、さらにこの先のキーワードにもなっております。
また、ここからは大変な展開が待ち受けているので、シリアスモードに突入することもあり、ところどころに笑いを入れておく必要があると思ってもいました。

また、このあたりから和久原課長の考え方が変わってきます。

ワークライフバランスの事例では、「ある日突然」生まれ変わるということがありますが、自分を含めて、残念ながら現実にはほとんどありえません。
徐々にひとはどう変わるかをこのドラマでは現実に即した進み具合で残りを書こうと思ったりもしました。

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