システムオーディタ川辺によるキャリアアップを目指したIT資格取得に関するコラム

(新)目指せ、システム監査人!!(6)

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 いよいよ、春の情報処理技術者試験の申し込みが始まりました。

 筆者が主催するシステム監査技術者対策にも、富山や和歌山から出席される受験者がおられ、その熱心さに心が打たれました。

 今回は、試験当日の論文の記載現場でのコメントです。

 平成22年度論文試験の問題文には、注意事項として以下の内容が記されています。

6.答案用紙の記入にあたっては、次の指示に従ってください。

(1)BまたはHBの黒鉛筆又はシャープペンシルを使用してください。

(2)受験番号欄に受験番号を記入してください。正しく記入されていない場合は採点されません。

(3)生年月日欄に、受験票に印字されているとおりの生年月日を記入してください。正しく記入されていない場合は、採点されないことがあります。

(4)略

7.解答にあたっては、次の指示に従ってください。指示に従わない場合は、評価を下げることがあります。

(1)問題文の趣旨に沿って解答してください。

以下略

 まず、6(1)「BまたはHBの黒鉛筆~」で鉛筆の濃さを示す「B」は、昨年から記載されたた点です。この点について、受験指導をしていて思い当たる事項に、論文はコピーを採点するため「薄い字が多い」ということがあります。

 どういうことかというと、採点する際は原本を直接採点することは考えにくく、コピーし採点すると思われます。そして、コピーに際しては「この論文は字が薄いので複写機の濃度を『濃い』にして~」などの配慮がなされているとは考えられず、機械的、事務的にコピーすると想定されます。

 したがって、濃い字を記載する必要がありますが、ほとんどの受験者がパソコン/ワープロを使用して文章を書くことに慣れているため、手書きで「濃い字で書く」のは容易ではありません。

 シャープペンシル利用者が多いことも、薄い字になる要因の1つです。

 このこと自体は論文の本質的ではないのですが、コピーされた字を採点する場合、「濃い字で記載する」ことは重要ポイントと思われます。

 次に受験者の本人確認は、答案用紙には「氏名」の記載欄がないため、受験票記載の「受験番号」と「生年月日」で確認すると想定される点です。

 出願時に記載した「生年月日」が受験票に記載されますが、必ずしも100%、出願者が記載した、あるいは記載したと思った生年月日が記載されているとは限らない点です。実際には、

  • 出願者が記載した字と受験票データ入力者が読みとった字が一致しない
  • 出願者の記載ミス、受験票データ入力者の入力ミス

などが考えられるからです。

 従って、解答用紙は受験票記載の「生年月日」の記載を求めています。これは、何かの原因で実際の「生年月日」と異なる場合、本人確認のために「受験票記載生年月日」を記載しなければならないことを示しています。

 実際の生年月日と受験票記載生年月日が異なる時、一定期間内であれば変更も可能ですが、該当期間を過ぎると変更も難しくなり、受験票記載の生年月日を記載しなければなりません。

 最後のコメントですが、7(1)「問題文の趣旨に沿って~」の記載は、問題文の趣旨に沿っていない論文が多いことを示していると思われます。どういうことかというと、最近では論文作成が難しいことが浸透し、下書き論文を作成して試験に臨む受験者が増加していることを示していると思います。

 下書き論文のテーマと、実際に出題されたテーマは異なることが通常です。もちろん、出題テーマで論文を作成する必要がありますが、2時間で最低2200字以上を記載することは容易ではありません。

 一方、下書き論文は事前に推敲し記載できますので、合格ラインでよく記載されている状況と言えますので、出題テーマではなく、準備したテーマで論文を記載する受験者も少なからず存在すると想定できます。

 しかし、採点者の立場を考えると「内容としてよく記載されているが、どこか違う……」という論文になっているのでしょう。短い時間に多くの論文を読まざるを得ない採点者にとっては迷惑な話です。

 採点者にとって、問題文の趣旨に沿った記載は重要なポイントといえます。具体的には以下のように、問題文に沿った内容の以下のような「見出し」を付け記載することをお勧めします。

 設問アの場合、

  1. 私が関わった××システム開発の状況
  2. テーマについての××システムの状況

 設問イ、ウについては次回お話ししましょう。

 (新)目指せ、システム監査人!!(6)終わり

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