海外IT企業で働いていた純日本人エンジニアがいろいろと考えてみる。

海外ITエンジニアのメリット(待遇編)

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 どうも、鹿島和郎(かしまかずお)です。今回は海外ITエンジニアと日本のITエンジニアを待遇面から比較してみたいと思います。以前から書こう書こうと思っていたものの、延び延びになっていた話です。

■ブラック業界で働いてるんだが、もう俺は限界かもしれない

 こないだショッキングな事実を発見してしまいました。Googleで「SE」と入力した後にスペースを入れてみてください。そうすると、第1候補として出てくるのは……「辞めたい」です(編注:5月24日現在。設定によっては表示されない場合があります)。SEを辞めたい人がけっこう多いということがよく分かります。

 また、去年か一昨年くらいには、ついに「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」なんて映画(*)が出てしまい、IT業界=ブラックという認識が広まっているようです。

*駄作の香りがするので、わたしは見ていません。

○海外では状況は違う

 何回か前に少し触れましたが、海外でのITエンジニアは一般的には日本より好待遇です。数値を出しての詳細な比較はこの後で行いますが、ここでいくつかの例を出したいと思います。

 まずは給与。プログラマの平均給与は日本に比べると高いです(もちろん為替レートにもよりますが)。

 いろいろなところで言われていますが、日本ではプログラマが高い給料をもらうことはなかなか難しいと思います。自分の周りの狭い世界の話で申し訳ないですが、プログラマで年収800万円以上の人を、わたしは見たことがありません。600万以上ですら、けっこう少ないです。

 それに対して、海外ではシニアプログラマでしたら年収800万円は別に珍しくありませんし、600万程度なら掃いて捨てるほどいます。これは別にMicrosoftやGoogleのような大企業に限った話ではなく、中堅や小規模の企業でも当てはまります。

 また、給与が同じだったとしても、休暇という面でかなりの差があります。日本のITエンジニアの場合、有休をなかなか取れないという人が多いのではないかと思います。海外の場合、(もちろん国にもよりますが)休暇は日本より長いですし、なにより「取るのが当り前」です。これは間違いなく海外の方が日本よりいいところです。

○個人レベルで出来る自衛は?

 さて、「IT業界=ブラック」は憂うべき事態であり、何らかの形で改善されるべきだとは思いますが、構造的な問題に起因している部分が多く、我々ITエンジニアがどうにかできる部分は限られていると思います。従って、ここでは「何が問題なのか」、「どうすれば改善するのか」というマクロな話には触れません。

 かといって、劣悪な労働環境に手をこまねいて体を壊してしまうことも馬鹿らしいので、個人レベルでできる自衛手段を3つ挙げます。

  1. 違う業界に転職
  2. マシな会社に転職
  3. 海外の会社に転職

 1ですが、ITに思い入れがあまりなく、異業種に転職可能な若い人は真剣に検討すべきではないかと思います。ただし、これに関してはこのコラムで(というか@ITで?)扱う話でもないので触れません。

 次に2ですが、スキルや経験を身につけていろいろな会社から引っ張りだこな技術者になれれば、転職してよい環境の会社で働けるかもしれません。これに関しては、@IT自分戦略研究所とか転職サイトなどを見ていろいろ研究してみてください。

 そして3番が今回の話題です。海外のIT企業に転職すると待遇面でどんなメリットがあるのかについて、具体的に述べていきたいと思います。

■数値などで実際に比較してみる

○前提知識

 これ以降、いろいろなサイトから調べた数字を出していきますが、その前にちょっとだけ前提知識について説明します。

・平均値と中央値

 平均値の算出方法については小学校(中学校?)で習っているはずなので、知らない人はいないと思います。ご存じの通り、平均値は母集団の傾向を把握するのに便利ですが、万能ではありません。

 例えば、A市の平均世帯年収が1000万円だったとします。その数値だけを見ると、「裕福な人が多く住む高級住宅地なのかな」と思ったりしますが、実際には低所得者が多く住む地区に、たまたまビル・ゲイツ級の金持ちが1人住んでいるだけかもしれません。

 それに対し、中央値の場合はそういった問題は起きません。もし「中央値」をご存じない場合は、Wikipediaなどで調べてみてください(上のビルゲイツの例も載っていましたね)。

・パーセンタイル

 あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、中央値が分かっていればパーセンタイルに関してもすぐ理解できるかと思います。これもここでは説明しませんので、分からない方はググってください。

○日本のITエンジニアの給与

 さて本題です。まずは日本のITエンジニアのデータから見ていきたいと思います。

 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(全国)」で、少し古いですがH19年度のデータを見てみました。それによると、平均年収は以下の通りです。

  • プログラマ:401万円
  • SE:547万円

 別のデータも見てみましょう。ITmediaのこちらのページでは、「JOB@IT」の登録者の年収データを集計した結果が載っていました。2010年度の平均年収は以下の通りです。

  • コンサルタント:597万円
  • プロジェクトマネージャ:600万円
  • 上流工程担当のSE:515万円
  • 下流工程担当のSE(≒PG):455万円
  • ネットワークエンジニア:485万円
  • データベースエンジニア:499万円
  • 保守・運用:452万円

 また、転職サイトDODAのデータによると、2009-2010のSE・プログラマの平均年収は447万円だそうです。

 別のデータですが、(若干古いデータで母数も少ないですが)「イーキャリアプラス」の調査結果は以下の通りでした。

  • SE職: 594万円
  • プログラマ職: 409万円
  • ネットワークエンジニア職: 444万円

 調査によってSEの定義が若干違うとは思いますが、日本のITエンジニアの給与に関して、大体の傾向は掴めたのではないでしょうか。

○海外のITエンジニアの給与

 次に海外のデータを見てみます。

・アメリカ

 まずはU.S. Bureau of Labor Statisticsの公式の統計情報を見てみます(詳細はbls.xlsを参照)。1ドル=90円とすると、主な職種の年間の平均年収は以下のとおりになります。

  • プログラマ:約694万円
  • ソフトウェアエンジニア(アプリケーション):約765万円
  • ソフトウェアエンジニア(業務システム系):約838万円

 アメリカでの「プログラマ」というのが日本でのSE的な業務も含むとしても、日本のプログラマより、かなり好待遇なのが分かるかと思います。

 興味があれば、salary.comなどで、もう少し細かいデータを見ても良いかと思います。

・カナダ

 アメリカはITが強いのでITエンジニアの給料が高いのはある程度予想が付くかと思いますが、お隣のカナダではどうでしょうか。

 Statistics Canadaより、2006年度の国勢調査のデータからsoftware engineersの年収を抜粋します(1カナダドル=85円で計算)。

  • 平均値:約687万円
  • 中央値:約633万円

 こちらもやはり日本より高いことが分かるかと思います。

 ちなみにカナダでは、就労ビザを取る際にITエンジニアは優遇されていて、以下の条件を満たす人であれば比較的簡単にビザが取れます(※)。

  • 大卒
  • 語学力
  • 職務経験2年以上

 その際に雇用側が支払わなければいけない最低賃金ですが、例えばソフトウェアエンジニアだと4万ドル(≒340万円)です。

※残念ながらその制度は今年の10月で終わるようですが。

・イギリス

 ITJobsWatchというサイトによれば、平均年収は以下の通りでした。

    Developer:4万ポンド(≒ 520万円)

 現在の為替レートだと、日本とそれほど変わらないようです。

・フランス

 いくつかのサイトを見て(123)、以下のような数字が見付かりました(※)。1ユーロ=113円で計算しています。

  • プログラマ:35 100ユーロ(約397万円)
  • ITエンジニア:37 820ユーロ(約427万円)
  • SE・コンサルタント:43 000ユーロ(約486万円)

 最近のユーロ暴落により、円換算では日本より給料は少ないようです。ただし、物価の違いや、後述の休暇の多さなども考慮する必要があると思います。

※フランス語に詳しくないため、間違っているかもしれませんが、参考程度に載せました。

○休暇

 給料は重要な要素ですが、休暇はどうでしょうか。

 まずは個人的な経験ですが、わたしのいた会社の場合、年に3週間休みを取れたので、同僚は大体長期で旅行に行ったりしてました。また、仕事のスケジュールもみんなの休みに合わせて調整します。

 北米の中小企業ですら3週間の休みが取れるのですが、ヨーロッパの場合は更に休暇は多いようです。わたし自身はヨーロッパで働いたことはないですが、年に5週間とかはそれ程珍しくないようです。

 一方、日本はどうでしょうか。たった1日の有給を取るのですらけっこう面倒で、1週間連続で有休取得とかはほぼ不可能な会社がほとんどではないでしょうか。わたしの個人的な例ですと、お盆・年末年始・GWを除くと、日本の会社で長い休みを取れたのは、退職時の有給消化だけです。

 海外のいいところは何でも柔軟に取り入れるのが日本人のいいところだと思うのですが、なんでこの部分は取り入れないんでしょうね。

○労働時間

 長くなってきたので日本の状況に関しては割愛しますが、海外の状況はどうでしょうか。

 今回、各国の給与を調べていた時にこのページで面白い記述を見つけましたので引用します。

Programmers are generally a pampered lot who work in plush air-conditioned offices and an average of about 40-50 hours a week. Though there could be a rush during deadlines, you also have the convenience of working from home or wherever thanks to telecommuting.

 アメリカのプログラマに関する記述なのですが、内容は、「締め切り前とかを除けば、エアコンの効いたオフィスで週に40~50時間働くのが一般的で、自宅から働くことも可能」って感じで、日本の状況とのあまりの落差に思わず笑ってしまいました。

 ちなみに個人的な経験はと言うと、9:30~18:30とかが普段の勤務時間でした。PL兼任になってからも8:00~18:30とかその程度でしたので、日本の一般的なIT企業よりは労働時間少なかったと思います。

○中堅以上のエンジニアが一番恩恵を受ける

 個人的には、(言語の壁さえなければ)海外に行って一番恩恵を受けるのは中堅クラス以上のPGではないかと思います。向こうではシニアPGとかそれに類する名前で呼ばれている人たちです。

 日本ではPG→SE→PM or コンサルタントとならないと給料が上がらないことが多いですし、40を過ぎると技術者として転職するのが極端に難しくなります(※)。

 それに対し、海外の場合には比較的年齢が高いITエンジニアというのも多いですし、技術者のままというキャリアパスも日本に比べると一般的だと思います。

 よって、技術者志向が強い中堅以上のITエンジニアにとっては、海外への転職は選択肢にしてよいと思います。

 逆に、新卒(あるいは経験が少ない人)だと海外ではポジションやそもそもビザを得るのが難しいので、そうした方々はまずは日本で職歴を積むほうが楽だとは思います。

※キャリアパスに関しては、これまた別の機会に書こうとは思っています。

○デメリットは?

 待遇面では海外ITエンジニアの方が恵まれている点が多いのですが、1つデメリットをあげるとすると、「解雇されやすい」ではないでしょうか。日本では正社員だとあまり解雇されませんが、海外では割と簡単に解雇されます。

 逆に言うと、(海外ITエンジニア固有の)デメリットはそれくらいしか思いつきません。

■まとめ:海外への転職も選択肢に

 日本のITエンジニアが全員ブラック企業に勤めているわけではありませんが、以下のような不測の事態もあり得ますので、現状に問題ない人でも海外転職という選択肢を持っておくだけは持っておいた方がよいのではないかと思います。

  • 会社の人員削減
  • 倒産
  • 日本と他国で戦争

 特に、技術者としてのキャリアを極めたいと考えている中堅以上のITエンジニアの方は、海外企業への転職は有力な選択肢となり得ると思います。また、その為に必要なスキルを身につけてみてはどうでしょうか。

 少し長くなりましたが、今回はこの辺で。ではまた次回。

Comment(12)

コメント

nana

はじめまして。いつも鹿島さんのコラムを拝見しています。

就職活動を終えた大学4年の者です。外国語系の学部ですがほかに技術をつけたいのでIT企業でSEという道を選択しました。まだ何もプログラミングのことは知りませんが将来は海外マネジメントやブリッジSEを目指しています。

ひとつ質問ですが、このコラムでいう「中堅」とはどのくらいの年齢のことを言うのでしょう?私は会社にとらわれず常に世界に視野を向けた技術をつけたいと思っているので、キャリアパスの参考にしたいです!

雨野

こんにちは、アメリカ在住の雨野です。私はコンサルティングファーム(実体はシステムインテグレータ)の駐在員で採用なども行っていますが、ジュニアレベルのメンバーでも$9万程度は出さないと採用出来ません。鹿島さん仰る通り、ITエンジニア(コンサル)の社会的なステータスはアメリカの方が高いと思います。ただ、北米で給料が高いといっても、単純には収入の損得は図れないと思っています。鹿島さんのコラムに総論としては同意ですが、各論部分と収入面のデメリットについてコメントさせて頂きます。

1つは鹿島さんが言及されている、レイオフに関係があります。これは日本企業の知恵の1つと言ってもいいと思うのですが、レイオフ(雇用の調整)がしずらい代わりに、月々の給与を押さえ、業績連動分はボーナスで調整しています。また、退職金というのも月の給与を抑え、キャッシュフロー悪化を防ぐためにあると思っています。逆に言うと企業側にレイオフ以外で人件費を調整する術がなく、雇用に対する保障がない北米のエンジニアが、日本と比較して年ベースで高い報酬を得るのは当たり前です。

次に社会保険です。そんなに詳しくないので認識が若干ズレているかもしれませんが、アメリカで国民皆保険の話が具体的になってきたのはオバマがでてきたからと認識しています。日本では気軽に病院や歯医者に行って、タダ同然で薬を貰うことができますが、アメリカでは保険も(今のところ)自己責任です。

最後のポイントとしては購買力平価ですね。日本はデフレと言われていますが購買力平価が比較的、変わらずに来たのに対し、アメリカは上がり続けてきたと認識しています。もちろんアメリカでも地域的な特性があるので一概には言えませんが、平均していうとアメリカの都市部(特にニューヨーク)で生活するのは、東京より金が掛かります。

冗談みたいな話ですが、私は現地で就職した日本人エンジニアがランチを食べるお金すら不自由しているのを見てきています。中小のブラック企業ではなく、IT業界に居る方はみんな知っている会社に勤めている方です。もちろん全員が全員そうではないのですが、これだけ年収に差があっても、トータルの収支でみたらイーブンかもしれないと思っています。人によってはむしろ日本で働くエンジニアの方が恵まれていることすらあると思います。

とはいえ、海外で働くことのメリットは収入以外にもあります。個人的には海外にでる人は収入以外の目的意識を持って欲しいと思うのですが、そういう話だとちょっと次元の違う話になってしまいますね。

鹿島

nanaさん、初めまして。

大学4年時点でしっかり将来を見据えているのは素晴らしいことだと思いますし、若い方はどんどん海外に出ていって活躍して欲しいと思っています。

さて、いただいたご質問にお答えします。

「中堅」の定義ですが、それほど厳密には考えていなかったのですが、以下のような人達を念頭に置いていました。
1. 海外企業で採用されるために必要な経験を持っている
2. 日本ではそれより上の技術者としてのキャリアパスがない

1. は下限として経験2~3年です。私はカナダで採用されたのですが、本文中にも書きましたが、ビザの取得条件として最低でも2年の業務経験が必要です。国によってその辺りは異なると思います。

また、制度上の必要経験年数を満たしていたとしても、企業に採用されるかどうかは別の話ですので、実際はもう少し経験を積んだ方がいいかもしれません。もちろん語学力やその他の要素にも左右されるとは思います。私の場合は語学力はさっぱりでしたが、6年間の業務経験があったので何とか採用されました。

2. に関してですが、全ての職場でそうではないのですが、日本では一般的には30代半ばくらいになると、PMなどの管理者あるいはシステムコンサルタント等になるように、各方面から圧力のようなものがかかります。

そうした「中堅」技術者が「異端児」として日本国内で技術者を続けるという以外の選択肢として、海外で技術者としてのキャリアを続けるというのもありではないかと思ってます。

以上で答えになったでしょうか。また何かあればお気軽に質問して下さい。


雨野さん、初めまして。

アメリカ在住の方の生のご意見、非常に参考になります。
今日は遅いので(AM2:30)明日またコメントさせて頂きますね。

鹿島

雨野さん、こんにちは。

色々と参考になるご意見、ありがとうございます。

最初に2点補足させてください。1点目ですが、私はアメリカ企業のカナダ支社で働いていたので、アメリカの事情にはそれほど詳しくありません。2点目ですが、雨野さんの「海外で働くことのメリットは収入以外にもあります」には完全に同意です。ただし、本コラムではITエンジニア限定の話を扱っており、その中でも本記事では待遇面に限定して書いていますので、狭い話になってしまう事をご理解いただければと思います。

さて、頂いたご指摘に関してコメントいたします。

まず1つ目のレイオフ等のリスクがあるため北米エンジニアの方が年ベースで高い報酬を得るのは当然とのご意見ですが、それには同意です。ただし、日米の年収の差、また雨野さんが言及されている社会的ステータスの差などは、そのリスクの差以上のものに思われます。

2番目の保険ですが、ご指摘の通り本文執筆時には考慮していませんでした。

アメリカに関しては雨野さんが書いていらっしゃる通り国民皆保険はオバマ政権になってから本格的に議論の対象になった話だと思います。現状では各個人が保険に加入していると思いますが、日米での医療費負担などを今後調べて比較してみようと思います。

また、ご存知かもしれませんがお隣のカナダでは日本と同様に国民皆保険であり、保険でカバーされる範囲は日本と若干異なりますが、基本的には無料で医療を受けられます。そして待遇に関してはアメリカよりは劣りますが日本よりは大分上なのは本文中に書いたとおりです。

3番目の物価の件については、今回はあえて取り上げませんでした。購買力平価という話が出ましたが、長期的に見れば為替で調整されるというのが取り上げなかった理由の一つです。また、PPPで年収を比較した情報もあったのですが、職種の分け方が大雑把だったり、そもそもPPPを説明するのが面倒という理由もありました。

ちなみに、ニューヨークが東京よりお金がかかるのはそうだと思いますが、他の地域でもそうなのでしょうか。

以上が雨野さんのコメントに対する返信です。

さて、最初にも書きましたが、雨野さんの以下の文章については、私も同じ考えです。
「海外で働くことのメリットは収入以外にもあります。個人的には海外にでる人は収入以外の目的意識を持って欲しいと思う」

本コラムでは、今後もいろんな角度から「海外で働くこと」について書いていこうと思っています。

放浪者

はじめまして、鹿島さん。

海外との比較はなかなか面白いものですね。
非常に参考になります。

1つ質問があります。

日本の場合(特に景気悪化前までは)、
ブラック企業などが未経験の人を積極的に採用して
ろくに教育もせずPGやSEと称して派遣現場に放り込んできたため
給与も未経験レベルに下落圧力がかかってきたのが
給与が低い原因の1つだと考えてます。
#デフレなのも原因でしょうけど・・・
逆に言うと、新人でも参入障壁が低く間口が広いとも言えます。

海外(カナダ?)の場合はいかがですか?
カナダのIT企業がカナダ国籍の人を採用する場合でも
まったくの未経験を採用してますか?
それとも大学で情報工学を修めているとか、
#日本での学位は馬鹿でももらえますが、
#海外での学位は一定水準に到達したことを証明してると勝手に想像してます。
採用時に作品審査を行うといったことで
日本より厳しい選別が行われているのでしょうか?
それとも、能力に応じて未経験は低給、シニアは高給なのでしょうか?

鹿島

放浪者さん、初めまして。

コメントありがとうございます。

日本の給与水準の低下に関しては、複合的な理由によるものだとは思ってますが、ご指摘の2点(経験の少ない人を現場に放り込む、デフレ)もその理由に含まれると思います。

> 逆に言うと、新人でも参入障壁が低く間口が広いとも言えます。

これはまさにその通りで、それは以下の質問の答にも繋がってきます。

> カナダのIT企業がカナダ国籍の人を採用する場合でも
> まったくの未経験を採用してますか?

カナダに限った話ではないですが、コンピュータサイエンス(やそれに類似する)専攻、あるいはプログラム系の短大・専門学校を卒業していない人がプログラマーになるというのは稀だと思います(※)。

では情報工学専攻を卒業した未経験の人はどうかといいますと、本文中でも少し触れましたが、職務経験が少ない人が仕事を得るのは難しいので、大学生は卒業する前にインターンとして職務経験を少しでも積む、というのが普通のようです。

私自身は日本の大学出身なので、この辺りの細かな感覚が分からない部分もありますが、上に書いた内容で大きく間違ってはいないと思います。

※実はこれはITに限った話ではなく、日本のように法学部卒業の人が金融関係の仕事をするとかそういうのも海外ではあまりないようです。

> それとも、能力に応じて未経験は低給、シニアは高給なのでしょうか?

一般論としては

未経験 → 不採用
経験少 → 低給
経験多 → 高給

だと思います。

以上、放浪者さんの質問の答えになっていれば良いのですが。

もし追加での質問などがありましたら、お気軽にどうぞ。

雨野

コメント返信ありがとうございます。

エンジニアの待遇(収入)が海外の方がいいというと「トータルで見て、果たして本当にそうか??」と経験上思ったのですが、ケースバイケースなんでしょうね。総合してみるとどうなんでしょう、私はそれでも日本のエンジニアの方が「守られている」面で得(楽?)をしていると思うのですが、実際には日本で苦労している方のことを肌感覚で分かっていないだけかもしれません。

アメリカでニューヨーク以外の物価ということをご質問いただきましたが、都市部に近く治安のいい場所は日本より高く、そうじゃないところは日本より安いです。カリフォルニアのオレンジカウンティは高いですが、南部の片田舎だったら東京のワンルームの値段で、プールと牧場付きの家に住めるかもしれません。平日はカリフォルニアで働き、週末はコロラドに帰る生活もこちらでは割と普通です。

鹿島

雨野さん、こんにちは。

コメントありがとうございます。

日本と海外のどちらがよいか、に関しては、雨野さんの言われるとおり「ケースバイケース」ではないかと思います。どちらで働くにせよ「日本でも海外でもどちらでも働ける」という選択肢を持っておくことが重要だと考えています。選択して日本で働くのと、仕方なしに日本で働くのは大きな違いですので。

アメリカの物価の件、ありがとうございます。アメリカに知人は数人住んではいるものの、私自身はアメリカに住んだことがなく実感が湧かないので、実際に住んでいる方からのコメントはありがたいです。

それではまた。

放浪者

鹿島さん

お返事ありがとうございます。

海の向こうではプログラマは専門職と認識されてるのですね。
高待遇もうなずけます。

> ※実はこれはITに限った話ではなく、日本のように法学部卒業の人が金融関係の仕事をするとかそういうのも海外ではあまりないようです。

どうも日本の大学はその存在意義が発揮できてない気がするのですが
コラムの本題と離れてますし、ボヤいてもしょうがないですね。

終生エンジニアをめざす私としてはキャリアパスは気になるところ。
今後のコラムも楽しみにしてます。

鹿島

放浪者さん、こんばんは。

> 海の向こうではプログラマは専門職と認識されてるのですね。

日本でも専門職のはずなんですけどね…

> 今後のコラムも楽しみにしてます。

どうもありがとうございます。

An interesting read i'm sure - well if i could understand japanese!

七紙774

英語ができないと苦労しますけどね

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