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頑張っても報われないシステム開発で圧倒的成長ができるか?

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こんにちは。

先日、LINEバンクの開発を中止するというニュースが流れてきました。

https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=40&from=check&id=7356207&__from=mixi

2019年5月からスタートして、2023年3月で中止を決定とあるので、4~5年間も開発をやっていたということになります。
自分も過去の案件で似たようなことを体験していたので、こういうニュースをみると他人事ではなく、心臓に痛みが走るのでした。

私の経験事例

ハードウェア製品を作るのですが、私の部署が担当するのはファームウェア開発です。ファームウェアというのは、ハードウェアを制御するソフトウェアのことです。
ベースとなるソースコードは、他社から買ってくるのでゼロから構築するわけではありません。当初の開発期間は1年間。

しかし、1年経っても開発が完了せず、2年に伸びました。しかし、2年過ぎても終わらなかったので3年目へ突入して、とうとう4年目にはいってしまいました。

この案件では、初期の立ち上げから私は関わっていました。ベースコードを開発している会社に出向くため、はじめてアメリカに海外出張したので、いまでもよく覚えています。アメリカでは、現地のエンジニアにもてなしを受けて、現地のお寿司屋に連れていってもらいました。日本人経営の寿司屋だったので、築地直送のネタがでてきました。おいしかったですね。

案件の途中から、別の案件に移ることになり、私は別の仕事をしていましたが、元の案件がいつまでも開発が終わらないということで、再び戻された、という感じでした。

ズルズル開発が伸びた理由は?

端的に言うと、ファームウェアがバグだらけだったから......です。
不具合があるなら、さっさと修正すればいいのですが、1つのバグを直すのにやたらと時間がかかっていました。そのため、1つのバグを直している間に、次の新しいバグが見つかって、不具合がどんどん溜まっていく感じ。

バグ修正をしながら、開発も進めないといけないのですが、開発も遅れていきます。

簡単なバグなら誰でも直せるのですが、ちょっと難しくなると、ベテランでないと修正できない。そして、開発を進められるのもベテランで、ようするに同じ人に作業が集中するわけですね。

開発が炎上するとどうなるか?

この頃は、まだ働き方改革が導入される前です。そのため、長時間労働が当たり前で、月の残業時間が100時間前後とか。一応、36協定があるので、サービス残業はありませんでした。
言い換えると、ベテランの作業時間がカンストするのです。

難しい作業が発生したのでベテランに作業を割り振りたいが、もう残業できないと。そんな状況に陥ります。

しょうがないので、ベテランではない人に作業をアサインするわけですが、スキルが足りないので、作業が進まず、どんどん遅れていきます。

倒れていく開発者たち

そのうち、心身壊して会社に来なくなる人たちが増えていきます。このとき、倒れるのは下っ端ではなく、リーダークラスの人です。
開発を取りまとめている人が突然いなくなると、プロジェクトチームとしてはさらにおかしくなっていきます。

「このファームウェアの動きは仕様なのか?」とか聞かれてもわかりません。答えられる人がいなくなったのだもの。
「この仕様変更はいつ実装されるのか?」とか聞かれますが、そんなこと聞かないで。

ちなみに、休職した人で無事に復職できる人はほとんどいません。休職と復職を繰り返して、退職、というパターン。

開発がおわって得たもの

予定以上の予算を使って開発をしたので、会社からみれば赤字。周りからボロクソに言われましたね。当然、私の評価も最低ランク。
ただし、残業代がすごいことになったので、お金はたくさん入ってきました。

このとき、私が思ったのは、この会社にいればお金は稼げるけど、もういつ辞めてもいいかな。
会社を辞めてもひとりでやっていける力と、絶対的な自信を得たのでした。私はこの案件を経験したことで、圧倒的成長をしたのです。

端的に言うと、数々の犠牲の上に乗ったまま、定年までいたいとも思わなかった、ということです。

Comment(3)

コメント

匿名

現在休職中で、復職を目指しているソフトウェアエンジニアです。
うつ症状(うつ病・適応障害)による休職から復職する場合、半分程度の割合で再発してしまうそうです。
ですので、復職の際は、部署・業務・役割などを変えることが大事だそうです。

差し支えなければ、教えていただきたいのですが、平田豊さんが見られたケースでは、復職の際に、部署・業務・役割等の変更はあったのでしょうか??

よろしくお願いします。

平田豊

コメントありがとうございます。

>差し支えなければ、教えていただきたいのですが、平田豊さんが見られたケースでは、復職の際>に、部署・業務・役割等の変更はあったのでしょうか??

はい、当然変更はあります。
休職者が戻ってくる場合は、かならず別の仕事、別の人のところにアサインされます。

匿名

回答、ありがとうございます。
そうなのですね。
変更があったとしても、「休職した人で無事に復職できる人はほとんどいません」だったのだとすると、復職を目指している自分としては、少なからず絶望感を覚えます。

もっとも今と時代は違うでしょうし、平田豊さんが見られたサンプルが偏っている可能性も考えられます。私がリワークセンターなどで聞いた話でも、そこまで絶望的な割合ではありませんでした。

現実は非常に厳しい可能性はあると思いますが、この記事を読んで絶望すべきではないと思うので、復職できる可能性を、私はもう少し信じたいと思います。
ありがとうございました。

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