IoT技術開発者が、IoT技術について、コラムを書いていきます。

#4 IoTシステムの「あるべき姿」を追うべきなのかについて

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こちらは「IoT技術開発者のコラム」です。今回も、IoT基盤(IoTプラットフォーム)が題材です。

前回の最後で書いた、

「そんなやり方(作ってすぐ捨てるやり方)で、業務で使うIoTシステムの品質が保てるのか?」「誰がそのシステムを運用できるんだ?」「システムを拡張したくなった時にメンテナンスできなくなるじゃないか!」

...という問いに対する答えを考えてみます。

そもそも、「IoT基盤を作ったほうが良い」と思っている方たちの根底には、たとえば「APIの仕様は固められるはず」とか「ソフトウェアには基本的に『あるべき姿』があるはず」とか、何かしらの固有なモノというか、共通化できる何かを想定しています。困ったことに、ソフトウェア開発者でもこういうことを言う人がいます。むしろソフトウェア開発経験者ほどそう言うかもしれません。

私はそのような意見には反対なのですが、その理由は

  • 現場のニーズは常に変わるから仕様変更はすぐに起こる → 出来上がってすぐ作り直すのがアタリマエ
  • 多少の使い勝手の悪さは開発からのサポートの厚さで十分カバーできる
  • IoTの技術ほど、収集系も見える化も、日進月歩で新しい技術が出てきて、全然枯れてない分野

などがあります。この考え方を突き詰めると「IoTシステムは1年目からサポートしながら都度変更を繰り返し、4年も持ったら十分、常に差し替える前提で考える」という結論が浮かび上がります。

だって、アナタ、そのスマホは4年も使ったら変えるでしょ? なんでIoTシステムはそうしないんですか?

「そうはいっても、これまでの業務で使ってきた基幹システムは10年使ってきたぞ」「我が社ではいまだにWin2000が稼働している」「いやいや、こっちにはPC98が...」

そんな、健康診断後の不健康自慢みたいな考え方で、IoT基盤を構築しようとするのはやめにしませんか? いまやPCや50インチのTVモニタは数万円で買える時代、ボードなら数千円、一ヶ月100MBしか通信しなかったら数百円でそれぞれ調達できる時代です。そんなものたちを寄せ集めてバラックで構築することと、わざわざ様々なユースケースに対応できるように、構想に2年も3年もかけて、IoT基盤を構築するのにかける費用(内部の人件費+SIerに支払う開発費)と天秤にかけましたか? どちらがリーズナブルなのでしょうか?(たいてい、後者のコストは考慮から抜け落ちやすいんですが)

当初の問いに対する私の答えは「問題が起こったら、そのIoTシステムは捨てましょう。その時点で用意できる技術で素早く作り直しましょう。」というものです。乱暴な結論のように聞こえるかもしれませんが、確かに乱暴です。

この考え方を成立させるためには、体制側に準備ごとがいくつか必要です。次回は、その点について考察してみます。

それでは。

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