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第46回 四方山話(28) 論理思考のススメ5

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 これまで4回に渡り、論理思考に必要な2つの要素の1つである「論理的な考え方を身に付けること」についてお話ししてきました。今回からはもう1つの要素である、実際に問題を解くために必要な「問題解決のフローを身に付けること」についてお話していきたいと思います。

■問題解決のフローを身に付けること

 これまでは物事を論理的にとらえる方法を紹介してきました。ここからは、これまでお話してきた「論理的な考え方を身に付けること」の考え方を使い、実際に問題を解決するための方法を考えていきたいと思います。

 目の前の問題を解決するためには、ただ闇雲に考えを巡らしていても答えは導き出せません。求める答えを論理的に導き出すためには、問題を解決する流れに沿って考えを進めていく必要があります。ここでは、以下のような流れ(フロー)を使って、問題を解決していきます。この流れのことを『問題解決フローの4段階』と呼びます。

《問題解決フローの4段階》

第1段階:課題(イシュー)の把握(何をするのか?)

第2段階:問題箇所の特定(どこが悪いのか?)

第3段階:原因の発見(どうして悪いのか?)

第4段階:解決策の検討(どうすればよいのか?)

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 問題解決フローの4段階は、問題を解決するために必要な段階を4つに分け、それぞれの段階を順番に考えることで、問題を解決することができるような仕組み(フレームワーク)です。

フレームワーク(仕組み):このようなフレームワークは他にもたくさんあります。有名どころでは、コーチングなどで良く使われるGROWモデルなどがあります。

 それでは、問題解決フローの4段階について、順を追ってみていきましょう。

■第1段階:課題(イシュー)の把握 ~何をするのか?~

 問題解決フローの第1段階は、課題(イシュー)を把握することから始まります。

 課題(イシュー)とは、問題の根幹となる部分で、「本当の問題」といいかえることができます。例えば、以下の例をみてください。

――

目の前の問題:朝寝坊が続いて困っている

――

 これは、朝寝坊が続いており困っているのでどうにかしたいという問題です。この言葉だけから考えれば、「問題=朝寝坊」となります。しかし、この問題で本当に解決しなければならないことは、困っている状態を何とかすることです。しかし、この問題には何が困っているのかが明らかになっていません。

 このように考えると、単に字面だけを追い、朝寝坊を解決することだけを考えればよいのか、それとも、困っていることの本当の理由が何なのかをハッキリさせた上で、それを解決するように考えればよいのか、どちらが論理的な考え方なのかは明白です。

 何で困っているかを考えてみると、朝寝坊が続くことで時間どおりに出社できず困っているのかもしれません。もしくは、朝寝坊が続くことでネットオークションの落札タイミングを逃してしまっているのかもしれません。ここまで分かってくると、この問題の課題(イシュー)は、以下のようになります。

――

目の前の問題:朝寝坊が続いて困っている

(朝寝坊が続くことで…)

課題(イシュー)A:定時出社ができなくて困っている

課題(イシュー)B:ネットオークションの落札タイミングを見逃してしまうので困っている

――

 課題(イシュー)がAの場合、解決すべき問題は定時出社することに置き換えられています。そうだとすると、これは「問題=朝寝坊」といえるかもしれません。

 しかし、課題(イシュー)がBの場合、解決すべき問題はネットオークションで落札することですので、自動落札機能などを使えば解決できるかもしれません。そうすると、これは「問題=朝寝坊」ではないことが分かります。

 このように、目の前にある問題から問題の本質をどのようにとらえるかで導き出される課題(イシュー)が変わってきます。従って、この段階で問題の本質を正しく見極めておかないと、課題(イシュー)も本質からブレていき、最終的な答えに辿り着くことができなくなります。そのため、この段階では本当の問題を導き出すために、目の前の問題に対するあるべき姿、実現したい状態が何なのかを考えることで課題(イシュー)を導き出していきます。

■それでは、問題ですっ!

 それでは、実際に問題をやってみましょう。比較的簡単な問題を1問出してみます。目の前にある問題から課題(イシュー)を考えてみてください。

――

目の前の問題:作業現場の雰囲気が悪くて困っている

課題(イシュー):???

――

 この目の前の問題から何がみえてくるでしょうか。作業現場の雰囲気が悪くて困ることが何かを考えてみましょう。

……(小一時間ほど)……

 筆者はこのようなことを考えました。

――

目の前の問題:作業現場の雰囲気が悪くて困っている

(作業現場の雰囲気が悪いことで…)

課題(イシュー)A:コミュニケーションがとりづらくて困っている

課題(イシュー)B:仕事に集中できず困っている

課題(イシュー)C:精神的にストレスを抱えてしまい困っている

――

 ここでは実際に何で困っているのかが分からないので、どの課題(イシュー)が正解かを判断することはできません。しかし、目の前の問題をベースに課題(イシュー)が何かを推測することはできます。もし、考えが及ばなかった人は目の前の問題をSo Whatツリーで考えてみてください。あるべき姿は何か? 実現したい状態は何か? と問いかけながら考えて行くと、課題(イシュー)が導き出せるようになってきます。

■課題(イシュー)を考えることができるようになると……

 今回は課題(イシュー)を考えることについてお話ししましたが、課題(イシュー)を考えることができるようになると、会話の中から相手の話の本質が何かを見極められるようになってきます。そうすると、

「おっ、君は私のいいたいことが分かってくれているねぇ! 」

のように、相手の考えを察することができるようになります。これは仕事だけではなく、どのような場合においても有効なスキルとなりますので、ぜひ活用してみてくださいね!

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