SEからコーチング業界へ転職した筆者の体験を元に、コミュニケーションの楽しさをお伝えします。

コーチなのに褒めることができないって……

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 コーチング専門の会社に入社してからは、主に1対1のコーチングやグループコーチングを専門に担当しました。

 グループコーチングは、研修のフォローが目的に実施されます。研修参加者数名がグループを組み、電話会議のようなスタイルで行tれます。

 そのファシリテータ&コーチ役を、わたしたちが勤めます。

 研修、グループコーチング、1対1コーチングを実施するためには、まず社内トレーニングを受け、先輩コーチ達からの「現場に出てもOK」と、お墨付きをもらう必要があります。

 最初に、”スクリプト”と呼ばれる原稿のようなものを作ります。あらかじめ流れを想定して、一語一句、会話の流れを書き込んでいきます(これが、最初のうちは大変なのです)。

 そして、社内で協力者を集めてトレーニング開始。

 正直いうと、先輩方のデモンストレーションを聞いて、「これなら、楽勝!」と思っていました。

 が……

 やるのと、聞くのは大違い

 トレーニングの後には、先輩方からフィードバックをもらいます。たくさんのフィードバックの中、最もショックだったのは「単調で眠くなる」というA先輩からのもの。そして、録音していた自分のセッションを自分で聞いてみてたら……本当に眠くなりました💤(笑)。

 そんなこんなで1つずつ課題をクリアをしていきました。そして、最後までわたしが悩ませたもの。

 それは、「承認(その人の存在や行為を認めること)」ができないことでした。

 もともと、褒められることが苦手で、自分自身は褒められなくても大丈夫なタイプ。

 だから、人を褒めることもしてこなかったのです。当然、人を褒めるなんて恥ずかしいし、何をいっていいのかさえわからない(#正確にいうと“褒める”は“承認”の中の1つでしかないのですが……)。

 「すごいですね」と「素晴らしいですね」。

 この2つだけ。2つだけです、わたしが言えたのは💦。

 みんなが当たり前にできていることが、わたしにはできない。どうしていいのか本当にわかりませんでした。

 ある日、途方にくれていたわたしに同僚のHさんがメールをくれました。

 「僕も、最初は褒めることが苦手でした。無理に褒めようとしなくてもいいと思いますよ。僕の場合は、その人のちょっとした変化や事実を伝えてあげるようにしたら上手くいくようになりました」

 このときのメール、本当に嬉しくって感動しました💓。

 あぁ、わたしだけじゃないんだ。同じ悩みを持っていた人がいたんだ。そう分かっただけでも、とても気が楽になりました。

 それから、無理に褒めることはやめました。だって、できないんですから(笑)。その代わり、Hさんの真似をしてその人の変化や事実、そして自分が感じたことを伝えるようにしました。

 「Aさんからのフィードバック、大変参考になりましたありがとうございます」

 「Bさんはいつも周りの方のこを気遣われていますね」

 「Cさんは人の聞き上手ですね」

 ほんのちょっとしたこと。だけど、言われてみると、これが意外と嬉しいものだったりします。

 わたしは、自分は褒められるのも褒めるのも苦手だと思っていました。けれどそうではなく、それまで褒められ慣れていなかったから、どう対応していいのかわからなかっただけ。本当のことを言えば、悪い気はしていませんでした。

 ただ……そのときにどういう対応をしていいかがわからなかったのです。コーチングを学びはじめて、褒めること、褒められること両方を学びました。

 今?

 褒められること大好きです。褒めることもできるようになりました✨。

 これはわたしの個人的な考えですが、褒められるのが嫌いな人はいないと思っています。

 ただ、慣れていないだけ。わたしがそうであったように。

 “褒める”ことは、コミュニケーションを楽しむための1つのスパイスです。

 もし……あなたが、以前のわたしのように褒めるのが苦手なタイプであれば、ぜひ、少しずつ試してみてください。

 そして、相手の嬉しそうな顔を見ることができれば、きっと試してよかったと思うはずです。

Comment(4)

コメント

ビガー

ビガーと申します。

>誉められるのが嫌いな人はいないと思っています。
私も一般論として、ヒトは誉められるのが好きなのだと感じています。
そのため、仕事では、モチベーションを上げてもらうため、その人の小さな成功体験を誉めるようにしています。

だた、私自身は、誉められることに何の意味も無いと感じています。多分、昔の小南さんと同じ心情なのか、「誉められた」だから何?と思ってしまうのです。
誉められるくらいならば、批判的な意見やまったく視点の違う意見をもらった方が遥かに有意義だと思います。
天邪鬼なのでしょね。

しっぱ

こんにちは。
私も社内で研修の講師らしきものをやっています。

基本的にしゃべること自体は苦手だったのですが、いつの間にか得意になっていました。
ですが、それっと反比例するかのようにしゃべることに抵抗がなくなれば無くなるほど、自分の話が相手を眠くしているんじゃないかという感じがして悩んでします。

今は話すスピードの強弱や質問回数を調整したり(前は多めにしたのですが、話がつながらなくなり少しずつ減らして見たり試行錯誤です)しています。

それが果して正しいのかどうかすらわかりません。
ただ、1対1でやった場合の相手の反応は見逃さないようにしてます。
「、あ、今、この人ひらめいたな」とかっていうのは人の些細なしぐさに出ますよね!(笑顔になる、急にメモmpスピードが上がるなど)

それをグループ研修の時にできればいいんですけどね・・・
人に物を教えるのって難しいです・・・・

小南

ビガーさん>コメントありがとうございますm(_ _)m

>「誉められた」だから何?
この気持もすごく良くわかります。
昔の私は、おそらくビガーさん以上に天邪鬼で、褒められると「何か裏があるのではないか?」「何か魂胆が・・」などとまで考えていました(笑)
私の場合は、子供の頃(両親は私のためにしてくれたのですが)褒められるより叱られることが多く、それも影響していたのかなぁ~と思います。

ビガーさんは、ご自身は褒められなくても大丈夫とおっしゃられていますが、周囲の方のことをちゃんと観て褒めていらっしゃるんですね。
これってすごいことだと思います。

”天邪鬼”も悪くないと、私は思いますよ!

またよかったら色々ご意見ください(^^

小南

しっぱさん>コメントありがとうございますm(_ _)m

しっぱさんは研修の講師をされているのですね。

>それっと反比例するかのようにしゃべることに抵抗がなくなれば無くなるほど、
>自分の話が相手を眠くしているんじゃないかという感じがして悩んでします。
なるほど、そうなのですね。
私自身は、残念ながら講師をした経験はほとんどありません。
(なぜか、SE時代にOracleの社内研修講師を新人向けにやった経験が?!)

友人が数名研修講師をやっていて、そのセミナーに参加したり、
話をしたりする機会があるのでその経験のなかから感じたことを
お伝えさせて下さい。

しっぱさんは、1対1の時は相手をしっかり観察されてますよね(^^
もしかしたら、研修のときも参加者の一人一人を観ていらっしゃるのではないでしょうか。だから相手のちょっとした反応などがわかるのかなって思いました。

私は、1対1も、1対Nも同じように感じています。
1対1の×N、そんなイメージでしょうか。

既に実践されているかもしれませんが、
参加者を巻き込んでしまうのも1つの手法ですよね。
例えば、参加者同士で2~3人のちょっとしたグループワークをしてもらったり。

お昼食べた後などはどうしても眠くなりがちなので、
身体を動かすようなアイスブレイクをいれてみたり。

友人の受け売りですが、何か参考になれば嬉しいです。

しっぱさんが仰るように、人に物を教えるって難しいですよね。
けれど、それだけやりがいもあるお仕事だとおもいます。

ぜひ楽しんで頑張ってください♪

このコラムを書くことで私自身も学んで行きたいと考えています。
ぜひ、これからも色々ご教示下さい(^-^*

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