シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

シンガポールのIT

»

 World Economic Forumによると、シンガポールのITは、2008-2009年 世界4位。デンマーク、スウェーデン、フィンランド、米国、ノルウェーなどと並ぶ、世界トップレベルのIT先進国。ちなみに、日本は17位。 

 日本はかなり引き離されている。実際それをこちらで生活していても、それを感じることができる。今回はその辺りを紹介することにする。ところで、ここで紹介するものは、普通に生活する外国人、しかも携帯を電話としてしか使わないわたしが、日常的に接するITなので、もしかしたらかなり限られたものかもしれない、しかしシンガポールの一般人が触れるITがどんな物なのかを、雰囲気としてつかんで貰えれば幸いです。

 淡路島ぐらいのシンガポール。都市の規模としては大阪ぐらいだと思うが、MRTという地下鉄、郊外列車網が完備されている。都心では地下、郊外では高架線。当然だが踏切は一切ない。そのすべての駅に、写真のような機械、SAM(Self-service Automated Machine)が設置されている。

 これは、シンガポールの郵便局が設置している機械で、これで電気代、ガス代、水道代、固定電話料金、携帯料金、そして税金などの公共料金を払うことができる。もちろん銀行預金からの自動引き落としを利用することもできるが、わたしは、機械で払うことができる便利さも手伝って、いつもこのSAMを利用している。使い方は簡単で、毎月送られてくる請求書にバーコードが印刷されているので、SAMにそのバーコードの部分をあててやると、金額を読み取ってくれ、後は請求額を払うだけである。この時銀行のATMカードをDebitカードとして使う。

Imgp0989_2

 電話について説明すると、電話会社は日本のNTTと同じ方式のツイストペアの銅線で繋がる固定電話を提供するSing telとケーブルテレビの線で電話をつなげるStar hubの2大電話会社がある。Singtelでは、ADSLでインターネット接続を行うことになる。Starhubではケーブルモデムでインターネット接続し、それにVoice機能を持たせて電話機能を持たせている。

 わたしはstarhubを使っているが、シンガポールに来て最初に引越ししたとき、当然電話番号が変わるものと思っていたところが、番号が変わらないことに驚いた。インターネットの仕組みの上に電話をのせるということは、マックアドレスと電話番号を関連させるのが自然なので、同じケーブルモデムを使っている限り電話番号を変えないことが、考えてみれば自然なことだ。

 さて、MRTだけでは、最終目的地に行くのは難しい。駅を降りた後、バスを使うことになる。バスやMRTには、東京のスイカと同じで、非接触のプリペイドカード、ez-linkカードで乗れる。このカード、一枚のカードを持っていれば、MRTやバスだけでなく、他の公共料金、例えば図書館の延滞料金の決済、などにも使えて非常に便利なカードだ。

 さて、ここでどのバスに乗るか。シンガポール全土の地図を買えば、そこに全てのバスルートが書かれているので、調べることが出来る。ただし、複数のバスを乗りつがなけれならない時などは、相当複雑になるので、緻密な頭を持つ人にしか、地図だけで乗るバスを突き止めることは難しいと思う。その辺り、ITの力で何とかできないものかと思う。出発点と目的地をマウスで示してやると、最適のバス番号を示してやるようなWebサイトを作れないだろうか? それらしいWebサイトはあるが、どうもまだ完璧ではないようである。

 バスに関しては、リアルタイムでバスストップへの到着時間を予測してくれるサービスがある。GPSで全バスの現在位置を把握し、それを元にして、計算しているのだろう。

 この時の目的地が図書館だったとしよう。シンガポールには、23カ所の図書館がある。少し大きめのMRTの駅すべてに図書館があることになる。この23カ所の図書館は統一管理されているので、借りた本は、別の図書館で返却することも許される。わたしは、ソフトウエア開発関係の書籍が必要になった時、それを買うほどでもないと判断した時には、図書館のものを利用させてもらうことが多い。

 まず、Amazon.comで目的の分野の本でどういう本が出ているのかを突き止め、その本がシンガポールの図書館にあるかをNational Library board Singaporeのインターネットサイトでで突き止める。さらに、同じサイトで貸し出し中でない本がある図書館を突き止め、そこまで出向いて貸し出すことにしている。返すときは一番便利な図書館、つまり近所の図書館に返却する。

 わたしは今永住権を保持しているが、その永住権のカードそのものが図書カードになる。つまり、特別な図書カードは必要がない。貸し出しの手続きは、下の写真にあるような機械を使ってセルフサービスで行う。ソフトウエア開発関係の書籍は、最新のものがかなりあるので、重宝している。

Imgp0990

 もちろん、図書館にパソコンはたくさん並べられ、インターネットへのアクセスも可能である。さらに、自分のノートパソコンを持っていけば、無線LANでインターネットにアクセスすることも可能である。日本の図書館と違うことは、本を図書館内で読んで返却するとき、自分で本棚に戻す必要がないと言うことである。と言うか、自分で返却してはいけないようである。しっかりとしたルールに基づいて本が並べてあるので、本を再び棚に並べる作業は図書館のスタッフがやるようにしないと、そのルールが崩れると言うことだろう。図書館の利用者は、読み終わった本を置く台があるので、そこに本を置いて置くだけで良い。

 今度は車で移動することを想定しよう。シンガポールの都心に入る道路のいたるところに、下の写真のようなゲートがある。ERP(Electoric Road Pricing System)である。車がその下を通過するときに通行料が自動的に課金されるのだ。都心部の渋滞抑制のウルトラC的施策だ。

 通行料の自動課金に使われるのが、全車両への搭載を義務付けられている、IU(In Vehicle Unit) なる機械である。車のダッシュボード上に取り付ける。この通行料金だが、場所、時間で細かく異なる。時間帯ごとの渋滞量などを元に、あるアルゴリズムでコンピュータで自動計算されるらしい。課金が自動化されているゆえにできる芸当だ。ストックホルムも同じような仕組みで、都心への車の流入を防いでいるらしいが、ストックホルムでは車のナンバープレートをOCRで自動的に読み取ることで、車を特定し、その情報で課金するらしい。ストックホルムの方が特別なハードウエアが不要ということで、優れているかもしれない。

Photo01

 さて、次は確定申告。シンガポールには日本のような、源泉徴収の制度はない。従業員に給与は毎月全額支払われ、年に一度その額をIRAS(Inland Revenue Authority of Singapore) に申告し、自分で納税するのである。

 申告はインターネット上で、年収を入力するだけで完了する。勤務している会社によっては、会社が従業員の年収を直接IRASに報告しているケースがあるが、その時はインターネット上ですでに入力されている自分の年収を確認。もし、会社以外の収入があれば、それを追加するだけの作業になる。どちらにしても、非常に簡単な作業で、5分もあれば申告は完了する。なお、納税自体は、先に説明したSAMで行うことが出来る。

 最後に。わたしは携帯電話を電話としてしか使わない。iPhoneやHTCなどを持つ人が回りに増えてきた昨今。そろそろ、いわゆるスマートフォンと言われるものを使う人もしくは、アプリケーション開発を行う人になろうかと思っはているが。

 ということで、携帯を経由して甘受できるシンガポールのITの世界については、今は一切書けない。

Comment(3)

コメント

山本

本日発表された、World Economics Forum によると、2010年はシンガポールは世界第二位になってますね。日本は21位。どんどん引き離される。民主党が政権をとって、少しは良くなるかと思ったのですが......

山本

本日発表された、World Economics Forum によると、2010年はシンガポールは世界第二位になってますね。日本は21位。どんどん引き離される。民主党が政権をとって、少しは良くなるかと思ったのですが......

本日の新聞によると、シンガポールのGDP、ついにマレーシアを抜くそうです。数十倍の規模の国を、この小さな島国が抜く去る。さらに、シンガポールはもともとマレーシアの一部だった国が、分離独立した国。リーカンユーなども、感慨深いようです。

コメントを投稿する