働いている世のエンジニアの手助けになることを願う独り言

AIで仕事は爆速になった。なのに、なぜか忙しい。私が思う「進化の副作用」

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エンジニア歴20年以上。ガラケー、Flash、IE6、スマホ、クラウド、そしてAI。振り返れば、ずいぶんいろいろな技術の進化を見てきました。

その中でも、ここ数年のAIの進化は少し異質に感じています。

何しろ、仕事が速い。とにかく速い。

以前なら数時間かかっていたコードの作成や調査が、AIに聞けば数分で片付くこともある。資料作成も、エラー調査も、ちょっとした文章の作成もお手のもの。

昔は検索エンジンで何十ページも調べていたのに、今ではAIに聞いて、コーヒーを一口飲んでいる間に答えが返ってくる。

もはや優秀な後輩というより、休憩も取らず、文句も言わず、たまに堂々と嘘をつく同僚です。

そんなAIのおかげで仕事は劇的に効率化されました。

ところが、最近ふと思うのです。

「あれ? これだけ効率化したのに、なぜ私は以前より忙しいんだ?」

みんながAIを使える時代、ITの専門家はどうなる?

AIの恩恵を受けているのは、エンジニアだけではありません。

営業担当者が提案書を作り、事務担当者がExcelの関数を調べ、管理職が資料をまとめる。プログラミング未経験でも、簡単な自動化に挑戦できる時代です。

社会全体でITを使いこなすハードルが下がっているのは、とても良いことだと思います。

ただし、AIで何かを作れることと、その仕組みを理解していることは別問題。

AIが作ったコードを「動いたからOK!」と本番環境へ投入するのは、料理のレシピを読まずに謎の調味料を全部入れるようなものです。

おいしくできるかもしれませんが、何か起きても原因がわかりません。

これまで単純作業だけを行っていた仕事は、AIによって価値が変わりつつあります。

一方で、何を作るべきか考え、品質を判断し、問題が起きたら対応できる人の価値は、むしろ高まるのではないでしょうか。

AIで開発が速くなる。そして攻撃する側も速くなる

個人的に気になっているのが、セキュリティの問題です。

AIは善良なエンジニアだけの便利な道具ではありません。

攻撃する側もAIを利用できます。

フィッシングメールの作成、公開情報の収集、攻撃準備の効率化。AIによって、これまで時間や知識が必要だった作業の一部が容易になっています。

もちろん、AIが普及したからすべてのサイバー攻撃が増えた、と単純には言えません。

ただ、攻撃側も防御側もAIを使える時代になったことは確かです。

その一方で、私たちエンジニアには、PHPやWordPressの脆弱性対応、サーバー更新、ライブラリ管理、システム移行など、やるべきことが山ほどあります。

AIでコードを書く時間は短縮できても、そのコードが安全かどうかを判断する責任はなくなりません。

便利なシステムが増えれば、その分だけ守るべきシステムも増える。

しかも、古いシステムは新しい技術が登場したからといって、自動的に引退してくれません。

新人の頃から面倒を見ているシステムが、気付けば自分と一緒にベテランになっている。なかなか感慨深いものです。できれば、そろそろ定年退職していただきたいのですが。

仕事が減るどころか「AIが生み出す仕事」が増えている?

最近感じるのは、AIによる効率化が、新たな仕事を生み出しているということです。

開発が速くなる。作れるものが増える。新しいサービスが登場する。そして保守・運用・セキュリティ対応が必要になる。

さらにAIで効率化する。そして、また新しい仕事が生まれる。

まるで終わりのないループ処理です。

しかも、終了条件が見当たりません。

技術の進化によって作業が減っても、社会が求める成果まで減るわけではありません。

これがAI時代の面白さでもあり、少し怖いところでもあると思います。

便利すぎるAIに、少しだけ危機感もある

正直なところ、私自身もAIが手放せなくなっています。

ちょっとした疑問があればAI。コードの確認もAI。文章作成もAI。

便利なのですが、ふと思います。

「もし明日、AIが使えなくなったら?」

もちろん仕事はできます。ただ、以前のように調べて、考えて、試行錯誤する時間に耐えられるのか。

技術力より先に、忍耐力が退化しているかもしれません。

だからこそ、AIが出した答えを理解すること、公式情報を確認すること、自分で判断できる力を維持することは大切だと思います。

AIを使うことが目的ではなく、AIを使って何を実現するか。そして、その結果に責任を持てるか。

ベテランでも若手でも、そこは変わらないはずです。

進化して、副作用が生まれて、また進化する

これからのIT業界は、どうなっていくのでしょうか。

おそらく、AIの進化によって新しい便利さが生まれ、その副作用として新しい問題が発生し、それを解決するために、さらにAIが進化する。

そんな流れが続くのではないかと思います。

AIが作ったプログラムの問題を、別のAIが発見し、さらに別のAIが修正する。

そのうち人間の仕事は、AI同士の会議で出た結論にハンコを押すことになるのかもしれません。

もっとも、そのハンコを押す責任だけは、きっと人間に残るのでしょう。

20年以上エンジニアを続けてきて、これほど便利で、これほど先が読めない時代も珍しいと感じています。

AIによって仕事は確実に速くなりました。

それなのに、仕事が減った実感はあまりありません。

ただ、AIのおかげで生まれた時間を、さらに仕事で埋め尽くすだけでは、何のための効率化なのかわからなくなります。

これからは技術を進化させるだけでなく、便利になった時間を、人間がどう使うかを考える必要があるのかもしれません。

さて、今日もAIに相談しながら仕事を進めようと思います。

「AIで効率化したのに、なぜ忙しいのか?」

その答えをAIに聞く時間があるなら、まず目の前の仕事を片付けるべきなのかもしれません。

......とはいえ、ちょっとAIに聞いてみようかな。


 
どこかで、エンジニアの価値を少しでもベースアップする手助けが出来てれば幸いです。

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