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第45回 四方山話(27) 論理思考のススメ4

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 論理思考の話も4回目になりました。これまで論理思考の2つの要素の1つである「論理的な考え方を身に付けること」をお話してきました。今回は「論理的な考え方を身に付けること」の総括として、実際に論理思考を行うための手法であるロジックツリーを紹介したいと思います。

■「論理的な考え方を身に付けること」を今一度まとめてみる

 「論理的な考え方を身に付けること」として、これまで3つの考え方と手法を紹介してきました。

  1. 話の筋道が通っているか?
    話の筋道や理屈が通っているかを考えることで、演繹法帰納法の考え方を使う
  2. 選択肢の漏れがないか?
    判断の基準となる選択肢をすべて見付け出しておくことで、MECEの考え方を使う
  3. 論点がズレていないか?
    命題に対する対する原因と結果の結び付きを考えることで、因果関係の考え方を使う

 これらはそれぞれが独立しているものではなく、互いに関連性があり、正しい関係性を保つことで論理的な考え方を成り立たせているとお話ししてきました。しかし、いざ論理思考を使おうとしたときに、いきなりこれら3つの考え方を意識しながら使うことは少し難しいかもしれません。そこで、今回はこれら3つの考え方を包括しながら論理的に物事を考えるための手法としてロジックツリーという考え方を紹介します。このロジックツリーを「物事を論理的にとらえる方法」にあてはめると以下の図のようになります。

No04501

■ロジックツリー

 ロジックツリーとは、「物事を論理的に分析、検討するにあたり、その論理展開を樹形図に表現して考えていく思考法」のことで、図のような樹形図を使います。ただ、これだけだとどうやって使っていくのか分からないので、簡単な例をあげてみます。

No04502

――

命題:プログラムの進捗が遅れている原因を考える

――

 これまで何度か例として取り上げてきた命題ですが、これをロジックツリーで考えると以下のようになります。

No04503_3 

 ロジックツリーは樹形図の一番高い階層(樹形図の一番左側)に命題を書き、その命題に対する答えを順に下位の階層に向けて書き出していきます。ここでは、最初に命題に対する1段階目(第2階層)の答えとして、

  • エンジニア個人に起因する原因がある
  • エンジニア個人以外に起因する原因(外部要因)がある

を導き出しています。命題に対する答えは、命題に対して話の筋道が通っていること、そして答えが複数ある場合、それらの答えは互いにMECEの関係になっている必要があります。この例では、この答えからさらに2段階目(第3階層)の答えとして、

《エンジニア個人に起因する原因がある》

  • 体調が悪かった
  • 技術的な問題に直面した
  • 冠婚葬祭や個人の理由で、仕事ができない状況だった
  • その他の原因があった

《エンジニア個人以外に起因する原因(外部要因)がある》

  • 現場の人間関係に問題があった
  • PCの障害による物理的な作業中断があった
  • 停電が起きて、仕事どころではなかった
  • その他の原因があった

を導き出しています。ここでも命題(第1段階の答え)に対して話の筋道が通っており、それぞれの選択肢は互いにMECEの関係になっています。そうやって、ある程度下位の階層まで答えを導き出した後、これらの答えを元にして、最初の命題との因果関係を見比べてながら最適な答えを導き出します

No04504

導き出します:この例では解答者の立場などが明確になっていないので、ここでは答えのイメージとしてとらえてください。

 このように、ロジックツリーに当てはめて考えてみると、「論理的な考え方を身に付けること」で出てくる3つの考え方(「話の筋道が通っているか? 」「選択肢の漏れがないか? 」「論点がズレていないか? 」)を使うため、自然と論理的に物事を考える力が身に付いてきます。

■ロジックツリーの種類

 このようなロジックツリーですが、用途によっていくつかの種類に分かれます。

《ロジックツリーの種類》

  • So Whatツリー
    下位の階層に対して、「その意味は? 」の観点から分解していくロジックツリー。事象における全体像やイシュー(課題)を明確にする効果がある
  • So Whyツリー
    下位の階層に対して、「なぜ? 」の観点から分解していくロジックツリー。物事の原因を明確にする効果がある
  • So Howツリー
    下位の階層に対して、「どのように? 」の観点から分解していくロジックツリー。物事の方法を明確にする効果がある

 ロジックツリーを作成する場合、上位の階層から下位の階層に答えを導き出す際、ロジックツリーの種類によって「その意味は? 」「なぜ? 」「どのように? 」と問いかけながら行うと、比較的スムーズに答えを導き出していくことができます。

 それでは、So Whatツリーの例を1つやってみましょう。

――

命題:100万円の現金を今から8時間後に用意する方法を考える(現在を平日朝9:00とする)

――

……(小一時間ほど)……

 どうですか? 問題が少し漠然としているので難しく感じられたかもしれませんね。筆者はこのように考えてみました。

No04505_2

 筆者は、最初に誰のお金から100万円を工面するかを考え、そこから具体的な方法を考えていきました。このとき、実現できるかどうかは別として、ただ単に方法だけを考えて導き出しています。最終的にどの方法が有効かは、考えられる選択肢をすべて導き出した後、因果関係を考えながら取捨選択すればOKです。

 なお、この問題は考える人によってMECEの切り口が違ってくると思いますので、あくまで1つの例ととらえてください。ぜひ、いろいろな切り口からロジックツリーを考えてみてください。

■「論理的な考え方を身に付ける」ということ

 今回は「論理的な考え方を身に付ける」ための具体的な手法としてロジックツリーを紹介しました。ロジックツリーは論理思考の中心的な考え方に位置するといっても過言ではないほど、用途の広い手法です。特に、ITエンジニアは論理的に物事を考えなければないシーンが多いため、ロジックツリーを使うシーンは比較的多いかもしれません。そう考えると、ロジックツリーはITエンジニアにとって有効な武器(スキル)の1つになり得るかもしれません。

 これまでも何度かこのコラムでお伝えしていますが、思考法というモノは使えば使うほど身についていきます。ぜひ、普段の生活からロジックツリーを使い、論理思考という武器(スキル)を手に入れてくださいね!

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