システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

新情報処理試験に勝つ(3)

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午後Ⅰ記述式試験に勝つ(1)

■長文ベースの問題選択、慣れない字数指定、時間との戦いの記述式試験

 今回初めて実施される論文系のITストラテジスト、システムアーキテクト、ITサービスマネジャ試験。

 一般的対策は論文対策が中心となりがちだが、午後I記述式も事前の学習なくして合格は難しい。今春の試験合格者からメールを頂戴したが、午前の得点に比べると午後Ⅰは60点台でようやくクリアのケースが多い。

 午後Ⅰの難しさの原因は以下の3点に集約できる。

  1. 長文のケーススタディが4問出題される中、2問を選択しなければならない
  2. 「~について40~60字以内答えよ」で回答させる字数指定の回答方式
  3. 90分で記述字数が1問あたり200字を超える設問に対し時間が短い

■時間をかけない・ぶれない問題選択がポイント

 記述式問題は通常1問あたり3~4ページの長文が4問出題される。そのうち、2問を選択、90分で400字以上の字数指定での回答が要求される。

 合格への戦略としては、できるだけ短時間に問題選択を行い、40~60字の字数指定の回答に取り掛かることである。長文のケーススタディを全て読むと12ページ以上を読むことになり時間を浪費する。まず、時間をかけない問題選択が不可欠だ。

★できるだけ問題文を読まない問題選択……冒頭で出題分野を把握する

 時間をかけないためには、できるだけ本文を読まないことだ。

 問題文の冒頭は「~に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ」方式なので、「~に関する」に着目、まず出題分野を把握するとよい。

 例えば、「販売管理システムの移行方式に関する」では「販売管理システムの移行方式」に着目する。販売管理システムの問題であることを把握の上で、ページをめくり、最後に記載されている3つの設問を読むとよい。

 最後の設問を読むためにページをめくるが、めくるだけであって読まないことが重要だ。図表の「ファイル構成図がある」とか、「ネットワーク構成図」の存在を意識する程度で十分。

 重要なことは「どんな設問に回答しなければならない」かを把握することにある。部読んでから設問を読んだのでは、設問を読んだ後に回答のために最初から読み直す必要が出てくる。

★問4までの全問題の概要を把握し回答する問題を選択すること。

 出題4問、全ての概要を把握した上で回答するのは、行き詰まった時に「他にやさしい問題があるかも知れない」という考え、退路を断つためだ。

 全部の問題を読まないで回答中の問題に行き詰った場合、「把握していない他の問題の方がやさしく高得点が期待できるのではないか」と思うのが常であり、そうした思いを持たないためである。

 全部の問題の概要を把握の上で解く問題を決定したら、「この問題のほかに解く問題はない」ということで回答できるからだ。「ぶれないために」、この方式は必要といえる。

■記述式問題の学習にあたっての4つの評価レベル

 記述式問題に事前準備が必要なことは述べたが、自分で評価軸をもって学習することが重要だ。参考として、評価軸の以下4レベルを挙げておく。

  • 解答として何を書けばよいか、さっぱり分からない、見当が付かない ……レベル0
  • 何が解答か、口では言えるが文章では上手く表現できない ……レベル1
  • 何が解答か、簡単になら文章表現できるが指定字数では書けない ……レベル2
  • 何が解答か、指定字数で表現できる ……レベル3

 記述式試験は、レベル3の解答が必要なのだ。学習にあたっては、具体的に自分がどのレベルであるか、自己評価することが重要である。

■1歩1歩、レベルアップしていくことが必要

 実際には、いきなり「レベル3」になるのは難しい。まずは、口で解答がいえる「レベル1」を目指し学習することだ。遠回りのように感ずるかもしれないが、一歩一歩のレベルアップが最終的には近道になると感じている。

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