キャリア20年超。ずっとプログラマで生き延びている女のコラム。

ちょうどいいお仕事

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 手塚さんあべっかんさんも取り上げていましたが、中高生の将来なりたい職業ランキングのトップに「ITエンジニア・プログラマ」が立ったそうですね。これはびっくり。
 まあ、これは男子の方だけで、女子の方は中高ともにトップ10にも入ってないんですけどね。

 わたしがプログラマになろうと決めたのは30年以上も前のことですが、当時、高校の先生と「進路、決めたのか」「はい。専門学校入ってプログラマになります」「プログラマ? 何をやる仕事だ?」「実はわたしにもよくわかりません」「大丈夫か、それ......」という会話をした記憶があります。
 あの頃は「プログラマ」という職業を知らない人の方が多かった気がするよなあとか思うと、このニュースはなんとも感慨深いものがあります。マイナー職業も30年も経てば花形(?)になったりするんですね。

 このニュースに関してはITエンジニアの皆さんからの「奴隷になりたいのか」「ブラックだからやめとけ」と言ったネガティブな反応が、ネット上にやたらとあふれているんですが、今、「プログラマもいいかな」と考えている生徒さんたちに対しては、「そんな言葉に耳を傾けるな」と言っておきます。
 「ああいうのは大げさに言ってるだけだから」とかいうことじゃなくって、結婚を決めた人が「結婚なんて人生の墓場だ」とか聞かされて、何かいいことあると思いますか? という意味で。

 過酷な現場で心身をすり減らしているプログラマがいるのは事実です。わたしも一時期つきあっちゃってましたからね。
 でも、そんな現場ばかりではないのも事実で、プログラマとしての能力と、イヤな場所にはいたくないという意志を持っていれば、自分に都合のよい環境にうつっていくことができます。
 現状、プログラマはかなりな売り手市場なので、職場替えのハードルは他の職業に比べてかなり低いんじゃないかと思います。

 わたしは「コーディングやりたい。人やお金のマネジメントとかしたくない」、「正社員は肌に合わない」と一般的に言われている普通で安全なルートから逃げ続けた結果、今ではフリーランスのプログラマで、毎月140~160時間、働いています。
 この、好きな仕事を身体的に無理のないペースでやっている今の働き方は、わたしにとってちょうどいい感じです。
 そして、こういうちょうどいい生活を手に入れることができたのは、プログラマという職業を選んだからこそだと思っています。
 「使えるプログラマだ」と思わせることができれば、自分が求める環境に移動可能なのが、この仕事のいいところです。まあ、そう思ってもらえるプログラマになるまでが大変なんですけど。

 実を言うと、30年もプログラマ業界を眺め続けてきた経験からして、プログラマやってて幸せになれる人は少数派だと感じています。
 楽しくなれるまでが大変なんですよね、プログラミングって。だから、多くの人がその手前で見切りをつけて、IT業界やめたりマネジメントや営業に転向してしまいます。どこまでがんばっても楽しくならない可能性もあるので、見切りをつけることが正解なパターンもあると思います。
 そうやって、誰もが幸せになれる職業じゃない、とか脅しつつ言うのもなんですが、細かいこととか、不安なこととか、そういうことは一切、頭の中から振り払って、なりたいと思うのならチャレンジしてみればいいと思うのですよ。プログラマでも、プログラマじゃなくても。

 わたしは、わたしが好きだと思っている職業になってみたい、と言ってくれる子供たちが増えている、ということがうれしいです。
 そして、プログラマの道を志した人たちにとって、プログラマがちょうどいいお仕事になってくれれば、もっとうれしいと思います。

 でもそうか......女子には人気ないのか......。

Comment(5)

コメント

仲澤@失業者

小学生の頃、たまにアトム(に限らず子供番組)で話が盛り上がることがありました。
意見は3つ

1.アトムになりたい小学生
2.アトムを持ちたい小学生
3.アトムを作りたい小学生

彼らがその後どうなったのかは知りませんが、
自分は3.を目指してました。
「栴檀」ではありませんでしたが、「子供百まで」的ではあったかも。
・・・50年近く前のお話でした。

仲澤@失業者

子供ぢゃなくてすずめ orz.

こたろう

いつも拝見しています。めずらしくコメント欄が真っ新なので初コメです。
35年くらい前、文系の大学を出たものの真面目に就活をしなかったせいで就職にあぶれ、コンピュータ関係の専門学校に1年通ったおかげで、プログラマへの道が開けました。全くの未知の世界だったのですが、自分に合っていたのか、プログラミングの世界が新鮮で本当に面白かったです。結局、今でも、自宅での受託開発でプログラマを続けています。人とかかわることがそれほど得意じゃないので、この仕事を選んで本当によかったと思っています。論理的な思考が好きなら、プログラマは純粋に仕事そのものを楽しむ事ができる職業だと思います。

真っ赤なレモン

こういう調査結果で話が盛り上がるのは良いことだと思います。


以下は、その盛り上がりとは違う方向での話になりますので、このコメントは非公開のままを推奨します。
と、前置きでことわっておきまして。


『ITエンジニア・プログラマ』ではない僕:
 「あれっ?男の子のなりたい職業って、スポーツ選手が定番じゃなかったのか?」


浅く調べてみた:
今回の調査結果は、
『ソニー生命保険』が
『中高生』を対象に、
『インターネットリサーチ』で調査したもの。ふむふむ。
この調査は、今年はじめて実施されたもののようだ。


僕が昔からよく目にしていたものは、
『日本FP協会』が
『小学生』を対象に、
「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」に書かれた
『将来なりたい職業』の結果を集計したもの。であったようだ。
こちらは、2007年ごろから毎年集計されているようだ。


その他にも、クラレやベネッセが似たアンケート調査をしているようだが、
それらの結果を見ても、どうやら『小学生』の男子はスポーツ選手になりたいままのようだ。
『小学生』の男子のランキングの4位前後には、コンスタントに『ゲーム関連』がランクインし続けている。ゲームが好きなんだなあ。


浅い結論:
・「いつも見てきたあのランキングで、ついに『ITエンジニア・プログラマ』が1位になった」と
 考えるのは、誤解ではないか?
・あべっかんさんのコラムのコメントでksiroiさんが書いていることが真相と思われる。
・つまり、中高生の男子がなりたいのは『ハッカー』や『ゲームクリエイター(というよりも
 プロデューサー)』ではないのか?
・イメージしているのは、マンガ・映画・ドラマ・小説などの創作に現れるような、
 短期間で驚異的な成果を挙げる存在ではないか?
 (連載中のマンガなら『王様達のヴァイキング』、少し前なら
  ドラマ(マンガ)『ブラッディ・マンデイ』あたりの影響?)
・決して、(普通の会社・組織に属するとか、個人事業主で在宅で、などの、)
 毎日コツコツと仕事をしているエンジニア・プログラマのイメージではない・・・と
 思われる。
・小学生のころは「ゲームクリエイターになりたい」と言っていた男子は、
 中高生になると「ITエンジニア・プログラマになりたい」と言いかえるように
 なるのではないか。中身は同じでも、そのほうが大人からは賛同してもらいやすいので。
・小学生のころは「スポーツ選手になりたい」と言っていた男子は、
 中高生になると現実には無理と分かってくるために、なりたい職業として他の職業を
 挙げるようになるのではないか。『ハッカー』になるのも現実には無理に近いが、
 まだそのことには気づかない。
・まだあまり現実が見えていない、ということなのだろう。
 この点は、大学生になってもあまり変わらないかもしれない。
・女子は男子と比べれば、少しだけ、現実的なのだろう。そうでもないか。


どうやったら、ちょうどいいお仕事としての『ITエンジニア・プログラマ』の現実を
中高生に伝えられるか?
小説(ノンフィクション?)『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』を読むといい?
それは少し違う気がする。あれは、ちょうどいいお仕事は描けていない。
やっぱり、エンジニアライフのコラムを読むといい、かなあ。


ひでみさんがそろそろコメントへの返信を書きそう。
このタイミングで、こんなコメントは投稿しないほうがいいのかな・・・とも思いつつ。

ひでみ

こんばんわです。ひでみです。


仲澤@失業者さん


私は「4.アトムをひたすら眺めていたい小学生」かな?


こたろうさん


私がコメントの承認を滞らせたがためにご心配をおかけしたようですみません。
いつも読んでくださってありがとうございます。

30年以上前はコンピュータ業界がまだ新しくって、「もしかしたらこれから伸びる産業なんじゃね?」とよくわからないままで飛び込んじゃった人がいましたよね(←私です)。
入り口はどうであれ、自分に合っていると思える仕事を続けていられる、というのは本当に幸せなことだと思います。


真っ赤なレモンさん


完全に妄想の世界ですが私の推測としては

・中学生はともかく高校生はそれなりにリアルをみていると思う
・ドラマとかの影響はあるかもだけど、それは興味の入り口に過ぎないんじゃないだろうか
・ものすごくがんばればハッカーになれるし、ゲームもつくれるし、年収1000万クラスは意外と実現可能だと思う
・そして、その夢に破れても、プログラミング技能があればそこそこ食べていける
・つまり、プログラマは大きな夢から撤退することになっても痛手が少ない職業

要するに、高校生たちはプログラマが「ちょうどいい」落としどころを得やすい職業だということを理解しているのではないか、説を推します。
「いや、男子高校生ってひでみさんが思ってるよりバカですよ」って言われたらどうしようもないですけど。

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